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2015年5月31日 (日)

長岡地区信徒大会@柏崎教会

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第39回目となる、新潟教区長岡地区の信徒大会が、本日、三位一体の主日に、柏崎教会を会場に開催されました。テーマは「イエスの招き、手や足となって」

長岡地区内のすべての教会、つまり、糸魚川、直江津、高田、妙高、長岡、柏崎、十日町から司祭と信徒が参加。もちろん全員参加というわけにはいきませんが、柏崎の決して小さくない聖堂がいっぱいになりました。

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信徒大会は午前10時から、今年度から新しい建物になった幼稚園のホールを会場に始まりました。カトリック信徒宣教者会(JLMM)の理事であり、また刑務所の医師を務める小林誠氏が今回の講師として招かれて、「イエスの招き、途上国から刑務所へ」と題してお話しくださいました。(一番上の写真が小林先生。すぐ上は、講演の会場となった幼稚園ホール)

マザー・テレサの話を聞いて、困っている人のために医者になろうとした話や、その後もアジアの各地でボランティアを続けたこと。医師となってからもフィリピンなどへしばしば出かけて、その後は意志としてWHOなどのワクチン接種業務に携わり、中国やパキスタンで活躍したこと。そしていま、刑務所の意志として働くなかでわかってきた日本社会のひずみについて、わかりやすく話してくださいました。

パワーポイントを操作してくれたのは、一緒に今回柏崎まで来てくれたご子息でした。小林先生には、わたしが担当している司教協議会のHIV/AIDSデスクの委員も、カトリック医師として務めていただいております。

出向いていく教会は、周辺部に追いやられ忘れ去られた人々、排除された人々へ、手をさしのべていくのだと、教皇フランシスコは「福音の喜び」で私たちを招いています。小林先生は、教会が本当に現代社会の現実のなかで取り残されていく人々のために、何かをしようとしているのかと、厳しく問いかけました。

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昼食を挟んでグループに分かれ分かち合い。その後2時半から主日ミサ。ミサの最後には、昨晩から集まって合宿をしていた若者たちが、その合宿で話し合ったことを全員に分かち合ってくれました。真剣に語り合ったことを分かち合ってくれた真摯な姿勢に、将来への力を感じました。(上の写真はミサ後に、集まった青年たちと)

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三位一体の神に導かれ、聖霊に満たされた神の子供として、神の言葉であるイエスの教えたことを生きる姿勢で証ししていくことが出来るように、これからも祈り続けたいと思います。集まってくださったすべての人に神様の祝福を祈ると共に、その方々を通じて長岡地区のすべての方に神様の祝福が行き渡りますように、心から祈ります。

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「現代世界憲章から何を学ぶか」@札幌

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今年は第二バチカン公会議を締めくくる文書でもある現代世界憲章が発布されて、ちょうど50年となります。そこで社会司教委員会(委員長は大塚司教)では、各教会管区で、司教三名が直接お話しするシンポジウム「現代世界憲章から何を学ぶか」を企画しました。その第一回目が、昨日5月30日午後1時半から、札幌教区のカテドラルである北一条教会で開催されました。

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司会は札幌教区の勝谷司教。今回は「現代の人々の喜びと希望、苦悩と不安」と題して、わたしがまず世界の貧困問題、次に平賀司教が人権問題、そして最後に幸田司教が平和について、それぞれ30分ずつ語りました。また一番最初には、イエズス会のマシア神父が、現代世界憲章の大まかな説明をしてくださいました。

残念ながら、企画を考えたときにはそこまで思い至らなかったのですが、やはり一人30分の話は短すぎて、それぞれが用意してきたことの半分も話し終わらなかったように感じます。

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三人の司教の話が終わってから、休憩を挟んで質疑応答となりました。わたしはどうしても新潟に戻らなくてはならず途中退席。平賀司教は体調が優れず休憩でしたので、結局、幸田司教がすべての質問に答えてくれました。市内の小学校で運動会が行われていたようで、参加が難しかった人もたくさんおられるようですが、それでも教区の神父様やシスター方を初め、聖堂がいっぱいになるほどの方が参加してくださいました。感謝します。

