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2017年5月29日 (月)

第41回長岡地区信徒大会@妙高教会

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昨日の主の昇天の主日は、長岡地区の信徒大会でした。直江津教会が運営を担当していましたが、会場は妙高教会。120名ほどが参加されました。

長岡地区は、長岡、柏崎、十日町、高田、妙高、直江津、糸魚川の各教会から成り立っています。以前は地区全体がフランシスコ会の担当でしたが、現在は長岡と十日町を教区司祭が担当しています。フランシスコ会は会員の減少もあり、管区全体での会員派遣の見直しなどもあって、現時点では、伊能神父さまが中心となり、時に応じて他の司祭の協力も得ながら高田、直江津、妙高、糸魚川を司牧され、さらに柏崎には90を超えた同会のバッシ神父がお元気でおられます。

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朝方は曇りで肌寒い妙高でしたが、お昼過ぎからは日差しも出て、昼食後に野外で行われた派遣ミサの時には、今度は逆に暑いくらいの陽気となりました。

午前中は私が、「いのちのまなざし」をテーマに、先般司教団があらためて発表した「いのち」に関わるメッセージについて解説をさせていただきました。その後、グループに分かれて分かち合い。このあたりはすべて、妙高教会の山小屋のような聖堂の中で行われました。

昼食は隣りにある教会の山荘で。ここは掛け流しの温泉風呂もあることで有名です。雑魚寝用の部屋がいくつかあります。是非教会関係の行事に活用していただきたいと思います。お問い合わせは高田教会まで。

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昼食後には信徒使徒職協議会の総会を経て、野外ミサで締めくくりました。前晩から、特に青年たちの指導のために、東京から若手のフランシスコ会員も数名応援に駆けつけてくださっておりました。ありがとうございます。

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この地区には柏崎に東京電力の原子力発電所があり、職場や地域の人間関係で、原発の問題は生活に直結しています。そのなかで、司教団が強調する原発の廃止という方向性は、なかなか難しい問題を生起しているのも事実です。ちょうど伊能神父が話してくださっていましたが、それが単なる個人のレベルの対立を生み出すのではなく、その個人レベルの問題と、倫理的方向性とは分けて考えていかなくてはならないと思います。司教団は倫理的判断をしているので、それはどうしても、どちらか一方という極端なものにならざるを得ませんが、それは基本的には方向性を示しているものであって、それに向かって、現実の世界の中で、少しずつ実現する方向へゆっくりと歩みを進めたいと思います。政治や経済に対する宗教者の警告が、一朝一夕であっという間に実現するなどということはあり得ないことは、十分に承知しています。

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準備をしてくださった直江津教会の皆さん、当日だけではなく準備のために何度も直江津から妙高へ通われたと伺いました。ご苦労様でした。

来年の長岡地区信徒大会は、5月27日に、糸魚川教会で開催の予定です。

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2017年5月27日 (土)

新潟清心ハンドベル部25周年コンサート@新潟教会

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新潟清心女子中学・高等学校には、この地域で唯一であるハンドベル部があります。ハンドベルは一人では演奏が出来ませんし、どうしても大人数であり楽器の数もかなりのものですから、簡単にどこかに出向いていって演奏というわけにもいきません。

それでも、活動の場は拡がっていて、市内外の催しに呼ばれたり、福祉施設などを訪問しての演奏を続けています。

今年で創部が25周年。その記念のコンサートが、本日土曜日の午後3時から、新潟教会を会場にして行われました。中学生8名、高校生18名の合計22名の部員です。長年にわたって指導しているのは信徒の藤崎さん。今日のコンサートで高3の7名は部活の卒業だそうです。またこの記念コンサートはチャリティーとして行われ、募金はカリタスジャパンに寄付してくださるとのことでした。

演奏されたのは11曲。前半は「アメージング・グレイス」や「千と千尋の神隠し」の音楽などちょっとポピュラー系で。後半は「惑星」のジュピターや「くるみ割り人形」などクラシック系でも良く知られた曲。最後に、高3の部員に感謝の花束贈呈があってアンコールが、「365日の紙飛行機」

ハンドベルは音色が優しいものの、やはり鐘を撞いて音を出すシステムですから、早い音の動きの曲ではどうしてもスタッカート気味に聞こえ、その分、曲全体が「走っている」ように聞こえてしまうと思います。今日披露された曲にはそういった速い動きがある曲も多数ありましたが、皆よく練習を積んでいるのでしょう。走ることなく落ち着いて聞くことが出来ました。指導されている先生方に感謝。以下、本日のパンフレットに記した私のメッセージを再録。

