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2008年7月22日 (火)

不在にします

Uchiwa 本日、7月22日から8月5日まで、新潟を不在にいたします。その期間、日記の更新もありません。またコンピュータを持参しないので、メールにお答えすることもできません。あしからずご了承下さい。

23日から30日までは休みのつもりで某所におりますが、これは戻ってからご報告申し上げます。31日から8月4日までは、所用のためローマにおります。5日の朝に帰国する予定です。

それでは次回の日記の更新は、8月5日以降です。(写真は、頂戴した涼しげな団扇の絵手紙。「毎日が巡礼 ここが聖地」と記されております。その心意気を私も戴きながら暑い夏を乗り切りたいものです)

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2008年7月21日 (月)

繋がったロウソク

Candle0803 全国のカトリック青年たちの自主的発案で長崎から始まり、列福式の長崎に終わる予定のロウソクリレーは、昨日、新潟でもつながりリレーされました。19日の土曜日、夕方に横浜教区の青年の手で遠路はるばる山形県の鶴岡まで運ばれたロウソクは、翌20日の午後2時から、鶴岡教会で行われたミサの冒頭に、新潟教区の青年の手に渡され、これで新潟教区も(人数的には少なかったものの)全国の青年たちの輪に繋がることができました。

ロウソクのリレーは、殉教者たちの人生を通じた「証し」に倣うため、そしてより良く列福式への準備を進めるために企画されたと聞いています。新潟教区でも来年の5月までを殉教者特別年と位置づけていますので、ちょうど良い企画でした。

昨日のミサには、鶴岡教会の方々や酒田教会、新庄教会の方々も参加して下さり、ちょうどWYDの閉幕の人も重なっていましたから、全世界の青年たちと心を合わせて、共に殉教者の証しについて想いを深め、自らの信仰を刷新する決意を新たにしました。また今回の集まりには、横浜教区、東京教区、仙台教区からも駆けつけて下さり、人数は少ないものの、それなりに深い交わりのある楽しい二日間となりました。

19日の土曜日は天気にも恵まれ、聖堂前の中庭で、信者さん方と楽しくバーベキュー。その後青年たちは信徒会館に泊めて頂き、遅くまで話し込んでいたようです。そして20日は、まず午前中に現在ハバロフスクで活躍されている聖母訪問会のシスター諏訪と以前同じくハバロフスクにおられた同会のシスター松坂のお二人から、主にロシアの教会事情についてお話を聞いたり、質疑応答の時間を頂きました。そして昼には教会の方々が用意して下さったカレーを一緒に頂き、最後にミサでの締めくくりとなりました。遠路はるばる参加して下さった方々ありがとうございました。青年たちの企画というのは、何となくふわふわして何気なく形が決まってくるので、これまでのような組織だって綿密に計画を練る体制になれている世代にとっては、何とも頼り甲斐がありません。しかし福音自体が、最初はそうやって何気なく伝わっていったのであり、別に特別の組織体制がなかったことを考えるのであれば、そういう何気ない、私にとっては自然発生的な活動も、現代の福音宣教には重要なのかなと思っています。今後も、特に若い世代の人たちの自発的な行動を応援していきたいと思います。

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2008年7月18日 (金)

9月の教区大会

今年は教区大会が行われる年です。各県持ち回りとしていますので、今回は秋田で開催されます。ご存じのように日程は9月14日と15日。会場は秋田市内の聖霊短期大学です。ポスターはこちらをクリック。14日の14時に始まり、15日のお昼で解散です。今回は教区の殉教者特別年にあわせて殉教をテーマに、溝部司教様からたっぷりと講話を頂きます。どうぞ参加をご予定下さい。

すでにお伝えしているとおり、教皇様は今年の聖ペトロ・パウロの祝日からの一年間を「パウロ年」と定めておられます。新潟教区においては、殉教者特別年の枠組みの中で、偉大なる宣教の先駆者である使徒の働きに学び、使徒の精神と殉教者の精神に倣いながら、自らの生き方を模索していく一年にしたいと考えています。教皇様はパウロ年にあたり「特別免償」についての教令を出されています。ローマの聖パウロ教会への巡礼が一番最初に掲げられていますが、同時に各地域教会でも同様に全免償が受けられる条件が定められています。その部分だけを引用します。教令の全文は中央協のホームページにありますのでご参照下さい。