このシンポジウムはこの後、6月14日に鹿児島で、7月4日に京都で、そして9月23日に東京カテドラルで開催されます。わたしはもう一度、9月の東京のシンポジウムで、世界の貧困問題について話をする予定です。

昨日は、新潟へ戻るため、新千歳を18時のエア・ドゥ便、羽田行きに乗りました。新潟便は16時が最後だからです。そして東京から新幹線で新潟へ戻ろうと東京駅にいたときに、地震でした。かなりの揺れでありました。そして新幹線はストップ。線路点検は係の方々が目視で行うとのことで、大宮から本庄早稲田駅の間を確認するという、たぶん私たちの想像を超える大変な仕事であろうと思います。そしてその確認が終了しないと運転再開はない。それでも23時15分頃には上越新幹線も動きだし、新潟駅到着は深夜1時15分頃。首都圏の夜の交通は大変な混乱だったと思います。大きなエネルギーの地震でしたが、それほどまでに目立った被害はなかったものの、エレベーターが各所で停止したり電車が止まったり。予想される首都圏の地震が起こったら、どれほど大変なことになるのかと考えさせる地震でありました。

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2015年5月24日 (日)

聖霊降臨の主日@山形教会

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今日は聖霊降臨の主日でした。山形県山形市の山形教会で主日のミサを捧げました。もちろん山形県は新潟教区ですが、山形市に住んでいると、新潟よりも仙台の方が身近に感じていることだろうと想像します。なんといっても、新潟市から山形市までは車で3時間半ほどに対して、山形市から仙台市までは車で一時間ほど。電車も仙山線で山形と仙台は結ばれているどころか(市町村合併で、山形市と仙台市は隣りどうし)、仙山線は仙台市と山形市だけを通っているほどです。対して新潟から山形へ電車の最速で行こうと思えば、上越新幹線大宮乗り換え山形新幹線という遠回り。

昨日の土曜日午前中、山形県内カトリック2幼稚園の学校法人双葉学園の理事会が開催されたため、朝7時に車で新潟司教館を出発。10時半から山形教会を会場に理事会でした。今年の御復活祭後から山形教会の主任司祭が交代し、これまでの主任だった本間神父はイエズスマリアの御心会管区長となり、新たに同会の千原通明神父が主任司祭として赴任。同時に同会の楠(くすのき)宗真神父が助任として赴任しました。新しい体制になってから未だわたしの司牧訪問が出来ていなかったので、ちょうど理事会の機会でしたから、翌日曜の聖霊降臨祭を一緒に祝うことにさせていただきました。

その昔、1970年代前半、わたしが名古屋の神言会の小神学校に中学生で在籍していた当時、同じ建物(神言神学院)で、楠神父も大神学生として学んでおられました。もちろん楠神父さんの方がわたしより遙かに大先輩です。そんなわけで、昨日は楠神父さんの名古屋時代の思い出話を、山のように聞かせていただきました。懐かしい名古屋の話ばかりでした。

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そして今朝は9時半から聖霊降臨祭のミサ。お隣の新庄教会の方々も数名やってきて、山形教会の聖堂はいっぱいでした。(写真は新庄の方々と。後ろ手に主任の千原神父様が)

聖霊に満たされた弟子たちは、様々な言葉で語り出したと記されていました。もちろん奇跡的な出来事は大事ですが、同時にそれは「霊が語らせるままに」とも記されています。つまり福音を告げる者は、自分語りをするのではなく、神が語らせることを語っていなくてはならないのです。私たちは常に、自分が福音として語っていることが、単なる自分語りに陥っていないか顧みる必要があります。

そして、聖霊の結ぶ実は、「愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制」だとガラテヤ書に記されています。聖霊に満たされた個人のことよりも、教会が常に共同体を基礎としていることを考えるとき、私たちの共同体が聖霊の結ぶ実によって満たされているのかどうかをも振り返る必要があります。私たち自身の共同体が、「愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制」に満ちあふれていないのであれば、それを社会全体に対して告げ知らせることは出来ません。そしていまの社会には、まさしくこの聖霊の結ぶ実が欠如しているように感じます。私たち自身の共同体のあり方、人間関係、社会での生き方を振り返り、聖霊の導きをいただきながら、神が望まれる社会の実現のために証しを続けたいと思います。

