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2007年6月28日 (木)

夏の移動はつらい

だんだん暑くなりました。新潟も十分に暑くなりつつあります。夏場の長距離移動は、いろいろな意味でつらいものがあります。出来れば家でじっとしていたいのですけれど、これから当分は移動の連続となりそうで、それだけで汗が噴き出てきそうであります。

梅村司教が中心になって、数名の司教とそのほかの講師を入れて、隔年で「宣教学」を、東京の大神学院では開講しています。明日は私の番。午前中は神学生相手に、開発の問題をお話しする予定です。そして午後からは潮見で四旬節課題小冊子の編集会議。明後日は昼から名古屋教区の信徒研修会でお話。一日休んで月曜日は、カトリック養護施設協会の全国大会で講演をして、夜には新潟へ戻ります。でそのまま一日おいて、来週の水曜はカリタスの会議、木曜は午前中が常任司教委員会で午後がまたまたカリタスの会議。新潟に戻ったら翌日、つまり7月7日は、再び秋田であります。7月8日が能代教会の公式訪問になっております。その翌日9日月曜は教区顧問会と教区司祭の静修。そして東京教会管区会議が宮城県内で二日続き、直後に東京の大神学院で宣教学の二回目の授業であります。そして15日は秋田の本荘教会を訪問。これでもう十分なので、本荘から戻ったら、ちょっと今年は早いですが、1週間の夏休みを頂く予定であります。皆様、志を高く持って、暑い夏を乗り切りましょう。

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弱いのは人の心

いったいアフリカの、例えばガーナと、今の日本と、どっちが「治安がよいのか」と尋ねれば、さあてどっちとお答えになるでありましょうか。そもそも「治安」なるものが実は客観的には何を指しているのか、よく分からないではありませんか。仮に「凶悪な犯罪」が少ないことだとした場合、一般的に私たちはどうやって「凶悪な犯罪」の多寡を知るのでしょう。そういえばどこかで指摘されていたのを、かすかに記憶していますが、摘発された「犯罪」の数だけでは、「治安」の良し悪しを比較することは難しい。というのも同じ行為が「罪」になるかどうかはその国の法律によって異なっているし、警察などの捜査能力が低ければ知られずに済んでいる犯罪も多くある可能性がある。そういうような指摘であったように記憶しています。

そこで「凶悪な犯罪」に限るならば、どう見ても今の日本の方がとてつもなく「治安が悪い」といわざるを得なくなります。しかしながら、どうしてそうなのかと考えれば、結局のところその要因は、報道の質と量の違いにのみあるのです。日本の一度も訪れたこともないような、自分が住んでいるところとははるかにかけ離れた場所であっても、交通事故にはじまってありとあらゆる事件が詳細に、時には現場からの中継を交えて、毎日のように報道される。そうすれば当然、年中身の回りは事件だらけであります。ところが、今現在は多少改善されているものの、かつてガーナにいたときには、各地で起こっている事件をいちいち報道する体制が何もない。毎日の国営放送のニュースは、当時の国家元首である暫定国防評議会議長がどこでどんなスピーチをしたかなどばかりで、事件の報道は何もありませんでした。すると不思議なもので、なにやらとても平穏無事な安全なところのようなイメージになるのですね。

でも実はよく思いだしてみますとね、ガーナに8年間生活していた間に、自分の生活範囲内で、少なくとも2回の殺人事件があったのです。いま日本に戻ってきてから10年以上が経ちましたが、自分の生活範囲では幸いにも殺人事件は一度もありません。すると実際には、日本の方が、「私とって」は治安がよいのでは無かろうか?そう、問題は、「私にとって」ではないでしょうか。結局、「治安」とは、「私がどう感じるのか」というあやふやな存在で、そのあやふやな感じは、誰かが増長させる方向で操作しやすいのであると言うことだろうと思います。イメージに左右されやすい、弱い人間の心であります。(ブラジル人の方が、日本のある地で、宅地購入を断念せざるを得なくなったというニュースを目にして、感じたことでした。)

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2007年6月25日 (月)

秋田教会訪問

昨日は秋田教会の公式訪問でした。公式訪問といっても、秋田教会にはいろいろな用事でしばしば出かけているので、なにやらいつもと変わらない訪問のような感じが私はしてしまいましたが、考えてみれば、他の用事で司祭館に泊めてもらうことが良くあるという話で、ミサを共に捧げるのは、それほどしばしばあることではありません。(ちなみに偶数年は新潟県、奇数年は山形県と秋田県の教会訪問の年です)大勢の方々に集まっていただき感謝いたします。

秋田教会は、所属信徒数からいえば、新潟教区で一番大きな教会共同体です。(二番目が高田教会、三番目がカテドラルの新潟教会)ただ信徒数が多いというだけではなく、共同体には若い世代のメンバーも多く見受けられ、将来に向けて頼もしい限りです。その証拠に、ミサ前に香部屋で準備をしていると、次から次へと侍者が現れるではありませんか。小学生からたぶん高校生くらいまで(男女両方)6人はいたでしょうか。ミサの最中の動きもよく練習されていて、さわやかでしたし、ミサが終わったあとにはリーダーがしっかりと、ミサ中の動きについて改善点を指導していたり、本当に頼もしい。

