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2014年3月31日 (月)

みこころの園、南山形に新施設完成@山形市

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山形市内で、特別養護老人ホームみこころの園などを運営している社会福祉法人山形公和会は、カトリック教会がその運営母体となっていますが、本日、南山形(蔵王駅近辺)地区に新しい施設が完成し、竣工式が行われました。

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イエズスマリアの聖心会のマクドナ神父が、山形教会の主任であった当時に施設運営を始め、その後19年間にわたり責任者を務めてきたということです。さらには仙台からやって来たオタワ愛徳会のシスター方の協力もあり、施設は順調に発展してきました。介護保険制度が始まる以前の80年代から、すでにデイケアーセンターにも取り組んで、今日の竣工式での山形市長さんのメッセージで触れられた通り、まさしく山形市における老人介護のパイオニアとして歩んでこられました。マクドナ神父は現在はさいたま教区内の教会で働いておられますが、本日の竣工式においでくださいました。

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新しい施設は一つの建物の中に二つが併設されています。ひとつは、「みこころの園南山形小規模多機能型居宅介護事業所」で定員が25名、もう一つが「小規模特別養護老人ホームみこころの園南山形」で定員が29名。平屋建ての施設ですが、そこここに木のぬくもりを感じることのできるすばらしい建物でした。なお、明日、4月1日に運営が始まりますが、竣工式がその前日になったのは、まさしくこのところ問題になっている建築業界における人手不足。本来は3月初旬完成の予定だったそうです。今日も、電気関係などの最終調整に業者の方が入っておられました。

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午前10時に始まった竣工式は、まず私と山形教会主任の本間神父、そしてマグドナ神父の三人で、祝福の祈りの式を行いました。聖書朗読に続いて、私が少しお話をさせていただき、共同祈願を行ったあと、全館を聖水で祝福して回りました。その後、式典に移り、矢野理事長の挨拶や感謝状贈呈、来賓の祝辞などを経て昼前に終了。職員の方には明日からの業務開始に備え、忙しい午後となったことだと思います。

わたしは昼過ぎには山形駅を『つばさ』で出発し、そのまま新幹線の大宮乗り換えで新潟へ、夕方には戻ることができました。年度末のためなのか、新幹線は混んでおりました。

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2014年3月30日 (日)

延岡の桜はすでに散り始め

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この数日、久しぶりに腰に痛みが走ってます。12年くらい前にぎっくり腰をして以来の痛み。会議を一つキャンセルしたものの、週末には宮崎の延岡教会で黙想会をする約束をしていたので、湿布とコルセットで移動開始。

飛行機を乗り継いで到着した宮崎空港は、新潟から来た身には、すでに初夏。宮崎空港のすぐ横にあるとても便利なJRの宮崎空港駅から特急「にちりん」にのって延岡まで一時間強。JR九州の独特なデザインの電車をたくさん見ました。途中、列車の右側にはなにやら高架橋にソーラーパネルがぎっしりと並んでいる。後で調べたら、かつてリニアの実験線用高架橋を利用して、世界で一番細くて長いメガソーラー発電所をつくったのだとか。

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到着した延岡の駅には、助任司祭、といいながらすでに日曜で転任となるザベリオ会のメキシコ人会員、ロペス師が迎えに来てくれました。ちなみに初対面。以前からよく知っていたのは主任で、これまた日曜で転任となる大分教区の川口師。神学生の頃に名古屋で、そしてその後メルボルンで半年ほど一緒でした。その川口師はなんと私の生まれ故郷の岩手県宮古教会へ三ヶ月のお手伝いで不在。

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まず土曜日に、午前中に一時間、午後に一時間、さらに別なグループを対象に夜にもう一時間、話をさせて頂きました。午前中の一時間は「カリタスは福音のあかし」というタイトルで、東日本大震災復興支援への教会の関わりについて話しました。そして午後と夜は、先日のニコラバレで行ったカリタスの黙想会と同じ、「五つのパンと二匹の魚」でお話をさせていただきました。日曜日にミサに来られる方々が五十名強と言うことですから、昼間には20人ほど、夜には10人ほどが来て下さいましたから、それなりの人数かと思います。

お昼には参加者みなでおにぎりの昼食。月曜には延岡教会を離れるロペス師に、信徒の方々から浴衣が贈られました。

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そして今日の日曜のミサ。五十名ほどの方々と、近くで学校運営に携わるウルスラ会のシスター方が9時半のミサに集まられました。ミサ後には隣接する幼稚園の先生に、近くの延岡城跡である延岡公園に連れて行って頂きました。新潟ではまだコートが必要な毎日なのに、すでに桜は満開を過ぎて散り始めておりました。まず今年の一回目の桜です。新潟はこれからですから。本丸あと付近の頂上には、いまでも時刻を告げる大きな鐘がありました。

わざわざカリタスジャパンの話を聞きたいからと、私を呼んで下さった教会の皆さんに感謝します。これからも、機会があれば、呼んで下さい。カリタスの話であればいつでも喜んで参上します。カリタスジャパンの活動へのご理解と支援に、心から感謝します。

お昼の特急で再び宮崎空港へ。今日は南風で、BとD滑走路に東方面から進入する羽田は、処理能力の関係で大混雑。宮崎から飛ぶ飛行機もB滑走路に千葉から進入するためぐるりと大回りになります。そんなこんなで30分の遅れで到着。そのまま東京駅へ移動して山形新幹線で、山形まで来ました。お昼に延岡を出発して、山形駅に到着したのは午後8時半頃。長旅でした。明日は山形で老人施設の竣工式です。それにしても、夏の陽気の延岡に比べ、山形はコートが必要なほど寒い。

