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2014年9月28日 (日)

司牧訪問@白根教会

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今日の日曜日は、新潟市南区にある白根教会を司牧訪問。ミサ中に、堅信の秘跡を二人の方が受けられました。

白根教会の担当は、亀田教会の山頭神父が兼任。そのため日曜ミサは午後の1時半から。新潟市内中心部からは長岡方面に向かう国道8号線をひたすらまっすぐに下っていきます。中央区にある司教館から、私の車で45分弱。途中は左右が田んぼに囲まれている地域なので、道路はひたすらまっすぐです。今日は新潟も午後には27度台に達し暑かったこともあり、強い日差しの午後で、左右にあまり建物がない真っ平らな田園地帯をひたすらまっすぐに下ると、病院や店舗が道の左右に現れてくるあたり、なにやら雰囲気だけは、ガーナの北部をひたすら走っている時を思い起こしてしまいました。

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白根教会の隣は幼稚園。幼稚園の方が先にできて、後に高藪神父が教会を建設したのだとか。献堂は1981年です。今年に入って聖堂正面むかって左側にあった玄関を閉鎖し、(すでに反対側に幼稚園既設の玄関があったため)ここにみんなで座れる部屋を設置。これでミサ後にも集まった信徒が座ってお茶を飲む場ができました。

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小さな共同体です。それでも、声の大きい山頭師に先導されて、とても元気の良い成果が響くミサでした。冒頭に触れたように、ミサ中には二人の方が堅信の秘跡を受けられました。おめでとうございます。ミサ後には、新しくできた部屋に皆で座り、ケーキを頂きお茶を頂いてしばし歓談。白根教会の皆さんありがとうございました。

今日は教皇様の意向でまもなく開幕するシノドスのために祈る日でした。今日だけではなく、続けてシノドスの成功のためにお祈りください。また次の日曜は、これも教皇様の意向に沿って、特にイラク北部やシリアなど聖地を含む中東における平和のために祈る日です。

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2014年9月27日 (土)

柏崎カトリック白百合幼稚園園舎竣工式

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新潟県の柏崎市にある柏崎カトリック白百合幼稚園では、昨年から進められていた園舎の改築工事が完了し、本日午前10時から、竣工式と祝賀会が行われました。

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幼稚園はカトリック柏崎教会と隣接し、フランシスコ会が司牧を担当。長年主任を務めるイタリア出身のレオ・バッシ神父が、園長も務めています。バッシ神父はすでに90歳ですが、まだまだ元気。しかも若い頃から設計の仕事をしてきたので、今回の園舎も大まかなアイディアはバッシ神父のものです。その分、バッシ師の指示に従いながら具体的な設計をされた村田建築設計事務所さんには大変なご苦労であったと思います。

園舎の写真。一番上は今回の新しい建物。その次にある写真は2008年の白百合幼稚園園舎です。一体どこが違うのか。多分通りすがりで園舎を目にする方は、綺麗になったなとは思われるかも知れませんが、それが全く新しく建てられた建物であることには気がつかないかも知れません。デザインはオリジナルの40年以上前の旧園舎と同じ。バッシ神父がいろいろと理由を述べられていましたが、これまで愛されてきた園舎の記憶を大切にしたいとのこと。ただし、デザインは変わらなくとも、全体的なサイズは大きくなり、内部もかなり広くなりました。

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園舎は2007年の中越沖地震の際にやはり影響を受け、その後の耐震診断の結果、補強が必要とされていました。軟弱な地盤でもあり、かなり深くパイルを打ち込んであったそうですが、それでもかなりの影響を受けたようです。そこで様々な関連を考慮して熟慮した結果、新たに認定こども園として保育的機能も必要となることから、全面的に建て替えることを決めたものです。今回はさらに深くパイルを打ち込み、バッシ神父に言わせると、どんな地震が来てももう大丈夫とのこと。

柏崎は東京電力の原子力発電所がある町ですし、津波の被害も考慮しなくてはならないため、園舎中央の2階には、災害時の避難設備も設けられています。

竣工式は私の司式して祈りを行い、その後柏崎市の大倉政洋教育長の祝辞を頂き、村田設計さんと施工にあたられた東北工業さんに感謝状の贈呈。その後園児たちのすばらしい発表会がありました。年中組の合奏と歌、年少組の手旗ダンス、そして年長組の歌と合奏。すばらしい出来でした。

その後会場を近くの産業文化会館に移し、祝賀会。柏崎市の近藤拓郎子ども課長や市内の花ぞの幼稚園廣田文雄園長にご挨拶をいただきました。会食の間には柏崎市吹奏楽団のすばらしい演奏。久しぶりにブラスの音色を聞きました。

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町内会長さんからもご挨拶を頂いた後に、再び吹奏楽団が「フニクリフニクラ」を演奏。これに合わせて幼稚園の先生たちと、マリオ神父が歌いました。

終わりにバッシ神父の挨拶。40年前の園舎建設も東北工業。今回も東北工業。なぜならば、じぶんはもともと船の設計を学んだが、東北工業ももともとは造船から始まったからと説明。そして今回の建物は頑丈なので、「500年後」に次を建てる時にも東北工業にしようと結ばれました。バッシ神父様、先生方、園児と保護者の皆さん、おめでとうございます。

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2014年9月24日 (水)