Kc280095 秋田教会は神言会が担当する教会ですが、その神言会は今年が来日100周年となります。秋田教会自体はその前にパリ外国宣教会によって創立されていたのですが、神言会が来日した当時、ドイツ人宣教師たちが一番最初に任されたのがこの秋田教会であり、日本の神言会にとっては宣教の原点ともいうべき教会です。10月には宣教100周年のお祝いが秋田教会で行われる予定になっており、それにあわせて聖堂の内外装改修工事が行われました。工事期間中は聖堂が使えず、信徒会館の二階でミサが捧げられていたということですが、ちょうど昨日その工事がほぼ終了して、久しぶりで聖堂でのミサとなりました。壁がきれいに塗り直され、床も貼り替え、ベンチにはクッションもつきました。朗読台も新しくなりました。また、これまで左最前列におかれていたオルガンが、左の一番後ろに移動しました。窓は新しいサッシに変わりました。大きな変更はないものの、全体的に明るくなったように感じました。秋田教会にとって今後の大きな課題の一つは、老朽化が進む信徒会館と司祭館の建て直しであろうと思います。いろいろな意見の相違もあろうかとは思いますが、最善の方向を求めて祈るなかで、より良い道を見いだしていただきたいと思います。(写真はミサ後に、信徒会館で一緒にお弁当を頂いている様子)

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2007年6月22日 (金)

背負いきれるか、重荷を。

予定通り、本日金曜日のお昼で、司教総会が終了しました。その後、予定通りに常任司教委員会に初めて出席。そして2時から社会司教委員会。やっと新潟へ戻りました。明日は昼から秋田へ出かけ、日曜日は秋田教会の公式訪問です。

Kc280093 司教総会後の常任司教委員会(委員長は司教協議会会長の岡田大司教)では、常任司教委員会に任されているいくつかの役割の分担が話し合われ決定しました。その中の一つ、中央協議会の財政について責任を持つ財務委員長には、これまでは会長であった野村司教が就任することになりました。そして一番下っ端の私も、またまた役目を仰せつかってしまいました。なんと「カトリック新聞担当司教」という、大変重要な役割を担うことになりました。これまで溝部司教様が担当されていた役目ですが、とうとう私のところへやってきたのであります。加えて、今回でお役ご免のはずであった東京大神学院の運営にあたる東京大神学院司教団常任委員会も、結局継続せねばならなくなり、カリタスの責任司教もあって、いったいどうなるのでありましょうか。カリタスは社会福祉部門を幸田司教が担当してくださるとはいえ、私だけでも委員会、援助部会、HIV/AIDSデスク会議、「ひびき」編集会議と4つの会議が定期的にあり、事務局の会議にも出来る限り顔を出すことを心がけねばなりませんし、毎月の常任司教委員会、年に4・5回開催の神学院常任委員会、ほぼ隔月の社会司教委員会、カトリック新聞の会議(これは何回になることでしょう)と、会議がなければ生きていけない体になりそうであります。勿論、これに加えてなのか、そちらが本業だから当たり前なのか、新潟教区の会議も少なくありません。

ところで司教総会最終日の今日、教皇大使が司教団に話しに来られました。大使はちょうど休暇でイタリアに帰国していた最中に腰の具合が悪くなり、数日入院したせいもあって、いつものように総会初日に来ることが出来なかったため、最終日の来訪となりました。大使はイタリア滞在中に教皇様を始めバチカンの様々な役所の長官たちと日本の教会について話してきたそうです。その中でも司教団にとってうれしいことは、大使が国務省で国務長官のベルトーネ枢機卿と会談した際に、枢機卿が日本の政治状況について様々な質問をする中で、唯一の被爆国で平和国家として名高い日本が、その立場を忘れ始めているのではないかという懸念を示されたということです。それに対して大使が、司教団の信教の自由と政教分離に関する司教団メッセージを長官に伝えたところ、長官が高く評価されたということです。日本の教会は福音宣教省の元にありますから、司教団が発表した文書、会議録などは常に大使を通じて福音宣教省に伝えられています。どの国の司教団でもそれは同じ事で、必要に応じて、先日のジンバブエ司教団文書への対応のように、聖座はその見解を様々な方法で表明されます。勿論一番強いメッセージは教皇様ご自身の言葉です。ですから12月のアド・リミナの際に、教皇様ご自身が日本の司教団にどのようなメッセージを述べられるのかが注目されるところでもあります。(写真は水曜日の夜に教皇庁大使館で大使と歓談する司教達)

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2007年6月20日 (水)

強行採決は、ありません。

月曜日からはじまった司教総会。三日目の今日は、しばし議論から離れて、司教の勉強会の一日とされています。毎年、6月の司教総会では、中日の水曜を「司教の集い」というタイトルで、様々な課題について理解を深めるための勉強会の日とするのを恒例としています。集いのテーマは、事前の常任司教委員会で、様々な委員会からの提案を受けて決定されています。今回は、午前中を、カリタスジャパン・HIV/AIDSデスクの主催で、「日本でのHIV/AIDSの現状、及び事態の深刻さと重大さ」というテーマでの勉強会としました。HIV/AIDSデスクでは、このきわめて現代的な問題を、なかでも無知と偏見によって深刻さが認識されていない事態を目の当たりにしながら、これまでも教会の立場から啓蒙活動を行ってきました。講演会を開いたり世界エイズデーにメッセージを発表したり、国際カリタスのこの問題の担当者とも連絡を取りながら、活動してきました。今回は、これから日本においてさらに深刻さをますであろう事を想起して、各教区での取り組みを考えて頂くために、司教の勉強会となりました。

