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2015年10月31日 (土)

ノートルダム幼稚園五〇周年@新潟寺尾

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新潟市内の寺尾教会に隣接するノートルダム幼稚園が創立五〇周年を迎え、本日土曜日、記念式典と祝賀会が、幼稚園を会場に行われました。

雨が心配されていましたが、午前中の式典開始前には晴れ間ものぞき、肌寒い日ではありましたが、無事に行事を進行することが出来ました。

ノートルダム幼稚園は、新潟県内17の幼稚園を運営する学校法人聖母学園の傘下にあり、「ノートルダム」という名称から、修道会系の経営かと思われがちですが、当初から教区司祭が設立した幼稚園です。ちょうど寺尾教会のすぐ近くにノートルダム清心高校があったことから、この名前になったとか。設立の初代園長は教区司祭の町田正神父。奇しくも町田神父は、現在、園長ではありませんが幼稚園に隣接の寺尾教会主任司祭として、五〇年を経て、園長とは異なる方法でノートルダム幼稚園と関わっています。今日の祝賀会では、その昔、まだ幼稚園開設の五〇年前頃には、文房具を買いに町へ出かけたら、店の人が領収書に、「アムステルダム幼稚園」と書いたとかお話ししておられました。

ちなみに歴代の園長の中には、ナミュールノートルダム修道会のシスター金光もおられますので、まったく関係ないとも言い切れないかもしれませんが。

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今日のお祝いには歴代の園長を務めた、鎌田神父(現在は新津。第二代と七代で、現園舎を建設)、三崎神父、間嶋さん、シスター金光をはじめ、近隣のカトリック幼稚園から園長や教職員が参加。新潟県の私立幼稚園協会の斉藤副理事長、新潟市の私立幼稚園協会の丸山会長も参加してくださいました。現在の園長は赤坂隆子先生です。

そしてもちろん、記念式典には子どもたちも保護者の方々と一緒に参加。会場の一番前でお行儀良く、わたしなどの挨拶に耳を傾けてくれました。

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そしてなんといっても圧巻は、幼稚園の五十歳の誕生日ということで、ステージの上には子どもたちがみんなで作った巨大なバースデーケーキが登場。キャンドルを捧げ、子どもの代表二人がナイフを手にケーキカットすると、きれに割れたケーキの中から、「祝50さい、ノートルダムようちえん ほいくえん たんじょうびおめでとう」の文字が出現。全員で大きな声でハッピーバースデー合唱。最後には、園児全員で、本当に大きな声で聖歌の合唱を聴かせてくれました。(子どもたちはとびきりの素晴らしい笑顔でしたが、子どもたちの顔が写っている写真を掲載するわけにはいきませんので、後姿を撮影した写真で雰囲気をご想像ください)

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午後からは同じ園舎の会場で祝賀会。初代園長の町田神父は、その頃の園児たちに再開して、とても盛り上がっておられました。卒園生などによるバイオリンやピアノ演奏もあり、保護者の皆さんの実行委員会による聖劇の披露あり、その中で赤坂現園長は羊の役を見事に演じておりました。最後に全員でアーメンハレルヤの合唱。わたしがピアノ伴奏させていただきました。

準備してくださった保護者や職員の皆さんありがとう。赤坂園長先生、本当にご苦労様。素晴らしいお祝いでした。

昔の写真を見ると、松林の何もない広々としたところに、現在の園舎が建っていた様子がわかります。いまでは周囲は住宅地になりました。地域に根ざした幼児教育の牙城として、これからもますます幼稚園・保育園の重要性は増してくると思います。新しい国の子どもに関わる制度がどのように定着していくのかまだ不安が残るところも多々ありますが、キリストの教えを土台にして、心豊かで人を、生命を大切にする子どもたちを育てていくことは、この国の、そして世界のよりよい発展のために不可欠であると信じます。これからも良い幼稚園・保育園にしていきましょう。

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2015年10月25日 (日)

鶴岡教会で堅信式@山形県

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本日の日曜日、山形県の鶴岡市にあるカトリック鶴岡教会で、三名の方が堅信の秘跡を受けられました。おめでとうございます。三名のうちお二人はご夫婦でした。