前田万葉大司教、大阪に着座

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すばらしい秋晴れに恵まれた昨日23日、これまで3年間広島教区司教を務めてこられたトマス・アクイナス前田万葉大司教が、大阪教区大司教として着座されました。着座式は玉造のカテドラルが改修工事中のため、近くにあるマリア会が運営に携わる大阪明星学園のマリアンホールで行われました。着座式には、大阪教区は言うに及ばず、広島教区や、前田大司教の出身地である長崎教区からも多くの方が参加され、二千人以上で会場は一杯でした。マリアンホールに入りきれなかった方々は、階下にある体育館において、モニターを見ながらの参加でした。

着座式は叙階式とは異なり、秘跡としての叙階の儀がありませんから、割合とシンプルに進行しました。ミサの最初に司式は司教協議会会長でもある東京の岡田大司教が務め、ミサを始めました。その後、不在の教皇大使に変わってヘルボイエ・シュクルレッツ臨時代理大使が挨拶。これが、よく練習したと思いましたが、日本語でした。ヘルボイエ師はクロアチアの出身です。

その後、着座式で一番重要かもしれませんが、教皇フランシスコの直筆のサインがある任命書の朗読。任命書は特殊な紙(どうも羊皮紙らしい)に非常に美しい装飾文字で書かれています。そして、一番下には教皇のサインがあるのですが、これがまた教皇フランシスコの姿勢を表現しているのか、非常に細かく小さい。

ラテン語で書かれたこの任命書を、まず教区の司祭団と集まった信徒の方々に、本当に存在するのだと示さなくてはなりません、そのあとに、日本語訳が神田事務局長によって朗読されました。

その後、池長大司教の感謝の言葉に続いて司教の杖(バクルス)が、池長大司教から前田大司教に手渡されました。そして前田大司教が着座。大きな拍手に迎えられて、新しい大阪教区大司教の誕生です。

ミサはここから前田大司教が司式。その横には池長大司教と松浦悟郎補佐司教がつきました。

説教は前田司教。実はスピーカの関係で、ステージ上にいた私たち司教には余りよく聞こえなかったのですが、しかし、前田大司教がモットーにしている「仕えられるためではなく、仕えるために」ではなく、彼自身の常なる決意表明の言葉でもある「お言葉ですから、網を下ろしてみましょう」というペトロの言葉についてのお話であったと思います。長年、長崎教区の小教区で働いていた前田師が、突然、中央協議会の事務局長に任命され、それが終わってやっと小教区に戻れると思いきや今度は広島の司教に。広島にやっと慣れた思った3年目に今度は大阪へ。常に未知への挑戦です。その大きな挑戦を、「お言葉ですから、網を下ろしてみましょう」という、主への深い従順を持って受け入れられてきた前田大司教の信仰の深さが言葉になりました。

前田大司教様、おめでとうございます。そして池長大司教様、18年間本当にご苦労さまでした。

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2014年9月21日 (日)

司牧訪問・ダブルヘッダー@直江津&妙高

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今日の日曜日、年間第二十五主日は、新潟県の上越市にある直江津教会と、妙高市にある妙高教会の二カ所を、司牧訪問してきました。妙高教会は同じく上越市にある高田教会の巡回で、直江津と高田と妙高の主任はフランシスコ会のフーベルト神父が兼任しています。高田教会には協力司祭として同じフランシスコ会の続橋神父や教区の高藪神父もおられます。

今朝は朝6時半にくるまで司教館を出発。ナビの到着予定でも余裕を持って北陸高速道路を移動。二時間で直江津教会に到着。主日のミサは朝9時からです。様々な行事のため、また午後から別に英語ミサがあるため、ミサ参加者は20名ほどでした。フーベルト神父と一緒に。ミサ後には、信徒の方々と茶話会での自己紹介に続いて一緒に昼食を。

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そのまますばらしい秋晴れの中、国道を長野方面へ移動。一時間ほどで妙高高原にある教会に到着。赤倉温泉の近くです。このミサには高田から続橋神父がやってきました。妙高でも様々な行事がある模様で、午後2時半に始まったミサへの参加者は少なかったものの、それでも20名ほど。ミサ後にはお隣の妙高山荘で信徒の方々としばらく茶話会。

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どちらのミサも、立派なオルガンの伴奏つきで荘厳な歌ミサでありました。帰りの北陸高速道路は日曜の午後でかなり混んでましたが、それでも夕刻、6時過ぎには司教館に帰着。

囚われの身にあってもなお、生き続けて、福音のあかしをしようとする使命感と、自らの天国での喜びへの信仰における期待の二つを眼前にして、それでも福音をあかしすることを選択するパウロの凄まじいまでの宣教への熱意。人間的常識では捕らわれることによって、積極的な活動には終止符が打たれたも同然と考えるのですが、しかしそのような状況の中にあってもパウロは前向きなあかしへの可能性を見いだすのです。私たちも、困難な状況にめげてしまうのではなく、どんな厳しさの中にあっても、前向きな可能性を見いだしていきたいと思います。

そして今日の福音の語ることの難しさ。賃金が労働の対価だと考えれば、何ともイエスの語る話は理不尽ですが、神は自らが創造した生命が良く生きるために努力を続ける限り、それにはすべて等しく報いたいという神のいつくしみを感じることもできます。だからこそすべての生命がよりよく生きることのできる社会環境を生み出していくことも、私たちの使命の一つであろうと思います。神が愛おしく思う一つ一つの生命を、私たち自身も愛おしく思うことができるように。

