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2011年5月29日 (日)

国際カリタス総会終了

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国際カリタスの総会が、金曜日夕方、無事に終了しました。ただいま、成田について、札幌行きの夕方の便をひたすら待っているところです。新潟に戻れるのは火曜日。

さて上の写真は、総会終了に当たって、金曜日のお昼から、参加者全員で教皇様に謁見したときの写真です。この写真は全体の左半分。教皇様の向かって左には、国際カリタス総裁のロドリゲス・マラディアガ枢機卿が座り、右隣には、この写真には写ってませんがサラ枢機卿が座っておられます。私も左の方に写っております。こういった大人数の謁見は教皇宮殿3階のクレメンティナ広間で行われることが多く、通常、訪れた側の代表による挨拶と教皇様のスピーチ、そして最後の使徒的祝福と記念撮影で終わるというのがパターンです。この日、ロドリゲス・マラディアガ枢機卿が教皇様への挨拶の中で、原稿にはなかった3.11東日本大震災と津波被害へのお見舞いの言葉と寄付への感謝の言葉を即興で含めてくださったおかげで、教皇様が記念撮影を終えて退出されるときになんとわざわざ私の方へ近づいてこられ、教皇様に感謝の言葉を直接伝え挨拶することができました。

教皇様はスピーチの中で、国際カリタスの60年の歴史に触れて、「定められた範囲の中で、国際カリタスは教会の名において共通善のための固有の役割を果たしています」と、教会にとってのカリタスの存在の重要性を強調されました。その上で、国際カリタスと聖座の果たすべき責任について、次のように指摘されます。

「国際カリタスは他の社会的組織とは違い教会に根ざしています。教会の使命を共有するのです。・・・各国のカリタスは、様々な教基法上の形態をとるにせよ、愛の業の司牧的実施において司教たちにとっての力強い助けを提供します。従って教会における責任が発生します。すなわち教会の牧者たちによって導かれなければなりません。国際カリタスには世界的な役割があり、同時に教会法上の法人格があるので、聖座にはその活動をしっかりと見守り、国際カリタスの人道的また慈善活動、そして文書が、聖座と教会教導職に一致していること、また公明正大に運営されるよう導く責任があります」

さらに、「皆さんの行動と語ることのすべてが、皆さんの生き方と行動による証しが、まずもって重要であり、人格の総合的善を深めることに寄与するのです」とのべて、国際カリタス総会参加者たちに、それぞれの現場において共通善の実現のために働くようにと促されました。

国際カリタス総会は27日金曜日の午後5時から、マラディアガ枢機卿はじめ30人以上の司教の共同司式ミサで閉幕しました。その後6時過ぎから新しいメンバーで執行委員会(理事会)。8時過ぎから夕食と一緒に総裁・副総裁会議(いわゆる役員会)となりました。今後4年間は、執行委員会が年に一度(今年は11月、それ以降は5月)、総裁・副総裁会議が年に2度(5月と11月)出かけることになります。またカリタスアジアも毎年二回、3月と10月に地域委員会(私と、3地域代表。現在はスリランカ・インドネシア・香港)、そして5月末にアジア総会を開くことになります。予定のやりくりが、今から思いやられます。すでに8月には、時期カリタスアジアの地域コーディネーターを雇用しなければならず、しかもこの人がいないと実際の仕事が始まらないので、最優先で取り組まなくてはなりません。

28日の土曜日は朝9時半から総裁と副総裁全員でバチカンへ出向き、国務省で2時間近く会議がありました。国際カリタス憲章を、2004年に与えられた教会法上の法人格に見合った形で手直しするための作業を、新しいチームでどう進めるかを話し合うためでした。考えてみると、国際カリタス側の参加者でフランス語ができないのは私だけ。国務省の3名のモンセニョールもたぶんフランス語ができるのだろうと想像します。なんともありがたいことに、国務省の図書室で行われた会議は、英語でした。