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2014年3月26日 (水)

糸魚川カトリック天使幼稚園の50周年式典開催

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新潟教区の一番南の端、富山県との県境に近く、フォッサマグナとそれに関連して糸魚川世界ジオパークで有名な、新潟県の糸魚川で、本日、糸魚川カトリック天使幼稚園の創立50周年記念式典が行われました。

日本のカトリック教会は、全国各地に幼稚園や保育園を設置して、長年にわたり幼児教育に当たってきました。全国で500を越える幼稚園が設置されています。新潟教区でも秋田県に秋田カトリック学園、山形県には双葉学園、そして新潟県では聖母学園と、それぞれが独立した学校法人として幼稚園を運営しています。新潟の聖母学園は県内に17園を設置し、私が理事長を務めております。そのうちの一つ、糸魚川市にある天使幼稚園が、先頃創立50年となったことを記念し、本日、糸魚川市の米田市長、同じく竹田教育長を来賓に迎え、記念式典と祝賀会が催されました。

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1964年2月1日に幼稚園の認可をいただき、初代園長はフランシスコ会のカミロ師。現在のブルーノ・ファブリ師は10代目の園長です。ただしブルーノ師はまだ若かった来日直後の1971年から76年まで第四代の園長も務めておられるので、再登板中です。記念誌に掲載された若い頃の写真と今の写真。よく似ているけれど・・・。昔は細かった。(写真、前列のブルーノ師とバッシ師の間の後列に米田市長、バッシ師の後ろが竹田教育長)

幼稚園の隣には1974年に聖堂も完成し、その後1988年には現在の園舎が完成しています。

今日の式典は、もちろん理事長式辞や市長さんと保護者会長の祝辞もありましたが、それよりも何十倍も元気いっぱいに、園児たちが歌ったり踊ったりしてくれました。また一番上の写真にあるように、卒園生で武術太極拳の第一人者でもある脇田氏のパフォーマンスもありました。パフォーマンスの迫力に園児が口々に「カッコイイ」と熱中しておりました。

式典後には近くのホテルに会場を移し、祝賀会。これまた卒園生の田村氏が、ピアノのプロの技を披露。さらに糸魚川市のコールいといがわの皆さんが美しいハーモニーを聞かせてくださいました。祝賀会の最後に全員で「花は咲く」を合唱して終了。

これまでの五十年間、幼稚園を支えてくださった地元の行政関係者、地域の方々、卒園児の皆さん、保護者の皆さん、職員、そしてすべての協力者の方々に、心から感謝申し上げます。教育長は生命の尊厳を大切にし互いを助け合う心の大切さを語ってくださいましたし、市長は絵本を通じた情操教育の大切さを熱く語ってくださいました。今後も糸魚川市と協力しながら、地域の必要に応えた幼児教育を続けていくことができるよう、皆様のご理解と協力、そしてなによりお祈りをお願いいたします。

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2014年3月23日 (日)

「自分で聞いて・・・わかったからです」

来る御復活祭に洗礼を受けるために、この四旬節を準備の時として過ごされている洗礼志願者の方も多くおられると思います。残念ながら、カテドラルの新潟教会では、今年復活祭の洗礼志願者はおられないと聞いていますが、新潟教区全体では、毎年数十名の方が洗礼を受けられます。

四旬節第三主日の今日、ミサの間に「洗礼志願者のための典礼」が行われた教会も多かったのではないでしょうか。洗礼志願者がいない場合も、共同祈願の終わりに司祭が唱える祈りは「解放を求める祈り」という特別な祈りでした。洗礼志願者が「罪の重荷と悪のきずなから解放」されるように、教会共同体は共に祈ります。

さて今日の福音は、サマリアの女性とイエスの対話を記したヨハネ福音でした。イエスが与える水は「永遠のいのちに至る水」の湧き出る「その人の内で泉」となると記されています。イエスにおける信仰を持つことで、私たちの心にはすでにその泉が与えられているのだろうと思います。私たちは心の中に湧き出る泉の水に満たされて生きていくはずなのに、残念ながらさまざまな私たちの思いが、その泉をふさいでしまっているのではないでしょうか。

進む道が自らの望んだものでないときに、イスラエルの民はモーセに不平を漏らします。不平どころか、モーセは身の危険さえ感じたようです。でもそれは結局、神への挑戦だった。私たちは、自らの進む道が、単に自分の求めているだけのものなのか、はたまた生命の泉に導く神の用意された道筋なのか、常に見極める必要があります。神によって用意された道のりは、時として私たち人間の常識からは不平の対象にしかならない道であるかもしれません。

ところで、洗礼を準備されている方々に一つ、今日の福音の最後に記されている言葉から、大切なことを申し上げたいと思います。

福音の最後に、イエスの直接触れて信じるようになった人々が、最初にイエスと出会ったサマリアの女にこう言います。「私たちが信じるのは、もうあなたが話してくれたからではない。私たちは自分で聞いて、この方が本当に世の救い主であるとわかったからです」

イエス・キリストにおける信仰にあって、大切なことの一つは、自己決断です。誰かに言われた通りに生きるとか、書かれているとおりに信じるとか、誰かが決めてくれた通りに生きるとか、誰か任せの信仰生活はあり得ません。最初のきっかけは誰かを通じてでしょう。信仰の基礎は要理を教えてくれた司祭などから受けたものでしょう。でもその先は、ご自分とイエスとの出会いの中で、自ら決断していくものです。「もうあなたが話してくれたからではない」のです。自分が自分で選び取り、判断し、決断して、信仰生活を歩んで行かなくてはなりません。教会共同体は、信仰生活を与えてくれる存在ではなく、かえって自らの足で信仰生活を歩むときに、一緒になってそれを支え、歩みを共にする存在です。同じ道を歩む仲間たちが教会にはいるはずです。私たちの教会の強さはそこにあります。