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2014年9月20日 (土)

この10年に感謝

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今日、9月20日は韓国の殉教者聖アンデレ金と同志殉教者の祝日ですが、私にとっても意味深い日であります。2004年9月20日、私は新潟の司教として叙階を受けました。ですから今日でちょうど司教職10周年であります。

この10年間、あっという間でもありましたが、様々なことがありました。途中で4年間は札幌教区と兼任という経験もさせていただきました。10年が経ちましたが、未だに日本の司教団では、年齢的に一番若いと言うことが不思議です。若くて経験もない私が、曲がりなりにも新潟教区司教として10年間務めることができたのは、教区の司祭団を始め、修道者、信徒の皆様のお祈りと助力のおかげです。神様と、そして皆様の助けと導きに心より感謝申し上げます。またこれからも少しでもより誠実に教区司教職を果たすことができるように、お祈りをお願い申し上げます。

なお司教10周年を記念して、12月に聖地巡礼を考えています。(9月に予定していたロシア巡礼は、残念ながら成立しませんでした)。12月6日出発で14日帰国の9日間。大韓航空を利用する予定ですので、新潟空港からも出発いただけます。受託販売取り扱いは横浜の信徒の方が経営する「パラダイス」です。関心のある方、是非早めにお問い合わせください。「パラダイス」の電話は、045-580-0023で担当は村上透さんです。是非ご一緒ください。

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2014年9月18日 (木)

広島へ

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火曜日の東京でのカリタスジャパンの会議終了後、カリタスジャパン事務長の田所氏と一緒に、広島へ飛びました。8月20日に広島市の安佐南区や安佐北区を襲った集中豪雨による土砂災害では、73名の方が生命を奪われ、未だに1名の方が行方不明と報道されています。広島教区ではカリタス広島災害サポートセンターを開設し、安佐南区にあるイエズス会担当の祇園教会にボランティアベースを設けて、地元の社会福祉協議会との連携の中で、ボランティア派遣を行っています。詳しくはこちらのブログを

カリタスジャパンでもその活動を支援するために、支援活動のための募金を受け付けておりますが、ガンバの様子を知るために、広島へ出かけていました。

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昨日水曜日の朝、今回の災害サポートセンター担当の原田師と前田大司教と一緒に、まず祇園教会へ出かけ、その日の活動に参加するボランティアの皆さんに挨拶。その後、小教区で主任の加藤神父から状況をうかがいました。その後ご自分も被災された信徒の方に案内されて、その方の家がある地区へ向かいました。本当に急な山の斜面の開発されている住宅地で、裏山の高いところから筋状に幾つも土砂崩れが起きていました。開発と行っても近年のものではなく、すでに40年以上も前に開発されているところですから、確かに裏山の沢筋に砂防ダムが必要だという話はあったとは言え、このような大きな土石流が発生するとは誰も想像していなかったようです。

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訪れた地区では、多くのボランティアの方々が清掃作業に、また他県から派遣されている消防隊員が、未だに土砂に埋まっている家の片付け作業にあたっておられました。また住宅街裏の斜面では、国土交通省が大きな土嚢を積んで仮設の砂防ダムを建設中でした。

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この地域の土はサラサラな砂のような土で、これがそこら一帯に堆積して凄まじいほこりを舞い上げていました。斜面に横に細く広がる住宅街のすべてが被害を受けたわけではなく、細く上下に流れる幾つもの土石流に遭っているので、この家は大丈夫だがすぐ隣が全壊とか、押しつぶされた家が左右に広がって、両脇の家をさらに押しつぶしたとか、被害に遭われた家は凄まじい状況でした。ちょうど消防隊員が片付け作業をしている家の前に、その家の方がおられ、真っ暗な中で、状況がはっきりとわからないなかで家が押しつぶされた時の恐怖を語ってくださいました。その後主人が笑顔になったのは、大きな石に押しつぶされた玄関前の愛車の中から、消防隊員が愛用していた釣りの道具を無事に見つけてくれた瞬間でした。

被害がなかったり少なかった家でも、やはり今後の大雨で同じような土砂災害が発生するのではないかという恐怖が大きく、安心して住むことができないという声も聞きました。

現場には各地から多くのボランティアが入り、活動している姿が印象的でしたが、東北の大震災以降、すぐに現場に入ろうとする人たちが増えているのと、同時に行政と比較してもよっぽど災害に対する経験を豊富に積んだ、いわば「プロのボランティア」が増えているという印象も受けました。交通の便の良い都市での災害に発生に際して、調整役となる行政と、「プロのボランティア」との早い段階での連携と協力が、これからの災害対応には不可欠だと思います。

ある程度の時間をかければ土砂災害の、いわゆる後片付けは終了するでしょう。しかし住民の方の心に刻み込まれた恐怖体験は消えるものではないだろうと、感じさせられました。広島教区の支援活動は、現場尾必要に応じながら、まだしばらく継続される予定です。

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2014年9月15日 (月)

長岡の宣教100周年

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本日9月15日は、新潟県の長岡教会で、宣教100周年のミサと祝賀会が行われました。100年前に神言会の宣教師が新潟から長岡にやってきて宣教を始め、その後幾多の困難を乗り越えて、1929年には福住に教会が献堂されました。戦後は神言会からフランシスコ会ボローニャ管区に宣教司牧が移管され、1963年に表町教会がフランシスコ会修道院付属聖堂として献堂。その後表町教会として発展していきました。

