福音宣教省総会@ローマから帰国
11月30日から12月3日までローマで開催された、教皇庁福音宣教省の第19回総会に出席し、昨晩帰国しました。サンピエトロ広場は降誕祭に向けて巨大なクリスマスツリーとこれまた巨大な馬小屋を準備中で、夜には特別なライトアップも行われ、パリでのテロ後に観光客や巡礼者が減ったと言われ、確かに警備の姿がいつも以上に目につきましたが、それでもいつもの待降節の雰囲気でした。(写真上:最終日の教皇様謁見にて)
今回の総会は、1965年12月8日の第二バチカン公会議閉幕前日に、現代世界憲章とともに公布されたいわゆる「宣教教令・Ad Gentes」の50周年を記念してこの時期に行われたもので、テーマは「Ecclesial Awareness and Mission ad gentes (教会の意識と諸国民への宣教)」。福音宣教省が管轄するいわゆる「宣教地」にあって、福音宣教への意識を各地の教会共同体がどれほど持っているのか、また福音宣教省はそのためにどんな貢献やサービスが出来るのかが話し合われました。
教皇庁の役所は、もちろんローマにある役所の本体のことでもありますが、同時にそれぞれに教皇様から任命されているメンバー(委員)で構成されています。福音宣教省の務めのなかで日本の教会に一番なじみがあるのは、日本を含む宣教地における司教任命のための選任手続きを教皇大使を通じて行う部署としてですが、これも毎月2回、ローマに居住するメンバーの枢機卿による会議によって、だれを司教候補として教皇様に推薦するのかを決定しています。(写真上:ウルバノ大学の総会議会場。談笑する左からタグレ(マニラ)、コヴィタワニット(バンコク)、ジュエ(ナイロビ)の各枢機卿とニコラス師)
今回は総会の日程が決まった後に教皇様のアフリカ訪問が入り、福音宣教省のフィローニ枢機卿はこれに同行したので、総会初日は欠席でしたが、同じく同行したタクソン枢機卿共々、二日目の朝から元気に参加されておられました。
現在の福音宣教省のメンバーは53名。そのうち、枢機卿のメンバーが31名。教皇庁のさまざまな役職を持つ大司教が9名。それ以外の各地の教区大司教・司教が、私を含めて6名。修道会代表や宣教地司祭育成会代表の司祭が6名。そしてシスターが一名。メンバーの中には、ソウル、マニラ、バンコク、香港の枢機卿さんなど以前から存じ上げている方々もおられましたし、また修道会代表にはイエズス会のニコラス総長もおられました。(修道会は他に、フランシスコ会とオブレート会の総長。シスターはカンボニ宣教女会の総長)
会議は毎日朝9時から一人の方の講演があり、その後英語、イタリア語、フランス語の言語別グループに分かれての討議が午後1時まで。そしてイタリア特有の長い昼休みの後、全体会が午後4時半から7時まで。全体会は同時通訳(英、仏)があります。毎日の講演は、初日が前国務長官のベルトーネ枢機卿、二日目が正義と平和評議会のタクソン枢機卿、そして三日目が教皇庁教会アカデミーのグローダー大司教。私が参加した英語の小グループには、10月のシノドスでも発言が注目されていた南アはダーバンのナピエル枢機卿と財務事務局のペル枢機卿がおり、この二人の議論は、ちょっと興味深いものでした。(全体会で写真をミサながら教皇アフリカ訪問について語るフィローニ枢機卿。議長席左から次官のホン大司教、司会のランジット枢機卿(コロンボ)、フィローニ枢機卿、ゴローダー大司教)
討議された内容はまた福音宣教省から詳細なレポートが出ることだろうと思いますが、小教区における宣教意識をどう高めるのかとか、司祭養成の段階で宣教への意識を高める工夫が必要だとか、宣教地の教区の財政自立は重要だが、それだけにとらわれて福音宣教への熱意が失われては本末転倒だとか、それに関連して財政的また人的相互支援をどのように強めるのかなどの諸点が指摘されました。本日の日曜日に行われた宣教地司祭育成の献金などを取り扱う部門(宣教地司祭育成会)も、この福音宣教省が管轄していますので、その献金が減少傾向にあることへの懸念も表明されていました。
会議最終日の12月3日は、午前10時から聖ペトロ大聖堂地下の聖ペトロ墓所前の小聖堂で、福音宣教省長官のフィローニ枢機卿が司式して感謝ミサ。その後12時半から教皇様との謁見。そして午後4時から総括全体会が行われ、閉幕となりました。(上の写真は、教皇謁見後、移動のバスを待つ枢機卿たち。一番左から二人目が、枢機卿団で一番若い54歳のトンガのマフィ枢機卿)
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