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2015年5月19日 (火)

第20回国際カリタス総会@ローマ、その4

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今回の総会では、2015年から19年までの活動方針の枠組みが採択されました。同時に資金計画についての枠組みも採択され、その中には今後4年間の国際カリタスメンバー会費の固定(これまでの毎年値上げされていました)も含まれています。

採択されたこれらの枠組みに基づいて、これから地域代表会議で具体的な活動計画や、毎年の予算が策定されていきます。また活動方針の枠組みは、単に国際カリタスだけのものではなく、それに加盟する165のカリタスにとってもこれからの活動方針の優先事項として重要な意味を持っています。

会議二日目に提示され詳しい説明がなされた活動方針の枠組みは、三日目の午後に小グループに分かれての話し合いで、さらに検討が加えられました。今回は小グループを言語別(英語、フランス語、スペイン語)で、それぞれが最高でも8人に設定され、時間をかけて皆が発言できるように配慮されていました。私が参加したグループは5人だけでしたので、かなり突っ込んだ話し合いが行われたと思います。

この話し合いに基づいて修正が加えられた活動方針の枠組みは、最終日の5月17日に採択されました。秘密投票ではない投票はそれぞれの国の名前のカードをあげて意思表示をします。一番上の写真はカリタスジャパンの瀬戸神父が意思表示をしているところです。

今回採択された活動方針の枠組みには「貧しい人の叫びに耳を傾ける」というタイトルがつけられています。教皇フランシスコの示す「貧しい人のための貧しい教会」を具体化するというビジョンを掲げ、そのための以下の五つの方向性が示されています。

  1. 教会の中心にあるカリタス(貧しい人のための教会の奉仕を果たし、カトリックとしてのアイデンティティを明確にする)
  2. 生命を救い、共同体を再生する(人道上の危機の影響を低減し、災害への備えを強化する)
  3. 持続可能な「総合的人間開発」の促進(貧困を撲滅し、不正義の社会構造を変革する)
  4. 世界的な連帯の構築(広報、教育などを通じてカリタスの存在を明確にし、極度の貧困の原因を探る)
  5. カリタス連盟の効率化(各団体の専門性を高め、資源を有効に活用する)

またこの活動方針は、教皇様がまもなく発表される予定の環境問題に関する回勅を踏まえ、環境問題や気候変動、地球温暖化問題に焦点が当てられ、さらに今年後半には明らかになるミレニアム開発目標(MDGs)に変わる新しい持続可能な開発目標(SDGs)をも視野に入れています。

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なおこの日は、国際カリタスが展開している反貧困飢餓撲滅キャンペーンについての報告も行われ、なんとその中で、日本語の歌がビデオで流されました。これは私もカリタスジャパン代表団も知らされておらず、驚きでした。原曲はパナマの歌で、このビデオをもとにカリタスジャパンの担当者が許可を取ったり訳したりして制作。ある催しで歌って頂いたビデオが会場で流されました。会場からは、大喝采でありました。

またこのキャンペーンは、今年、2015年12月31日まで継続することが決まりました。

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土曜日、5月16日には朝7時から国務長官パロリン枢機卿司式のミサがあり、午後には新しい総裁ルイス・アントニオ・タグレ枢機卿が到着しました。(写真右から、ロワ事務局長、タグレ枢機卿、ゴメス・カリタスアジアコーディネーター、私)

最終日の17日も朝8時15分のテゼの祈りで始まり、様々な最終採択が行われた後、マラディアガ枢機卿からタグレ枢機卿にカリタスの旗が渡されて閉会。夕方6時から、ローマ郊外のトレフォンターネ修道院(パウロが首をはねられたとき、三度転がって、その3カ所から湧き出た泉がある修道院)でタグレ枢機卿司式の閉会ミサ。

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翌18日月曜日は、朝から総会参加者の大多数がバスでミラノに移動するなか、地域代表者会議は早速の会議。これからの予定を話し合いました。5月19日がミラノ万博でのカリタスの日とされているので、大多数の参加者はこの日の内にミラノに移動。カリタスジャパンを代表して田所事務長が参加しています。(写真。決議事項に署名中のマラディアガ枢機卿と私)

