FABCの総会が終わりました
8月10日から16日までマニラで開催された、第9回FABC(アジア司教協議会連盟)総会が無事終了し、昨日新潟に戻って参りました。不在中には、ちょうど聖母被昇天の15日がわたしの霊名タルチシオの日でもあったことから、多くの方々から霊的花束をいただきました。ありがとうございます。特に今年は新潟市内の教会の方々にも直接お会いして御礼申し上げることができず、失礼いたしました。皆様のお祈りの数々を心にしっかりと受けて、司教職を全うできるように励みたいと思います。(写真は会議場)
さてアジア全土から117名が参加した4年に一度となる今回の総会には、すでにお知らせしたように日本の司教協議会を代表して、会長の岡田大司教、代議員として押川司教とわたしが参加しました。今回のテーマは「Living the Eucharist in Asia(アジアにおいてエウカリスチアを生きる)」とされ、御聖体の秘跡を通して私たちがどのように豊かないのちをいただき生きていくのかについて、さまざまな側面から話し合われました。今回の討議の内容に関しては、半年以上前から文書の準備が始まり、日本の代表団も二度にわたって意見を提出しましたが、各国の司教協議会の意見を基にして、フィリピンのタグレ司教が何度も書き直し、また今回の会議での意見を加味して、同司教がさらに書き直し、11月に開かれるFABC中央委員会(各司教協議会会長が参加)で審議されてから、発表となる予定です。また今回の総会の最後にはA4で2ページになるメッセージも発表され、これは9月の常任司教委員会に諮ってから、翻訳が公表されるであろうと思います。
会議には75名の司教が参加していました。その中には教皇代理として派遣されたアリンゼ枢機卿、福音宣教省次官のサラ大司教、セブのヴィダル枢機卿、インドはランチのトッポ枢機卿、ホーチミンのマン枢機卿、マニラのロザレス枢機卿、香港の陳枢機卿、ボンベイのグラシアス枢機卿と7名の枢機卿もおられました。またインドにはシロマラバールやシロマランカラという東方典礼のカトリック教会が存在しますが、その典礼それぞれにも司教協議会があり、その代表も参加していました。加えて中央アジアのカザフスタンやウクライナ、また未だ司教協議会となっていない東チモールやネパール、モンゴル、香港の司教達、さらに米国司教協議会を代表してスポケインのスカイルスタッド司教他、オセアニア司教協議会連盟、カナダ司教協議会、オーストラリア司教協議会、スペイン司教協議会のそれぞれから代表の司教が参加しておりました。
会議ではそれぞれの司教協議会に10分の持ち時間が与えられて、事前の作業文書について意見を述べる場も用意され、日本からも事前に用意した原稿にしたがって、社会の状況、なかでも年間3万人を越える自死者を生み出す困難な状況にあって、エウカリスチアが与えるいのちへの希望をどのように伝えるのか、また多国籍化する共同体ではエウカリスチアを通じた一致をどのように実現するのかなどの課題を話させて頂きました。
全体の話を通じて皆が共通認識として持ったのは、第二バチカン公会議によって始まった典礼の刷新が未だその完成からはかけ離れた段階にあるということ、また典礼が水平的広がり(現実への影響力)と垂直的広がり(神との神秘的結びつき)の両者において、どちら方向へも未だ広がりきれていないことなどの指摘でした。
会議中の毎朝のミサでは、ラテン典礼だけではなくシロマラバルなどの東方典礼のミサも二度行われ、また毎晩6時半から1時間、聖体を顕示してテゼの共同体による晩の祈りが行われるなど、霊的な雰囲気に包まれた会議でもありました。
初日の開会式は、先日コラソン・アキノ元大統領の葬儀が行われたマニラのカテドラルでミサが捧げられましたが、これがまた巨大な聖堂でした。会議自体もマニラ教区の所有する聖ピオ12世カトリック・センターで行われましたが、ここはホテル並の宿泊施設と会議場を兼ね備えた巨大施設でした。さすがマニラ教区です。
8月15日の聖母被昇天祭には、参加司教を12のグループに分け、マニラ市内の小教区にそれぞれ出かけていって、夕方のミサを捧げてきました。わたしもインド、パキスタン、カナダの大司教さんたちと一緒に、マニラ湾に近いマラテというところにあるコロンバン会が担当する小教区に出かけました。1588年に創立された歴史のある教会です。太平洋戦争末期、1945年の2月にはマニラ市街戦において教会は中に避難していた多くの信徒とともに焼け落ち、6名いたコロンバン会宣教師も全員が命を落としたのだといいます。ちょうど8月15日に、戦争の厳しい現実の話を、マニラで教えて頂きました。(そのほか会議の写真は、後ほど右サイドバーから公開します)
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