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鶴岡の町の中心部、市役所の裏手あたりに位置する鶴岡教会は、地元でも鶴岡天主堂として有名で、明治36年に建てられた国の重要文化財指定の歴史的建造物です。聖堂内の黒い聖母像でも有名です。

もちろん最初はパリ外国宣教会の司祭によって始まり、その後は神言会の担当から戦後にイエズスマリアの聖心会の担当に。そして現在は再び神言会員の伴神父が主任司祭を務めています。伴神父は、鶴岡教会と酒田教会の兼任です。

土曜の晩は、山形大学に留学している三名のインドネシア人の留学生も加わり、伴神父とほか数名の信徒の方と夕食会。三名のインドネシア人留学生も信徒で、そのうちの一人は今日のミサで侍者を務めてくださいました。お一人はまだ来日したばかりですが、後の二人は博士課程にいるだけあって日本語も不自由なく、インドネシアの興味深いお話をいろいろ聞かせていただきました。

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今日の福音は目の不自由なバルティマイの癒やしの話でした。あの福音の物語には、興味深い点があります。それはイエスを一目見ようと集まった群衆のバルティマイへの態度の変化です。当初は、バルティマイをしかりつけ黙らせようとしていた群衆は、しばらくすると彼に対して「安心しなさい。立ちなさい。お呼びだ」と呼びかける。つまり、ビフォー・アフターでいえば、ビフォーはバルティマイという人物の存在を認めない、彼の願いを認めないというかそれにさえ気がつくことのない人々が、アフターでは彼の存在を認め、その希望に理解を示し、その希望が叶えられるようにと後押しをするのです。

このビフォーとアフターの間には何があったのか。それはたった一言のイエスの言葉です。「あの男を呼んできなさい」

神のことばには力がある、といってしまっても良いのかもしれません。ほかのだれでもない。大勢集まっているあなた方のだれでもない。わたしは皆から忘れ去られているあのバルティマイにこそ会いたいのだ。皆が無視している人物こそ、わたしにとって大切な人なのだ。主イエスの深いいつくしみのまなざしを、そこに感じ取ることが出来ます。

教皇フランシスコの、神のいつくしみはすべての人にという思いや、忘れ去られて良い人は一人もいないという主張、そしてすべての人が神のいつくしみのうちに包まれ手ほしいという願い(それがいつくしみの特別聖年につながっています)を思い起こします。まさしくイエスのたった一言は、神のいつくしみの向かう先はどこにあるのかを、群衆に明確に示し、その人々の心を、それまで忘れ去られて人へと向けさせました。

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さまざまな意味で困難に直面している多くの人たちに向けて、教会は、神のいつくしみがすべての人々を包み、とりわけ困難のうちにある人に向けられているのだということを、改めて強調しなければならないのではないでしょうか。そしてそれがこれから始まる特別聖年において、心に留めなければならないことではないでしょうか。もちろん神のいつくしみはわたしたちを包み込んでいるので、それをしっかりと心で感じ感謝することも大切ですが、いただいたいつくしみを教会としてすべての人へ告げ知らせる使命をもわたしたちは受けているように思います。

堅信のミサの後は信徒会館で、庄内風味の芋煮をいただいてお祝いをいたしました。山形県は芋煮会で有名ですが、山形市方面と庄内とでは味が異なるのだとうかがいました。祝賀会の最後は、教会の歌(本間神父様作らしいです)の大合唱。これは実は動画を撮りましたが、公開するかどうかは思案中。

鶴岡教会の皆様、ありがとうございました。

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2015年10月18日 (日)

クララ会で初誓願式、そして翌日は堅信式@高田

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昨日の土曜日、午前11時から、上越市の高田にあるクララ会修道院聖堂で、初誓願式が行われ、中沢純子さんが3年間の有期誓願を宣立されました。高田のクララ会は小さな共同体ですが、このミサには桐生や八王子のクララ会修道院からも姉妹が駆けつけ、さらには高田のフランシスコ会員をはじめ富山や東京方面のフランシスコ会員も加わり、聖堂は満員御礼状態。さらに聖堂横の来訪者用の場所も、お祝いに訪れた信徒でいっぱいになりました。

高田のクララ会で誓願式は、わたしが新潟に来てから二度目。現在も一人の志願者がいるので、大きくではないですが、しっかりと共同体がこの地に続くようには、召命のお恵みが与えられ続けているように感じます。おめでとうございます。