「二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである(マタイ18:20)」と言われたように、教会共同体にこそ主ご自身がおられます。ですから私たちはその中で、主と出会うのです。私と主との個人的な出会いなしに信仰はなく、同時に主のおられる共同体なしに信仰はありません。共同体の皆さんと信仰の歩みを共にしながら、その中で、どうか自分の決断を持って自分と主との関係の中で進むべき道を見極めていってください。

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2014年3月22日 (土)

カリタスジャパンの黙想会@東京、無事終了

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カリタスジャパンは国際カリタスと連携して貧困撲滅キャンペーン『五つのパンと二匹の魚』を展開中ですが、このテーマをもって、四旬節の黙想会を企画しました。その第一回が昨日、3月21日に、東京で無事開催され、60名を超える方が参加してくださいました。なお第二回目は4月5日に大阪のサクラ・ファミリアで行われます。

昨日の黙想会は、四谷のニコラ・バレを会場に、私がキャンペーンのテーマについてお話しさせていただきました。

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まず10時頃から一時間の講話。ヨハネ福音にしるされた『五つのパンと二匹の魚』の物語を取り上げ、そこから、『自ら手を差し伸べる主』、『現実の壁を前に諦める弟子』、『少しも無駄にならないように』、『しるしによる証しの力』の四つのポイントを取り上げて、お話をいたしました。

主は誰か任せにすることなく、自ら手を差し伸べるために行動されます。それは受肉の神秘それ自体が、まさしく愛のために自ら行動される主の姿そのものを教えています。同時に主は、従う者に、同じようのすること、つまり安住の地に留まっているのではなく、そこを捨てて積極的に行動することを求めておられます。

しかし行動しようとする時、そこには現実の壁が立ちはだかり、思わず諦めてしまうことが多々あるでしょう。今回の飢餓撲滅キャンペーンで言えば、まさしく世界の食糧事情の現実は、一体自分一人に何ができるのだろうかと思わせるほどの大きな壁として立ちはだかります。

その壁は例えば、八億四千二百万人が飢餓に苦しみ(八人に一人)、そのうちの98%が途上国にいるという現実。さらに先進国にも千五百七十万人の栄養不足に苦しむ人がいるという現実。さらにはサハラ以南のアフリカでは、四人に一人が栄養不足に苦しんでいるという現実。世界の飢餓人口の65%は、インド、中国、コンゴ民主共和国、バングラデシュ、インドネシア、パキスタン、エチオピアという七カ国に集中している現実。途上国では栄養不良により、五歳になる前に亡くなる子どもの数が年間五百万人という現実。

しかし中でも、世界の七十億人が必要とする穀物の二倍近くが、毎年生産されているにも関わらず、飢餓が発生するという現実。おおよそ二十四億トンが生産されています。そのうちの四割近くは家畜の飼料となるので、何らかの形で食糧増産に貢献する部分ですが、それでも七十億人に充分な穀物があるはずです。

そこに「少しもむだにならないように」といわれた主の言葉が響いてきます。ある資料によれば、日本では年間五千五百万トンの食料を輸入して、そのうち千八百万トンを捨てていると言います。

キャンペーンにあたっての教皇フランシスコの言葉からです。

「地球上には、すべての人を養うのに充分な食糧があります。意志さえあれば、私たちのものはつきることがなく、むしろ豊富にあり、むだになることもありません。パンと魚を増やす話が教えているのは、まさしくこのことなのです」

こういった現実を前にして、そして『少しもむだにならないように』という主の呼びかけを耳にする時、私たちは一体どんなしるしをもって、その福音を証ししていくのでしょう。

もちろん、一人ひとりのできることには限りがあるし、それだけですべてが変わるとは思いません。大きなシステムの問題でもあり、経済界における倫理観や政治における倫理観の問題でもあるからです。両方が不可欠です。個人レベルでの努力と、社会への働きかけです。宗教にできることは、まずもって社会に対してそういった倫理観が必要であることを説き続けることであろうと思いますし、一人ひとりのレベルでも小さいながらも『しるし』をもってあかしを続けていくことであろうと思います。

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各地から参加してくださった方々に感謝。昔、盛岡で一年間通った白百合幼稚園の先生シスターにも再会できました。お元気そうで何よりです。

大阪の黙想会では、幸田司教がお話しされます。どうぞお出かけください。黙想会は、昼食をはさんで、午後の派遣のミサで終了です。

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2014年3月18日 (火)

第二バチカン公会議をさらに学ぶ

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第二バチカン公会議の開幕50年を記念して2012年10月から2013年11月まで、「信仰年」が定められていました。その一年間を通じて、私たちは信仰の根本を見つめ直し、福音に真摯に生きるためには、「今」何をするべきなのかをふり返りました。

第二バチカン公会議は1962年に始まり、その後、1965年まで続きました。そこで、「信仰年」のふりかえりを「信仰年」のときだけにとどめず、2015年までの間、公会議を学び直してみようと、司教団は呼びかけております。2月の司教総会での話し合いを経て、司教団の共通理解を、会長である岡田大司教が談話として発表しておられます(リンク先は中央協です)。2月17日付の談話は、「第二バチカン公会議の学びのすすめ」と題され、副題として「特に『教会憲章』と『現代世界憲章』を読む」とされています。

その中で岡田会長は、「第二バチカン公会議が何であったのか、またその今日的意義を問うために、わたしたち司教団は、日本の教会全体として、第二バチカン公会議の公文書を読み、その精神と教えを学ぶよう引き続き皆さんに呼びかけを行います」と述べています。