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第20回国際カリタス総会@ローマ、その3

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会議の二日目、5月14日は朝8時からのミサで開始。この日は今回の総会の大きなテーマの一つである気候変動と環境問題を学ぶため、まもなく発表される教皇様の環境についての回勅の原案を作成した教皇庁正義と平和評議会のタクソン枢機卿の基調講演と、それに関連したいくつかのカリタスメンバーの体験の分かち合いから始まりました。アジアからはカリタスフィリピンのエドウィン神父が、自然災害対応の体験について話をしました。

その後、昼食をはさんで、総裁などの報告や、2015年から19年までの行動計画の大枠についての説明があり、夕方5時半から総裁、会計の選挙となりました。

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総裁選はキプロスのサイーフ大司教は会場に来ていたものの、タグレ枢機卿はすでに決まっていた他の行事のため不在で、前日のプレゼンテーションもビデオメッセージでした。

投票は秘密投票で、規定上で当日会場にいる投票権を持った団体は133。順番に名前を読み上げ、代表はそれぞれ自分の国名を記したカードを見せながら、総裁と会計の票を投じました。総会の進行は7名の地域総裁による委員会で行われていますが、私は今回、Notary(証人)を仰せつかり、要は読み上げられる票の書き取り役と、それ以外には決議事項のすべての署名する役割でした。票を書き上げるのは日本式に「正」の字で行おうとしましたが、委員会で却下。他国に倣い、四本縦線を引いて最後に横線で切る方式に。これが難しい。

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最終的にはタグレ枢機卿が91票を獲得して、新総裁に選出されました。また会計にはオーストリアのアレキサンダー・ボードマン氏が選出されました。

タグレ枢機卿には即座に事務局長が電話をかけ、本人の受諾の意思を確認。電話を通じて、総会参加者にタグレ枢機卿の感謝のメッセージが伝えられました。

国際カリタスの総裁は、必ずしも枢機卿や司教、または司祭である必要は無いのですが、やはりカトリック教会の組織として、また教皇様の愛の奉仕を具体化する組織として、枢機卿が就任することはふさわしいことだと思います。前回のマラディアガ枢機卿が初めてのことでした。そして今回、国際カリタスの歴史で初めてアジアから選出された総裁となりました。

なおその後、規約に従って、地域代表委員会(理事会)が開催され、北米地域総裁のショーン・カラハン氏が第一副総裁、アフリカ地域総裁のガブリエル・アノチ大司教が第二副総裁に選出されました。またミシェル・ロワ事務局長も再任されました。

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2015年5月18日 (月)

第20回国際カリタス総会@ローマ、その2

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会議の本番は5月13日の朝から。毎日の会議は8時15分からの朝の祈りで始まります。これはテゼ共同体からブラザーたちがやってきて,30分間の歌と祈りの一時。

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総会初日は様々な挨拶の後、「貧しい人のための貧しい教会」と題して、基調講演が行われました。基調講演者はグスタフ・グティエレス神父。グティエレス神父は,以前から親交のある教理省長官ミュラー枢機卿と一緒に会場に現れました。もちろんミュラー枢機卿も基調講演を拝聴。教皇フランシスコが考える,本当にシンプルなというかそのまま受け取る信仰の理解に基づく教会の奉仕のあり方について,具体的にお話し下さいました。

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昼食後には、「拡大する不平等、一つの人類家族への挑戦」と題して,もう一つの基調講演。こちらはジェフリー・サックス教授。貧困撲滅のために2015年まで進められている,世界規模の様々な取り組みの中心人物です。富の一極集中の危険性と、環境破壊が貧困を広げていることへの厳しい警告のお話でした。以前からサックス教授の著書は数冊読んでいましたし、書き物をするときに引用もさせて頂いていたので、今回の総会でお話が聞けて幸いでした。

その後、今回の総会で行われる総裁、事務局長、会計の選挙の候補者の紹介が行われました。候補者は候補者委員会による事前の審査を経て、国務省に名簿が提出され、国務省から支障がないことの証明が得られないと投票の対象になりません。

