若き司祭の悩み
新潟の司教座聖堂は、今年で献堂80年を迎えます。11月3日には、80年のお祝いを挙行する予定で、計画進行中です。佐藤司教様時代の1996年に、その後100年は大丈夫な聖堂にすることを願って、大改修工事が行われました。1964年の新潟地震で、土台から少し傾いていたのですね。基礎を全く新しく作り替えて、床を張り直したそうですが、そのときに、地震で傾いて土中に埋まっていた玄関の階段一段が発見されたと聞きました。聖堂は今では美しく修復されております。難を言えば窓枠でしょうか。木の窓枠は機密性が低く、嵐になるとどうしても雨が漏れて聖堂内に侵入してくるのです。どうにかしなければ、きれいに張り替えた床がだめになります。
そして教区事務所も置かれている新潟司教館は、やはり聖堂と同じ頃、80年前に建てられたようなのです。詳しい資料が残っておらず、どこからか移築してきた建物に増築したという話も耳にしたことがありますが、いずれにしろたいそう古い建物です。地震で傾いた床は直されましたが、実は新潟地震の時に、立ち位置がだいぶずれてしまったようで、聖堂にずっと近寄って移動したのだという話を聞いたことがあります。おかげで、聖堂の裏と司教館があまりに近くて、裏の保育園に食品などを運ぶ業者の方は、軽トラックを何度も切り返して毎朝この隙間を通過して行かれます。普通の車は絶対に通れません。
昨年11月に、ガスの工事をしました。というのもそこらで漏れていたんですね、ガスが。土中のガス管があまりに古くて、もうどこを手直ししていいのか分からず、(業者の方がこんな元栓は見たことがないと言うくらい歴史的な元栓がついていたそうです)とうとう新しく配管をし直しました。そしてガスストーブを入れ替えたのですが、そのときに撮影したのがこの二枚の写真です。壁に開けた穴に近寄ってみると、外の壁と内壁の間には見事に隙間があるのであります。そしてここからが問題。
この隙間は司教館の建物すべてに及んでおり、ついでに一階と二階の床の間とか床下とかと繋がっていて、ここに、あの有名な、といいながら新潟に来るまで私は知らなかった、「ハクビシン」という動物が住み着いているらしいのですね。夜になると、ハクビシンがあまりにがさごそと動き回るので、一階に住んでいた方々は夜も寝られない、一時は佐藤司教様も苦しまれたとか。私は今のところそれほど気がついていないのですが、一階に住んでいる教区で一番若い司祭は、夜な夜な寝られずに、ずっと苦しんできたと言います。自ら屋根裏に入り込んで、かなりの隙間をふさいできたのだそうですが、それでも夜な夜な走り回るハクビシンのタフなこと。歴史と共に生活するのは楽ではありません。そんな若き司祭も、この復活後には見附へ転任で、ハクビシンからは解放です。
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