すでにお知らせしましたが、先般発行された新しい翻訳の第二バチカン公会議公文書は、かなり分厚い書物です。これをもって勉強会をすることはちょっと難しい。そこで四つの憲章を分冊で発行することになり、すでにできあがって販売されています。(写真)『現代世界憲章』と『教会憲章』はどちらも一冊本体価格が650円。『典礼憲章』と『啓示憲章』は合冊になっており、本体価格550円です。是非、小教区などでの勉強会にご活用ください。

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真夏のようなバンコクからは、土曜の夜に全日空便で出発し、日曜日早朝の羽田に戻ってきました(写真はバンコクのスワンナプーム空港ロビー)。月曜日には新潟清心女子高等・中学校を運営するノートルダム新潟清心学園の評議会と理事会が市内のホテルで開催されたので出席。理事長(兼校長)はじめ、理事や評議員の方々は、それほどカトリック教会とは関係がある方々ではないのですが、なんとかカトリックのミッションスクールを維持していこうと、様々な努力を重ねてくださっています。東京などの大都会とは違い地方都市での私立学校の立場には弱いものがあります。進路先としては公立が優先される嫌いがあります。私立学校経営は、公的補助があるとはいえ、生徒数が少なければ少ないほど厳しい環境におかれます。そのなかで、大学進学率や生徒寮の充実など、様々な特色を出しながら、新潟清心の運営は続けられています。そしてこの秋には創立50年を迎えることになりました。新潟教区としても、新潟県内にたった一つのカトリック学校ですから、できる限りのお手伝いをしなければと考えます。

 

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2014年3月15日 (土)

カリタスアジアの理事会@バンコク

カリタスアジアのアジア地域理事会(Asia Regional Commission Meeting)のため、タイのバンコクに来ています。12日は秋田教会で聖園短大の卒業感謝ミサでしたが、それを終えてから羽田に移動。深夜に羽田を飛び立つ全日空便で、早朝6時前のバンコクに到着。時差は2時間で日本の方が先です。雪の降るまだまだ真冬の秋田から、ほんの数時間で日中は30度を越えるバンコクです。

カリタスアジアには20を越えるアジアの国のカリタスがメンバーとなっていますが、これを南アジア、東南アジア、東アジアと中央アジアに分けて組織を作っています。ただ現時点では中央アジアはモンゴルとカザフスタンだけで、加えてカザフスタンの活動が滞っていることや、今後タジキスタンも正式に加入する見込みのあることから、独立した組織にせず、モンゴルを東アジアの一員としております。

理事会はカリタスアジアの責任者の私が議長で、それ以外に各地域の代表者が一名ずつ。現在はスリランカ、インドネシア、香港が代表です。そしてバンコクの事務局に駐在する事務局長がフィリピン出身。これにローマの国際カリタスから代表が参加しますので、国際色豊かな会議です。

今回の会議では国際カリタスの代表はインド出身のフランス人。さらに規則の改訂でコンサルタントを務める国際カリタスで以前働いていたフィリピン出身の司祭。

会議は木曜日の朝8時半にミサで始まりました。年に三回開催していますが、今回は6月に予定されてるアジアの総会を前に、昨年度の決算や今年度の予算、さらに規則の改訂(これはバチカン国務省の指導で国際カリタスの規則が改訂されてことによる改訂)、それからアジアで実施している人身売買撲滅や持続可能な農業等のプロジェクトの進捗状況について話し合いました。カリタスアジアで一番力を入れているのが人身売買撲滅と持続可能な農業プログラムで、これにくわえてそれぞれ加盟しているカリタスの能力向上(Capacity Building)のプログラムに一番の時間と資金を割いてきました。

カリタスアジア自体は自ら活動する団体ではなく、加盟しているそれぞれのカリタスの活動をベースに、全体を調整する役目を担っています。ただし能力向上に関しては、カリタスアジアが直接ワークショップなどを開催しております。これ以外にも、国際カリタス主催のワークショップなどを共催してきました。

緊急災害の発生時に現場で調整するのは、国際カリタスの役割です。

これだけ入り乱れた国籍と文化の背景を持った会議にも関わらず、紛糾することもなく予定通り二日間で終了。次回は6月の総会時、またバンコクです。

ところで反政府のデモが続いているバンコクですし、国内テレビでも警官隊との衝突などを放送していますが、少なくともカリタスアジアの事務局がある辺りからはその様子はうかがえません。近くにビクトリーモニュメントがあり、そこも数週間前には封鎖されていたようですが、現在は通常に戻っています。バンコクの生活は普段通りにすすんでいますが、テレビや新聞を見る限り、政情不安はまだまだ続きそうでした。

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2014年3月11日 (火)

あれから三年です

あれから三年がたちました。今日は全国各地で祈りの日であることを、夕刻のニュースをテレビで見ながら感じています。あらためてなくなられた方々の永遠の安らぎをお祈りすると共に、被災地の復興のためにお祈りいたします。司教団の復興支援担当とカリタスジャパンに携わっているものとして、先に司教団もさらに三年間の支援活動継続の決意を表明したところですし、できる限りの取り組みを続けていきたいと思います。

昨晩は6時から、仙台教区の元寺小路教会で、司教団主催のミサが捧げられました。海外出張中の岡田大司教(司教協議会会長)にかわり副会長の高見大司教がミサを司式。日本の現役の司教のほとんどが参加。ミサの始めには教皇大使が日本語で挨拶され、教皇様もお祈りくださっていると伝えられました。