総裁候補はマニラのタグレ枢機卿と、キプロスのマロン派のサイーフ大司教でした。

会議後6時45分からマラディアガ枢機卿司式のミサ。そして夜8時から夕食。何ともイタリア時間です。長い一日でした。

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第20回国際カリタス総会@ローマ、その1

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第20回目となる国際カリタスの総会議が、5月12日から17日にかけて,ローマで開催されました。世界に広がるカリタスの連盟組織である国際カリタスには,現在165の国と地域のメンバーカリタスが加盟しています。今回の総会にはそれらのカリタスから424名の代表が参加しました。カリタスジャパンは秘書の瀬戸神父と事務長の田所氏が参加。私はカリタスアジアの総裁として、コーディネーターのザア・ゴメス氏と参加しました。会場はバチカンの裏手、数キロ離れた丘の上にある教会関係のホテル。

今回の総会の全体のテーマは、「One Human Family, Caring for Creation(被造物へ心を配る一つの人類家族)」とされ、そのてーまからして環境問題が重要なテーマとなっておりました。

総会にさきだって、まず12日の午前中にはそれぞれの地域の総会が開催され、カリタスアジアも午前中一杯を使って、様々な課題について話し合いを行いました。いつものバンコクで開催される年次総会と異なり,ローマでの総会には各国のカリタス責任司教も参加するので、様々な方面から意見が交わされました。

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その後、夕方には全員でバスに乗りサンピエトロ大聖堂に移動。5時半から、サンピエトロ大聖堂の主祭壇の裏手にある祭壇で、教皇様司式の開会ミサが行われました。これにはカリタス関係の枢機卿を始めタクソン枢機卿なども参加され,会議に参加している100名近い司教と,さらに100名以上の司祭団との共同司式。各国の大使も招待され、聖堂付属の聖歌隊も配置されて荘厳なミサでした。教皇様のミサで共同司式は,私は初めてです。

教皇様は説教のなかで、「世界の各地でカリタスは教会そのものであるし、さらに小教区や共同体にも広がっていかなければならない」、「カリタスの使命に携わるものは,単なる働き手ではなく、キリストの証人である」などと話され、「キリストの愛を自分たちの内に秘めていないなら,そのような活動計画もむなしい」と諭されました。そして「主は今でも私たちのために聖体の秘跡というテーブルを整えて下さる。カリタスは多くの空腹に悩む人たちのためにテーブルを整える」と指摘して、国際カリタスが展開している飢餓撲滅キャンペーンに触れられました。そして「すべての人が食糧を手にすることができるようにできる限りのことをするが、しかし同時に世界の権力を握っている人たちは,神がいつか裁きの場に立たせることを思い出さなくてはならない。その裁きの場で、すべての人に内在される主ご自身に、食糧を与えるように努力したかが明白になる。さらに食糧を生み出すことができるように環境が破壊されないように行動したかどうかが明白になる」と述べられました。

祈りの聖なる空間のなかで、国際カリタスの総会は開始されました。

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2015年5月10日 (日)

震災のために祈る集まり@青山教会(新潟市)

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今日の日曜日、新潟教会の青年たちが中心となって、東日本大震災の犠牲者追悼と被災者のために祈るミサを計画してくれました。ミサの会場は、教区の青年担当でもある坂本神父が主任を務める新潟市内の青山教会。せっかくの企画なので、小教区の朝9時の主日ミサで小教区の方々と一緒に祈るミサとなりました。

青山教会の信徒だけではなく市内の他教会からも参加があり、青山の聖堂はいっぱいでした。ミサはわたしが司式と説教をし、坂本神父と共同司式。聖書朗読や共同祈願の先唱、オルガンの伴奏と侍者も、すべて青年たちが担当してくれました。

青年たちが手書きで作成した趣意書にも記されていましたが、どのような災害であっても紛争であっても、巻き込まれた被災者は、時間が経過するにつれ、自分たちが置き去りにされてしまうと言う感覚を覚えてしまいます。特に将来に関する明確な展望が開けていない場合、将来への不安と相まって、物理的に関わる人が少なくなる現実が、その不安を倍増させます。