「2.さまざまな地域教会のキリスト信者は、通常の条件(ゆるしの秘跡、聖体拝領、教皇の意向のための祈り)を果たし、あらゆる罪への傾きから離れるならば、全免償を与えられる。ただしそのために、異邦人の使徒をたたえてささげられるミサ、ないし、公に行われる行事に敬虔な心で参加しなければならない。この参加は、パウロ年が開始する日また終了する日には、あらゆる聖堂において行う。地域裁治権者が定めるそれ以外の日には、聖パウロの名をもつ聖堂、および、信者の便宜のために、地域裁治権者が指定する他の場所において行う」

そのように定められていますので、新潟教区では次のようにしたいと思います。上に掲げられた通常の条件を満たした上で、秋田における教区大会に二回捧げられるミサのいずれかに参加すること、 または来年5月16日に米沢で行われる殉教者の列福感謝のミサに参加すること、または来年6月の聖ペトロ・パウロの祝日に近い主日ミサ(6月28日)に参加することを、その条件と定めたいと現時点では考えています。これについては正式に文書をもって各小教区に後ほど通知します。

なお免償を「罪のゆるし」と間違えてしまう向きもあるようですが、中央協のホームページにも掲載されているとおり、「免償は、罪のために負わされる有限の罰からの解放が部分的であるか全体的であるかによって、部分免償および全免償とに分けられます(教会法992~993条、『カトリック教会のカテキズム』1471、『カトリック教会の教え』220~221頁参照)」ということです。

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2008年7月15日 (火)

WYD関連で

オーストラリアで始まるワールドユースデー(WYD)の現地の様子が、鹿児島教区の郡山司教のブログで報告されています。さすが郡山司教、どこかでインターネットの接続を見つけてブログをアップしてきました。WYDという行事は、あれだけの人数の若者を世界中から集めるのですから、これまでの体験を聞くと、ありとあらゆるハプニングの連続のようです。もっとも若い人たちにとってはこれが楽しくてたまらないでしょうし、また新しい出会いをもたらすのも、やはりそういうハプニングです。引率する司教もやはりそういった状況に強い人物が最適だと思うのですが、そういう意味では郡山司教をおいて他にはいないとも、本気で思います。現地からの報告を楽しみにしています。すでにハプニングの連続のようです。

ところで若者つながりで、11月の列福式に向けて全国を巡回している若者たちのローソクリレーが、今週末に新潟教区にもやってきます。19日の土曜日の午後4時から翌20日日曜の午後3時まで、山形県の鶴岡教会が会場です。ローソクリレーのミサ自体は、私の司式で20日の午後2時からです。土曜にはバーベキューも予定されているようです。詳しくはこちらをクリック。鶴岡は交通的には秋田からも新潟からもちょうど同じくらいの時間で到達できる「中間地点」でもあります。今からでも遅くはありません。どうぞ、ふるって御参加下さい。(他教区の方もどうぞ。新潟からですとJR羽越線の特急「いなほ」で1時間半くらいですが、本数はそれほど多くないので、事前にご確認を。鶴岡教会は鶴岡市役所のすぐ裏です)

昨日は月例の「月曜会」の皆様とミサを捧げ、その後一緒にロザリオの祈りをいたしました。また明日は朝からカリタスの会議、その後夕方にはカトリック新聞の諮問委員会のため、明後日の午前中まで東京です。

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2008年7月13日 (日)

柏崎教会で感謝の集い

Kashiwazaki0801_2  昨年7月16日に中越沖地震が発生してからまもなく一年。被害の大きかった柏崎。その柏崎教会と教会の白百合幼稚園を会場に、今日の日曜日、「感謝の集い」が開催されました。「感謝」とは、「多くの方々の支援や協力によって、こうして、この夏を迎えることができ」たことへの「感謝」です(配布された「お知らせ」に記されていました)。

感謝の集いはまず9時からのミサで始まりました。いつもいっぱいになる柏崎の聖堂ですが、今日は幼稚園関係者も多く参加され、予備のイスを出すほどの盛況でした。洗礼を受けていない方も多くおられたようです。ミサの中では、支援を下さった多くの方々に感謝すると共に、この地震によって命を落とされた方のために祈り、様々な形で被害を受けられた方の復興のためにも共に祈りました。