新潟教区のために毎日のお祈りを続けてくださっているクララ会の共同体に感謝しますし、同時にそのすべてをなげうって主への奉献に生きる生活の態度そのものが、新潟教区の信徒にとって大きな模範と励ましになっていることも感謝します。

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誓願式のミサ後には、普段は外来者との面談などに遣われる部屋で(禁域との間に仕切りがある部屋)一緒に昼食いただいて、お祝いをしました。初誓願ですから奉献生活は始まったばかり。これからの歩みのうえに、聖霊の導きと護りがあるように祈ります。

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そして今日の日曜日は、高田教会で堅信式。今年はお一人の堅信でしたが、直江津や妙高からもミサに参加してくださり、聖堂はいっぱいでした。

今日はちょうど世界宣教の日でもありました。これに合わせて福音宣教省からは、第二バチカン公会議の宣教教令(Ad Gentes)の発布50周年を記念して、宣教のための意向でミサを捧げるように求められていました。今日のミサは、宣教について考えるひとときであり、私たち一人ひとりの使命についても考えるときであり、また世界で働く宣教師のために祈る日でもありました。

ちょうど堅信式でしたが、まさしく堅信を受け入信の秘跡の道が完成することによって、キリスト者は与えられた使命を果たしていき義務を負うことになります。その使命は、言うまでもなく、キリストが弟子たちに与えた最後の命令、「全世界に行って、すべての人に福音を告げなさい」というあの福音宣教命令です。

私たち一人ひとりが福音宣教の使命を受けています。それをどう果たしていくのか。それは、宣教教令にあるとおり、私たちの日々の生活におけるあかしによって果たされていきます。日々の生活の中で語る言葉、行い、そして出会う人たちとの人間関係。それらがイエスの福音に基づいているのか、はたまた私たちの人間的考えに基づいているのか、見直しが必要です。普通に生きていく中で、福音をあかししていきたいと思います。

堅信の秘跡、おめでとうございます。(写真はすべて高田教会の方の撮影です)

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2015年10月11日 (日)

第19回新潟教区信徒大会@山形

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第19回目となる新潟教区信徒大会が、200名の参加を得て、山形県の寒河江市内で開催されました。10月10日と11日の二日間、「福音の喜び」をテーマに、真摯な分かち合いと交流の時を持ちました。教区で働く司祭団からも20名が参加。会場は、山形教会が幼稚園の改築工事中であったこともあり、以前にも何度か教区行事で利用させていただいた寒河江市内のホテルになりました。

新潟教区信徒大会は、3年ごとに開催されており、近年は新潟・山形・秋田三県の持ち回りで行っています。前回は2012年に新潟で、教区創立100周年のお祝いとして行われました。ですので次回は2018年に、秋田県内で開催される予定です。

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新潟教区信徒大会は、教区信徒使徒職協議会の総会としての意味合いもあり、司祭・修道者・信徒が一堂に会して、ともに学び祈り交流を深めるとともに、信徒使徒職協議会の総会も行われます。今回も。二日目の最後の派遣ミサが終了後、会場において信徒使徒職協議会の総会が行われ、その後解散となりました。

山形教会の千原神父様が中心となり、主に山形教会の信徒会の方々が細かいところまで配慮の行き届いた素晴らしい準備をしてくださいました。感謝します。

今回は、教皇フランシスコの「福音の喜び」をテーマにしましたので、まず最初にわたしが一時間ほど「福音の喜び」について解説の話をしました。これは、時間をみつけて作業が出来ればなのですが、近日中にパワーポイントとともに、原稿を書き起こして公開したいと思います。その後、奉献生活者、信徒、司祭がそれぞれの立場から10分ずつ分かち合い、さらに全員を15のグループに分けて、分かち合いを行いました。分かち合いの前には千原神父が分かち合いについてのしっかりとしたアドバイスとヒントを話してくださったので、スムースにグループでの分かち合いに入ることが出来たのではないかと思います。

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2時間近い分かち合いを経て、その後、夕食の交流会。交流会中にはステージでいろんな方が歌を歌ってくれましたが、いつものように、そして山形地区でもあるので、新庄教会のフィリピン出身信徒の方々のダンスもありました。そういえば、わたしの話の後での信徒の分かち合いは新庄教会のフィリピン出身信徒の方で、日本での暮らしや教会での活動の困難さと新たな発見について話してくれました。