勉強会には、つい先頃まで東京都福祉保健局健康安全室感染症対策副参事を務められていた東京都職員の飯田真美さん、HIVと人権・情報センターの塩入康史さん、同センターで働くシスター重久マチの三人に、日々の体験を分かち合って頂き、さらに倫理神学の立場から福岡サンスルピス神学院院長の牧山強美神父さんにコメントを頂いて、司教の意見交換も行いました。

性的な問題であるがために、どうしても教会という環境ではこの問題に正面から取り組むことがはばかられる雰囲気があったり、問題を性教育の内容やコンドームの是非という点にだけ収斂させ、肝心の当事者たちの命と人生に目を向けることを忘れてしまったりすることがしばしばあるという点を、特に反省させられました。全国に広く学校を展開しているカトリック教会としても、性教育をどのように現実にふさわしく提供していくのかは、真剣に考えなければならない問題ですし、根幹に潜む差別的な意識にどのように立ち向かっていくのかも、真剣に考えなければならないのだと思います。

私自身にとっては、ちょうどこの病気が注目を浴び始めた1983年に、英語の勉強のため滞在していたシカゴの教会で仲良くなった聖歌隊の隊長が、その後エイズを発症し亡くなったという経験が、この病気との出会いでした。さらに司祭になって派遣されたガーナの教会では、経済と結婚慣習の問題のために、隣国で売春に従事せざるを得なかった女性たちを中心に、山奥の村でも、多くの方々がこの病気に苦しみながら命を失っていく現場で働いてきました。当時、ウガンダはこのままで行ったら国が滅びるとまで言われ、国家的プロジェクトとしてWHOと共にキャンペーンが行われていましたが、そのころはまだ一部の国の問題であるようにアフリカの多くの人も思っていたのかもしれません。取り組みが早かったウガンダは一応の危機を脱したのですが、しかしいまやHIV/AIDSはアフリカ全体の存在を脅かす大問題となってしまいました。この病気が発見された当時の状況から、あたかも同性愛者だけの病気のようなイメージが出来上がり、今でもそう思っている人も多いのかもしれません。同時にあまりにアフリカで広がっているために、先進国の問題ではないとも思われているのかもしれません。しかし、実際には誰でもどこでも、すべての人が感染し発症するリスクの中で生きているという意味では、他のどのような病気とも変わりはなく、それがために広く連帯して対応が求められるのだと考えます。無関心で放っておいたとしたら、性の問題だからと物陰に隠し込んでしまったら、最悪の場合、気がついたら私たちの国は、そして世界は存亡の危機に瀕しているような事態にまでなるやもしれません。真剣に考えねばならない、グローバルでありローカルな問題だと思います。これからもカリタスジャパンのHIV/AIDSデスクを中心に、教会の立場からできる限りの対応を考えていきたいと思います。

ところで昨日の司教総会では、主に典礼の翻訳の問題を取り扱いましたが、同時にこれから三年間の司教さんたちの様々な担当についても決定がありました。私はカリタスジャパンの責任司教となりました。つまりカリタスジャパン委員会の委員長です。担当司教には東京の幸田司教が任命されました。これから三年間、二人で取り組んでいきたいと思います。私たちの国の国会では連日、委員会の強行採決が繰り返されているようですが、さいわい、司教総会ではその必要は、ありません。

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2007年6月17日 (日)

明日から司教総会

Keynotega07 一年に二回開催される司教総会。明日から今年度の通常の司教総会が東京の潮見で開催されます。(二回目は臨時として来年2月です)会議は明日の午後から始まり、様々な報告事項や東京と福岡の両神学院についての会議が最初の日に予定されています。いつものことですが、議題は山積みで、特に今回も典礼関係がどっとある予定になっています。詳しくは会議後にカトリック新聞に報道されるでしょうし、出来る範囲で日記でもお伝えしたいと思います。会議は一応、金曜の昼までの予定ですが、その直後に今回からメンバーとなる常任司教委員会と、それからそのあとに社会司教委員会が開催されますので、新潟に戻るのは金曜の夜遅くになるでしょう。土曜日には午後から秋田へ出かけ、来週の日曜は秋田教会訪問です。そうそう、とうとう目がかなり年齢相応の目となりまして、小さな字が読めなくなりました。そのため、読書メガネ(つまり老眼鏡)を買うことにしました。それが土曜に出来上がるので、来週の秋田教会のミサで初めて使うことになるでありましょう。

(写真は国際カリタス総会で基調講演を行った、教皇庁正義と平和協議会会長のマルティーノ枢機卿(左)とノーベル平和賞受賞者のマータイ女史(右))

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2007年6月16日 (土)

新しい任命が、また

教皇様はこの数日の間に、三人の神言会会員に新しい任命を与え発表されました。その内の二人は、私もよく知っている方々で、中でもその内の一人は、親友であります。

まず6月6日、教皇様はアフリカのアンゴラの首都ルアンダ(良く国としてのルワンダと混同されますが、アンゴラの首都ルアンダは「L」ではじまり、国としてのルワンダは「R」ではじまります)を分割して、新たに二つの教区を設立されました。その内の一つ、CAXITO教区長としてアンゴラ管区の管区長ANTÓNIO JACA神父を任命され司教としました。新司教は1963年生まれです。