ミサ後会場を幼稚園の園庭に移し、信徒会長の挨拶の後、幼稚園の年長組の子どもたちによる踊りが披露されました。とても日差しの強い日でしたが、子どもたちは元気に踊って唄ってくれました。そしてその後に、新潟総踊りのメンバーが踊ってくれました。新潟総踊りは毎年9月中頃に新潟市内で行われる踊りの祭りで、全国から様々なチームが参加して、様々で色鮮やかで躍動的な踊りを見せてくれます。今回踊って下さったメンバーの中に信徒の方がいることから、駆けつけてくれたとのことでした。いつもは万代シティの会場で遠くから眺めていただけでしたが、初めて目の前で踊っている姿を見ました。すさまじいまでの迫力のあるかけ声は何かに訴えるかのような、まるで「祈り」の叫びのようでした。単にダンスを楽しんでいると言うよりも、宗教的な迫力を感じさせるものでもありました。もしかしたら、こういった踊りが現代の日本における宗教心の表現方法なのかもしれません。暑い中、本当にありがとうございました。

今日の感謝の集いは、最後に幼稚園で用意して下さったカレーライスで終わりとなりました。

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2008年7月12日 (土)

教皇様はオーストラリアへ

来週の火曜日、15日から20日の日曜日まで、オーストラリアのシドニーを会場にワールド・ユース・デー(WYD)が開催されます。テーマは「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、わたしの証人となる(使徒言行録1・8)」とされています。教皇様はこの大会に参加されるため、本日の土曜日午前10時(イタリア時間)にローマを出発され、オーストラリアに向かわれます。聖座から発表されているスケジュールによれば、明日の日曜にシドニーに到着後、木曜日まで特別な予定を入れておらず、教皇様の健康に配慮して3日間はゆっくりとする時間がとられているようです。

教皇様は7月6日のお告げの祈りで、WYDのテーマに触れて、それがイエスの約束であり、教会の中で現実的な約束であるとして、次のように述べました。

「祈りのうちに待ち望み、与えられた聖霊は、イエスとその福音をあかしする力を信者に与えます。神の霊は、教会の帆に風を送り、いつも、世々にわたって教会が「沖に漕ぎ出す」よう促します。それはすべての人に神の愛の知らせをもたらすためです。・・・地上のあらゆるところのカトリック信者が、わたしと青年とともに、二階の広間に集まったようにシドニーに集まり、力強く聖霊が降るのを祈り求めてくださることを、わたしは確信しています」

教皇様のこの招きに応えて、WYDに参加する青年たちと共に、私たちも「力強く聖霊が降るのを祈り求め」ましょう。どうぞ明日の主日ミサ、または来週の主日ミサの中で教皇様の意向を心に留め、全世界の青年たちのために聖霊の導きを祈って下さい。そして私たち自身にも、福音の豊かさを多くの人々に伝えるために「沖に漕ぎ出す」勇気が与えられるように、祈りたいと思います。信仰は、私の中にイエスを取り込もうとするのではなく、私がイエスの中に完全に取り込まれようとするところに見出されます。自分の思いや願いや視点から見つめていたのでは、イエスの姿はいくら探しても見出し得ません。私という存在があって、イエスの教えのエッセンスを私の心に頂戴して、「良く」生きようなどという生やさしいところにキリスト者の生き方はありません。私という存在は、イエスというさらに大きな存在の中に取り込まれて、その中で生かされるのがキリスト者の生き方です。イエスの視点を持って見つめるとは、そういうことなのです。

日本からも郡山司教を団長にして巡礼団が出かけています。新潟教区からは、把握している限りでは、山形教会のスリ・ワルヨ神父が参加している以外では、信徒からの参加は残念ながらありません。ちょうど時期も学生にとっては都合の良くない夏休み前と言うこともあったでしょう。参加した人たちからの報告を待ちたいと思います。

明日は、柏崎教会で主日ミサです。昨年の中越沖地震からほぼ一年が経ったと言うことで、被害を受けられた方々と心を合わせ、ミサを捧げます。

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2008年7月10日 (木)

胎内での会議

Tainai0801 東京教会管区会議が、昨日3時から今日の昼にかけて、新潟県胎内市で開催されました。東京、横浜、さいたま、仙台、札幌、新潟の各教区の司教7名と、各教区の事務局長など16名の参加でした。毎年各教区持ち回りで、今年は新潟教区が皆さんを迎える番でしたので、これまでも司祭の集いなどでしばしば利用させて頂いている胎内市のホテルを会場に会議を行いました。恒例で開催教区の司教が議事を進めるので、二日間の会議の司会と今日の閉会ミサの司式を担当させて頂きました。