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2011年5月26日 (木)

国際カリタスの新事務局長選出

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国際カリタスの総会は、本日(木曜日)午前中の理事会で事務局長選挙を行い、その結果が午後の本会議で承認されたことから、新しい事務局長が誕生しました。新事務局長はフランス出身でMichel Roy氏(ミシェル・ロワ)。63歳の新事務局長はフランスカリタスのアジア担当を務めていたこともあり、日本語と中国語をほんの少しですが話されます。任期は4年。(写真の左がロワ新事務局長。右はもうひとりの候補者であるツェレンカ氏)

なお理事会の人数縮小は予定通り行われましたが、総裁と副総裁で構成される常任理事会は、憲章の改訂がまだ完結していないため、当面の間、2年間ほどは現在のままで行われることも確認されました。すなわち、副総裁は2人でなく、私も7人の副総裁の一人となりました。なお投票が行われ第一副総裁にはヨーロッパのアニー・グリン師、第二副総裁にはアフリカのフランシスコ・シロタ司教が選出されました。

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2011年5月25日 (水)

国際カリタス総裁にマラディアガ枢機卿再選

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ローマ市内で開催中の国際カリタス総会は、3日目に当たる火曜日の夕方、次期総裁(任期4年)と会計の選挙を行い、圧倒的多数の支持を得て、現総裁のオスカー・ロドリゲス・マラディアガ枢機卿(ホンジュラス)を再選しました。2期目で任期は4年です。また会計には現在、暫定的に会計をつとめているユルグ・クルメナッハー氏(スイス)を選出しました。(写真は左からレスリー・アン・ナイト事務局長、オスカー・ロドリゲス・マラディアガ枢機卿、ロベール・サラ枢機卿)

昨日の会議では、総裁、事務局長、会計がそれぞれの立場から4年間の報告を行いました。とりわけレスリー・アン・ナイト事務局長の報告が終わった後には、全員が起立して拍手が5分近く鳴り止まないほどで、彼女が再選に向けて準備をしていたものの、国務省からのnihil obstatが出されなかった出来事に対して、多くのカリタスの抱いた思いを表していました。

今回の総会には初めて国務省の代表が参加しており、2004年に国際カリタスが聖座から教会法上の法人格を与えられたことに伴う国際カリタス憲章の見直しと、組織の見直しについて発言をされています。現事務局長以外の人物の選出を求めているのも、ナイト女史自身に何か問題があったわけでもなくそれどころか聖座は彼女の活躍を高く評価しているという説明があったものの、実際には国務省の意向で彼女を選出することができなくなっているのも事実で、多くの参加者が複雑な思いを抱いていることが議論の中から感じられます。

また憲章の改訂に伴って、理事会のなどの構成も縮小することが提案され、これもかなりの議論になりました。全体的に各地域の代表を減らして、全体の人数を少なくするという提案でしたが、ラテンアメリカは現行の4から2へ、アジアも現行の3から2へ減ることになり、意識的にはかなりの抵抗があったものの、効率よい理事会運営と経済性を考えるのなら、仕方のない変更だと感じました。これにともない、これまでは各地域カリタスの総裁7名が自動的に国際カリタスの副総裁になり、総裁と副総裁でいわば幹部会のような常任理事会のような形態をとっていたのですが、これも変更して、7名から2名を副総裁に選出し、基本的には総裁と副総裁の合計3名に後数名を加えた少人数で、効率的な運営を進めることも決まりました。

私自身のカリタスアジア総裁職については、本日水曜日の夕方に、各地域選出の総裁を信任するかどうかの投票がありそこで最終的に決定なのですが、その後、新しい理事会の席上で副総裁の選挙が行われる予定です。しかし今回選出される副総裁は、総裁が空席になったときに自動的にその任を継ぐことになっているので、当然総裁に必要な資格を持っていなくてはなりません。私はフランス語とスペイン語ができませんから、その資格はありませんので、副総裁に選ばれることはありません。

