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2008年9月 8日 (月)

スリランカ訪問記その2

Srilanka0807 「20周年を記念してスリランカの人々に感謝」
スリランカの茶畑に突然現れた、英語に日本語が併記された看板にはびっくりしました。「キリンの午後の紅茶」が発売20年になるのを記念して、感謝を込めて掲示したのだそうです。スリランカ中央部の高地にあるキャンディを3日目に訪問しました。キャンディはスリランカ仏教の聖地であり、16世紀後半のシンハラ朝の最後の首都として、町全体が1988年に世界遺産に登録された文化遺産の町でもあります。町の中心には巨大な寺院と美しい湖があり、風光明媚な町でした。(写真はキャンディの町を見下ろす山に据えられた仏像)

 このキャンディの郊外には至る所に「エステート」と呼ばれるお茶のプランテーションが広がります。200年ほど前に、英国がセイロンで茶の栽培を広めるために、すでに実績のあったインドから労働者を移住させてはじまったのだといいます。聞くところでは、運ばれてきた労働者は北東部の港に「陸揚げ」され、そこからキャンディまで、道無き道を200キロ以上も歩くことを強制され、多くの人が命を失ったというのです。その子孫たちが、いまも十分に国家から権利を保護されることなしに、過酷な労働に従事しているのだといいます。

 結局、プランテーションでの労働で家族を支えることが難しいため、女性たちは海外への出稼ぎに出かけるのです。多くの場合、ブローカーに仲介され、中東諸国へ家政婦として出かけていきます。ところがこの働き場所が楽ではない。性的暴行や暴力など、醜いまでの人権侵害があるのだといいます。

Srilanka0809   カリタスキャンディは、この人権侵害に立ち向かうプログラムを実施しています。プログラムでは、パンフレットや日本のワイドショーの再現ドラマ張りのDVDを作成して、何とか海外へ出かけることを思いとどまらせる活動をしたり、人権侵害にあたっては救済の手助けをしたり、帰国後にトラウマを抱えた人たちのリハビリにあたったりしています。当事者の何人かが集まって話を聞かせてくれました。これが同じ人間に対してすることなのかと驚くような虐待と暴力の内容です。実際に体に傷を負って帰国した女性が、しみじみとその体験を語った時の悲しい目。それでもその体験をここまで語ることができるほどに回復したのは、カリタスのトラウマカウンセリングの効果だといいます。カリタスのこのプログラムではプランテーションの共同体への働きかけも積極的に行い、生活改善や家畜の飼育などを通じて収入増加を図るなどして、海外への労働流出を食い止めようと努力しています。(写真はエステート労働者の住宅にて)

 一つの「エステート」を訪問しました。夕方、仕事が終わった人たちが教会に集まって歓迎してくれました。いろいろと話を聞いたあとに、お茶が出てきました。私には、とってもおいしい紅茶に感じました。普段日本で飲むことのある紅茶は遙かに及ばない、こくのあるおいしさです。ところがあとで近くの工場で聞いたところでは、従業員たちは工場で最後の最後に床にこぼれた紅茶をやっと手に入れることができるだけなのだとか。それでも心を込めて入れてくださった紅茶と、レモンクリームのビスケットのおいしかったこと。

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