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そして二日目は朝の祈りに続いて全体での分かち合い。そして主日のミサでもある派遣のミサを捧げ、最後に信徒使徒職協議会の総会で、お昼に締めくくりとなりました。説教は後日公開します。

参加してくださった皆様、ご苦労様でした。全体で七千人弱の信徒が新潟教区にはいることになっているので、その約30分の1が今回は寒河江に集まったことになります。ここで学んだことを是非小教区に持ち帰り、皆さんに分かち合ってくださいますように。

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2015年10月 9日 (金)

巡礼へのお誘い@三件

巡礼などへのお誘いを、3件ほど紹介いたします。

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まず、第51回国際聖体大会。これは2016年1月24日から31日まで、フィリピンのセブで開催されます。日本からは札幌の勝谷司教を団長に、那覇の押川司教も同行して巡礼団が派遣される予定です。(英語でのホームページはこのリンクです)

「国際聖体大会は、次のことを目的とする人々の国際的な集会です。

  1. 日々の生活とカトリック教会の宣教において、ご聖体を中心に置く場の意識を高めること。
  2. 私たちの典礼への理解と、ともに祭儀を祝うことを助け改善すること。
  3. 聖体の社会的側面に注目すること。

毎日の聖体祭儀は、この大会の核心となるものです。聖体大会の拡大されたプログラムには、1週間の期間中に他の典礼祭儀、文化的行事、カテケシス、証し、そしてワークショップがあります(大会のパンフレットから引用)」

参加募集は阪急交通社です。こちらのリンクをご覧ください。2016年1月27日からの6日間と1月23日からの10日間の二つのコースがあります。

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つぎに、2016年夏に開催されるワールドユースで(世界青年大会WYD)です。会場はポーランドのクラクフ。2016年7月26日から31日まで。巡礼団は7月23日から8月2日までの11日間と、7月23日から8月5日までの14日間の二コース。青年大会ですから、参加者は高校生を除く18歳から35歳まで。国籍は問いません。こちらのリンクから参加申込書やパンフレットをダウンロードできます。WYDには教皇様がおいでになる予定です。また14日間のコースではアウシュビッツなども訪問する予定です。なお新潟教区の担当者として、秋田教会の松本神父様が同伴者として巡礼に同行することを予定しております。

最後に三つ目はわたしごとですが、横浜にある信徒の旅行社に企画をお願いしたクロアチアの巡礼旅行です。今年のクリスマス前、2015年12月12日出発で12月21日夕刻に帰国です。わたしも同行する予定です。

コースとしては、ザグレブ、シベニク、スプリット、ドブロニクなどあまり耳にしたことのない地域ですが、世界遺産となっている聖ヤコブ大聖堂をはじめ数々の由緒ある教会を訪ね、毎日ミサも行います。料金は諸税・燃油代は別途で395,000円です。お問い合わせはパラダイスの村上(信徒です)さんまで。お問い合わせの電話は045-580-0023。月曜から金曜の9時半から18時まで営業しています。またはメールでは mary@junrei.co.jp

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2015年10月 8日 (木)

聖フランシスコのお祝いなど@長岡

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10月4日は、アシジの聖フランシスコの祝日でした。今年は日曜と重なったので、典礼でのお祝いはありませんでしたが、フランシスコ会にとっては重要な祝日です。新潟教区では長岡地区でフランシスコ会の会員が働いてくださっています。以前から毎年、10月の第一火曜日に、フランシスコ会の会員と新潟県内で働く司祭が一緒に感謝のミサを捧げ、お昼の食事をともにするということが続いていました。今年は10月6日に、長岡教会(旧表町教会)で11時から一緒にミサを捧げ、その後、近くのイタリアンレストランで一緒に食事会となりました。なおこのミサには、長岡地区のフランシスコ第三会員も参加されました。(写真はミサ後に共同司式の司祭団と、高田のブラザー斉藤も一緒に、新潟教会信徒のかたの撮影)

以前は長岡地区全体がフランシスコ会の担当で、長岡の表町教会もフランシスコ会の司祭が担当していました。しかし現在では、ご存じのようにフランシスコ会でも会員の高齢化と減少が進み、すでに長岡と十日町からは撤退し、現在では長岡には神言会員が派遣されています。