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今年の四旬節灰の水曜日の「聖書と典礼」コラムにも書いたことですが、私たちは時間の経過と共に感情の高ぶりが収まると、災害などが発生した当初の高揚した感情がなくなり、被災地の多くの方々の存在へ思いをはせることが少なくなってしまいます。その間にも、自らの感情を高揚させる他の出来事が起こってしまうことが多いのと、同時に被災地に住む人と、必ずしも個人的な人間関係が構築されるわけでもないので、面識がない人たちとの関係を持続させることが難しいからです。そのため、わたしがカリタスの仕事でこの20年の間たびたび訪れた世界の災害や紛争の現場では、「忘れられてしまった」という絶望感にとらわれる多くの方が残されてしまうのです。

物理的に長期にわたって関わり続けることは難しいですし、個人的な関係と行ってもそんなに簡単に構築できるわけでもありません。そうではあるけれど、なんとか災害に遭われた方々や紛争に巻き込まれた方々に、私たちは忘れてはいないのだという意志を明確に示す行動をとることは大切なことであると思います。その意味で、今回の新潟の青年たちの企画に、意味があることですから、その取り組みに感謝いたします。

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カリタスジャパンは仙台教区を支えながら、仙台教区と、他の教区が運営するボランティアベースを通じた東日本大震災の被災者支援をこれからも続けていきます。国内の皆様からいただいた募金と、海外から寄せられている募金を計画的に活用し、長期間にわたる被災者支援を目に見える形で続けていきます。行政機関ではないので、ボランティア団体に出来ることは限られていますが、それぞれのベースが地域の実情に応じて、その地で必要とされていることを地道に拾い上げながら、長期にわたって歩みを共にする姿勢を明確にし続けたいと思います。

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今日はミサ後に、残ってくださった信徒の方向けに、現代世界憲章について30分ほどお話をさせていただきました。主任の坂本神父が、ただの話ではおもしろくないからと、信徒の方に司会をゆだね、質疑の形で行われたので、非常に新鮮にお話しさせていただくことが出来ました。(写真すぐ上)

なお、ネパールでの大地震が先般発生しましたが、これについても国際カリタスがすでに活動を始めています。現地のカリタスネパールと、米国カリタスやカリタスインドが初期活動を行いましたが、今後、カリタスオーストラリアを調整役として、長期にわたる復興支援を行う予定です。お祈りをお願いいたします。東日本大震災の時にはネパールからも支援をいただきました。そのお返しにも務めたいと思います。

火曜日の朝から、四年に一度の国際カリタス総会議がローマで始まります。カリタスジャパンからも代表が二名参加しますが、わたしはカリタスアジアの代表として参加します。今回の総会議では任期満了となるオスカーロドリゲス・マラディアガ枢機卿に代わる新しい総裁が選出される予定です。すでにメディアにリークされていますが、第1の候補者はマニラのタグレ枢機卿。カリタスアジアの昨年の総会で推薦することを決め、水面下で本人と交渉したり、多くの方と意見を交わしてきました。その結果、アジアだけではなく、アフリカや南米などからも票が見込めることから、タグレ枢機卿が選出されることは確実だと見込んでいます。選挙は14日の予定です。

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2015年5月 5日 (火)

アジア司教協議会連盟の司教セミナーに参加中@タイ

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アジア司教協議会(FABC)の神学関連局(OTC)が主催する,アジアの司教のための研修会(BITA V)に参加するために、昨日来、タイに来ています。バンコク郊外にあるバンコク教区の司牧研修センターが会場です。アジア各国から50名の司教の参加があります。

神学関連局は、マニラのタグレ枢機卿が議長で、日本からは神学顧問として福岡教区の桜井神父様が長年勤めておられます。今回は日本からの司教の参加はない予定だったのですが、先日、この部門の秘書を務めるマレーシアの神父様から話をするように依頼され,引き受けました。カリタスと直接は関係ないので躊躇したのですが、「移住者、移民」の司牧的配慮について40分ほど話すようにとのことでしたので、新潟教区のいわゆる「外国人花嫁」というか、山形県の新庄で新しく教会を設立するとことまでこぎ着けたフィリピン人の信徒の方々についてお話しすることにしました。それとこの機会ですので、日頃はアジアの司教さんたちにお話をすることもないので,カリタスアジアが行っている反人身売買プログラムについても紹介させて頂くことにしました。

