火曜日にカリタスの会議で東京へ出かけたときには、ジャケットも着ていられないくらい暑い一日でした。それが昨日の新潟の寒いこと。加えて雨模様です。昨日はたまらず暖房を一日中使ってしまいました。そして本日も、雨はやっと上がり気味ではあるものの、やはり肌寒い一日です。もう五月も終わりだというのに。
さて火曜日のカリタスジャパンの会議の後に、国際協力NGOセンターの事務局の方々が、カリタスジャパンの事務局を訪問してくださいました。国際協力NGOセンターはJANICの名称でよく知られており、様々な国際協力のイベントも開催するNGOを支援するNGOです。カリタスジャパンは宗教法人の一部門であることから正式な会員にはなっていませんが、これまでも様々な形で協力をしてきました。JANICでは国際協力に取り組む諸団体を巻き込んで、「世界の貧しいを半分に。MDGs2015キャンペーン」を今年から2012年3月まで行っており、それへの協力依頼でした。このキャンペーンには国連開発計画(UNDP)やJICAなども後援を表明しており、外務省も後援に名を連ねる予定であると伺いました。
世界的レベルで見ればMDGsの認知度はかなり高いのですが、日本でそれほど知られている様子はありません。加えて昨今の緊縮財政の折、外務省も対外援助の活用には二の足を踏んでいるのではなかろうかと想像します。
『二十世紀から二十一世紀に移り変わろうとしていた二〇〇〇年、世界には漠然としているものの何となく高揚した雰囲気が満ちあふれていました。世紀末の混沌から抜け出した、新しい旅立ちへの期待と希望。そのような雰囲気の中で、同年九月、国連ミレニアム・サミットが開催されたのです。このサミットにおいて二十一世紀の国際社会の目標として、「国連ミレニアム宣言」が採択されました。平和と安全、開発と貧困、環境、人権と良い政府統治(グッド・ガバナンス)、アフリカへの特別な支援などを課題として掲げたこの宣言によって、国際社会は明確な方向性を持って二十一世紀への第一歩を踏み出したかに見えたのです。このとき達成目標として掲げられたのが、たびたび持ち出される「ミレニアム開発目標(英語の頭文字で略してMDGs)なのです。国連開発計画によれば、「先進国と開発途上国双方を含む世界中の指導者が人間開発を推進する上で最も国際社会の支援を必要とする喫緊の課題に対して、二〇一五年という達成期限と具体的な数値目標を定めて、その実現を公約した」画期的な目標であったと言います(UNDPのパンフレットより)。ミレニアム開発目標は、「極度の貧困と飢餓の撲滅」などを含む八つの目標とそれに伴う十八のターゲットを定めています。ミレニアム開発目標は、誇大妄想の産物ではありません。大袈裟な数字の羅列でもありません。控えめな、物足りないほどの僅かな改善です。あとは、政治と経済のリーダーたちの意志の問題です』(家庭の友08年2月号の拙稿より。なお全文はこちら。またはこちらの拙稿もご参照ください)。
海外援助を考えるとき、緊急災害援助と開発援助には大きな違いがあります。災害援助はチャリティー的側面と長期的な復興のために「モノ」の支援も大きな意味を持ちます。しかし、世界の貧困を撲滅しようとする開発援助の現場では、MDGsの実現を念頭におかないプログラムは現時点では考えられません。義援金を直接貧しい人たちに手渡すだけでは、どうしても貧困を生み出している現状を変えることは難しくなります。そのために啓発プログラムなど目に見える結果を生み出さない地味な活動への支援も欠かせなくなるのです。ミレニアム開発目標の達成は、貧困の撲滅ではなく、貧しさの半減という控えめな目標に過ぎません。できそうであるのに、なかなか到達できない高いハードルでもあるかも知れません。今回のキャンペーンを通じて、一人でも多くの人がMDGsの大切さに目を向けてくださるように願います。
ところで昨日、5月26日にアメリカ合衆国のロサンジェルス大司教区に協働大司教が誕生しました。カリフォルニア州におけるヒスパニックの人口比率も考えて、協働大司教はメキシコ生まれのホセ・ゴメス大司教。58歳の大司教はオプス・デイのメンバーで、これまでデンバーの補佐司教、テキサス州サンアントニオの大司教を務めてこられました。任命は4月6日付けでしたが、昨日ロサンジェルスのカテドラルで、ゴメス大司教を正式に迎えるミサが行われたのです。
現在74歳のロジャー・マホニー枢機卿とともに、地域人口の4割にあたる460万人を数える信徒を抱える巨大教区の司牧に当たります。287の小教区を持ち、教区司祭の数は590人もいるのだと言います。修道会司祭も含めるとロサンジェルス教区では1000人を超えていると言います。いや本当にすごいですね。ロサンジェルスは全米で一番信徒の多い教区です。二番目がニューヨークですが、それでも信徒数は250万人でロサンジェルスの半分程度です。三番めがシカゴで同じく240万人ほど。(ちなみに全米では信徒が6400万人超で、世界4番目です)ロサンジェルスの大司教の任命は、全米の注目を浴びる重大な出来事です。で何が言いたかったかと言いますと、そんな一大行事ですから、ミサの模様はインターネットに流れており、私もちょっと見てみました。ミサの最初の入堂行列だけで、なんと20分もかかる。それほど共同司式の司祭団が多いと言うことです。ちなみに4月17日にアフリカのガーナで行われた司教の叙階式は、6時間かかったそうです(入堂が6時間ではなく、ミサ全体が終わるまでが6時間。念のため)。教会の世界は広いというお話でした。