このミサでは、開会中のシノドス(世界代表司教会議)の成功のため、また10月6日はちょうど聖ブルーノの祝日でもありますから、現在病気療養のため入院中の同会会員で糸魚川教会主任のブルーノ・ファブリ神父様の回復のために、皆で祈りました。ブルーノ神父の一日も早い回復と現場復帰を、教区の皆様もどうか一緒にお祈りください。なんと言っても、長岡地区で働くフランシスコ会員ではいちばんの「若い」司祭ですから。

さて先日9月の連休中に開催された正義と平和協議会の全国集会東京大会ですが、その主な模様を収めたビデオが公開されています。最終日に行われたシンポジウムの模様を収めたビデオを貼り付けておきますが、そのほかは以下のリンクでご覧ください。なおシンポジウムでは、松浦司教の司会で始まり勝谷司教の話に続いて、36分頃から、私の話が始まります。話は25分間です。スライダーでそこまで移動することも出来ます。

これ以外のビデオは、このリンクからご覧ください

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2015年10月 5日 (月)

人間の安全保障と難民問題

今日はちょっとカリタスジャパンの視点から一項目お伝えします。

世界の安全保障は21世紀に入る頃から、その視点をそれまでの国家と国家の緊張関係によるバランスに基づいた安全保障から、一人ひとりの人間をベースにしたグローバルな安全保障へとパラダイムシフトをしてきました。もちろん軍事力に頼って政治的意図を達成しようとする国家は消滅しませんし、そう簡単に政治の世界の人々の考え方が変わるなどと夢を見ているわけではありません。しかし、いわゆる国家を超えた武装勢力による、これまでの国際社会の常識を越えたテロの脅威が増す中で、そういった「憎悪の連鎖」を生み出すベースそのものを是正していくことの必要性も真剣に考えられるようになりました。

そして重要視されるようになったのは、「人間の安全保障」という考え方です。

日本政府にとって、この「人間の安全保障」という概念は異質な考え方なのではなく、どちらかというと国際社会の中で日本こそがそれに積極的に取り組んで行くのだという姿勢を、前世紀末頃から示していました。現在の「積極的平和主義」が登場する遙か前の話です。

例えば、2005年4月20日、当時の町村外務大臣はバンドン宣言50周年を記念してインドネシアで開催されたアジア・アフリカ閣僚会議における演説で、「我が国は『有言実行』の国です」と宣言した上で、人間の安全保障の視点から開発援助を推進し、アジアやアフリカにおける地域協力への積極的関与を確約しました。

そもそも「人間の安全保障」とは何か。外務省のホームページには次のような解説が掲載されています。

「人間一人ひとりに着目し,生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り,それぞれの持つ豊かな可能性を実現するために,保護と能力強化を通じて持続可能な個人の自立と社会づくりを促す考え方です。グローバル化,相互依存が深まる今日の世界においては,貧困,環境破壊,自然災害,感染症,テロ,突然の経済・金融危機といった問題は国境を越え相互に関連しあう形で,人々の生命・生活に深刻な影響を及ぼしています。このような今日の国際課題に対処していくためには,従来の国家を中心に据えたアプローチだけでは不十分になってきており,「人間」に焦点を当て,様々な主体及び分野間の関係性をより横断的・包括的に捉えることが必要となっています」

1999年に5億円を拠出して「人間の安全保障基金」を国連の場に設立させたのは、まさしく日本政府です。この数年間の世界の紛争やテロ事件を見るにつけ、グローバル化がここまで進んだ世界で平和と安定を達成するために、不安定要素を軍事力で抑制することには限界があります。多くの国が2000年に始まって2015年までミレニアム開発目標(MDGs)を真剣に捉えて達成に努力を払い、いままたこの9月の国連サミットで2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)をあらためて設定して真摯に取り組もうとしているのも、世界の平和の達成には貧困の撲滅による安定がまず第一に必要だという共通理解があるからでしょう。その意味でも日本政府には、適切な開発援助や外交政策によって、いわゆる途上国諸国の諸問題に、「有言実行」で取り組んでいっていただきたいと思います。大袈裟なことを言うならば、人類が生き残るために、国家や国益という枠組みを超えたグローバル・リーダーとしての姿勢が、日本政府にあってほしいと思います。

