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2010年1月10日 (日)

バングラデシュから・その2

Bangla06 昨年十二月に訪問したバングラデシュでの出会いから、もう一つ記しておきます。前回記したように、カリタスジャパンがカリタスバングラデシュを通じて、2005年から教育支援を行っています。その対象地域は、バングラデシュに三カ所あります。南東部のチッタゴン丘陵地帯、北東部のシレット、そして北西部のラシャヒです。今回訪問したのはそのうちの一つ、ラシャヒ教区。

時間の制約があり、ラシャヒ自体には二泊三日しか滞在できないため、学費支援を受けている子どもたちに集まってもらいました。いろいろと学校生活や寄宿舎の生活について話を聞くことができました。子どもたちは口々に、「医者になりたい、先生になりたい、技術者になりたい、神父やシスターになりたい」と、将来への夢を語ってくれました。

教育支援を受けているのは、先住民族の子どもたちです。バングラデシュの先住民族といえば、東南部チッタゴン丘陵地帯で1976年頃から続いてきたジュマ族と政府の対立が広く知られています。1997年に和平協定が結ばれたものの、政府側がなかなかこれを実行に移さず、多くの先住民が国内避難民としての生活を余儀なくされてきました。この地域での大きな問題は、人口過密の解消にベンガル人の入植が大規模に行われ、それに伴って人権侵害が頻発したことだといわれています。ラシャヒなどのある西北部でも、バングラデシュ独立時にヒンズー教にもイスラム教にも属していないということで、インドからもバングラデシュからも受け入れられずに国境を挟んで彷徨った先住民族が多くいたということです。なかには騙されるようにして土地を奪われた先住民族も多かったという話も聞きました。

ザカリアス君というこの家を訪問しました。目を輝かせて子どもの教育の必要性を説くお父さんに出会いました。奥さんと、息子と娘がそれぞれ三人。見事に広がる田園地帯の一角に、お父さんの家がありました。お父さん自慢の息子のひとりザカリアス君は、カリタスバングラデシュを通じて学費支援を受け、中学校(八年生)に通っているのです。一家の住む小さな家は土壁と草葺きの屋根で、その上には牛の糞がずらりと並べてあります。乾燥させて煮炊きの燃料とするのです。周囲が見事な田んぼですから、お父さんの田んぼはどこなのかと尋ねると、この土地は政府のもので田んぼは持っておらず、一日二〇〇円程度の日雇いで生計を立てているのだといいます。独立の過程で土地を失い、その後も貧困の連鎖の中で翻弄されている先住民族の苦しい生活が、そこにはありました。(下左の写真、中央がザカリアス君。その左にお父さん、右にお母さん。下右の写真は、歓迎のために集まってくれた子どもたちや村の人たち。)

2008年末の選挙で誕生した新しい政権は、先住民族の権利保障のために前向きな姿勢を示しているともいわれ、期待が寄せられています。またカトリック教会も、たびたび国連の場で表明してきたように、カリタスなどの活動を通じて世界各地で先住民族の権利保護のために直接活動してきました。全世界に3億人はいるといわれる先住民族ですが、カトリック教会が自由に活動できない国(共産国など)では、未だ教会が直接支援に乗り出せていない先住民族の課題は多々存在しています。

Bangla09 Bangla07

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