なお今回の総裁選挙は、ロドリゲス・マラディアガ枢機卿と、カリタスフランスの責任者をつとめ国際カリタスの会計も担ったことのあるフランス人のデニ・ビェノ氏の二人が候補者でした。また注目される事務局長は、二人の人物が候補者として国務省から認められており、その選出は、新しい理事会において行われます。

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2011年5月23日 (月)

国際カリタス総会二日目へ

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日曜日に始まった国際カリタスの総会は、まもなく朝8時半から、二日目が始まります。一日のはじめは教皇様への霊的指導でも有名なカンタラメッサ師の霊的講話。その後、教皇庁正義と平和評議会議長のピーター・タクソン枢機卿の講演。続いて次期総裁、事務局長、会計の候補者紹介。国際カリタス憲章の改定に関する話し合い、などが予定されており、夕方6時からのミサで終了です。

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写真上は、昨日の総会議会場。壇上の右が開発援助促進評議会のサラ枢機卿。その隣が国際カリタス総裁のオスカー・ロドリゲス・マラディアガ枢機卿、そして事務局長のレスリー・アン・ナイト氏。写真下は、投票の様子。なんともいえませんが、各国の名前を書いた札を掲げて、それを数える。130近い票があるはずです。この投票は新しいメンバーを受け入れるかどうかの投票で、アジアからは新しくモンゴルとベトナムが正式なメンバーとして認められました。

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2011年5月22日 (日)

国際カリタス総会始まる

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国際カリタスの4年に一度の総会が、ローマで始まりました。国際カリタスが誕生して60年となる今年の総会は19回目。会場はローマ市内のホテル「Domus Mariae」。日本からは私と成井師が参加しています。私自身にとっては1999年に初めて参加して4度目となりますが、それ以前の総会もこのホテルで開かれていたと聞きました。その後、改装に入ったため、これまでの私が参加した3回はすべてバチカンで開かれてきました。一長一短があります。バチカンで開催すると設備は抜群ですが、一緒に泊まることが不可能なため一体感がない。今回は食事も宿泊もほぼ一緒なため(近隣の複数のホテルを宿泊には利用)、プログラムの一体感があります。

さて、今回の総会のテーマは「一つの人類家族、貧困の撲滅(One Human Family, Zero Poverty)」とされています。今回の総会で採択する活動計画は4年間ですから、ちょうど2015年まで。つまりミレニアム開発目標(MDGs)の達成目標と重なるのです。従って、活動計画の中心にも貧困の撲滅が掲げられています。

本日の日曜は、会議に先立って朝9時半から、カリタスジャパンによる東日本大震災対応についての報告会がありました。非公式会議ですから、欧米を中心に国際カリタスへの資金提供を考えているカリタスの担当者15名ほどが集まり、成井師からの説明に耳を傾けました。

午後3時半からは、国際カリタス総裁のロドリゲス・マラディアガ枢機卿と開発援助促進評議会のサラ枢機卿を迎えて開会式。その後、国務長官のベルトーネ枢機卿を迎えて開会ミサとなっています。

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写真は、カナダから、こどもたちが大震災の被災者のために絵やメッセージを書いてくれたとのこと。大切に預かりました。心遣いに感謝します。

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2011年5月19日 (木)

仙台教区復興支援の会議開催

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毎月1回、日本の教会全体が仙台教区の復興を支えるための会議、「仙台教区サポート会議」が開催されています。第二回目となる5月の会議が、本日の午後1時から3時半頃まで、仙台教区本部で開催され、出かけてきました。