Kumordji 次に、6月12日、教皇様はガーナの東州にあるアフラム・プレーンズという地域を、使徒座管理区としてKoforidua教区から独立させ、Apostolic Prefecture of Donkorkromを設立されました。アフラム・プレーンズという地域は、世界最大のダム湖であるボルタ湖によって造り出された陸の孤島です。島ではないのですが、陸地沿いに北へは道がないため、外へ出るにはフェリーしかありません。そしてこの使徒座管理区長として、神言会ガーナ管区長 Gabriel Kumordji神父を任命されました。1956年生まれのKumordji神父は私と同じ時期に、一緒に同じ地区で働いていた仲間で、私の数少ない親友の一人であります。(写真は、昨年12月にガーナを訪問した際に、一緒に並んだ写真。私の左がKumordji神父)なお教皇様はKumordji使徒座管理区長に司教の名義をまだ与えていませんが、慣例からすると、管理区が軌道に乗った数年後には、司教に任ぜられることになると思います。なお新使徒座管理区の管轄地域の人口は136,000人、カトリック信者は12,000人、現在働いている司祭はすべて神言会員で7人ということです。信徒は新潟教区より多いとはいえ、諸状況を考えれば、なかなか厳しいと思います。

Cornelio そして6月15日、教皇様はインドのKhandwa教区長のLeo Cornelio司教をBhopal教区長に任命され、大司教とされました。Cornrlio大司教はもともと神言会の総顧問をされていた方で、私がガーナにいたときに管区視察者として来訪され、さらに日本に帰ってからも管区視察者として再びお会いした方です。Cornelio大司教が司教となったときは、ちょうどインドで神言会のアジア管区長会議が開催されており、私も他の管区長たちと一緒に、夜行列車に乗って 司教叙階式に参列しました。そして私が新潟で司教に叙階されたときにも、神言会の司教を代表して、新潟まで来てくださいました。(写真はそのときに、私に按手してくださるCornelio大司教)新しく任命されたBhopal大司教区は人口が3,922,000人、カトリック信者が18,550人、働いている司祭が115人ということです。

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2007年6月15日 (金)

国際カリタスの進む道

Ga07sg 国際カリタスの第18回総会では、総裁、事務局長、会計の選挙や、予算の枠組みの審議などが行われましたが、もう一つ重要な議題としては、これからの国際カリタスの進む道を決定する、活動方針の枠組みが話し合われました。以前の総会では様々な分野別に分かれた詳細な「活動計画(Work Plan)」が議題としてあげられたこともありましたが、あまりにも細かい計画を総会で取り上げてしまうと、議論に収拾をつけることが難しくなります。そこで今回は、事前の様々なレベルでの意見聴取に基づいて作成された「活動方針の枠組み(Strategic Framework)」が提示され、これについての分科会を経て総会で枠組みを承認するという手順がとられました。事前の意見聴取では162のメンバー団体のうち半分以上となる88の団体が回答したということです。具体的な活動計画については、この枠組みに基づいて、新しい理事会(執行委員会)が決定していくことになります。

今回の枠組みは、国際カリタスの限られた資源を有効に活用するために、優先分野を次の四つに絞り込みました。

  • 緊急事態への対応(responding to emergencies)
  • 総合的人間開発(Integral human development)
  • 持続する平和の構築(Building sustainable peace)
  • 連盟の機構と手順と会計の改変(Adapting structures,processes and finances of the Confederation)

Ga07press それぞれの優先分野については、長期的なビジョンや達成すべき長期的目的などについても、かなり細かく話し合いが行われました。議論の過程では、例えば「忘れられた緊急事態を優先的に取り上げるべきだ」という意見や、「MDGs(ミレニアム開発目標)」をそれぞれの国で達成できるように、メンバー団体は自国での政策提言をしていくべきだ」という意見、また「急激に変化を続けている国際情勢に対応するように、国際カリタスの構造を常に変革するべきだし、活動資金を確保する方法を現在のような会費だけに頼るシステムではなく、幅広い資金調達の可能性を探るべきだ」などという意見も出されました。また「緊急災害や紛争に際しては、現場でのカリタスの活動がもっと明確に国際社会から認識されるように務めること」とか、「現場での活動に際しては被害者となりやすい女性と子どもの状況を特に注視すること」などという指摘が参加者からありました。

カリタスジャパンでも、今後、国際カリタスの活動方針に沿って、日本におけるカトリック教会の援助団体として、進むべき方向性を明確にしていきたいと思います。

<写真は、最初が、アジアの女性代表たちと歓談する新事務局長(右端)、次が、サンピエトロ広場での「Make Aid Work」のバナーを広げたアピールの取材に集まった現地マスコミ陣>

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シノドスホール

Ga07kaijo 国際カリタスの総会が開催されたのは、バチカンにあるシノドスホールでありました。シノドスホールは世界代表司教会議を開催するために造られた会議場で、数カ国語同時通訳対応の設備が整えられています。300名から400名近くを収容できるでしょうか。各席には折りたたみのテーブルと同時通訳を聴くための設備、さらに発言用のマイクが取り付けられています。議長席を見下ろす形で半円形のすり鉢型となっています。議論が白熱したときのためなのかもしれません。会議場入り口横には小聖堂も設けられ、今回の会期中も常に御聖体が顕示してありました。(写真は上が会議場内を議長席側から見たところ。ちょうど電子投票システムが不調で、この日の選挙だけは紙に書いての投票となったので、開票作業が進んでいる。モニターにはその姿が映し出されている。なお下は椅子の設備)