二つの小教区は線路をはさんで近接していることや、フランシスコ会員が長岡教会から撤退を決められたことから、信徒の方々との話し合いを経て、今年の初めに二つの教会は合併し、現在の長岡教会(聖堂は表町)が誕生しました。現在の主任司祭は神言会の上村勉神父です

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100周年ミサには、神言会の管区長や東京地区長を始め、長岡出身の司祭も駆けつけ、信徒の方々もあの聖堂によく収容できたなと感心しましたが、300名を超える方々が参加されました。また一昨日から妙高教会で黙想会を行っていた青年たちも、指導の暮林神父(神言会、神学生養成担当)と一緒に参加してくれました。長年この教会で主任を務め、現在は糸魚川教会で主任を務めるブルーノ神父の感謝の言葉には、多くの参加者が感動したことだと思います。

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ミサ後には近くのホテルに会場を移して祝賀会。出身の司祭(後藤、神林、大橋)によるお話やマリオ神父の熱のこもった話もあり、また新発田教会のフィリピン出身信徒の方々の歌と全員でのアーメンハレルヤ。ホテルが提供してくれた料理もちょうど良く、楽しい時間を過ごすことが出来ました。長岡教会の皆様、おめでとうございます。

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福岡へ行ってきました

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日本カトリック正義と平和協議会の全国集会に参加するために、福岡へ一日だけ行ってきました。全国集会自体は三日間の日程でしたが、私はカリタスジャパンが担当する分科会のある日、すなわち昨日の日曜だけを参加させていただき、夜の飛行機で東京へ出て宿泊。そして今朝は新潟県の長岡教会で行われた宣教100周年行事に参加いたしました。

正義と平和協議会は、「協議会」と銘打っているだけあり、特定の任命された人たちだけのクローズドな集まりではありません。信仰に基づいて神の望まれる世界を生み出すための努力をしている人たちは誰でもそのメンバーであると言えるでしょう。したがって、正平協の全国集会は、なにかメンバーがすべて集合する「総会」のような類のものではなく、開催される教区に主眼を置いた情報提供の場と日頃異なる現場で活動に取り組んでいる方々の交流の場でもあります。

そのため正平協と一緒に社会司教委員会を構成しているカリタスジャパンなど他の委員会も、同じ目的を持って活動しているのですから、教会の正義と平和の活動に包括されるという意味で、分科会などで一緒に参加させていただいてきました。

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今回二日目は日曜日でしたので、松浦吾郎司式の主日のミサで始まりました。これには平賀司教と私の3司教と、多くの司祭が一緒に参加し、カテドラルである大名町教会の聖堂は、三階席(聖堂が二階)も含めて一杯でした。ミサの説教は、この日のミサ後に講演も行った神言会のシーゲル師。「ぴったりした生き方、ありかた」というシーゲル師の話には興味深いものがありました。正義というと何か独善的な感じがするが、それは例えば英語のJusticeを見るとわかるように「ジャスト」という言葉、つまり「ぴったりしている」という意味を含んでいる。したがって、神が一人ひとりに与えた望まれる生き方に「ぴったりしている」状態を実現するのが正義である。そんなお話でした。

カリタスジャパンは午後の分科会で、世界の貧困問題について私がお話しさせていただきました。1時半から始まって4時まで、質疑応答もありましが、私はかなり長くお話をさせていただきました。あの類の話を、以前は南山大学の「人間の尊厳」というテーマ科目の一環として、週1回90分を7回くらいで話しておりました。それを1回にまとめたので、早口で申し訳なかったと思います。

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2014年9月13日 (土)

福岡に来ています

正義と平和協議会の全国集会が、本日から3日間、福岡で開催されています。カリタスジャパンは明日の午後の分科会で、世界の貧困問題についてを担当いたします。そのためにさきほど、夕方に新潟を出て、9時近くに福岡にやってきました。明日は午前9時半からカテドラルの大名町教会でミサがあるそうですから、それに参加するつもりです。その後シーゲル師の講演会もあるようですから、聞いてみましょう。分科会は午後1時半から。カリタスジャパンは大名町教会が会場のようです。おいで下さい。現在、国際カリタスが中心となって世界のカリタスが連携して行っている、反貧困のキャンペーンである飢餓撲滅キャンペーンに関連して、世界の貧困についてお話ししようと思います。国際カリタスでは2025年までに、世界から飢餓を撲滅しようと、世界の政府に積極的な政策実現を働きかけています。

ところで先ほど、ローマ時間のお昼に、教皇フランシスコから任命を頂きました。福音宣教省のメンバー(委員)が20名ほど任命されました。その中に私も含まれております。すでに国務省から送付されていた任命書によれば、その任期は5年です。私個人にとっては、開発援助促進評議会(Cor Unum)のメンバーに次いで二つ目のメンバーですが、評議会と省では重みが違うのやもしれません。

