新庄教会の献堂式
山形県にある新庄に、カトリック教会が誕生しました。新庄市から国道13号線を南に少し下った舟形町で、10月28日の木曜日に新しい教会の献堂式が行われました。もともとはこの地で運営され、数年前に閉園になった幼稚園の園舎と土地を買い受けて、教会のために全面改修したものです。ちょうど開催されていた難民移住移動者委員会の全国研修会への参加者も一緒にミサに加わり、20名近い司祭団と、いったい何人になったのかわかりませんが聖堂に入りきれないほどの方々が集まってくださいました。全国研修会の参加者がいてくださったおかげで、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地の教会の代表の方に、新しい教会の完成を体験していただくこともできました。おいでくださった皆さんに感謝します。新潟教区内からも、北は秋田の代表、南は糸魚川の信徒の方々まで、多くの参加者をいただきました。
すでに何度も触れているとおり、この教会の主役たちはフィリピンからやって来て、この地で日本人と結婚し、妻として母として、家庭を切り盛りしている女性信徒たちです。そしてその子どもたちも大勢おります。しかし忘れてならないのはその外国籍信徒たちを長年に渡り励まし支えてきた二人の日本人信徒の存在です。献堂ミサの最後に、フィリピンのお母さんたちの代表がこの二人を前に呼んで、感謝の言葉を述べたときには、思わず涙しそうになりました。
研修会の時にリーダーの一人である長南ジュリエットさんが体験を分かち合ってくださったそうですが、そのときはまだ札幌から戻ってなかった私にも、彼女があとでその原稿を見せてくださいました。22年前に日本へやって来たジュリエットさんは、結婚生活にも慣れ始めた頃、ご主人に頼んで酒田や鶴岡の教会に出かけるようになり、9年ほど前からは、当時鶴岡にいた本間神父の協力で、新庄の様々な場所でミサを行うようになったとのこと。ミサに参加するようにと仲間を求めて、最初は買い物に行って出会う祖国の人たちにも声をかけ、メンバーをだんだんと充実させる努力を続けてきたのだといいます。その当時から、新庄に教会を作ることはみんなの夢だったのこと。
私は2005年4月に、初めて新庄を訪れ、そのときに集まった方々から、是非教会がほしいというリクエストを受けていました。でも正直言って、困難だろうなと思っていました。資金的にもそう簡単ではないことは明らかでした。2007年にミサをしたときには、集まった方々に地区ごとに別れてもらい、それぞれの地区にいるフィリピン人の方々の人数を数えてみました。そうしたら100人を超えている。これは何とかしなくてはと思いました。その日に、ジュリエットさんがみんなを鼓舞して、さあ自分たちの教会を造ろうと呼びかけたことを良く覚えています。
教区の100周年である2012年頃には新庄の教会を実現させたいと、司牧書簡などに書いて教区に呼びかけてきましたが、神様の計画はもっと素早く、また多くの方々が献金に協力してくださり、また新庄の共同体の熱意もあって、こんなに早く教会ができることになりました。感謝です。これからは、この建物の維持の課題もありますし、共同体をこの教会を基盤にして作り上げて行かなくてはなりません。教区の体力ではすぐに司祭派遣というわけには生きませんから、当面は山形教会からの巡回教会とせざるを得ません。これからも、教区全体で、新しい共同体を支える姿勢を維持していきたいと思います。そして新庄の共同体の皆さんには、教会を作ろうとがんばってきたこの数年の思いを常に忘れず、教会を大切にしながら、共同体を育てていってください。またこの教会こそが、この地における皆さんの「ベース」であることを忘れないでください。
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