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2014年10月16日 (木)

飢餓撲滅キャンペーン@カリタスジャパン

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10月16日は世界食料デーです。世界の食糧問題を考える日として、1981年以来国連によって制定されています。この日に合わせて、飢餓撲滅キャンペーンを行っている国際カリタスは、今週をキャンペーンのための行動週間にしています。カリタスジャパンでは、先日、10月13日を行動の日として、東京のカテドラルを会場に一日のイベントを行い、200人を超える方が参加して下さいました。

私自身は高藪神父の金祝があったため参加できませんでしたが、台風が迫る中であったにもかかわらず、多くの方がこのキャンペーンに興味を示して下さったことに、感謝します。下の写真は当日作成されたメッセージボード。種の形をしたカードに、皆様の思いが記されています。

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飢餓とは、単に食べることができていない状態ではありません。慢性的に、生きていくための必要な食べ物が不足し、空腹で苦しい状態におかれ、それが継続し、病気や衰弱により身体状態が悪化し、最悪の場合は死に至るようなこと。また慢性的な食料不足によって栄養が不足し、栄養失調のために体調の維持が困難になっている状態を指しています。生命の危機がそこにはあります。

現在栄養不良のために5歳になる前に生命を落とすこどもの数は、年間500万人であると国連が2013年に報告しています。また世界で8億4千2百万人、すなわち8人に1人が飢餓に苦しんでおり、その大多数、98%がいわゆる発展途上国に住んでいる方々です。これをサハラ以南のアフリカに限ってみると4人に一人の割合となります。

決して世界から食糧が不足しているわけではなく、たとえば穀物類は農水省の今年の報告では24.5億トン生産されていて、現在世界の人口が70億人ほどとすれば、ひとりあたり年間0.35トンもあることになります。これは日本人の平均穀物消費量の倍はあるのです。地域紛争や不安定な市場、気候変動の影響や長年指摘されている貧困の連鎖など、その要因は多々ありますが、中でも指摘されているのは、生産されている食料のほぼ三分の一が廃棄されているという点が重要な課題であると思います。これは教皇フランシスコもの、キャンペーンに開始にあたってのメッセージで指摘されているところですが、政治と経済の意志さえあれば、事態を好転させることができるのではないのだろうかと思います。

国際カリタスのキャンペーンは、本来、貧困撲滅のキャンペーンです。ただ貧困と一口で言っても幅広い要因がそこには絡み合っているので、そのなかでも人間の生命維持に欠かせない食料の側面から、貧困問題に取り組もうというのが今回のキャンペーンです。

2025年までに、世界から貧困をなくすために、現在十分に食べることができている人たちには、世界の現状を知るところから初めて、社会全体として無駄な廃棄をなくす努力をしていくこと、また世界全体では、食糧への基本的な権利が守られるように、法や制度の整備を各国政府に働きかけていくことを継続していきたいと思います。

世界人権宣言の25には次のように記されています。

「すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する」

基本的な食糧の権利は十分な生活を営むための基本的な権利の一つとして重要な意味を持っていますが、その後に採択された社会権規約では、最低限の保障だけではなく、「不断の改善」を国際社会は誓っています。その意味でも、8人に1人が飢餓に苦しむ現実を放置して善いわけがありません。

国連の食糧農業機関FAOは、2004年に、「国家食糧安全保障の文脈で十分な食糧への権利の漸進的な実現を支援するための自主的ガイドライン」を定めています。ここには食糧安全保障という概念を持って、国家の取り組みを促しているのですが、それをすべての国民への食糧の保証ととらえるか、国家としての備蓄の整備としての国家の安全保障ととらえるかで、対応が異なってくることも指摘されています。このガイドラインは英語でこのリンクから読むことができます。PDFファイルです。

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なお今週は、火曜日の朝から水曜日の昼まで、日本カトリック会館を会場に、カリタスジャパンの全国教区担当者会議が開催され、全国の教区から集まった担当者と一緒に、飢餓撲滅キャンペーンについて学ぶ時間を持ちました。

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