福音宣教省は、以前はプロパガンダ・フィデと呼ばれてましたが、現在の英語名称はCongregation for the Evangelization of Peoplesで、中央協のホームページには「東方教会省所管地域を除く全世界の福音化、および宣教への協力を指導、調整する」とあります。日本の教会もその管轄下にありますが、日本の教会が一番関係するのは、新しい司教の任命だろうと思います。日本の司教の任命を管轄しているのが、福音宣教省です。福音宣教省のメンバーはほとんどが枢機卿さんたちで、端くれの司教の私にどんな役割があるのか想像ができません。しっかりと役割を果たすことができるように、お祈りください。

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2014年9月 9日 (火)

「平和のために祈る日」(10月5日)

イラク北部の人たちが直面している危機的状況を憂慮されている教皇フランシスコは、様々な機会に和平を呼びかけていますが、事態はなかなか改善しません。8月7日に教皇は全世界の教会に対して、教皇とともに和平のために祈ることを求められました。これを受けて各国の司教団はそれぞれの国で、平和のために祈る特別の日を設けて、共同体の一致した祈りの力を持って平和が訪れるように行動することになりました。

先日の常任司教委員会で話し合った結果、日本の教会では、教皇の呼びかけにこたえて、平和のためにも祈ったアシジの聖フランシスコの祝日の翌日、来る10月5日の日曜日を、日本における「平和のために祈る日」とすることにいたしました。

別途あらためてお知らせしますが、新潟教区のすべての小教区、修道院では、10月5日の日曜日のミサを、教皇様の意向に合わせて平和のために捧げてくださるようにお願いします。

なおこの日のために祈りが作成されています。これも別途送付いたしますが、参考のために掲載します。他の機会にも使うことができるようになっており、また全員で唱える祈りと、共同祈願の形式の両方が用意されています。どちらを使って10月5日に祈るかは、主任司祭にお任せします。「激し戦闘が続く国や地域、特にイラク北部」と入れて今回はお使いください。

 

平和を求める祈り

 

 

平和の源である神よ、

 

今なお激しい戦闘が続く〇〇〇(国や地域の名を加える)では、

 

平和を望む多くの人が犠牲となっています。

 

苦しむ人、虐げられている人を支えてくださるあなたに祈ります。

 

国々の指導者を正しく導き、

 

憎しみではなく愛を、争いではなくゆるしを、

 

分裂ではなく一致を求める心をお与えください。

 

住む家をなくし、恐怖と不安の中での生活を強いられている人々を力づけ、

 

心と体に安らぎをお与えください。

 

すべての人に、争いや暴力を退け、

 

平和を実現しようとする強い意志をお与えください。

 

いつくしみ深い神よ、

 

この世界に聖霊を豊かに注ぎ、

 

敵対する人々の心から怒りの炎を消し去り、

 

絶望にあえぐ人々の心に希望の火をともしてください。

 

あなたが望まれる和解と平和が、一日も早く実現しますように。

 

わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

 

 または

 

先唱 平和の源である神よ、

 

今なお激しい戦闘が続く〇〇〇(国や地域の名を加える)では、

 

平和を望む多くの人が犠牲となっています。

 

苦しむ人、虐げられている人を支えてくださるあなたに祈ります。

 

一同 神よ、平和のたまものをすべての人に。

 

先唱 国々の指導者を正しく導き、

 

憎しみではなく愛を、争いではなくゆるしを、

 

分裂ではなく一致を求める心をお与えください。

 

一同 神よ、平和のたまものをすべての人に。

 

先唱 住む家をなくし、恐怖と不安の中での生活を強いられている人々を力づけ、

 

心と体に安らぎをお与えください。

 

一同 神よ、平和のたまものをすべての人に。

 

先唱 すべての人に、争いや暴力を退け、

 

平和を実現しようとする強い意志をお与えください。

 

一同 神よ、平和のたまものをすべての人に。

 

先唱 いつくしみ深い神よ、

 

この世界に聖霊を豊かに注ぎ、

 

敵対する人々の心から怒りの炎を消し去り、

 

絶望にあえぐ人々の心に希望の火をともしてください。

 

   あなたが望まれる和解と平和が、一日も早く実現しますように。

 

わたしたちの主イエス・キリストによって。

 

一同 アーメン。

 

201494日 常任司教委員会承認

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2014年9月 8日 (月)

見附教会訪問

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昨日の日曜日は、新潟県の見附市にある見附教会を司牧訪問してきました。見附教会には隣接して幼稚園や児童養護施設等があります。主任司祭は新潟教区の真壁神父。

9時から始まったミサには、近隣の町で研修生などとして働く多くのフィリピン出身信徒も参加してくださり、聖堂の半分以上、30名を超えていたのではないでしょうか。それほど広くはない聖堂は一杯になり、元気の良いミサでした。また真壁神父が兼任している長岡市の栃尾教会の信徒の方々も、一緒に参加してくださいました。栃尾教会は小さな共同体で高齢化が課題ですが、信徒の方によると、近頃は「祈りの成果が出たのか」洗礼を受ける人も現れ、少しずつ前に進んでいるとのこと。お祈りの力に感謝。