説教で平賀司教は、第二バチカン公会議の現代世界憲章の冒頭を紹介し、まさしく被災地の現場であげられる声は、キリスト者が自らのものとして共有しなければならないと指摘。教会はこの現場で福音を生き抜く機会を与えられていると、励ましの言葉をのべられました。

共同祈願では各ベースの代表の方などが、それぞれの現場からの切実な声を祈りとして捧げ、さらに奉納でも、それぞれのベースのいまを象徴するシンボルが捧げられました。

ミサの最後に、復興支援活動を海外から資金をもって支えている国際カリタスを代表して、米国カリタスとドイツカリタスからの参加者に、平賀司教から御礼の花束が送られました。カリタスジャパンは国内からも多くの募金をいただき、長期計画をもって復興支援活動を支えていますが、同時に海外のカリタスからの資金援助には大きなものがあります。こういった辺りは、カリタスジャパンの活動報告を参照下さい。

そして平賀司教からはカリタスジャパンにも花束をいただきました。代表して私が受けとりましたが、非常に恥ずかしい。この花束と称賛の言葉は、現場でカリタスジャパンの名前を背負って活動をしてくださっている皆さんのものですし、またカリタスの事務局や委員といった裏方の皆さんに向けられているものですから。カリタスの活動を支えてくださる皆様に、心から感謝。

司教協議会の復興支援では、皆様からお寄せいただいた祈りを冊子にしました。これらの祈りは、いわゆる祈祷集の公式な祈りではなく、それぞれの切実な心の叫びとして掲載されています。完全なデータが中央協議会のホームページからダウンロードできますので、ご活用ください。

また仙台教区サポートセンターから、この三年間の記録がまとめられて発行されています。

今日は、仙台から秋田に来ました。途中は大雪。明日は秋田の聖園短大の卒業感謝ミサ。そのまま深夜便でバンコクへ出張。カリタスアジアの理事会です。

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2014年3月 9日 (日)

カリタスジャパン四旬節黙想会へのお誘い

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カリタスジャパンでは、昨年12月から、国際カリタスの主催する貧困撲滅キャンペーンに参加しています。国際カリタスの目的とするところは、貧困の中でも特に飢餓の撲滅で、2025年には世界から飢餓で苦しむ人を亡くそうとして取り組んでいます。日本では「五つのパンと二匹の魚」をテーマに、カリタスジャパンがキャンペーンを展開中です。

このたび四旬節にあたり、カリタスジャパンではキャンペーンの一環として黙想会を企画いたしました。

黙想会は東京で3月21日、大阪で4月5日に開催されます。一日黙想会です。東京では責任司教の私、菊地功が、また大阪では担当司教の幸田司教がお話をさせて頂き、全体のコーディネートは秘書の瀬戸神父(レデンプトール会)が務めます。

3月21日は午前10時から四谷のニコラバレで。14時半のミサで終わりです。

4月5日は同じ時間で梅田のサクラ・ファミリアで行われます。

参加を希望される方は、カリタスジャパンまでお問い合わせください。電話は03-5632-4439です。多数の方にお会いできるのを楽しみにしています。

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四旬節第一主日@新潟教会

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四旬節第一主日の今日、新潟教会の9時半のミサを一緒にいたしました。本日のミサでは、すでに新潟教区内各小教区にお願いしてある通り、東日本大震災の追悼と復興祈念の意向でささげていただくことにしておりましたので、新潟教会でもその意向を持ってのミサといたしました。残念ながら新潟教会で今年の復活の洗礼志願者はおられないと言うことで、洗礼志願式は行われませんでした。

また先日の灰の水曜日のミサに参加できなかった方も大勢おおられるので、本日もミサの間に灰の式を行いました。

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「回心して福音を信じなさい」と唱えながら、前に進み出た方の額や頭に灰を注ぎます。灰をうけることによって人間が如何に小さな存在であるのかを心に刻みます。今日の福音にあったように、イエスに対する悪魔の誘惑は、この世の栄華を見せつけて、それへの従属を促します。人間の知恵や知識へののめり込みと、この世の富への執着は、まさしく人間がその存在のむなしさを忘れて、創造主の前で尊大になっていることの証左です。誘惑を断ち切るためには、心を回して神の方を向くしかありません。今わたしたちが生きているこの社会では、一体何が礼拝されているのでしょう。神に向かって進むことができていると、胸を張って確信することができるような社会でしょうか。灰をうけ、自らの力のなさを悟る時、私たちは本当に頼るべきものは何であるのかを、あらためて考える機会を与えられています。

ところで日本のカトリック教会による東日本大震災被災地の復興支援は、今後さらに3年間、全国の教会をあげて取り組むことが決まっています。またまもなく新しいお祈りがカードになって配布されることになります。是非それぞれの教会ではこのお祈りを継続して唱えてください。

新潟教区は岩手県には秋田県が、宮城県には山形県が、そして福島県には新潟県が、それぞれの背中合わせになっているという地理的条件から、一番南の端である新潟にセンターを設けて支援をするのではなく、それぞれの地域から直接、可能な支援を行うことにしてまいりました。今後もその体制は継続します。できることで構いません。お祈りでも構いません。情報収集でも構いません。実際に沿岸部各地にある教会の拠点にボランティアに出かけても構いません。教会外の団体の活動に参加されても構いません。どのようなことでも構いませんが、常に被災地とのコンタクトを失わないように心掛けてください。そして一番大切なことですが、教会の活動であれ、教会外の活動であれ、参加される時には、キリスト者として行動しているのだという自覚だけはお持ちください。

明日10日の午後6時からは、司教団主催で、仙台の元寺小路教会でミサがささげられます。

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2014年3月 8日 (土)