会議には復興の責任者であり議長の平賀司教、谷司教、復興支援担当の私と神田神父と濱口氏、カリタスジャパンの田所事務長と成井神父、仙台教区の梅津師、ミゲル師、応援に来ている東京の浦野師、そして仙台教区サポートセンターを統括する事務局長の小松師が参加。最新の被害状況を確認し、サポートセンターの活動の経過を聞き、今後の展望を話し合い、オールジャパンからの支援について可能性を話し合い、互いの役割分担を確認しました。やはり今後も長期にわたって充分な支援を具体化するために、いろいろな分野での人材の発掘が不可欠。長期間の派遣が必要なため、簡単ではないが、オールジャパンで何とかしてみたいと確認しました。先は長い。あ、オールジャパンとは、私を中心に(というか、実際には神田師と濱口氏)、全国各教区の窓口を結ぶネットワークのことで、日本全体の教会として先代を支援しようとする存在です。

行きも帰りも新潟から仙台まで新幹線で4時間。都合、本日は8時間の移動。座ってるだけとはいえ、楽ではありません。先日訪問されたサラ枢機卿のインタビューがZenitの英語ニュースに掲載されてました。カリタスの活動をよく見てくださり、評価してくださったことに感謝。

会議に先立って、新潟の月曜会が贈った霊的花束を平賀司教に贈呈しました(写真)。霊的花束を贈ることは、教会のすばらしい伝統です。

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2011年5月17日 (火)

サラ枢機卿、仙台訪問

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教皇庁開発援助促進評議会の議長を務めるロベール・サラ枢機卿の、仙台訪問二日目に同行できました。日曜日には仙台カテドラルにいっぱいの会衆の参加を得てミサを捧げ、その後仙台教区サポートセンターとカリタスジャパンが取り組んでいる被災地支援を視察されたそうです。二日目の昨日は、朝7時から仙台カテドラルでミサを捧げ、その後松島町へ。大橋建男町長らの出迎えを受け会談。松島町訪問は、同町の西村副町長が阪神淡路の大震災の際にボランティアとして出かけた神戸で、鷹取の神田神父らに出会って以来の縁によるものです。その後観光船に乗って沖合に出て、海上で追悼の祈りを捧げました。

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観光船には沖合で速度を落としていただき、後ろのデッキで海に聖水をまき、イタリア語で祈りを捧げ、花を手向け、最後にレジナ・チェリを皆で歌いました。枢機卿は津波で亡くなられた方々を思い、また多くの方が行方不明としてまだ海の中に取り残されている可能性もあることから、是非海の上で祈りを捧げたいと考えられました。また震源地でもあり津波の発生源である海の上での祈りを望まれました。今回このようにして海の上での祈りを実現するために協力いただいた松島町の皆さんに、感謝いたします。この祈りにはマスコミの方も多く集まり、テレビやスチールのカメラに囲まれての祈りとなりました。その後、デッキで記者の囲み会見。

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午後1時半からは仙台市役所を訪れ、奥山市長に会見。ちょうど仙台は伊達政宗が支倉常長らを派遣した慶長遣欧使節の400周年を2013年に迎えることから、バチカンからの支社の到来を喜んで迎えてくださいました。サラ枢機卿は被害を受けられた方々への教皇様の言葉を伝え、カリタスなどを通じた長期的な支援を約束されました。

その後サラ枢機卿は東京へ戻り、本日イタリアへ向け帰国されます。

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2011年5月15日 (日)

三条教会献堂式

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新潟県の三条教会で、新しい聖堂が完成し、本日献堂式が行われました。午後2時から始まった献堂式には、近隣の信徒の方々も参加してくださり、10名を超える司祭の共同司式で、盛大に執り行われました。お天気にも恵まれ、主任の石黒神父様もほっとされたのではないでしょうか。

三条教会の聖堂は、もともと幼稚園園舎の二階にありました。急な階段を上らなければならず、また幼稚園園舎自体が老朽化していたことから、かなり前から立て替えが計画されていました。積み立てを始め、近くに売却に出ていた旧銀行の支店購入を考えていた2004年7月に三条は洪水に襲われます。ちょうど私も司教に任命されたばかりで、一番最初に訪れたのが洪水直後の三条でした。教会の建物自体には大きな被害はなかったものの、被害を受けた信徒の方も多くおられました。この洪水で新聖堂計画は振り出しに。