さて、カリタスジャパンは、日本国内における難民支援事業に取り組んだ過去の体験があります。1975年6月、国連難民高等弁務官駐日事務所の連絡を受けて、「デンマーク船に助けられ横浜港に着いたベトナム難民50人に対して、カリタス・ジャパンが宿泊の手配等の援助を実施。また同年7月には第87大盛丸に救助されたベトナム難民に対して援助を実施」しました(カリタスジャパンHPより)。これ以降、カリタスジャパンは難民担当のデスクをもうけ、国連難民高等弁務官事務所や外務省と連携する中で、国内にインドシナ難民の一時受け入れ施設を設置しました。当時、神言会の多治見修道院内にも、一時受け入れ施設がカリタスジャパンによって設置されていたのを記憶しています。

その後この難民デスクは独立し、現在の司教協議会における難民移住移動者委員会に発展していきました。

当時の全国の諸団体(今で言えばNGOでしょう)による日本政府と国連との連携の下でのインドシナ難民一時受け入れは、その後には主に第三国定住支援にシフトしたとはいえ、高く評価されるべき取り組みの事例です。

全国難民弁護団連絡会議代表の渡邉彰悟弁護士は10月2日の会見で、その当時のインドシナ難民受け入れの活動実績を振り返って、いま、日本政府とNGOやその他の政府機関が連携すれば、千人単位でシリア難民を受け入れるのは可能だと指摘しました。インドシナ難民の時は一万人ほどの方々を受け入れたのです。

こういったことを踏まえて、安倍首相の国連総会での演説を前に、これまで難民問題に関わってきた国内の14団体が連名で、9月28日付で、日本政府に要望書を提出しました。

要望は次の2点です。

  1. 来る 9 月 29 日の国連総会における演説の中で、シリア難民の日本への受入れを表明してください。
  2. 受入れにあたっては、政府(関係省庁)、自治体、国際機関、市民社会の幅広い知見を集めて実施することを、あわせて表明してください。

この要望には難民移住移動者委員会とカリタスジャパンも、これまでの歴史的経緯から名前を連ねました。

残念ながら報道されているように、首相の演説においては難民受け入れへの積極的関与は触れられませんでしたが、少なくとも国際社会が連携してこの問題に取り組む必要性は説かれていましたし、中東の平和のための資金提供が決まっていることも(これはすでに実施済みの案件も含まれての総額提示だと聞いています)、良い便りです。日本政府が、常任理事国となる世界のリーダーたらんとするのであれば、国際問題の対応に政治的にも積極的な姿勢を示すことは不可欠ですし、他の諸国と同様な現状理解があるということを言動で示すことも不可欠だと思います。

今回の演説後の記者会見で、実際にそれが具体的にどのような規模になりどのように実施されるかは別にして、シリア難民受け入れに少なくとも積極的な日本の姿勢を示すことが仮に出来ていたのなら、日本への国際的評価は少なからず高まったでしょうし、前世紀末から主張してきた「人間の安全保障」への取り組みに関して、さらなるリーディングポジションを確保できたであろうと思います。記者会見のビデオを見ていて、プロンプターへの模範解答の提示ミスなのかと思ったほどでした。一時期、国内問題にとらわれずグローバルな視点から「人間の安全保障」を提言しリードしてきた日本政府の姿勢を、是非失わずに発展させていってくださることを心から願っています。

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2015年10月 4日 (日)

本荘教会で堅信式@秋田、由利本荘市

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先週は月曜から金曜まで、イエズス会の柳田神父様の指導で、さいたまと新潟教区の合同司祭黙想会でした。1年に一度、司祭は修道会であれ教区であれ、一週間の黙想をしてそれぞれの霊的振り返りを行う義務があります。司祭が、小教区などの現場で司牧と宣教の業に励むためには、霊的な土台を確固たるものとしていかなくてはならず、そのためには祈りとミサに加え、心の深い振り返りと進むべき道筋の修正が不可欠ですので、その意味でも、1年に一度の黙想会は重要です。それぞれの修道会では会員のために黙想会を開催し、教区も同じく教区司祭のために黙想会を開催します。

