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2006年4月18日 (火)

復活の8日間

復活祭後、第二主日までの8日間は、典礼は特別な祝いの期間と定めています。毎朝のミサでも復活の主日と同じく、復活の続唱を歌うように勧められていたり、復活は信仰にとって一番重要なお祝いですから、じっくりと時間をかけて十分にお祝いするのです。

さて教区司祭団は、毎月一回、泊まりがけで集まりますが、毎年復活祭後には遠出をすることを習いとしております。今年も教区の一方の端である糸魚川方面に向けて進み、名古屋教区へ侵入して、富山を越えて石川県にまで足を伸ばして復活を祝って参りました。折りからの黄砂の影響で、晴天にもかかわらず、富山湾に浮かぶ立山連峰は全く見えることもなく、残念でした。

21日と22日に、カリタスアジアの緊急理事会がタイのバンコクで開催されるため、明日の夕方から日曜まで留守にします。説明をはじめると長くなるのですが、アジアのカリタスや欧米の教会系の援助団体が、アジアにおける自立的開発援助をめざして70年代に設立されたNGOであるAPHD(アジア人間開発パートナーシップ)とカリタスアジアを2007年までに融合させることをめざして、話し合いが進んでおり、そのための緊急の話し合いが行われることになりました。

さて、またまた知り合いが司教になりました。教皇様は4月12日に、ガーナのKoforidua教区長としてJoseph Kwaku Afrifah-Agyekum神父を任命されました。Koforidua教区とは、私が働いていた教区です。ちょうど1992年に同教区が首都のAccra教区から独立して設置されたとき、彼は司教総代理に任命され、同時に私も司教顧問に任命されたため、共に教区の運営のために働いた友人であります。1954年生まれですから、私より少し年上です。彼がKoforidua教区の第二代目教区長となります。第一代目はCharles Palmer Buckle大司教といいますが、昨年首都の大司教に転任しておりましたので、後任選びが進んでいました。

ところでこのBuckle大司教というのも強者です。1980年代に彼は軍事独裁政権下で、カトリック教会の新聞「スタンダード」の編集長をしておりました。政権側は一般紙を次々と発行停止に追い込み、政権批判を許していなかったのですが、その中で最後まで踏みとどまり政権批判を続けていたのが「スタンダード」でした。もちろん当時の軍事独裁政権のリーダーがカトリックであったことも、スタンダードがかなり最後まで踏みとどまれた理由でもあります。しかしさすがに批判がうっとうしくなり、発行停止も間近かと噂されていた1985年12月26日、神言会のガーナ人ブラザーがアクラ近くの浜辺で溺死体で発見されます。警察は即座に事故死と発表するのですが、この時なくなったブラザーが、容姿も年格好も、髭を生やしているのも、Buckle師とそっくりだったのであります。で、ちまたでは、人違いでこのブラザーが暗殺されたのだと信じられておりました。確かに当時、政敵をヘリに乗せて海へ突き落としているという噂が流れていたこともあり、多くの人がこれを信じていたようです。いずれにしろ「スタンダード」はその後発行停止になり、結局再開が認められたのは、民主化が始まった1992年でした。

この1992年には、4月28日にガーナの新憲法草案への国民投票が行われました。当時、多くの国民は、非常に難しい選択を迫られました。というのも、10年にわたる軍事政権のあと、政党政治が再び確立され、自由選挙による民主政治が行われることを多くの人が望んでいたのは事実ですし、憲法もそれを保障するのですから、反対する理由はありません。ところが憲法草案の中に、過去のすべての軍事政権の行為を免責する条項が加えられていたのです。先に挙げたような現政権のかなりどぎついやり方や各方面での権力の乱用を熟知していた国民は、この条項には納得がいかなかった。しかし国民投票は、草案全体に対して「イエス」か「ノー」かを問うものでした。つまり、この条項が納得できないと「ノー」と投票すれば、民主化自体を否定してしまうことになりかねい。非常に難しい選択であったと思いますが、当時のガーナ国民にとってやはり民主化の方が重要でありましたし、それが当時のアフリカの政治の潮流でしたから、「イエス」が大多数を占め、現在のようなガーナが実現したのは良いことであったと思います。国民投票を規定する際には、やはりどのように投票するのかについて議論を尽くしておくのは大切だろうと、当時思ったものです。

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