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ミサは、信徒の方のリクエストで、ミサ曲にラテン語の天使ミサを歌いましたが、先唱部分を私に歌えとのリクエスト。司教座の新潟教会でも大きな祝日には使われるのでしばしば耳にはしていましたが、自分で先唱して歌うのは久しぶりですし、そもそもミサの司式者が先唱をすると言うのもどうかと。確かに40年前に名古屋の小神学校に入った当時は、日曜と他に週に2度ほどラテン語のミサがありましたし(もちろん現在の通常の典礼で朗読や説教以外はすべてラテン語)、その後、司祭になるまでずっと神学院の聖歌隊にいたので、グレゴリアンを歌うこと自体はやぶさかではないのですが、歌うのであればそれなりに練習が不可欠であろうとも思います。40年前には、それほど毎週ラテン語ミサを行っていながら、週に一時間程度の練習でも追いつかなかったのですから、よっぽどの練習が必要だと思います。

40年前と言えば、それほど久しぶりに、当時の小神学校の後輩と再会しました。見附出身で、現在は東京で働いておられるとのこと。声をかけられて、顔を見て、すぐに気がつきました。懐かしい思い出話をさせていただきました。

ミサ後には茶話会と、司教への質問会。いろいろと質問を頂きましたが、ちゃんと返答になっていたかどうか。見附教会の皆さん、ありがとうございました。

ところで9月になって時間が過ぎてしまいましたが、今月の主な予定を。

  • 9月8日 月曜会ミサ(新潟)
  • 9月14日 正義と平和協議会全国大会で分科会(福岡)
  • 9月15日 長岡宣教100周年ミサ(長岡)
  • 9月16日 カリタスジャパン会議(東京)
  • 9月19日 仙台教区サポート会議(福島)
  • 9月21日 直江津、妙高教会訪問(上越)
  • 9月23日 大阪教区着座式(大阪)
  • 9月27日 柏崎幼稚園園舎竣工式(柏崎)
  • 9月28日 白根教会訪問(新潟)

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2014年9月 5日 (金)

初金のミサを寺尾教会で

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今日は初金でしたが、新潟市内の寺尾教会で午前10時からミサ。主任司祭は町田神父です。つい先日、6月に訪問したばかりですが、前回できなかったことをするために今日は出かけました。

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寺尾教会ではこれまで聖堂内にあったパイプオルガンが老朽化したことから、新しく電子オルガンを購入されたのですが、これの祝別。電子オルガンと言っても、足ペダルもフルであり鍵盤も二段でそれぞれ豊かなストップのある専門的なオルガンです。

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そして、それと同時に、6月に訪問した時とは打って変わった聖堂の、特に祭壇の祝別をいたしました。というのも、これまで寺尾教会は屋根の向きに対して、どちらかというと横向きになって祭壇が配してありました。そのため、いわば軒下気味の所に祭壇がおかれ、聖堂入り口も祭壇から見て右横にあるレイアウトです。(写真上は、以前の寺尾教会聖堂)

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これを今回、屋根に沿って90度回転させて、新しく内陣を制作して祭壇を移したのです。これで祭壇から見ると聖堂入り口が正面になりました。そこで今日はミサの最中に新しく据えられた祭壇を祝別。(上の写真が以前の祭壇があった場所を今回の新しいレイアウトでみています。写真左の壁際に以前は祭壇がありました)

平日の昼間のミサで、しかも大雨でしたが、30名以上の方が集まってくださいました。ミサ後にはカレーの昼食会。昼食会の最後に、皆さんが私が神学生の頃に作曲した歌を歌ってくださるというので、新しいオルガンを弾かせていただきました。

また今日は隣接するノートルダム幼稚園も訪問し、園児の皆さんの顔を見ることもできました。

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2014年9月 3日 (水)

香港での司教叙階式

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今回の一連の海外出張の一番最後は、既出ですが、香港での司教叙階式への参加でした。香港はバチカンにとって、今後の中国本土との関係構築のための最前線として重要な司教座です。そのため、教区長は大司教ではなく司教であっても、枢機卿に任命されてきました。

現在の湯漢(Tong Hon)枢機卿は今年で75歳になられましたが、引退願いを教皇に提出したところ、あと3年間の継続を命じられたとのこと。同時に3名の補佐司教が任命されました。湯枢機卿自身、1996年に香港の補佐司教に任命された方で、このときは一緒に協働司教として、湯枢機卿の前任である陳日君(Zen Zekuin)枢機卿も叙階されました。ですから、3年後には、今回叙階された3名のなかの誰かが、香港司教に任命されるのではないかという観測が流れています。

さて8月30日の午後3時から始まった3名の司教叙階式は、香港のカテドラルが一杯になり、さらに隣の香港カリタスのホールも一杯になったので、二千人近くが参列したものと思われます。祭壇の後ろには100名を超える司祭団が共同司式。大変に荘厳な叙階式は、結局3時間ほどかかりました。

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叙階されたのは香港教区司教総代理のマイケル楊(Yeung)司教(上の写真の左端)、フランシスコ会員のヨゼフ夏(Ha)司教(上の写真の右端)、そしてオプスディ会員のステファン李(Lee)司教(上の写真の右から二番目)の三名。このうちマイケル楊司教が、長年香港カリタスの責任者(Chief Executive)を務め、現在は私と一緒にカリタスアジアのRegional Commissionのメンバーであることから、カリタスアジアを代表して参加させていただきました。(上の写真の中央が湯漢枢機卿)