Ga07isu シノドスホールは独立して建っているのではなく、サンピエトロ大聖堂に向かって左側、回廊の裏手あたりにあるバチカン内部に入る門をぬけると左手に建っている謁見用のパウロ六世ホールの入り口ロビーの二階部分を利用して作られています。そこのさらに奥にあるのが、コンクラーベ(教皇選挙)の時に枢機卿たちがこもるサンマルタ宿舎です。ですからここに至るためには、門の所に立っているスイス衛兵にゆるしをもらわねばなりません。勝手には入り込めない領域です。会議参加中はIDカードが手放せなくなります。ここでは大会議場の他にも、小会議室もいくつか設けられているほか、会議場から中継が出来るようにバチカンラジオの中継設備も備わっています。私がここで会議に出席するのは8年前の総会に次いで二回目ですが、全ての設備が新しくなっていました。中でも会議場の天井にはカメラがいくつも設置され、発言者が正面にいくつも据え付けられているモニターに映し出されるようになっていました。

Ga07tohyoki_1 そしてもっとも注目すべきは電子投票装置でしょうか。必要に応じて設定を変更できるようになっており、賛成反対や、番号別の投票やら、様々な投票が可能になっています。今回は国別の投票であったため、まず投票準備の宣言と共に登録のボタン(上の矢印)を押すと、スクリーンに自分の国の名前が表示され、その後、投票の宣言と共に、時間内に「賛成」「反対」などのスイッチを押すことになります。投票結果は正面のスクリーンに瞬時に表示され、設定によってはどの席の誰が何を投票したかまで、表示が可能です。

Ga07tohyokekka すばらしいと思ったものの、同時に、以前のような紙に書いて一人ずつ前に出ては投票するやり方と比べて、心理的に焦らされているような傾向があるのと、司会次第では熟考することなく手軽に投票してしまう恐れもあります。今回も、こういった投票になれていないためかなりの混乱が当初はありましたし、投票の結果を見る限りは、回りの雰囲気で思わず「賛成」を押した人も多いのではないかと感じる局面もありました。日本の参議院でも電子投票がありますが、確かに時間の節約にはなるものの、心理的に投票による採決が重みのないものになってしまったような気がします。

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2007年6月14日 (木)

新潟教区司祭の集い

Shisaitaikai07 毎年恒例の「新潟教区司祭の集い」が、6月11日午後から13日お昼まで、新潟県胎内市のロイヤル胎内パークホテルを会場に開催されました。この集いは教区司祭だけではなく、新潟教区で働く修道会司祭も含めた全ての司祭の集いで、奇数年は新潟県で、偶数年は秋田と山形県の持ち回りで開催されることになっています。昨年は秋田県側の鳥海山で行いましたので、来年は山形県内での開催です。今年の集いには、ほぼ全員にあたる29名が参加してくださいました。

今回の集いでは、6月1日に教皇様によって列福が宣言されたペトロ岐部と187殉教者について理解を深めるため、列福調査特別委員会の委員でもある長崎教区の古巣神父様においで頂き、二日間、神父様の講話と質疑応答を行いました。古巣神父様がとてもお話上手であることは、以前に黙想会の録音を聴いて知っていましたが、直接聞くのは初めてで、期待に違わず、いつまでも終わらないお話もあっという間と感じるほどの興味深い話でした。語り口もさることながら、話の構成や、的確な指摘、随所にちりばめられた聖書の引用と、感動的な話。そして時には軽い笑いも。完璧です。初めて伺う歴史的な話もありました。殉教は、単に英雄的な行いがあったということを称えるのではなく、彼らがどのように信仰を生きたのかを学び、それでは今の私たちがどのように信仰に生きるのかを考えなければ、顕彰の意味はないと感じました。つまり「死」を中心に殉教を考えるのではなく、「生」を中心にして殉教を考える必要性を感じました。「死」自体は結果であって、それが殉教者の目的ではない。「死」が目的であるならば、テロリストの自爆と変わらないことになる。教えに殉じること自体が問題ではなく、今の命から永遠の命へ至るまで、一本の柱がしっかりと通っていて、それに従いぶれることなく生き抜くことの方が目的であり、迫害による「死」はその結果でしかない。いかに信仰を生き抜くかが問題である。その通りだと思いました。これから新潟教区でも殉教者を顕彰していくのですが、その中心は、英雄的死を称えることではなくて、今を生きる私たちがどのように生きるべきなのかを学ぶことにあると考えます。

古巣神父様のお話がすばらしかったので、さっそく山形などの地区でも、講演を依頼しておられるようです。また今回の司祭の集いでは、米沢出身で、現在信徒宣教者会からカンボジアに派遣されている高橋真也君と漆原事務局長にもおいで頂き、高橋君の活動と信徒宣教者会の活動について、興味深い話を聞かせていただきました。さらに多くの若者が、信徒宣教者として挑戦してくれることを願います。そして日本のカトリック教会の貴重な宝ともいうべき信徒宣教者会(JLMM)を支援していきたいとも思います。

