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2008年5月 8日 (木)

ミャンマーと関わる難しさ

ミャンマーのサイクロン被害は拡大しています。ミャンマー軍事政権は、赤十字や国連など国際機関の救援に関しては受け入れを認めたようですが、NGOに対しては対応がまだはっきりとしていない模様です。特に物資の受け入れや送金に関しては政府が窓口になること以外は認めていない様子で、これまでも海外からの送金などには一般的に難しさがあったのですから、非常時にあってもその方針は変わっておらず、国際カリタスでもどのように対応するべきなのか現在苦慮しているようです。

ミャンマーにおけるカトリック教会の立場も微妙なところがあります。以下は、「家庭の友・5月号」に書いた記事からの抜粋です。

『ミャンマーはビルマ族が大多数を占める国ですが、それ以外にもカレン族、チン族、モン族、ナガ族、ラカイン族、ロヒンジャー族などの多数の少数民族が居住しており、少数民族が占める割合は全人口の三分の一超、居住地域も全土の半分以上だといわれます。かつて第二次世界大戦前の英国植民地支配下にあっては、英国お得意の分割統治が行われ、多数を占めるビルマ族の地域と、少数民族が居住していた周辺地域とに異なる行政システムを導入したといいます。また植民地統治においても少数民族を登用することで、多数派のビルマ族の不満が直接英国に向かわずに、少数民族に向かうように仕向けたともいわれます。加えて英国はビルマ族の仏教を保護すると同時に少数民族のキリスト教化も推進して、ここでも対立の構図を持ち込みます。第二次世界大戦中は、当初はビルマ族の主流派が日本側について戦い、少数民族は英国側に加勢したことも当然の成り行きです。結果として戦後には、異なる民族同士の互いの遺恨のみが残りました。これが独立後のミャンマーの社会状況を不安定にしたのです。
 少数民族のなかでもカレン族はミャンマー独立当初から、ビルマに加わるよりも自主独立を求め、カレン民族同盟(KNU)を結成して武力闘争を繰り広げてきました。現在ミャンマー国内には三百万を優に超えるカレン族が居住しているといわれます。こういった少数民族の動きに対して、特に現在の軍事政権は人権侵害ともいうべき抑圧政策をとってきており、国際的な非難を浴びていることは良く知られているところです。もっとも、日本を始め国際社会が思い切った制裁行動をとることができないのは、結局のところ、軍事政権が崩壊した場合、独立を求める少数民族が乱立し、国家としての存続が危ぶまれるほどの不安定状態が避けられないと考えているからです。人権侵害と地域の不安定化。どちらも避けたいというジレンマに、国際社会は頭を悩ませているのです。
 ところで少数民族に対する軍事政権側の抑圧政策は、仏教以外の宗教への不当な弾圧にもつながりました。殊にキリスト教の諸教会は、歴史的経緯から少数民族側に多く存在しており、当然のように軍事政権からの様々な形での介入と圧力を受けてきたのです』

というような背景で、現地における教会の立場を考慮しながら、活動を進めていかなければなりません。ミャンマーにしても中国にしても、国内における教会と政府との関係が微妙である場合、外部の教会が勝手な行動をするわけにはいきません。

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