しかし今回私が参加したことで、東アジア各国の司教が、ずらりと揃うことになりました。というわけで、司教叙階式を司式した司教団の面々は・・・。

主司式が湯漢枢機卿。そして陳日君枢機卿(香港名誉司教、サレジオ会員)、韓大輝大司教(Hon Tai-fai福音宣教省次官、サレジオ会員)。この三名は香港の方々です。そこに加わったのは、洪山川(Hung Shan-chuan台北大司教、神言会員)、狄剛(Ti Kang台北名誉大司教)、黎鴻昇(Lai Hung-sengマカオ司教)、フランツ・ヨゼフ・オーバーベック(Overbeckドイツ、エッセン司教)、劉修一(Yu Soo-il韓国軍教区司教、フランシスコ会員)、イグナチオ・ワン(Wangサンフランシスコ名誉補佐司教)、そして私です。「名誉」というのは引退していると言うことです。ちなみに香港では「栄休主教」と呼んでいました。これで香港、マカオ、台湾、韓国、日本と東アジアが揃いました。エッセン教区は香港と姉妹教区、そしてサンフランシスコのワン司教は、米国人ですが初めての中国系司教とのことです。

中国文化ではお祝いのカラーは赤ですから、司教叙階式も赤の祭服で行われました。前記事のビデオを見ていただくとよくわかりますが、翌準備され荘厳でありました。参加した司教には全員それぞれ一人ずつサポートする侍者が配置され、どこでどうするも、このサポート役侍者が指示してくれるというありがたさ。

ミサの終わりには、湯枢機卿と三名の新しい補佐司教が、カテドラル内に埋葬されている前任の司教たちの墓に花をささげるという儀式も。

終了後は隣の高校のホールに移ってお茶会。その後司教団と受階者の家族だけで、カテドラル裏手にある、香港教区所有のホテルで夕食会。三名の補佐司教様、おめでとうございます。そして中でも楊司教には、カリタスアジアを代表して心からお祝い申し上げます。

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さて今回の香港訪問では、香港カトリック日本人会の方々と、指導しておられるメリノール会のアダム神父様に大変お世話になりました。空港に出迎えていただき、初日は一緒に夕食へ.そして叙階式の次の日。日本へ帰る予定が午後便であったのでちょっとバタバタしてしまいましたが、日曜であったことから市内のセントマーガレット教会にてミサを一緒にすることができました。時間が短くて申し訳ありませんでした。次回は是非、しっかりと余裕を持って、日曜日のミサを一緒にさせていただければと思います。

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2014年9月 2日 (火)

香港で司教叙階式に参加

スリランカからの帰り道、香港に立ち寄り、8月30日に行われた香港教区の三名の補佐司教の叙階式に参加してきました。詳しくは次の記事で。以下は香港教区の広報が制作した、司教叙階式の模様を10分ほどにまとめたビデオです。当日の荘厳な雰囲気が伝わってきます。

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スリランカで研修会・続き

前掲記事のスリランカでの反人身売買プログラムの研修会ですが、開会式の様子を撮影した写真を他の参加者から手に入れましたので、二枚掲載します。

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上の写真、スピーチをしているのが、外務副大臣(Deputy Minister of External Affairs)のメオマール・ペレラ氏。私の右隣がスリランカ司教協議会の難民・移住者担当のアントニー・ペレラ司教。そして左端が、カリタススリランカの責任者であるジョージ・シガモニ神父です。Colombo1406s

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2014年9月 1日 (月)

スリランカで研修会

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シンガポールを終え、8月26日から28日までは、今度はスリランカの首都コロンボで開催された、カリタスアジア南アジアサブリージョンの反人身売買に関する能力向上プログラムに参加。英語のタイトルはCaritas Asia Sub Regional Capacity Building on Anti Human Traffickingです。

南アジアのサブリージョンとは、スリランカ、インド、ネパール、バングラデシュ、パキスタンのカリタスで構成され、今回はこれに加えてマレーシア、オーストラリア、タイからも参加者がありました。スリランカ以外から参加者が20名、スリランカ国内の教区で活動している参加者が30名近くの、ほぼ50名ほどの参加で、カリタススリランカの立派で巨大な本部事務所を会場に行われました。

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最初の日は荘厳な開会式が。スリランカ司教協議会の難民・移住者担当のアントニー・ペレラ司教の挨拶に始まり、政府を代表して外務副大臣(Deputy Minister of External Affairs)のメオマール・ペレラ氏が挨拶。同副大臣は熱心なカトリック信徒で、開会ミサから参加してくださいました。9月の安倍首相の訪問に期待していると話されておりました。

その後私も挨拶し、政府の海外雇用促進担当大臣からのメッセージなどもありました。

その後は三日間、各メンバーの取り組みの分かち合い、課題についての話し合い、今後の取り組みへの提言、カリタスアジアの取り組みについての説明、実際の現地での施設の見学などが行われました。下の写真は、国際的な定義や課題について、二日にわたって話してくださったUNDPや法務省で働くMs.Chandrika Karubaratnaさん。すばらしくシャープなかたで、専門的なことを詳しく簡潔に教えてくださいました。

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人身売買はなにやら遠い世界のことのように感じられる言葉ですが、日本とてその例外ではありません。様々な甘言をもって人を移動させ、予想もしていなかった労働などの従事させるような詐欺行為は、国境を越えて、また国内でも、様々に起こっていると言われます。国境を越えている場合は、時に被害者が結局はその国での不法滞在として逆に犯罪者のように扱われるケースもあり、一人ひとりの被造物を大切にする神の前で、何を私たちがするべきかは明らかです。

