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2007年7月 5日 (木)

教皇様、中国へ語りかける

すでに一般紙にも報道されているように、今年初めから待望されていた教皇様の中国の教会への書簡が、6月30日、ようやく公開になりました。書簡の日付は5月27日の聖霊降臨の主日となっていますが、聞くところでは文面が最終決定するまで、福音宣教省の中国専門グループの手によって、かなり時間をかけて、そして慎重に言葉を選びながら、幾度も手直しの作業が行われたようです。そのため当初期待されていたよりも、かなり遅い公開となりました。本文は二部に分かれており、前半が中国における教会の状況とそれに対する神学的考察、第二部が具体的な司牧指針となっています。

カトリック新聞の報道に拠れば(7月8日付)香港の陳枢機卿がこの書簡について、「純粋に宗教的なもので、全く政治的意図がなく、誰かを攻撃する性質もありません」とコメントしているとのことですが、陳枢機卿がわざわざそういわなければならないほど、教皇様の書簡は、宗教色をまとった強烈な政治的メッセージとなっています。今後中国政府が、もちろん事前に通告されているとはいえ、この書簡をいつどこで、どのように評価してくるかに注目したいと思います。

教皇様は、長年バチカンに忠誠を誓ってきたいわゆる地下教会と、政府系の愛国教会の間に厳として存在する相互不信、特に地下教会の共同体が当然持っている、あとからバチカンへの忠誠を誓った政府系の司教に対する不信や不安を取り除こうと呼びかけておられます。実際には、私たちが報道されることから知っている現実とはかなり異なる現実が中国の教会にはあり、必ずしも二つの教会が対立して存在しているというわけではないものの、かといって完全に一体化されているわけでもなく、また完全に対立の構図がなくなっている訳でもないという、微妙な状況が続いています。それに対して教皇様が今回、はっきりと政府系愛国教会の司教たちの立場について明確に記されたことには、意味があると思います。(違法に叙階されたとしても、定められた典礼に従っていれば有効な叙階であり、その司教のさずける秘跡も有効であることを再確認したことや、それでもそういった司教たちへ教会の伝統を守るように強く求めたことなど)

と同時に、あらゆる形での教会組織に対する中国政府の干渉を排除する必要を説いていることや、現状では中国の司教団を司教協議会として認めることはできないとするなど、政府の介入への断固たる拒絶もそこにはしっかりと記されています。もちろん問題を解決するためにこれからも中国政府や中国の教会と対話を続けることも明確に記されています。ここまで書いたと言うことは、単なる希望的観測を持って書いたわけではないでしょう。ある程度の結論が先に見えているからこそ、ここまで踏み込んだ書簡になっているのだと思います。今後の聖座と中国政府、そして中国の教会との話し合いの進展に注目したいと思いますし、仮にすべてが解決したとしたら、その時には私たちは知らなかった現実に驚くことになるであろうと思います。

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