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私の話は明日の朝。今日はタグレ枢機卿司式の開会ミサと,その後のタグレ枢機卿の,いつものようにすばらしい基調講演。その後,午後には四人の司教による各地域の状況の報告と、フィリピン人女性信徒の神学者によるもう一つのお話。今回のテーマが「私に水を下さい」という、ヨハネの福音にあるサマリア人の女性にイエスが出会って水を所望する話が基調でしたから,それについてのすばらしい解説。さて明日はどうなることか。

木曜日の午後に東京で次の会議があるので、私は明日の夜の飛行機で帰国ですが、研修会は明後日まで続き,最後はバンコクの枢機卿様による閉会ミサです。

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2015年5月 2日 (土)

大瀧浩一師司祭叙階銀祝ミサ@新潟

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新潟教区本部事務局長を務めておられる大瀧浩一神父様は、今年で司祭叙階25周年となります。25年前は、ご出身の上越市高田教会で盛大に司祭叙階式が行われたと言うことです。大瀧師は高校生時代に洗礼を受け、その後新潟大学で哲学を学んでから神学校に入学したという人物で、その後ローマにも留学。現在も、新潟教区本部の仕事とともに、日本カトリック神学院東京キャンパスで、哲学の先生をしておられます。

今日のお祝いは、元々ご本人はこぢんまりと新潟教会の主日ミサの時にでも一緒に、とお考えのようでしたが、準備を進める段階で、これまで大瀧神父と関わった多くの方から参加の希望が出され、結局参加者は300名を超えることに。そこで、新潟市内のホテルに会場を移し、そこでミサと祝賀会を行うことにしました。会場は信濃川沿いにある新潟グランドホテル。

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ミサには30名を超える司祭団が集まり、新潟教会からは復活のろうそくまで会場に運び込み、盛大に行われました。こういうときでも司式は司教のわたし。しかも今回は、大瀧師のご氏名で説教もわたしがいたしました。本日の説教はこちらのリンクに掲載してありますので、ご覧ください。

ミサの朗読は、特別な者を選択せず、今日の暦にある朗読でしたが、その中に、力強く、また恐れることなく福音を述べ伝えるパウロとバルナバは、様々な困難に直面しながらも、「喜びと聖霊に満たされていた」と記されていました。「聖霊によって喜びに満たされていた」のではなく、「喜びと聖霊に満たされていた」のです。聖霊は使徒たちに福音を語る智恵と勇気を与えました。それでは「喜び」はどこから来ているのか。それは喜びのうちに信仰に入った人々の存在、すなわち喜びに満ちあふれた教会共同体の存在が、使徒たちを喜びで満たしていたのです。

それと同じように、司祭にも聖霊の力が働いていますが、同時に喜びをもって福音を告げるための喜びはどこから来るのかと言えば、それは喜びに満たされた教会共同体からです。どうぞ、司祭のためにお祈りくださると共に、喜びに満ちた教会共同体、それは愛にといつくしみに満ちた癒やしの共同体でもありますが、それを生み出すように、司祭と共に歩み助けてくださいますように。みなさまの、日々のお祈りに感謝いたします。

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祝賀会では、司祭叙階当時に高田教会主任司祭であったマリオ・カンドゥッチ神父(フランシスコ会)も東京からおいでくださり、当時の思い出を語ってくださいました。また青山教会のコーラスや新潟教会のコーラス、さらには新しい主任司祭の千原神父のギター伴奏で歌ってくれた新庄教会の皆さん。遠いところからも大勢来てくださり、感謝します。

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司祭のお祝いがあったときには、みなさま、是非、その後継者が誕生するように、さらにお祈りをお願いいたします。新潟教区のわたしを含めて16名の司祭のうち、今回銀祝を祝った大瀧師の後には、3名の司祭しかおりません。神学生が誕生するように、皆様の続けてのお祈りをお願いいたします。

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