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2006年9月 4日 (月)

HIV/AIDS

新聞を読んでいたら、西アフリカで局地的に流行しているHIV2型に、日本人の方がはじめて感染したという記事がありました。現地での輸血によって感染したのではないかといわれているようです。西アフリカといえば私が以前働いていたガーナも西アフリカですから、ちょっと調べてみたら、やはりガーナあたりでもこのHIV2型の感染が見られるということです。

どのような型にしろ、HIV感染が広がりつつあるのはアフリカの大きな問題の一つですし、AIDSによって引き起こされる家庭崩壊やそれから派生する村落共同体の崩壊、さらに孤児の問題、また胎内感染の問題は深刻になりつつあります。すでに私が働いていた80年代後半に、村の中でもAIDSのために命を落とす人が目に付くようになっていました。特に、生活苦のため、または因習による結婚問題のため、日々の糧を得るために隣国へ出かけていく女性が少なくなかったのも事実です。隣国から定期的にブローカーとおぼしき男性達がやってきてはリクルートして行くのだと聞かされました。確かに2年ほどで経済的に成功を収め、車に家財道具を満載して戻ってくる女性が、これまた少なくなかったのも事実です。しかし同時にその陰で、HIV感染をはじめとする様々な身体的・心理的リスクにさらされ、実際に体をこわしていた人も多くありました。

その頃現地から自分が書いたものを読み返してみると、1988年に5月の便りに、こんな話がありました。「聞けば隣国コートジボアールの首都アビジャンで長いこと売春婦勧誘役をやり、つい三ヶ月前に病気で送り返されてきたとか。訪ねてみるとまだ三十そこそこの青年は、見る影もなく痩せ衰えて、話をするのがやっとでした。確かにエイズのようです。告解をすませ、病者の塗油を施し、御聖体を水で流し込みました。・・・男性は初めてでした。彼がしていた仕事が仕事ですから、周りの人たちも天罰が下ったと考えているようですが、しかし売春の存在自体はもっと根が深いのだと思います。最後の最後に、長らく離れていた教会に助けを求めた彼は、その数日後になくなりました(日本カトリック移住協議会編「こんにちは!」1994年に収められています)。その頃AIDS発症の結果結核で亡くなる女性も多く、祈りに呼ばれていくと、窓もないような薄暗い部屋に骨と皮だけになった女性が、隠すように寝かされていることもしばしばでした。

昨年の世界エイズデーにむけて発表されたガーナ・エイズ委員会の報告によれば、昨年の段階でガーナの全人口の3.1%がHIV感染者だといわれます。これは人数にして、約40万人という事で、2015年には50万人に達するだろうともいわれています。感染はすでに一般の市民生活の中で起こっています。特殊な事情があるものだけの問題ではなく、国を挙げての問題であると、ガーナをはじめアフリカの多くの国は危機感を強めて、教育キャンペーンに長年にわたって取り組んでいます。

カリタスジャパンではHIV/AIDSデスクを司教団の求めに応じて設置して、啓蒙活動に取り組んでいます。昨年の世界エイズデーに発表したメッセージにはこう記されています。「2005年末時点でHIV感染者は全世界では約4,000万人ですが、新たな陽性者は、欧米では微増にとどまっているのに対して、日本では10年間に倍増し、2004年には新たな陽性者が年間1,000人を超えました。」そして「陽性者、そしてその家族や友人は、無関心と無理解、冷たいまなざしの中で苦しんでいるから」こそ、カリタスとしてこの問題に取り組むという姿勢を明らかにしています。

さらにこのメッセージの結論として、次のように記します。「世界には、HIV/AIDSに苦しむ多くの人がいます。感染する人、亡くなる人のほとんどは、高価な治療薬だけでなく、予防の情報すら手に入れることができない途上国に集中しています。アフリカには人口の20%以上が感染し、働き手と親が失われ孤児だけが残ると心配されている国がいくつもあります。さらに、新たな感染者の伸び率が世界最大のアジアの中で、とくに東アジアではこの2年間に40%増え、感染が急速に広がることが懸念されています。世界の隣人にも目を向けることが求められています。
 HIV/AIDSデスクは、この病気への取り組みを、まずできることから始めるよう呼びかけます。それは、病気の人の苦しみを心にとめ、いのちと性について若い人たちと話し合い、そして世界の問題に目を向けることです。私たちには、力を合わせて、危機にさらされているいのちを守り、助け、輝かせる使命があるのですから」(全文はカリタスジャパンのホームページで)。もちろん国際カリタスもこの問題に取り組んでおり、フルタイムの担当者(米国人司祭)が一人、ジュネーブに常駐しています。

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