新潟地区信徒大会

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新潟教区の新潟地区では、本日の土曜日、地区信徒大会が行われました。新潟地区は、新潟市が合併する前の区割りに基づいて決められていますが、新潟教会、花園教会(鳥屋野教会)、佐渡教会、白根教会、青山教会、寺尾教会、亀田教会で構成されています。新津教会は合併後の新潟市内にありますが、現在も新発田地区の所属となっています。新潟地区の現在の地区長は亀田教会の山頭師。

この信徒の集まりはもともと、第二バチカン公会議後の伊藤司教様の時代に、地区信徒使徒職協議会として創設されたものです。当時の規約をみると様々な活動の部会制度をとっていたり、各教会から5名近い代表が選出されていたりと、大きな組織であったことが窺われます。しかし時代が進み、以前と比べると活動できる信徒の人数も減少気味です。今回の大会の最初は、信徒協の総会とされ、この大所帯の規約を現状に合わせて見直す作業が行われました。これまでの部会制度を廃し、各教会からの代表も一名とするなど、スリム化が図られました。

現在教区には信徒と司祭と修道者の代表が一堂に会して教区の司牧方針などを話し合う教区宣教司牧評議会が存在します。また司祭の会議体として司祭評議会が設けられています。そのような組織の中で、地区の方向性を決定する会議体をどうするのかは、実はまだ結論が出ていません。現状では、地区宣教司牧評議会は設置するところにいたっておらず、その代わりに、地区内の司祭もメンバーとしている地区信徒使徒職評議会がその役割を担って様々な活動を行ってきました。徐々に、各地区の全体を話し合う場をどのように設けていくのかの検討を、先に進めていきたいとは思います。

Niigatachiku1402 本日、新潟教会で開催された大会には、50名ほどの方の参加でした。信徒協の総会後、私が、10月の家庭に関するシノドスとその準備のための日本司教団の回答に基づいて一時間ほどお話をさせていただきました。テーマは、年頭司牧書簡のタイトル通り、「感謝の心をもって生きる」とさせていただきました。

10月の第三回臨時シノドスに向けて各国の司教団に宛てられた短い質問書(準備文書)には、38の質問が用意されていました。テーマは「福音宣教との関連から見た家庭の司牧的問題」です。今年の臨時シノドスでは各国の回答に基づいて、一体今何が問題とされている化、その所在を明らかにする試みが行われます。そして来年のシノドスで、それに対する司牧的回答を作成しようとする、二段階の試みです。

海外で報道されていましたが、日本の司教団は回答を日本語と英語で公表しています。これはどうもドイツの司教団に続いて二番目だったようで、しかもその内容が、必ずしも明るいものではなく、以下に日本の現実が福音宣教の前に大きな壁として立ちはだかっているかを正直にしるしたものであったために、かなりの反響を呼びました。ドイツ司教団の回答もかなり厳しいものだったようです。数日前には教理省長官のミュラー枢機卿が、「いくら現実が困難だからと言って、それに合わせて教理を変更することはない」と釘を刺しておられました。

もちろん私も、現実に合わせて教会の教えを変更する必要はないと考えます。今回の日本の司教団の回答を読んで思いますが、このシノドスの議論の前提は二つあろうと思います。

一つは、現状を分析した上で、誰かを裁いたり断罪するものではないことを明確にする必要があります。日本の教会はすでに、1988年に「ともに喜びをもっていきよう」のなかで、「裁く共同体ではなく、特に弱い立場におかれている人々を暖かく受け入れる共同体に成長したい」と強調していました。

もう一つはすでに触れたように、必ずしも教会の教えを変更するのではなく、この具体的な現実の中に生きている多くの方の叫びに、教会はどのように応じていくのかを考えることの大切さでしょう。

以上のシノドスの質問書とそれに対する回答は、カトリック中央協議会の、このリンクのページからPDFファイルをダウンロードして読むことができます。ご一読を。(クリックして行き着いた中央協のページの紋章のすぐ下に、「国務省」から始まる青いタブが並んでいます。その一番右の「シノドス」という青いタブをクリックしてください)

さて新潟地区大会は、私の講演後に会場をカトリックセンターに階に移し、一緒に皆でお弁当を頂いたあと、再び聖堂に戻ってミサで終了しました。参加してくださった皆さんありがとうございます。

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2014年3月 5日 (水)

灰の水曜日、四旬節始まりました

Lent2014

本日は灰の水曜日。四旬節が始まりました。御復活祭に向けて、私たちの信仰の根本を見つめ直し、今の時代に、そしてこの社会にあって、どのような生き方がイエスの福音に従い、神に喜ばれる生き方であるのかを見つめ直す時、回心の時が与えられています。またこの時期には、イエスのいつくしみあふれる愛の業に倣って、私たちも愛のわざに励むことが求められています。

新潟教会では朝の7時と10時に、ミサがささげられました。私も10時のミサに一緒させていただきました。平日の午前中のミサでしたが、20名近い方々が参加され、灰を頭にうけて行かれました。多くの教会で、次の日曜のミサでも灰をうけることができます。

灰をうける時、司祭は、「回心して福音を信じなさい」、または「あなたはちりであり、ちりに帰って行くのです」と語りかけます。

「回心して福音を信じなさい」は、イエスがガリラヤで活動を始められた時の最初の言葉です。私たちは、この言葉を耳にする時、そもそもどのように回心するのか、福音は何なのかを知らないでいては、応える事ができません。とりわけ福音とはそもそも何なのかを知らなくてはなりません。その意味でも、この呼びかけに自信を持って応える事ができるように、四旬節の時を利用したいと思います。

