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2014年8月 3日 (日)

あなたがたが彼らに食べる物を与えなさい

Francis1305
教皇フランシスコにとって、「排他性」と「格差」という二つを拒否することは、信仰生活の中核をなしています。「福音の喜び」の中に、経済問題に触れて、次のような指摘があります。

『「殺してはならない」というおきてが人間の生命の価値を保障するための明確な制限を設けるように、今日においては「排他性と格差のある経済を拒否せよ」とも言わなければなりません。この経済は人を殺します。(53)」

そしてこの『排他性』と『格差』を説明して、次のように記します。

『路上生活に追い込まれた老人が凍死してもニュースにならず、株式市場で二ポイントの下落があれば大きく報道されることなど、あってはならないのです。これが排他性なのです
飢えている人々がいるにもかかわらず食料が捨てられている状況を、私たちは許すことができません。これが格差なのです。わたしたちは「廃棄」の文化をスタートさせ、・・排他性は・・もはや社会の底辺へ、隅へ、権利の行使できないところへ追いやられるのではなく、社会の外へと追い出されてしまうのです。排除されるとは「搾取されること」ではなく、廃棄物、「余分なもの」とされることなのです(53)」

ちょうど今日の第18主日の福音は、マタイ14章13節からの、五つのパンと二匹の魚の物語でした。国際カリタスは昨年12月から反貧困キャンペーン"One Human Family, Food for All (私たちは一つの家族、すべての人に食糧を)" を行っていますが、カリタスジャパンではその説明や教皇のメッセージの中で幾度も取り上げられる今日の福音からテーマをいただき、このキャンペーンを「五つのパンと二匹の魚」と呼んでいます。

教皇フランシスコにとって、教会は「出向いていく教会」であるべきだとされます。「福音の喜び」には、その意味が次のように記されています。

『自分にとって快適な場所から出ていって、福音の光を必要としている隅に追いやられたすべての人に、それを届ける勇気を持つよう招かれている(20)』

その上で、出向いていく教会の福音宣教にあたっての優先事項を次のように掲げます。

『教会は例外なくすべての人のもとに行き着かなければなりません。しかし、誰を優先すべきでしょうか。福音書の中に、非常に明確な指針が示されています。友達や近隣の裕福な人ではなく、むしろ貧しい人や病人です(48)』

現代社会の中心から引き離され、排除され不平等に扱われている人たちに、誰かが何かをするようにしていくのではなく、主ご自身が弟子達に言われたように、「あなた方が彼らに食べるものを与えなさい」と教皇フランシスコも呼びかけています。群れを解散させて、『自己責任』で解決を図らせるのではなく、群れの中で互いに配慮しあうことによって共に生きていくことを目指されているのです。とりわけ、排除され格差の内に忘れ去られようとしている存在に、勇気を持って配慮するようにと命じられているのです。

それは単に食料のことだけを言っているのではありません。世界の各地で頻発する紛争。とりわけ今一番の注目を集めているのはガザにおける一般民衆を巻き込んだ武力対立です。今の事態に留まらずこれまでの紛争の歴史を見れば、武力が抑止力になるなどとは、よほど『勇気』がなければ言えないと思うのですが、力によって相手を排除し分断する方法ではなく、群れを解散させずに互いに配慮しあうことによって共に生きることができる世界をいかに構築するかに、知恵を絞る時が来ているのだと思います。そしてそれは、政治家がすることだとか、誰か力を持った人がすることだとかに留まらず、「あなた方が彼らに食べるものを与えなさい」と言われた主イエスが、「あなた自身がチャレンジしないさい」と言われているのではないのでしょうか。

こう呼びかけられている教皇フランシスコは、まもなくアジアに初めておいでになります。8月14日から18日まで、韓国を訪問されることになっています。8月の暑さ厳しい時ですから教皇の健康が気になりますが、ちょうど開催されているアジアユースデーに参加しているアジアの青年たちとの出会いを教皇は心待ちにしておられるようです。

日本の司教団も招待をされているので、私も8月15日の夜に羽田を出て、16日のパウロ・ユン・ジチュンと123同志殉教者の列福式ミサ、そして17日のアジアユースデー閉会ミサに参加する予定にしています。今回列福される殉教者については、中央協議会のホームページから、その歴史を読むことができます

なお8月は教区内での訪問などはありませんが、次のような予定が入っています。

  • 8月11日 新潟教区保育者研修会
  • 8月12日 高田聖クララ会ミサ
  • 8月15日 聖母被昇天ミサ(新潟教会午前10時)なおソウルには、このミサが終わってから出かけます。
  • 8月23日 カリタスシンガポールの講演会
  • 8月26日~28日 カリタススリランカの研修会
  • 8月30日 香港教区補佐司教(3名)の叙階式

暑い毎日が続き、また急な豪雨の被害に見舞われている地域もたくさんありますが、皆様どうぞお体を大切に、良い夏を過ごされますように。

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