教会管区として何かを議決するということはなく、どちらかと言えば情報交換が主となる会議です。今回の会議では、主に次のような情報交換や意見交換がありました。

各教区の現状や福音宣教への取り組みを報告し、それぞれが抱える課題の共通理解を持つことができました。また司祭・信徒・修道者といった人的リゾースの豊富な教区が、宣教や司牧、そして典礼などで積極的に取り組んでいる活動からいくつもの示唆を受ける事ができました。加えて全国的規模で展開している若者の活動(特にネットワーキングミーティングなど)についての情報を共有したり、各教区のそれぞれの状況は異なるものの滞日外国人の方々への司牧について情報を交換することもできました。司会をしていて、当初は二日間も必要なのだろうか、あっという間に終わってしまわないかと心配だったのですが、始まってみると予定時間をいっぱいに使ってもまだ課題が出されるなど、もう少しゆっくりと話していたいと感じさせる二日間でした。(写真は会議場の様子)

胎内で会議をするときにはこれまた恒例なのですが、昼前にミサを終えて、ホテル前のおそば屋さんでみんなでおそばを頂き、解散となりました。東京教会管区の皆様、遠路はるばる新潟へおいで頂き、ありがとうございました。

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2008年7月 9日 (水)

東京教会管区会議開催

毎年恒例の東京教会管区会議が本日と明日、新潟県内で開催されます。教会管区とはメトロポリタン大司教区とそのもとにおかれたいくつかの司教区によって成り立っていますが、東京教会管区は東京大司教区の下に横浜、さいたま、新潟、仙台、札幌の各教区が含まれています。毎年持ち回りで各教区を巡回して開催されていますが、今年は新潟教区が迎える当番になっています。それぞれの教区司教と、総代理や事務局長などが参加しますが、今回は総勢17名になる予定です。それぞれの教区での課題や管区として取り組むべきこと、そして日本の教会の課題など、様々なことが明日の昼まで話し合われる予定です。詳しくはまた明日司教館に戻ってから。

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2008年7月 7日 (月)

旅の終わりに

Summit0801 先週水曜日に東京へ出かけて以来、仙台、札幌と回って、今日のお昼過ぎにやっと新潟へ戻りました。ちょうど札幌ではサミットに参加するための各国要人の飛行機が到着しているところで、そのためなのかもしれません。新千歳への到着便が軒並みの遅れ。おかげで新千歳出発便も遅れが続出で、新潟へも予定より30分ほど遅れての到着でした。

今回のG8サミットに際して、参加8カ国のカトリック司教協議会は会長の連名で、各国首脳に向けてメッセージを送ったことは昨日触れました。教皇様も昨日のカステルガンドルフォにおける「お告げの祈り(アンジェルス)」の際にこの各国司教協議会によるメッセージに触れられて、次のように述べられました。

「明日7月7日、G8構成国首脳が、他の世界の指導者とともに、年1回行われるサミットのために日本に集まります。この数日、多くの声明が発表されています。その中にはサミット参加国の司教協議会会長の声明もあります。これらの声明は、これまでのG8で行われた約束を果たし、人類の多くの部分をいまだに苦しめている極度の貧困、飢餓、病気、非識字の災いをなくすために必要なあらゆる手段を勇気をもって用いることを求めています。わたしもこの連帯への切迫した呼びかけに加わります。それゆえわたしは、北海道洞爺湖サミット参加者に申し上げます。どうかきわめて無力で貧しい人々が必要とすることを皆様の議論の中心に置いてください。現代、これらの人々は、投機と財政の悪化、食糧・エネルギー価格の高騰の影響で、ますます脆弱となっています。どうか、寛大な心と先見の明をもって、人間の尊厳を守るための完全な発展をあらためて公正に進める決断を行ってくださるようお願いします(中央協議会ホームページから)」

Summit0802 なおカリタスジャパンも札幌コンベンションセンターで現在開催されている「市民サミット2008」に、ロビーでのパネル展示の形で参加しています。これは特にミレニアム開発目標(MDGs)について解説し、それに関連するカリタスジャパンが支援している各地のプログラムを紹介するものです。また写真には写っていませんが本日と明日は、この展示の場所にモニターを持ち込み、映像や画像の展示も行っています。「市民サミット」には様々な考え方を持った団体が参加しているわけですが、もちろんすべてが同じ考え方や方向性も持っているわけではなく、同じイベントを行っているからといって急にみんなが一致した考えになるなどと言うわけもなく、まさしく多様性に満ちあふれているのですが、その多様性が世界の豊かさに繋がっていくことを願っています。