国際移住機関(IOM)のホームページには次のように記載されています

人身取引」(トラフィッキング)とは、何らかの強制的な手段で、弱い立場にある人々を別の国や場所に移動させ、搾取することを言います。

一般的に、送り出す国は貧しく、受け入れ国は比較的裕福な国の場合がほとんどです。第三国を経由する場合や国内で取引される場合もあり、世界のほとんどの国が人身取引のプロセスの一部になっていると考えられています。

多くの場合非合法的なルートを通じて行われるため、正確な数字は分かりませんが、毎年80万人が国境を越えた人身取引の犠牲となっており、被害者は世界中で常に245万人いると推計されています

スリランカでは、特に中東地域への家庭のお手伝いさんとして出かけていった女性たちが、筆舌に尽くしがたいような扱いを受けて、時には生命さえも失うケースが相次ぎ、社会問題化しています。経済的に力を持っている日本も、受け入れ国として以前から厳しい指摘を受けていますが、ともすれば不法在留の問題として片付けられることもあり、根本的な対策は遅れているのではないでしょうか。

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なおカリタスアジアでは、このような研修会を、南アジアだけではなく他の地域でも開催してきています。これは反人身売買プログラムが、カリタスアジアの重要な課題の一つになっているからです。上の写真はタイでの活動について報告する、Sr.Janthana Jantorn.

最終日には日本大使館を訪問し、粗信仁大使に会っていただきました。ありがたいことに、カリタスジャパンの名前をご存じで、とりわけ東日本大震災後の活動を評価していただきました。またスリランカの内戦後の平和構築にも日本政府が関心を寄せていると表明され、同行したカリタススリランカの責任者ジョージ・シガモニ神父と、今後の協力関係について意見を交換されました。

今回の研修会を準備してくださったカリタススリランカのジョージ・シガモニ神父とシスター・ウシャニほかスタッフの皆さんに感謝します。

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シンガポールで講演

8月の末の10日間ほど海外に出ておりました。行き先は、シンガポールに始まって、スリランカのコロンボ、そして最後が香港でした。順番にその報告を。

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まず8月23日土曜日に、シンガポールのCatholic Junior Collegeを会場に行われた、カリタスシンガポール主催の、「2014年社会への宣教大会(The Social Mission Conference 2014)で、基調講演をさせていただきました。これは数年前から毎年、カリタスシンガポールが開催してきた啓発のためのプログラムで、教会が全体として社会の諸課題に取り組んでいく必要性への理解を深め、同時にカリタスの活動を抑止ってもらうために開催されています。

今回のテーマは教皇フランシスコの言葉から、「貧しい人のための貧しい教会であって欲しい(I want a Church which is poor and for the poor)」であり、私は昨年発表された教皇フランシスコの使徒的勧告「福音の喜び」に基づいて、教皇フランシスコが私たちにどのような教会を求めているかを語ることでありました。

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実はもともとこの基調講演は国際カリタスの総裁であるホンジュラスのマラディアガ枢機卿が担当するはずでしたが、ご存じのように枢機卿は教皇様の8人の枢機卿顧問団のリーダーであり超多忙なことからキャンセルに。そこで、カリタスの中でその次の段階であるカリタスアジアの総裁である私の所へ回ってきたものでした。日本語のようにぺらぺらとは語れませんので、ちゃんと原稿を用意し(ネイティブチェックも頂いて)、パワーポイントも用意して出かけました。上の写真は開会前ですが、この会場に700人以上が集まり、なかなかの熱気でした。

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大会はシンガポールのウィリアム・ゴー大司教の挨拶から始まりましたが、さすがついこの間まで神学校の先生だったこともあり、大司教は弁舌さわやかに語りまくり、私にプレッシャーを与えてくださいました。その後大学の先生による社会の現状の分析の講演に続いて私が話を。45分にしてくれと言われて、途中でちょっと頭が真っ白気味に。日本語であれば、原稿を用意していてもささっと飛ばしてまとめることができますが、英語の原稿を前にして飛ばすのはかなり緊張します。うまくつながるかどうかがわからないですから。でもまあ、パワーポイントを用意していたおかげで、その画面で何とかつないで、時間内に終了。

ところがそれから15分が大変。司会者とともに椅子に腰掛けて、会場からの質問に答えるのですが、これが難しい。なんといってもシンガポールの方の英語の難しいというか、早口というか、とにかく大変でした。

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お昼はみなでお弁当。これがほんとうにシンガポールでも「BENTO(ベントー)」と呼ばれる日本と同じような弁当でありました。

午後はテゼのグループによる祈りと、FABCの信徒家庭局で秘書を務めるウェンディさんの、私の講演への回答。そしてイエズス会のブラザーによる具体的な提言。さらにはいくつかのグループに分かれて、様々な活動の紹介。最後は、カリタスシンガポールが現在取り組んでいる、アガペハウス建設に関する報告と寄付のお願いでした。様々な社会活動のセンターとして、かなり巨大な施設を建設中です。実際、今回の大会に集まった方々の多くがどちらかと言えば富裕層で、その意味でシンガポールの教会はかなりの資産家であると感じました。この教会が、その持っている力を、教皇フランシスコの呼びかけにこたえて、疎外され忘れられている多くの人たちへと向けることができるなら、世界を大きく変える力となるだろうと感じました。

さてここから次は、スリランカのコロンボへ移動。

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