「あなたはちりであり、ちりに帰って行くのです」という呼びかけは、人間の傲慢な心を鋭くいさめる呼びかけです。滅び行く私たちは結局私たちの生命の創造主である神に頼るしかすべがないのです。ところがこの世にあって人間は、自らの知恵と知識に過信して、あたかも自分たちがこの世界をコントロールしているかのような態度でいる。まさしく傲慢です。大震災の脅威は、私たちが自然の力の前でいかに小さな存在であるかを教えてくれました。私たちは、一体どこに希望をおくべきなのか、四旬節に深めていきましょう。

カリタスジャパンは本日から四旬節キャンペーンを開始いたしました。カリタスジャパンの活動は災害が起こった時など、その都度、一般の方も含めて広く呼びかけるアピール募金と、キリスト者としての愛の業の結果である四旬節募金で支えられています。近年は、大きな災害が続いていることもあり、特定の支援のために呼びかけたアピールの方に募金が集まる傾向にありますが、四旬節献金は教会の愛の行動の発露としてあるものですから、カリタスにとって重要な募金活動です。この四旬節献金がどのように使われているのか。具体的なストーリーと共に報告書が発行されています。各小教区に配布されていますし、またこのリンクからダウンロードもできますので、どうぞご一読ください

世界各地の具体的な必要にかんがみ、毎年、一億円を目標に献金をお願いしていますが、残念ながら目標に到達したことはほとんどありません。この数年はほぼ60%の達成率です。多くの方に四旬節キャンペーンに参加していただけますように、お願い申し上げます。

なお教皇様は、四旬節にあたりメッセージを発表されています。教皇様は、「貧しさ」について考察されています。そして次のように呼びかけます。

「神の豊かさは、わたしたちの富によってではなく、つねにひたすら個人や共同体としての貧しさ、キリストの霊に促された貧しさによって伝わるのです」

この四旬節に、教皇フランシスコの模範に倣い、呼びかけに応え、私たちの信仰者としてのあり方をふり返ってみましょう。

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2014年3月 3日 (月)

大震災三年にあたっての司教協議会会長談話など

Hiraga14

東日本大震災が発生してからまもなく3年となります。日本のカトリック教会は、被災地をほぼカバーする仙台教区の復興支援をこの三年間、いわゆる『オールジャパン体制』で実施してきました。震災直後の3月16日に、私と谷司教、そしてカリタスジャパンの担当者が山形市から雪の峠を越えて仙台に入り、平賀司教と小松神父と相談をして仙台教区サポートセンターを立ち上げ、その日から全国の教会をあげての被災地支援が始まりました。カリタスジャパンは国内外からの多くの方の募金を頂き、長期的な復興支援が可能となるように毎年の計画を立て、仙台教区内で展開しているカトリック教会の被災者支援活動を支えています。

先日の司教総会では、すでにお知らせした通り、この『オールジャパン体制』をさらに三年継続することが決議されました。日本のカトリック教会は、仙台教区内で展開している復興支援活動を、これからも続けていきますし、カリタスジャパンも支援を継続していきます。

もちろん、復興の主役はその地に住んでいる方々ですから、この教会の活動が決して活動の継続のための活動になってはいけません。いつかは終結させなければなりません。しかし、教会は、震災の前から仙台教区の各地にあり、震災の時を共に過ごし、そしてこれからも仙台教区の各地に存在するのですから、その意味で、カトリック教会としての復興支援活動が終わるということはありません。教会は一緒になって復興の道を歩んでいくのです。

多くの方が被災地にボランティアとして出かけて行かれました。様々な形で支援活動を続けておられる方が、全国の教会にはおられます。現地に行くことができずに、忸怩たる思いでおられる方も少なくないでしょう。実は私もその一人です。震災が発生した時は、ちょうど、新潟と札幌教区を兼任していた時でしたし、同じ頃にカリタスアジアの責任者にも選出されていました。それに加えて、カリタスジャパンの責任者でもあり、震災直後には司教団の復興支援担当にもなりました。いきおい、各地で会議が相次ぎ、現地入りする時間がほとんどとれませんでした。同時に、これまでのカリタスジャパンでの海外援助担当の経験から言えるのは、具体的な支援活動には前線での役割と後方での役割がどちらも不可欠であるということ。やはりそれぞれには役割が与えられています。体力、年齢、時間の制約で、現地入りできない方々にも、是非それぞれの役割を見いだして頂ければと思います。もちろんキリスト者として、祈りで支えることが第一。次に被災各地の情報にアンテナを広げてよく触れていくこと。そこからすべては始まるようにも思います。

司教団の復興支援担当は、全国の教会から仙台教区へ関わろうとする様々なイニシアチブの調整役と情報交換の場を生み出してきました。実際の仕事は、補佐である大阪教区の神田神父と同教区職員の濱口氏が担ってくれています。このお二人の力がなければ、『オールジャパン体制』は継続できなかったことでしょう。現在は、当初はカリタスジャパンの秘書であった神言会の成井神父も、修道会の任務でしばしば海外におられますが、その合間を縫って、復興支援担当の一員として活躍してくれています。なおカリタスジャパンからは三年目の活動報告書が、日本語と英語で発表されています。このリンクからダウンロードすることができますので、是非一度ご覧ください。カリタスジャパンにとっては、国内でこのように大規模な災害復興支援活動を行うのは初めての経験です。被災者の方々に渡される一度限りの義援金集めではなく、長期にわたって、被災地の共同体が復興するための活動を支援するというプログラムのために、多くの方の支援を頂いていることに感謝申し上げます。さらに3年、側面支援を継続します。