札幌の街中には北海道以外から動員された警察官が大勢、警備に当たっていました。昨晩、札幌の街中で観光客に道を尋ねられた警察官がしきりに困惑しながら、「私も大阪から来たので、地理は分からないんですよ」と嘆いておられましたが、皆さん初めての地で大変でしょう。空港の警備も出発ロビーに愛知県警、出発待合室に神奈川県警と兵庫県警と、警察官も場所になれるだけで警備も大変だと思います。様々なマニアの方々は、各国政府専用の飛行機が見られたり、普段目にしない警察の特殊車両の数々を目にしたり、興奮の数日間かもしれません。

本日は午後1時15分から新潟教区顧問会、そして夕食から明日のお昼まで、教区司祭の月に一度の集まりです。

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2008年7月 6日 (日)

サミット開催にあたり、ともに祈る

Sapporo080701 明日から洞爺湖サミットの開催です。その前日にあたる今日の日曜日、札幌のカテドラルである北一条教会で午後2時半から、社会司教委員会の主催で、「洞爺湖G8サミット開催にあたり、共に祈る」集いが開催されました。この祈りの集いは、サミットに賛成とか反対とかいう立場を超えて、サミットから見えてくる世界の現状に思いを馳せ、福音的価値観に基づいた神の善が支配する世界の実現を望んで一緒に祈ることを目的に行われました。

ヨハネパウロ二世が回勅「真の開発とは」の結論部分でこう書いています。

 「単に経済的な開発では、人間が自由になるのは不可能であります。むしろいっそう深刻な奴隷状態に追い込まれて終わるだけでしょう。・・・真の解放の行方を遮っている、なんとしても乗り越える必要のある主な障害は、人間の罪と、この罪が増大し、拡散することによって生じる構造的罪であります。(46)」

 世界的な規模での不平等を生み出している「構造的罪」の根源に手をつけない限り、すなわち「貧困」を生み出している社会の構造を考え直さない限り、真の解決はもたらされないと言うことなのです。特に貧困の問題に関していえば、それを不平等の問題としてのみ捉えて単純に富の再配分を目指すだけでは、いつまで経っても貧困は解消されず、かえって援助疲れを生み出すだけだと思います。先日の横浜で行われた第四回アフリカ開発会議でジェフェリー・サックス教授(コロンビア大学)がいわれたように、「私たちはすでに計画を手にしています。何をするべきかも分かっています。後はそれを実行するだけなのです。道具は用意されています。後はそれを使うだけなのです」。つまり必要なのは、政治リーダーの決断です。

30度を超えた酷暑の札幌で、100名近い方の参加を得た今日の祈りの集いでは、聖書朗読や聖歌、共同祈願などに加えて、松浦司教の「平和」についての話と、私の「貧困」についての話も行われ、平和の挨拶で締めくくりました。

その後、地元である北海道の課題を学ぶために、アイヌ文様刺繍家である小川早苗さんにおいで頂き、「アイヌ民族の権利回復と文化伝承」についてのお話をうかがうことができました。淡々とした中にも、アイヌの歴史をふまえて非常にインパクトのあるお話でしたし、知らない歴史があることを理解させられました。

今回のサミットに対して日本の司教団としてのメッセージなどを出してはいませんが、サミット参加8カ国のカトリック司教協議会が、それぞれの会長の連名で、首脳に対して共通の声明を送っています。これは昨年のサミットの際にも同じように発表されましたが、今回は昨年参加しなかったイタリアの司教協議会や、イギリスからはスコットランドとイングランド・ウェールズの両司教協議会など、9司教協議会の連名で力強いメッセージになっています。このメッセージの日本語訳は、中央協議会のホームページに発表されています

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2008年7月 4日 (金)

カトリック学校長・教頭研修会

Sendai080701 第17回目となる全国のカトリック学校長・教頭の合同研修会が、日本カトリック小中高連盟の主催で、7月3日と4日、仙台ガーデンパレスを会場に開催されました。今回の研修会では昨年の研修会でも取り上げられた「カトリック学校のアイデンティティの危機について」をテーマとし、全国から集まったカトリック学校の校長や教頭先生が、意見を交換しました。今回の研修会は東北地区カトリック小中高連盟が実行委員にあたったため、仙台教区長の平賀司教と新潟の私も二日間ご一緒させて頂きました。また今回のテーマに沿った講演とパネルディスカッションの助言者として、森司教も二日間一緒でした。実は森司教の講演を直接聞くのは初めてでしたが、なかなか刺激的なことをズバリと仰る方であると感じました。(写真は森司教の講演のあとに行われた、パネルディスカッションの模様)