ハンドベルの響きをもって、多くの方々の心に優しさを届けてくださる新潟清心女子中学・高等学校ハンドベル部の創部25周年、本当におめでとうございます。

この素晴らしい機会に、ハンドベルの音色が新潟教会において響き渡る定期演奏会が開催されるとうかがい、カトリック新潟教区を代表してお祝いと感謝を申し上げます。

教会は神に祈りを捧げる場ではありますが、祈りは単に言葉を羅列させる「おまじない」ではなく、心の内における神との対話であると言われます。また祈りは、心を落ち着けて、沈黙のうちに、神の声に耳を傾けようとする姿勢でもあります。こういった祈りのために、音楽が果たす役割には大きなものがあります。

教会における音楽と言えば、パイプオルガンが一番最初に浮かんでくるのかもしれません。小さいですけれど歴史のあるパイプオルガンが、新潟教会にも備わっています。パイプオルガンは9世紀頃から教会で使われ始め、13世紀頃にはその地位を確立したと言われますが、教会ではパイプオルガンを「心を神と天上のものへ高く掲げる伝統的楽器として大いに尊重されなければならない(典礼憲章)」と定めています。天に向かってわたしたちの心を持ち上げる力強さがパイプオルガンにはありますが、同時にわたしたちの心には神の声に耳を傾ける静けさも必要です。

その意味で、まるで天使が奏でているような優しい音色のハンドベルは、教会の中で奏でられるとき、わたしたちの心に落ち着きを与えてくれる存在であると思います。その音色に包まれながら、わたしたち一人ひとりも、心の優しさを取り戻すことが出来るのではないでしょうか。

どうぞこれからも、多くの方々に、心の優しさを、その響きによってもたらしてくださいますように。みなさまのさらなるご活躍に期待し、神様の祝福をお祈りいたします。

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2017年5月24日 (水)

新しい5人の枢機卿任命

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先週は国際カリタスの会議でバチカンにいました。いろんな人と出会って話をする中で、教皇様は次に「いつ」枢機卿を任命するだろうかというトピックで、少し盛り上がりました。ご存じのように教皇選挙権を持つのは80歳未満の枢機卿で、その人数は120名と定められています。(写真はローマの国際カリタス本部隣りにある、サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会)

教皇フランシスコは、様々に改革を進めているので、この人数を150名に拡大するのではないかといった類いの噂もありました。120名というのは、パウロ6世によって定められた人数です。しかし、先日教皇様と直接話したある関係者によれば、教皇様は「任命したい人はまだ多いが、定員があるから」と言明し、この120名枠は今のところ変更しない方針を示唆されたそうです。というわけで、この話をしていたときに80歳未満の枢機卿は116名。そのため今年は新たな枢機卿の任命はないのではないか、早くても来年の2月ではないか、というあたりで、話は終わりました。

ところが、会議が終わってローマからターキッシュ航空便に乗り、イスタンブールを経由して、日曜日の夜に成田空港へ到着し、携帯の電源を入れると、なんとその数分前に教皇様が日曜日のレジナ・チェリの祈りの後に、新しい枢機卿の任命を発表されていました。

以前のバチカンの他の会議で、ニュージーランドの枢機卿が、自分が枢機卿に任命されたこと知ったのは、友人から突然『おめでとうメール』が来たからだった。それまではまったく知らなかった、といわれてましたが、今回任命された方々も、驚かれたことでしょう。

というわけで、このたび5名の方が、枢機卿に任命され、親任式は6月28日に行われることになりました。任命されたのは以下の司教様たちで、わたしが個人的に存じ上げている方もおられます。

  • マリ・バマコの司教 ジャン・ゼルボ大司教
  • スペイン・バルセロナのフアン・ホセ・オメリャ大司教
  • スエーデン・ストックホルムのアンデルス・アルボレリウス司教
  • ラオス・パクセのルイス・マリ・マングカネクホン司教
  • エル・サルバドルのサン・サルヴァドルの補佐司教グレゴリオ・ロサ・チャベス司教

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一番最後のロサ・チャベス司教は、カリタスエルサルバドルの責任者で、以前はカリタスラテンアメリカの総裁を務められていました。彼は、昨年福者に上げられたオスカル・ロメロ大司教の協働者で、ロメロ大司教の列福運動で大きな役割を果たした一人です。首都サンサルバドルの司教であった福者ロメロ大司教が、ミサを捧げている最中に暗殺され殉教を遂げた後に、ロサ・チャベス司教は同教区の補佐司教に任命され、現在に至っています。ロメロ大司教の殉教は1980年3月24日。ロサ・チャベス司教が補佐司教に任命されたのは1982年2月です。(写真上は、福者ロメロ大司教の肖像の前に立つロサ・チャベス司教)