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国際カリタス総会が伝えたいこと

先日閉幕した国際カリタスの総会からの記事の続きです。

Ga07kaijoshoumen まず今回の総会中に選出された新しい総裁のお名前がはっきりしていなかったので、ここに記しておきます。ホンジュラスのテグシガルパ大司教のオスカル・アンドレス・ロドリゲス・マラディアガ枢機卿(65)で、サレジオ会会員です。2003年には政府関係の仕事で、来日されたこともあると、今回ローマでお会いした駐バチカンの上野景文大使から伺いました。上野大使はマラディアガ枢機卿とその際に面談もされているということで、枢機卿の人間性のすばらしさと政治力を高く評価されておりました(上野大使という方も、十分にユニークな外交官ではありましたが、それはいずれまた)。なおラテンアメリカ・カリブ司教協議会総会の閉会直後であったため、枢機卿はカリタス総会に参加はされませんでしたが、ビデオでメッセージを寄せてくださいました。

ところで今回の国際カリタスが世界に発信していることはなんでしょうか。それが端的に表現されているのが、最終日に採択されたメッセージです。原文は英語ですが、仮訳を作成しましたので掲載しておきます。(あくまでも仮の私訳で、正式な訳はカリタスジャパンから公表されると思います)

最終メッセージ 「協力すれば一人の努力は162倍になる」
162所属団体からの参加者によるカリタスの第18回総会は、バチカンにおいて、「神の愛のあかし人、平和の構築者」であり続けることを誓いながら閉幕した。参加者は、3秒に一人の子どもが貧困のために命を失うこの世界を変革するという、今すぐ取り組まなければならない使命を果たすという「具体的な行動」に、イエス・キリストにおける「生きた信仰」を注ぎ込む新たな力を得て帰途についた。

教皇ベネディクト16世は、草の根におけるカリタスの奉仕に感謝して、参加者に次のように語った。「あなた方の連盟は単に教会の代表として活動しているだけではなく、まさしく教会の一部分であり、教会活動の様々なレベルで行われる恵みのやりとりに心から参加しているのです。」

「グローバリズムや人権侵害、不公平な社会構造といった、現代において世界が直面している最大の挑戦に対しては、人間のもっとも痛切な必要、すなわち、人間の尊厳や幸福をもたらし、そして究極的には永遠の救いをもたらすということをしっかりと捉えていない限りは、対峙することも乗り越えることも出来ません。」 

「ポプロールム・プログレッシオ」の発布40周年、回勅「神は愛」、そして今総会におけるレナート・マルティノ枢機卿の演説などに促されて、参加者は地球規模の連帯を目指して、単に小道を切り開くのではなく、スーパーハイウェーを造ることで一致した。参加者は、出来る限り早くその目的を達成することを望んでいる。

カリタスは人道的援助や総合的人間開発、持続的平和の構築を、このプロジェクトの中心に据える。それはバラバラになった数々の働きなのではなく、一つのプログラムのそれぞれの部分としての働きであって、それが貧しい人たちが自らの人生を変革することを助けることになる。参加者は、このプログラムの実践において、一つのまとまった組織として行動することが、単独のカリタス団体の影響力を162倍にすることが可能だということを理解して帰途についた。一致と補完性は、対立する主張ではない。

私たちのこの野心的な計画を成し遂げるために、加盟団体は、調整と政策提言、コミュニケーションのための手段が整えられるように、ふさわしい資金提供をすることに同意した。カリタスの加盟団体は、継続する悲劇である貧困のスキャンダルに立ち向かう力として、その可能性を最大に引き出すために、ネットワークをさらに専門職にふさわしいものとし続けることを希望する。 

今、世界では30を超える戦争が引き起こされている。今、ダルフール、イラク、コロンビア、ウガンダ北部、スリランカ、コンゴ民主共和国、そしてそのほか紛争が存在する多くの地域で罪のない人たちが苦しんでいる。今、30億を超える人々が一日二ドル以下で生活している。今、4千万を超える人々が、HIV/AIDSと共に生きている。将来のために、2004年ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイ女史は、カリタス加盟団体に対して、貧しい共同体に対する気候変動による危機に対応するようにと求めた。マータイ女史によれば、カリタスは、草の根レベルにおいて貧しい人たちに力を与える事によって変革をもたらし、同時に世界的なレベルでCO2排出量削減を呼びかけるというユニークな位置にいるという。

総会は二つの世界的な出来事と時期を同じくした。聖地においては、イスラエルとアラブの6日戦争(第三次中東戦争)を人々はふり返った。カリタスは平和は可能であると宣言し、あらためて、占領の終結とあらゆる類の暴力の停止を求める。

ドイツのハイリゲンダムでは、過去の誓いにもかかわらず途上国への援助が減らされているという背景の中、G8のリーダーたちが会合を持った。カリタスは、あらためて、より良い援助を増加させることを求める。そのためにカリタスは、「Make Aide Work(援助を立て直せ)」という巨大なバナーをサンピエトロ広場で掲げた。この二つのサミットについて、カリタスの参加者は、そのうちの一つは約束を守ることを知りながら帰途についた。この地で私たちが決議した事柄は、貧しい人たちに持続した影響を持つだろう。もう一つのサミットは、十分な資金提供をもってその約束を守ることに失敗した。

カリタスはこれらの問題から目をそらすことはない。我々は発言を続けるだろう。200の国と地域で働き、6大陸から集まり、100を超える異なる言葉を話しているが、我々はバベルの塔ではない。「永遠の光は神ご自身である。太陽とそのほかの星を司る愛でもあるその光の前で(ダンテ「神曲」)」我々は声を一つにして、愛の武装をして、貧困のスキャンダルを終わらせることが出来ると宣言する。 (以上)