ミッション系の学校をその昔に創立した修道会の会員が少なくなり、校長や教頭などの学校のリーダーが信徒に代わっていったり、または信徒ではない一般の教員がリーダーとなる中で、一体どこに「カトリック校」という意味づけと位置づけを見いだすのかが緊急の課題です。これまでであれば、司祭がいる、シスターがいる、修道会が経営母体である、というあたりが、それぞれの教区長が学校に「カトリック」という名称を許可する保証になっていたのですが、それが無くなって中で、どういう形態の学校が「カトリック」という名称を冠するのにふさわしいのかは、確かに明確ではありません。もちろん経営する理事会の構成員にカトリック教会を理解するものが大多数を占めることなどという外的な指針はあるものの、やはり中身が一番の問題です。そのために、カトリック教育の精神を受け継ぐ後継者養成が一番の課題としてあげられていました。

新潟教区でも、新潟と秋田に短大と中高が合計で4校しかありませんが、それでもその存在は教区の宣教にとって欠くことのできない「宣教の力」です。その教育と存在を通じて、福音的価値観を社会に伝えていくことができる大切な存在です。教区としてもこれらの学校をできる限り応援していきたいと思います。

Sendai080702 研修会二日目の今日は、多摩大学教授の久恒啓一先生を講師にお招きして、「図で考える人は仕事(マネジメント)ができる」という講演を頂きました。目から鱗です。かなりたくさんの本を書いておられるようで、行政や司法や企業などから、セミナーの講師として引く手あまたの有名人です。初めてお話を聞きました。で、目から鱗です。文章でくどくど書き連ねても相手には伝わらない、伝えるためには「図解」することが大切だ。現状を大局的に把握するためには、図にするのが一番。方針を箇条書きにしても、それぞれの優先度や重要性や関連性がわからないから、図にするのが一番。確かにと頷く内容でした。教会でもやはり文書や箇条書きにしないと安心できないという側面がありますから。そして講演の最後には参加者一同に、「自分の仕事は何か実際に図にしてみなさい」という作業の指示。私も司教の仕事を「図」にしてみましたが、簡単ではありません。頭を使いました。これは自分でも利用しなくてはもったいないと思ったほど、久恒先生のお話は響きました。加えて、紹介された久恒先生のホームページの充実していること。ブログも毎日更新されているようで、今回も講演の一番初っ端に、演題から会場のデジカメ写真を撮っておられました。それにしても、仙台まで来た甲斐がありました。(写真は講演する久恒啓一先生)

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2008年7月 2日 (水)

旅にしあれば

いつもの事ながら、来週の月曜まで新潟には帰れません。今日は東京でカリタスの会議。明日からは仙台。そして札幌で締めて月曜の午前中の飛行機で新潟へ戻ることができそうです。月曜は午後から教区の顧問会ですから、戻らないわけにはいかんですね。なるべくクヨクヨせずに常に前向きに生きるように努力はしているのですが、しかし、7月の予定表を眺めていたら、それだけで疲れちゃいました。

さて、世の中にはいろいろな趣味を持ったコレクターがいるものだというお話を。切手を集めるという人は司祭にもいて、珍しくはありませんが、ちょっと変わったコレクターも世界にはいるのです。司教になってからそういったコレクターからしばしば手紙を頂くようになりました。全部別人で、しかも国も広範囲に及んでいるので、世界に広く存在するようです。何を集めているのかといえば、世界中の司教の写真とサイン。「司教の肖像写真にサインをしておくってほしい」というリクエストが結構あるのです。たいていはどういうコレクションをしているかを証明するためなのか、はたまた怪しいものではないと証明するためなのか、すでに持っているコレクションのコピーを数枚添付してくださる方もおります。先日手紙をくださったヨーロッパ某国のコレクターは、教皇になる前のパウロ6世の写真にサインがはいったもののコピーを添付してましたし、すでに亡くなられた日本の司教さんのものもありました。数日前にもアジアの某国から大きな封書が届いて、あけてみたらこの同じリクエスト。ただし今度はフォームがしっかりと用意してあって、写真を貼り付ける場所とサインと印章を押す場所まで指定してあったり。これまた世界中の司教のコピーが数枚同封されてました。不思議なものを集めるコレクターもいるものです。写真にサインするくらいならまだしも、こんな文書にサインをするのもなにやら不気味ですけれど。いずれにしろ毎年何十人もの新しい司教が全世界で誕生するのですし、毎日のように新しい任命がある度に、それをブログにあげ、さらにデータベースを更新している人までいるのですから、この世界は不思議です。

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