何度もカリタスの理事会で一緒になりました。会議で一緒になったときのイメージは、『正義のためのファイター』です。ロメロ大司教に倣って、恐れることなく、常に正しい道を押し進んでいくファイターです。

教皇フランシスコは、今回もそうですが、これまで枢機卿のいなかった国や、従来の慣例に捕らわれすに人物本位で枢機卿を任命されます。今回も、アフリカのマリや、アジアではラオスの司教が任命されました。スエーデンに至っては、この国に独りしかいない司教です。カルメル会士で、研修会で三度ほど一緒になったことがありますが、とても心優しい司教様です。いずれにしろそうした教皇フランシスコの方針からすれば、サンサルバドル教区の補佐司教を枢機卿に任命したのは、やはり福者ロメロ大司教のような生き方を、教皇様が現代社会に模範として示したいと願われているからではないでしょうか。

さて、全国的に意見が大きく分かれている「共謀罪」を盛り込んだ「組織犯罪処罰法」の改正案が、5月23日に衆議院を通過しました。与党が過半数を占めているのですから、現状ではよほどのことがない限り与党の思うとおりに法律は出来ていくのでしょう。

法律の細かいところは、新聞を読んだり、国会の論戦を聞いたりしても、聞けば聞くほど、なにやらはっきりしないということだけがはっきりしてきます。

法律の専門家の立場からはまたそれぞれの考えるところがあるのでしょうが、宗教者の立場からも明確にしてほしいと願うところがあります。

もちろん歴史はそのまま繰り返しませんし、時代によって国の内外の状況や関係も異なるので一概には言えないのは当然理解しています。その上で、国による恣意的な運用の可能性を否定しない法律によって、すくなからずの宗教者が内心の自由を侵害された体験のある国に生きている宗教者ですし、実際に新潟県の高田において戦争中、信徒と司祭が、信仰に基づく信念のゆえに治安維持法違反で逮捕され、実際に有罪を宣告されたことがある新潟教区の司教としては、どうしても一つの点を、具体的に担保する保証がないことには、安心が出来ないのです。それはすなわち、内心の自由の保障が、今の政治家の『言葉』による担保なのではなく、将来的に渡って具体的な制度として護られることがしっかりと定められることです。これからの参議院の議論において、そのことがしっかりと取り上げられるように心から望みます。

国会の議論において、野党の皆さんの質問の中心には、『一般人が対象になるのかどうか』という点がありましたが、それを今の与党政権の誰かが、『そのようなことはないから安心してほしい』と言葉で言ったところで、それは将来的には何の保障にもなりません。残念ながら、あの議論は、時間を費やすばかりで、実りがなかったように思います。それよりも、法の恣意的な解釈による国の権力の濫用によって、内心の自由が侵されることのないような目に見える制度を具体的に設けるような知恵を絞っていただきたく思います。

なおご参考までに、以前に高田で起こったことについて触れた司教の日記は二つありますが、次のリンクを参照ください。2006年8月17日。そしてもう一つ2007年8月8日

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2017年5月18日 (木)

国際カリタスの理事会@バチカン

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国際カリタスの理事会に当たる代表者委員会(Representative Council)が、火曜日から木曜日にかけて、三日間、バチカンで開催されました。アジアからは、カリタスアジア総裁(President)のわたしと、ミャンマー、パキスタンの代表が参加。さらにカリタスアジア事務局長もオブザーバーで参加しました。

国際カリタスの総裁であるマニラのタグレ枢機卿を始め、国際カリタス事務局長のミシェル・ロワ氏ほか事務局関係者、7つある各地域からの代表で、40名以上が参加しました。

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会場は国際カリタスの本部。ローマ市内ですが、バチカンの飛び地であるサンカリスト宮殿。ここには新しくできた総合的人間開発促進の部署も事務局を置いています。

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会議では国際カリタスの公用語である英語、フランス語、スペイン語のどれで発言をしてもよく、必ず同時通訳が入ります。マイクのスイッチを入れると、会場内に二台設置されたカメラの一つが即座に発言者の方を向き、正面スクリーンに発言者が映し出されます。上の写真は、ちょうどわたしが発言しているところを、カリタスアジアの事務局長が撮影してくれました。シノドスホールにも同じようなシステムがあります。

代表者会議は年に二回、5月と11月に開催されます。今回は主に、2016年の年間報告の承認、次期活動計画(2019年以降)策定のための現活動計画の中間評価、2016年の会計報告、パートナーシップガイドラインの見直し、総合的人間開発促進の部署との意見交換、9月から始まる予定の移民・難民・移住者に関わる世界キャンペーンについてなどが議題として取り上げられました。

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最終日の本日の締めくくりのミサは(毎日、会議の終わりはミサです)、カリタスアフリカの総裁で、ガーナのクマシ教区のガブリエル・アノチ大司教が司式されました。