結局、幼稚園園舎建て替えにあわせて計画が進められ、まず聖堂の新築と旧司祭館の取り壊し。そして新聖堂の裏手に新園舎の建築と、すべてが終了するのは今年の秋の予定です。これまで聖堂があった園舎は、幼稚園の新園舎完成後に取り壊され、園庭が広く確保されることになります。洪水という困難の時を乗り越えて、そのときには想像もしていなかった自前の聖堂を建てるという新たな展開となりました。困難の中からも新たな道が生まれることを学んだ気がします。

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献堂式ミサ後には近くの結婚式場へ移動。祝賀会でした。ちょうどの機会でしたので、結婚式場のチャペルを見学。その後、私は明日のサラ枢機卿の松島視察に同行するため、祝賀会を中座して仙台へ移動してきました。

サラ枢機卿は、ボッターリ教皇大使、池長大司教、平賀大司教などとともに、明日は朝6時半から元寺小路の小聖堂でミサ。その後松島を視察。海上で追悼の祈りを捧げることになっています。その後、午後には仙台市長と会談。夕方に東京へ戻り、火曜日にはローマへ戻られます。私も明日は同行します。

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2011年5月14日 (土)

福者ヨハネパウロ2世、列福感謝ミサ

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5月1日にバチカンにおいて教皇ベネディクト16世から列福された福者ヨハネパウロ2世の、日本における列福感謝ミサが、本日午後3時から、東京大司教区カテドラル関口教会で執り行われました。日本の司教団のうち、大分の浜口被選司教を含めて13名が参加し、司教協議会会長の池長潤大司教が司式しました。また折から、東北大震災被災地を教皇の代理として視察されているサラ枢機卿も臨席くださり、一段と荘厳さが増し加わりました。聖マリア大聖堂はほぼいっぱいの信徒の方々が参加してくださり、パイプオルガンの響きに合わせて、荘厳なミサとなりました。(写真中央右がサラ枢機卿。中央左はボッターリ教皇大使)

池長大司教は説教で、ヨハネパウロ2世の教皇としての歴史を振り返りながら、特に1981年に日本を訪れてくださったことを思い起こしながら、広島における「戦争は人間の仕業です」という力強い日本語メッセージを取り上げ、東西冷戦の終結という激動の時代にあって教皇ヨハネパウロ2世が果たした役割の重要性を強調されました。

サラ枢機卿はミサの終わりに挨拶され、被災地への教皇様の思いを伝えると共に、列福式の教皇様の説教の最後の部分に触れられました。それは教皇様ご自身が、ヨハネパウロ2世によって教理省長官として呼ばれ、その深い霊性に触れながら彼こそは聖人だと確信していったことに続き、「そして苦しみによる証しもありました。主は徐々に彼からすべてを奪っていきました。しかし彼はキリストが望まれたように、岩であり続けました」と表現された部分でした。苦しみの中での証しの重要性を、思い起こさなくてはなりません。

サラ枢機卿は今朝は6時から、谷司教の案内で福島県のいわき市を訪れ、被災地を視察しました。また午後のミサ後、教皇大使、池長大司教、平賀司教らとともに、新幹線で仙台へ向かわれました。明日は仙台教区カテドラルで朝9時半からミサを捧げ、宮城県の被災地を視察する予定です。

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世界召命祈願の日

復活節第4の主日にあたる明日の日曜日を教会は、「世界召命祈願の日」と定めております。教皇パウロ6世によって1964年に制定された祈願の日です。教皇様はこの日のためにメッセージを発表されています(全文は中央協のホームページへ)。「地方教会における召命への働きかけ」と題された今年のメッセージにおいて教皇様は、共同体において召命を育むことの大切さを説かれています。