左下の写真は、最終メッセージにあるように、会期中にサンピエトロ広場で「Make Aid Work」のバナーを掲げる総会参加者。右下は教皇宮殿において総会参加者に語りかける教皇ベネディクト16世。なお総会参加者は今回のG8サミット主催者のメルケル首相宛にメッセージを送付しました。

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2007年6月11日 (月)

バチカンの最新設備

Ga07tohyoki 昨日の午前中に、成田へ到着し、そのまま新潟へ戻りました。土曜日は、ミラノでアリタリアの成田行きに時間通りに乗り込んで、搭乗口の閉じられてさあ出発やと思いきや、何故か動かない。しばらくして機長のアナウンスがあり、「オーストリア上空の混雑のため、1時間半後にしか離陸できないので、そのまま待つように」とのこと。そういえばその数時間前にはローマの空港で搭乗機が沖止めでバスでの移動となったために、駐機中のエアフォースワンを見ることも出来たものの、このあたりにはサミットを終えた各国首脳の特別機がうようよしていたのかもしれません。とにかく予定より2時間近く遅れてやっと離陸。待っている間は、周囲を「地中海10日間クルーズ」に参加した年輩のご夫婦グループに囲まれていたため、そこかしこからクルーズのお話が聞こえてきて、それはそれで楽しくはありました。それにしても、今の時代、これから先も、こういった引退世代の方々の海外旅行は増加するのでしょうが、やはりエコノミーで12時間近くじっとしているのは体に堪えるはず。行きはそれでも気が張っているのでよいものの、帰国便で具合が悪くなることもあるのではと思ってしまいます。以前にもたびたび帰国便で遭遇しましたが、案の定、この日も、モスクワを過ぎたあたりで、「お客様にお医者様はおられませんか」という、日本語だけのアナウンスが。すぐ後ろで男性が一人倒れておりました。そしてこれまた不思議なことに、これまで遭遇したそういう飛行機には、なぜか必ずやお医者さんが乗っている。いずれにしろ、年輩の方をターゲットにしたツアーが増えるのなら、なにかもっと楽に飛べる方法を、旅行会社と航空会社は一緒に企画したらよいのではと思ってしまいます。コストがかかってしまうのでだめでしょうか。

くたくたになって成田へ着いたら、今度は雷雨のため荷物を飛行機から降ろすことが出来ないとのアナウンス。こればかりは仕方がありません。滑走路にタッチダウンしてから成田空港を電車で離れるまで、2時間もかかってしまいました。

本日から3日間は、新潟県内某所で、新潟教区で働く全司祭を対象にした「司祭の集い」が開催されます。修道会司祭も含めて、ほぼ全員の参加が見込まれます。今回は長崎教区の古巣神父様を講師にお招きして、数日前に列福が宣言された188福者殉教者についての勉強会です。古巣神父様は列福調査委員会のメンバーでもあり、昨日は新潟教会でも、信徒と一般向けに講演していただきました。また今回の司祭の集いでは、信徒宣教者会からカンボジアに派遣されている米沢教会出身の高橋君にも体験談を聞かせてもらうことにしています。

もう出かけなくてはならないので、写真のバチカンの最新設備のお話は水曜に戻ってからとします。

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2007年6月 9日 (土)

バチカン厳戒態勢

国際カリタスの第18回総会は本日が最終日であります。私は来週の月曜午後から3日間、新潟教区で働くすべての司祭を対象とした「教区司祭の集いが」新潟県内で開催されるため、それに間に合うよう、あとの二人に最終日は任せて、現在日本へ向けて移動中です。

Romega6 今朝はブッシュ大統領が教皇様と会談すると言うことで、普段は駐車車両であふれかえっているサンピエトロ前の道路もきれいさっぱり。いざというときのためにレッカー車まで物陰に控えていました。昨晩は遅くに作業車も繰り出して、いつもはどちらかというと汚れている感じのサンピエトロ前の道路を、ぴかぴかに磨いていました。ついでに舗道上のゴミ箱も、数日前からしっかりと蓋がされて、厳戒態勢であります。今朝も早くから、バチカン周辺にはありとあらゆる警察が繰り出して、さながら制服のショーです。知っている限りではイタリアには警察が三種類あるようですし、もちろんバチカン自身の警備もありますし、ついでにどこもさすがにイタリアで「格好の良い」制服ですから、それがうようよしているのは、興味深い光景です。国際カリタスの総会でも、通常はサンピエトロ前の通りにあるカルメル会の担当教会でミサを行うのですが、今日はちょうどそのころ(昼前)が会談のようで、立ち入り禁止とあいなり、結局閉会のミサは、シノドスホールのあるパウロ六世謁見ホールで行われることになったようです。ブッシュ大統領に教皇様が何を語るのかが、注目されます。昨日、国際カリタスとの謁見では、さながら回勅「神は愛」の解説を聞かされているようでした。(教皇様は英語でメッセージを読まれましたので理解できました)

今日は最終メッセージも採択されるようですが、それはまたあとで。なお昨日の会議では、これから4年間の予算の枠組みが承認されたのですが、その中で今後毎年3パーセントずつ会費が値上げされることがきまりました。これがまた、前回は大騒ぎになって却下された議案でしたが、今回は何ともすんなりと承認となりました。いろいろな議案がすんなり承認されたかげには、今回初めて使われたシノドスホールの最新配備エレクトリック投票システムがあると思うのですが、これについては帰国してから。