司教団は3月10日の午後6時から、仙台教区のカテドラルである元寺小路教会で、ミサをささげます。お時間のある方はどうぞご一緒ください。

また大震災三年目にあたり、司教団の決意を表明した司教協議会会長談話が発表されています。現在の会長は東京教区の岡田大司教です。こちらのリンクから全文をどうぞ。

談話の中にこういう部分があります。

「被災地を統括する仙台教区のサポートセンターを中心に沿岸部各地にボランティアベースを設置し、全国から駆けつけるボランティアと共に活動をしております。また日本の三教会管区(東京・大阪・長崎)も、それぞれ被災地域に拠点を設置し、仙台教区の復興支援活動を全国的規模で展開しております」

この文章にある通り、まず第一に仙台教区が中心になって、全国のボランティアの方々と活動を続けているのであり、そこに三教会管区が拠点を設けて、仙台教区を支援しているのです。 岩手県から福島県の各地で展開しているそのほかの教区が主宰する活動は、それぞれが勝手に行っているのではなく、あくまでも仙台教区という教会共同体の役割を補完するために行われていることを、私たちは心に留めておきたいと思います。

もう一つ談話の最後に重要な指摘があります。

「わたしたちはその中で、神の賜物であるいのちを守る信仰者の立場から、原発の即時廃止を呼びかけ、同時に「何よりも神から求められる生き方、つまり『単純質素な生活、祈りの精神、すべての人々に対する愛、とくに小さく貧しい人々への愛、従順、謙遜、離脱、自己犠牲』などによって、福音の真正なあかしを立てる務め」の重要性を説き、社会のあり方の見直しを提言しました」

福島の原発事故をうけて、司教団は信仰者としての倫理的立場から、日本社会の進むべき方向性を明確に示したつもりでおりました。もちろん、原発の即時廃止には様々な現実的利害をはじめ解決すべき課題、そして技術的挑戦が多々あることは重々承知しています。しかし基本的な方向性は原発の廃止だと考えているのです。そしてそれは、私たちの生活自体を信仰の立場から見直す必要性があることをも司教団メッセージは指摘していました。そこに手をつけずに、代替エネルギーをどうするのかという議論をしても、結局は何も変わりません。そして会長談話が指摘する通り、残念ながらあの司教団メッセージの願いは現実化する方向からだんだんと乖離していくように思われます。

新潟教区では、3月9日の日曜日のミサを、被災者の方々のため、復興のため、そして亡くなられた方々のためにささげましょう。

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2014年3月 2日 (日)

三月は卒業式シーズンです@秋田、そして人事異動

三月となりました。そろそろ春の気配を感じたいものですが、新潟教区内はまだ冬です。3月1日は秋田にある聖霊短期大学附属高等学校の卒業式でしたので、出かけてまいりました。

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前日の午後に電車で秋田へ移動。そのまま聖体奉仕会に宿泊。写真の通り、聖体奉仕会のあるあたりは、少し小高い丘になっているので、まだまだ雪に囲まれておりました。幸いにも道路は聖体奉仕会前まで除雪されているので、車の出入りが可能です。

聖体奉仕会で朝7時のミサを済ませてから、秋田市内の聖霊高校へ。10時からの卒業式です。昨年は、秋田市内も凄まじい雪で、聖霊高校の校舎周りも大変な積雪でしたが、今年は打って変わって少ない雪。それでも寒さは厳しい。

卒業式の会場は体育館です。170名の生徒さんたちが卒業されました。皆さんおめでとう。卒業生全員、一人ひとりの名前が読み上げられ、そして一人ひとりに卒業証書が手渡されました。在校生代表も卒業生代表も、スピーチは立派でした。私も、折原校長先生の式辞に続いて、祝辞を述べさせて頂きました。

秋田の聖霊高校の卒業式は、静寂の内に粛々と進行するのが特徴ですが、それを一番よく現すのは卒業生の退場。何となく威勢のいい行進曲でもかかりそうなものですが、ここでは静かなピアノ独奏曲。ショパンのノクターン。さすがに卒業生退場でも、拍手で送り出すなんて事はありません。

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卒業式後は聖体奉仕会にもう一泊して、日曜の朝のミサを一緒にしたあと、秋田教会へ。主日のミサを司式させて頂きました。主任であった永山神父が1月1日から神言会日本管区長に就任したため、現在は土崎教会の飯野神父が兼任です。一緒にミサをいたしました。写真は秋田駅方面から見た秋田教会。千秋公園の池が凍結してますが、その先に、三角形の屋根が見えると思います。これが秋田教会聖堂です。寒いけれど晴天の日曜日の朝。聖堂は信徒の方で一杯でした。

さて新潟教区の新年度の人事が昨日発表になっています。今日の秋田教会のミサ後にも、4月からの新しい主任司祭の名前が発表されていました。以下に、人事をしるしておきます。任命は一部を除き4月1日付です。新しく新潟教区へ来られる神父様、どうぞよろしくお願いします。また他教区へ移動される神父様方、これまで本当にありがとうございました。感謝するとともに、新しい任地でも良い働きを。

秋田地区

  1. 秋田教会主任 アンヘル・ペラルタ師(神言会、現在吉祥寺教会)
  2. 能代教会主任 フェリックス・ロボ師(神言会、現在長崎の西町教会)
  3. 秋田教会助任 ヨセフ・ホー・ショウフェン師(神言会、新司祭、7月着任)

山形地区

  1. 鶴岡教会・酒田教会主任 伴八郎師(神言会、現在能代教会)
  2. 米沢教会主任(長井巡回) マルティヌス・パリヤント師(イエズスマリアの聖心会、現在日立)

教区外へ転出

  1. フランシスクス・スリ・ワルヨ師
  2. 川又巳三男師
  3. パヴォール・フィラデルフィ師
  4. ルイス・フェルナンド師 

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