そもそも私たちの教会は、イエスご自身が弟子達をご自身で声をかけることによってできあがった共同体を基礎としています。その共同体の交わりの中で、イエスからの呼びかけを深め育み、しっかりと主の声に聴き従い、さらに勇気を持って一歩を踏み出すことができるように、兄弟姉妹からの励ましを受けます。日曜日のミサもそうですし、日々個人的に捧げられる祈りもそうですが、それらは実は自分自身の霊的成長のためだけにとどまらず、共同体の一員の祈りとして、そこに属する他の人の霊的成長の糧ともなって行くのです。とりわけミサにおいて共同体の兄弟姉妹と心を合わせて祈るとき、それは自分だけではなく他の人たちの霊的成長に貢献しているのだということを、心にとめてください。

司祭や修道者への召命も、共同体の祈りの力によって支えられています。ご存じのように新潟教区には神学生がおりません。札幌教区も現時点では1名のみです。どうぞ、明日の召命祈願の日にあたって、教会共同体が一致して、召命のために祈りを捧げてくださいますように。

教皇様はメッセージの中で、若者達の霊的可能性を引き延ばす共同体の責務についてふれ、次のように述べておられます。

「すべての地方教会は、家族、小教区、団体のあらゆるところで、とりわけ子どもと若者の助けとなりつつ、召命のための司牧ケアにさらに細かい配慮と関心を向ける必要があります。イエスが弟子たちとともに行ったように、地方教会は、子どもと若者が個人の祈りと典礼の祈りを通して深められ、主との真の親しい友情に向けて成長するのを助けなければなりません。また、彼らが聖書に親しみながら成長し、みことばに賢明に耳を傾けるのを助けなければなりません。さらに、神のみ旨に自らをささげることはその人の人格をそこなったり、消し去ったりすることではなく、自分自身に関するもっとも深い真理を発見することにつながることを彼らが理解するのを助ける必要があります。そして最後に、彼らが寛大さと兄弟愛をもって他者とかかわるのを助けなければなりません。なぜなら、神の愛に開かれていることのうちにこそ、わたしたちは真の喜びと自らの切望の充足を見いだすことができるからです」

今般の大震災にあたり、まさしく「他者と関わる」ことの大切さがあらためて感じられ、同時に祈りあうことの大切さも実感されています。特に若い世代の人たちが、実際の関わりに出かけることや祈り会うことを大切にしようとするとき、どうぞ彼らを励まし歩みを共にしてくださいますように。

今日は午後3時から、東京のカテドラル関口教会で、教皇ヨハネパウロ2世の列福感謝ミサが捧げられます。私もこれから出かけますが、被選司教も含めて13名の司教が参加し、池長大司教の司式で、折から来日中のサラ枢機卿も臨席されることになっています。サラ枢機卿は今朝方、谷司教様の案内で福島県のいわきへ視察に向かわれました。

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2011年5月10日 (火)

福音宣教省の長官交代

かねてから予想されていたことでしたが、教皇様は先ほど、福音宣教省長官のイヴァン・ディアス枢機卿の引退を承認し、後任として国務省長官代理フェルナンド・フィローニ大司教を任命されました。ディアス枢機卿はインドのボンベイ出身で、長年にわたり教皇大使を務めたあと、96年からボンベイの大司教、その後2006年に福音宣教省長官に任命されていました。この4月に75歳の定年となったこともあり、引退が認められました。ディアス枢機卿は私がガーナにいた当時、駐ガーナ教皇大使を務められ、その後は韓国やアルバニアでも働かれた方です。日本の教会のことをよくご存じで、いろいろと助けていただきました。感謝します。

フェルナンド・フィローニ大司教は同じく外交官出身で、イラク・ヨルダン・フィリピンの教皇大使を務めたあと2007年に国務省の長官代理となりました。教皇様に直接上がる諸案件は国務長官代理が担当するので、バチカンの実務では一番重要なポストとも言われています。

