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2018年7月30日 (月)

7月30日は人身取引反対世界デーです

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2014年以来7月30日は、国連薬物犯罪事務所United Nations Office on Drugs and Crime(UNODC)によって制定された人身取引反対世界デーとされています。(the World Day against Trafficking in Persons)

人身売買や人身取引というと、なにか現代世界とは関係のない、奴隷売買でもあったような時代の昔話のように響きますが、これは日本も無関係ではない21世紀の今の時代の世界的な問題です。

ユニセフのプレスリリースにこう記されています。

「ユニセフ(国連児童基金)と人身取引反対機関間調整グループ(ICAT)は7月30日の「人身取引反対世界デー」を前に、世界で人身取引(人身売買)の被害者として確認できた人の約28%が子どもであることを本日明らかにしました。サハラ以南のアフリカ地域、ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域などでは、人身売買被害者に占める子どもの割合はさらに高く、それぞれ64%と62%です。

特に人身売買に巻き込まれやすいのが、難民・移民・避難民の子どもたちです。戦争や暴力を逃れ、あるいはより良い教育や生活の機会を求める子どもたちが、家族と共に正規ルートで安全に移動できることはほとんどありません。そのために、子どもたちと彼らの家族は非正規の危険なルートを取り、あるいは子どもたちはひとりで移動することになり、人身売買業者による暴力、虐待、そして搾取に遭いやすくなります。」

この日を前に、昨日7月29日のアンジェルスの祈りで教皇様は7月30日が人身取引反対世界デーであることに触れ、次のように述べられました。

「人身取引の目的は、被害者を安価な労働力、売買春、臓器売買、物乞い、あらゆる悪行の対象として搾取することにあります。移住が、人身売買の隠れ蓑となり、移住者の中から新たな被害者が生まれています。これは人道に反する犯罪です」

人身取引は、国際条約によって定義が定められています。一般に「人身取引議定書」といわれる「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、特に女性及び児童の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」には、次のような定義が掲載されています。

「“人身取引”とは、搾取の目的で、暴力その他の形態の強制力による脅迫若しくはその行使、誘拐、詐欺、欺もう、権力の濫用若しくはぜい弱な立場に乗ずること又は他の者を支配下に置く者の同意を得る目的で行われる金銭若しくは利益の授受の手段を用いて、人を獲得し、輸送し、引渡し、蔵匿し、又は収受することをいう。搾取には、少なくとも、他の者を売春させて搾取することその他の形態の性的搾取、強制的な労働若しくは役務の提供、奴隷化若しくはこれに類する行為、隷属又は臓器の摘出を含める。」
(同議定書第3条(a))

日本も例外ではありません。実際に警察によって摘発されている事件も毎年あり、移動の自由などを奪って、ほぼ強制的に労働に従事させるような事例が、人身取引にあたるのではないかという指摘も聞かれることがあります。また被害を受ける人は、海外からの移住者や難民の方々だけではなく、日本人も含まれます。

教皇様と国際カリタスの呼びかけに応えて、カリタスジャパンは難民移住移動者委員会と共同で「排除ゼロキャンペーン(Share the Journey)」を繰り広げています。これは、難民や移住者として来られる方々の体験に耳を傾け、互いを知ることで、排除ゼロの世界を目指し、互いに助け合って生きる世界を目指そうというキャンペーンです。同時に、人身売買の被害者は、教皇様が指摘するように難民や移住者の中に多く見られるのであり、またユニセフが指摘するように、子どもたちの多くが被害に遭っていることを考えるとき、人身取引に反対する意識を共有することも、このキャンペーンにとっては大切であると思います。

わたし自身に自分の人生のストーリーがあるように、すべての人にはそれぞれのストーリーがあり、すべてのストーリーは大切な宝物です。

それはキリスト教では、神が一つ一つの命をよいものとして創造されたと信じているからです。命は、この世界に存在するという事実を持って、すべからく大切な価値を持っています。その命の価値を、何らかの判断基準で勝手に決めることは、人には許されないことだと、信仰者は考えます。

ですから、危険にさらされている命を守るように、たとえ直接の行動が難しかったとしても、そういう現実があるのだと言うことを知り、その認識を通じて、それぞれの国が何らかの行動をとるように促していくことは、共通善に彩られた良い世界の実現に少しでも近づくために、大切なことだと思います。

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