前回紹介したように今年の黙想指導は柳田神父様の指導でしたが、私は司教総会があったため、残念ながら水曜日までの参加で、後半部分の神のアガペに包まれるお話やイグナチオの霊操に通じるポイントを聞くことが出来ず残念でした。

さて先週木曜日の常任司教委員会に続いて金曜日には臨時の司教総会が開催されました。内容については次号のカトリック新聞を参照ください。

一つだけ触れておけば、総会の中で新福音化委員会から、12月8日に始まるいつくしみの特別聖年への取り組みについての報告がありました。すでに聖座の新福音化評議会からこの特別聖年のために行うべき様々なプログラムについて指示が来ていますので、それぞれの教区で実情に合わせながら一年間の聖年を過ごすことになります。

新潟教区での特別聖年の取り組みは、とりまとめてからまもなく各小教区にお知らせできるかと思います。間近では、12月8日には、特別聖年の開幕として、平日ですが午前11時から、新潟教会で司教ミサを行います。この日はちょうど前晩から司祭団の月例静修ですので、ミサには新潟近隣で働いている司祭も参加することになります。

なお新潟教区における聖年の扉はカテドラルの新潟教会正面の扉といたしますが、それ以外にも、各地区で一つは聖堂を指定したいと思います。ただ今回は、指定された聖堂では、定期的にゆるしの秘跡を行うことが出来るようにしなければならないため、基本的に小教区の聖堂を指定する予定です。

また、聖年の間を通じて、祈りのリレーを考えています。聖年のための祈りの翻訳もできあがり、まもなくカードになって配布される予定ですので、その祈りとロザリオなどを組み合わせ、聖年の1年を通じて教区内の小教区の誰かが必ず祈りを捧げている、という形にしたいと思います。これも詳細はまもなくお知らせいたします。

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今日の日曜日は、秋田県の南部に位置する由利本荘市の本荘教会を訪問し、堅信式ミサを行いました。ちなみに市の名前は由利本荘市で教会は本荘教会と名称が異なるのは、市が合併で名称を変更したためです。しかも由利本荘市のJRの駅名は「由利本荘」ではなくて「羽後本荘」という紛らわしさ。すぐ南にTDKの城下町であるにかほ市(仁賀保でしたが合併でにかほ)があります。新潟からは車で4時間半ほどかかりました。

本荘教会の主任司祭は神言会の桃田神父。70を超えた桃田師は秋田地区の大ベテラン司祭で、併設されている幼稚園の園長も兼任しています。

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今日は二人の方が堅信を受けられました。おめでとうございます。こじんまりとしながらもステンドグラスの美しい聖堂には、幼稚園の先生方も参加してくださり、20名近い方が集まりました。ミサの前には一緒に朝の祈り。ミサの最中も元気な歌声。ミサが終わるとあらためて皆で終わりの祈り。小さいけれどもよく祈り、よく唄う共同体でした。

ミサ後には、すぐ近くにあるホテルで、今日ミサに参加した信徒の方々15名ほどと一緒に、お弁当で昼食会。その間も、いろいろな質問をいただき、それに答えているうちに、あっという間に時間は過ぎてしまいました。昼食後、皆様と別れ、再び4時間半ほどのドライブで、先ほど夕刻に、新潟へ戻りました。秋田は昨日午後は荒れ模様で、夜には大風と雷。突風の被害もあったようです。今日は曇りでしたが、時折日も差し、快適なドライブになりました。

10月になりましたので、今月の主な予定を。

  • 10月4日 本荘教会堅信式 (由利本荘)
  • 10月6日 アシジの聖フランシスコ祝い (長岡)
  • 10月10日・11日 新潟教区信徒大会 (山形県寒河江)
  • 10月14日・15日 カリタスアジア地域委員会 (バンコク)
  • 10月17日 クララ会誓願式 (上越)
  • 10月18日 高田教会堅信式 (上越)
  • 10月19日 月曜会 (11時新潟教会)
  • 10月19日 社福法人新潟カリタス会理事会 (新潟)
  • 10月25日 鶴岡教会堅信式 (鶴岡)
  • 10月27日 学法聖母学園理事会・園長会 (新潟)
  • 10月29日 HIV/AIDSデスク会議 (東京)
  • 10月31日 ノートルダム幼稚園50周年 (新潟・寺尾)

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