福音宣教省は、日本のような宣教国を管轄する役所で、その長官は「赤い教皇」とも呼ばれるくらい重要な役割です。例えばキリスト教国の司教任命は司教省が管轄していますが、日本のような宣教国の司教任命は福音宣教省の管轄事項となります。その意味でも、日本の教会にとって重要な人事といえます。

なおバチカン関係では、この13日に、教皇庁開発援助促進評議会(Cor Unum)議長の、ロベール・サラ枢機卿が教皇代理として被災地を訪問されることになりました。サラ枢機卿は14日午前中には福島県いわきを訪問。午後には関口教会でヨハネパウロ2世列福感謝ミサに臨席。15日には仙台元寺小路教会でミサの後被災地訪問。16日も被災地を訪問して、17日にイタリアへ戻られる予定です。サラ枢機卿はアフリカのギニアのコナクリの大司教を務めたあと、福音宣教省の次官を務め、昨年、開発援助促進評議会の議長に任命されました。

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2011年5月 9日 (月)

秋田地区で信徒の集い開催

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秋田地区の信徒の集いが、昨日の日曜日、秋田市内の聖霊短期大学を会場に開催されました。今年で23回目となる集いのテーマは、「支え合って共に生きよう」。土崎教会の方々が開催教会として準備してくださいました。

今回は特に、秋田で活動を充実させている薬物依存の方々のリハビリを目指すダルクと、秋田で始まったばかりのアルコール依存からのリハビリを目指すマック。この両方の関係者から話を聞いて、どのように歩みを共にすることができるのかを考える一日でした。特にダルクからは、日頃から聖体奉仕会で練習を積んでいるというコーラスの披露もあり、それぞれの方が複雑な個人の歴史を背負いながらも、懸命にリハビリに生きている様子を知ることができました。信仰のうちに、自立した道をともに歩んでいくことができるように、できる限りの支援をしていきたいと思います。

集いではお昼に一緒に弁当をいただき、最後に秋田地区の司祭団と一緒にミサを捧げて終わりとなりました。このミサの中で大震災被災者の方々のために祈り、また献金も被災者のために捧げられました。

準備してくださった土崎教会の皆さん、ありがとうございました。(上の写真は、土曜日に訪れた宮古の駅前に掲げてあった大漁旗と鯉のぼり)

午後に新潟へ戻ってきましたが、車の距離計を見たら、今回の仙台・宮古・秋田巡りで、1,100キロを走っていました。東北は広いです。

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2011年5月 7日 (土)

仙台で打ち合わせ

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昨日は仙台教区本部での復興支援の打ち合わせのために、朝から仙台へ車で移動。午後1時から平賀司教、小松神父、成井神父と打ち合わせ。こちら側、すなわち司教団の復興担当支援からは私と神田神父。先日の日記でも触れたように、平賀司教は仙台教区の復興支援の基本方針を発表されています。それを全国の教区が、つまり日本のカトリック教会がどのように支援していけるかの枠組み作りが復興支援担当の仕事です。

すでに各教区にはそれぞれの組織が立ち上がっていたり、教区のカリタス担当者を中心に様々な動きを調整したりしていますが、これを全国規模で調整していこうと話を進めました。今後、仙台教区の動きに合わせて、専門職のボランティアを捜したり、司祭派遣を要請したりというあたりを、復興支援担当で取り組むことになりました。神田神父が中心になって、ネットワークを構築することになりました。もちろん仙台教区サポートセンターでは、これまで通りボランティア受付をしていきます。

今日はあらためて宮古を回って、そのまま秋田へ向かいます。(写真は仙台カテドラル前にできあがったサポートセンターの看板)

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2011年5月 2日 (月)