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2007年6月 8日 (金)

国際カリタスに新事務局長

Romega4 第18回の国際カリタス総会も、残すところあと二日になりました。本日のローマは、ブッシュ大統領がサミットのあとに訪れると言うことで、大騒ぎであります。特に今回は、国際カリタスの本部もあるバチカンのローマ市内の飛び地サンカリスト宮殿近くにある聖エディジオ共同体をブッシュ大統領が訪れると言うことで、大変な関心を呼んでいます。加えてこの地域は、トラステベレの路地が入り組んだところで、すてきなレストランが多くある地域としても有名ですが、警備はさぞかし大変なことだろうと思います。バチカン近くの道路でも、駐車が禁止されたり、ゴミ箱が封鎖されたり、物々しい雰囲気であります。

さて昨日午後に開催された新しい理事会の席で、これまで8年間にわたり国際カリタスの事務局長を務めたスコットランド人のダンカン・マクラーレン氏に代わる新しい事務局長が選出されました。国際カリタスの規約で、事務局長は理事会で選出して総会が承認することになっていますので、本日の午前中(金曜日)、総会で圧倒的多数を持って新しい事務局長が承認されました。次の4年間、国際カリタスにおいて中心的な役割を果たす事務局長には、イングランド・ウェールズのカリタスであるCAFODの国際デスクを務めていた、Lesley Anne Knightさんが就任することになりました(写真はLesley 新事務局長)。これで国際カリタスの新体制が固まり、総裁にはホンジュラスのロドリゲス枢機卿、会計にはクロアチアのGrigor Vidmar氏、そして事務局長にLesley Anne Knightさんというチームになりました。

本日はお昼から、全員で教皇様との謁見が予定されています。なお私は、明日、土曜の朝の便で日本へ向かう予定です

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2007年6月 6日 (水)

国際カリタス総会にて

Romega2 国際カリタスの総会議は4年に一度開催されます。第18回目にあたる今回の総会は、「愛の証人、平和を作る者(仮訳)」をテーマに世界各国の162カリタスから、おおよそ400名の参加者を得て、バチカンのシノドスホールを会場に開催されています。6月3日から9日までの会期ですが、6月2日にはアジアのカリタス総会が開催され、次期のカリタスアジア総裁選挙も行われました。総裁候補はインドのアンブローズ司教(前のカリタスアジアのコーディネーター)、フィリピンのシスター・ロザーン(カリタスフィリピン責任者)の二人でした。当初は私の名前もノミネートされていましたが、さすがに今の日本での仕事を考えるとこれ以上は不可能と思い、辞退しました。アジアの17カリタスによる選挙の結果、インドのアンブローズ司教が次の4年間のカリタスアジア総裁に選出されました。なお地域カリタス総裁は同時に、国際カリタスの副総裁をかねることになっています。またカリタスアジア地域委員会のメンバーには東アジアからマカオ、東南アジアからカンボジア、南アジアからバングラデシュが選ばれています。なお日本からは私以外に、援助部会の秘書を務める成井神父、事務局の稲江職員の三名が参加しています。(写真は会場のシノドスホール入り口)

Romega3 今回の国際カリタス総会の冒頭には、教皇庁開発援助促進協議会(Cor Unum)のコルデス大司教の挨拶、ノーベル平和賞受賞者のマータイ女史と教皇庁正義と平和協議会議長のマルティーノ枢機卿による、非常に興味深い講演がありました。マータイさんといえば、「もったいない」ばかりが日本ではクローズアップされますが、カトリック信者としての彼女の深い信仰理解や教会への期待、そして環境保護のために戦う姿がよくわかる、すてきな講演でした。今回の総会においても、カリタスとして世界的規模での環境保護問題にどのように取り組むかが真剣に話し合われています。また環境問題との関連もあり、世界各地で今までにない規模で災害が発生している状況は、今後当分は続くだろうと予測されることから、カリタスとしても緊急災害への対応をこれまで以上に強化することが求められています。詳しい内容などは、帰国してからにします。(写真はアジアの代表団の一部)

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ローマにおります

Romega1 数日の間、更新を怠りました。別に病気ではありません。ただいまローマにおります。そしてローマでのインターネット環境がそれほど良好ではないため、なかなか更新できずにおります。ただいま、ローマで、国際カリタスの総会に参加しております。4年に一度の世界大会で、160以上の代表が参加しております。6月2日から9日までですので、10日の朝には日本に戻ります。本日は国際カリタスの総裁と会計の選挙がありました。総裁にはホンジュラスのロドリゲス枢機卿が選ばれました。また会計はクロアチアのヴィッドマー氏が選出されました。総裁の候補はフランス人の信徒(現在の総裁)と枢機卿の二人がノミネートされておりましたが、最終的に枢機卿が選ばれたのは、非常に政治的意味合いがあります。詳しくは書けません。

ところで6月1日に188殉教者の列福が正式に宣言されました。感謝です。これから長崎での列福式に向けて、本格的に準備が始まります。新潟教区でも、来年5月に米沢で式典を行います。新潟教区の準備もこれから本格的に進めることになります。特に、資金的な問題がありますので、どうか教区の献金にご協力をお願いします。金曜日には教皇様との謁見が予定されておりますので、チャンスがあれば、列福について教皇様に感謝をしようと思います。

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