新庄教会で洗礼式

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昨日は復活節第二主日。バチカンでは教皇様の司式で列福式が行われ、前教皇ヨハネ・パウロ2世が福者にあげられました。来日されてから今年はちょうど30年。その意味でも、多くの方が誕生した福者ヨハネ・パウロ2世を、身近に感じておられるのではないでしょうか。

その列福に感謝を捧げる意向を持って、昨日の復活節第二主日のミサを、山形県の新庄教会で捧げました。11時始まってミサには、お隣の山形教会の信徒の方もバスで駆けつけ、一緒に主の復活を祝うミサを捧げ、列福に感謝し、被災された方々のために祈りました。またミサの中で二人の方の洗礼式も行われました。お二人は親子。お父さんとまだ赤ちゃんの息子さんです。おめでとうございます。新庄教会の信徒は9割がフィリピン出身のお母さん達です。だんだんとその子どもたちも増え、もともとの数名の日本人と合わせて国際色豊かな共同体です。特にお父さんには数少ない男性日本人信徒となりますから、(というか現時点では唯一)、この共同体がさらに豊かに育っていくように歩みを共にいたしましょう。

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ミサが終わった後には、山形教会の信徒の方も交えて、この教会一番得意の持ち寄りパーティー。ココナッツミルクの香りが漂うフィリピンのごちそうを、皆でいただきました。前の晩から泊まり込んで用意してくれたのだと言います。皆さんに感謝。

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2011年5月 1日 (日)

GW後のボランティア緊急募集中

仙台教区サポートセンターでは、ゴールデンウィーク後のボランティアを緊急募集しています。仙台教区サポートセンターでは、塩竈、石巻、釜石をベースに、地元行政と協力しながらボランティアを派遣してきました。宮古では札幌教区が活動しています。毎日の活動についてはブログをご覧ください(リンクはこちら)。

ゴールデンウィーク中は必要とされる人数のボランティアが集まってくださっています。ところが、その後は非常に少なくなっており、昨日、仙台教区サポートセンターの小松神父様から全国の教区に緊急の呼びかけがありました。数日でもかまいません。参加を考えておられる方は、まず仙台教区サポートセンターにお電話ください。連絡先などは上記リンクのブログをご覧ください。個人でも、グループでもどうぞ。5月6日以降のボランティアを緊急募集です。

以下小松師のメールから:

ボランティアの仕事は今でも家の片付け及び、泥だしが主ではありますが、各家々の大切なもの(写真、位牌、仏壇等々)の洗い出しもあり、50代から60代にかけての方々でも出来る軽作業も出始めています。もちろん、日本各地から仙台教区は遠いので来るのは難しいこと解ってはいるのですが、なんとか呼びかけのほどお願い致します。

どうぞよろしくお願いします。

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5月の予定

4月は突発的な出来事の連続で、予定を記す間もなく過ぎ去ってしまいました。5月となりました。本日は、復活祭第二主日、神のいつくしみの主日であり、またバチカンでは教皇ヨハネ・パウロ2世が福者に列福される日でもあります。今月の主な予定を記しておきます。

  • 5月1日 新庄教会訪問とミサ
  • 5月3日 神言会金銀祝ミサ
  • 5月6・7日 仙台教区本部
  • 5月8日 秋田地区信徒大会(聖霊短大)
  • 5月9・10日 新潟教区司祭、月の集まり(新潟)
  • 5月11日 カトリック新聞編集諮問委員会(東京)
  • 5月12日 常任司教委員会(東京)
  • 5月14日 教皇ヨハネ・パウロ2世列福感謝ミサ(東京カテドラル関口教会)
  • 5月15日 三条教会新聖堂献堂式
  • 5月16日 仙台教区本部
  • 5月17日 カリタスジャパンの会議(東京)
  • 5月19日 仙台教区サポート会議(仙台)
  • 5月21日から29日 国際カリタス総会(ローマ)
  • 5月30日 札幌教区司祭月例会(札幌)
  • 5月31日 聖母学園理事会・園長会(新潟)

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