初日のミサは英語でタグレ枢機卿が司式、二日目はスペイン語でカリタスラテンアメリカの総裁ルイス・アズアヘ司教(ベネズエラ)が司式、そして今日はフランス語でした。アノチ大司教はガーナの方ですが、フランス語が堪能です。

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なお会議の間に、アズアヘ司教から、ベネズエラの状況についての報告がありました。(写真上:右がアズアヘ司教、左がアノチ大司教)

政治の大混乱で経済も混乱し、病気が蔓延しているのに薬すらない現状は、日本にいる私たちの耳にはあまり届いてこない現実です。ベネズエラのためにも皆で祈りましたが、いますこし、こういった状況にもしっかりと目を向けたいと思います。

ローマは日中はすでに夏のような陽気です。

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2017年5月14日 (日)

新潟日報でアンリ神父が紹介されました

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新潟教区司祭でベルギー出身のアンリ・ホイセゴムス神父が、今日の新潟の新聞「新潟日報」で、大きく取り上げられています。

アンリ神父は1940年にベルギーのブリュッセルで誕生。1966年9月に司祭に叙階されました。1967年に来日後、日本語を学び、1969年から新潟教区で働いておられます。ですから昨年は司祭叙階金祝、そして今年は、日本に来て50年というこことになります。

新潟日報は、「イマジン」というタイトルで、障がいを持って生きる人たちや、その人たちとともに歩む人にスポットを当て紹介する記事を、長期連載中です。今日の新潟日報の「イマジン」で、アンリ神父が取り上げられました。

記事のタイトルがすべてを物語ります。「本人の力、生かす助けに」という見出しに、副題が「半世紀寄り添った『父』」。アンリ神父はこの地域において長年にわたり、障がいのある人たちに寄り添い、また一緒に生活をするという活動を続けてきました。記事の中でアンリ神父は、「私は障害者運動をしたわけでもなく、一人一人に出来ることをしてきただけ」と述べていますが、まさしくそれがアンリ神父の福音のあかしに生きる道だと思います。また何でも手助けするのではなく、足りない部分を補うことが大事だとも説きます。わたしたちにとって、福音宣教の一つの道として、模範を示されている生き方ではないでしょうか。

これからもお元気で、活躍されることを期待しています。

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2017年5月12日 (金)

教皇様、ファティマへ

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マリア様が、ポルトガルの三人の子どもたちに御出現なさったのが、1917年5月13日。それから明日で100年になります。(上の写真は聖母が最初に現れた場所に建てられた、最初の小聖堂。その前に聖母像があるところが、聖母出現の場所)

この聖母御出現の聖地ポルトガルのファティマに、教皇フランシスコは本日から二日間、巡礼の旅に出られます。またこの訪問の間、6回にわたり聖母の出現をうけ、またメッセージを受けた三人のうち、幼くして亡くなった二人、フランシスコ・マルトとジャシンタ・マルトの列聖式が行われることになっています。三人のうちもう一人のルシア・ドスサントスは、その後修道生活に入り、2005年に亡くなられましたので、現在列福調査が進められています。(写真下は、その小聖堂の上に立てられた聖堂。大聖堂に向かって左手です)

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また、ファティマに安置されている聖母像の公式なレプリカが、100周年を記念して全世界に派遣され、日本にも教皇大使を通じてやってくることになりました。明日、5月13日(土)の14時から、日本カトリック司教協議会の会長である長崎教区の高見大司教の司式で記念のミサが行われます。場所は東京のカテドラルである関口教会です。その後聖母像は各地を巡回しますが、新潟教区には、9月14日15日に秋田の聖体奉仕会で開催される「秋田の聖母の日」に巡回してくることが決まっております。(「秋田の聖母の日」についてはこちらのリンクの聖体奉仕会へ)

教皇様は訪問に先だってポルトガルの方々にビデオメッセージを送られましたが、その中で、今回の訪問の意義を、次のように述べておられます。

『この巡礼で、わたしは教皇として聖母のもとに赴き、イエスから世話をするようにとわたしに託された最も素晴らしい「花々」、すなわちイエスの血に贖われた、誰一人除外されることのない、世界中の兄弟姉妹たちをお捧げしたいと思います。

「マリアと共に、希望と平和における巡礼」、これがわたしたちの巡礼のモットーです。そこには回心のためのすべての計画が込められています』

教皇様の巡礼の旅路を聖母の取り次ぎのうちに神様が守ってくださるように祈りたいと思います。またすべての人が神の御言葉に耳を傾け、神の計画に完全に立ち返る回心の道を歩むことが出来るように、聖母の導きにしたがってさらに祈りを深めたいと思います。まさしく「希望と平和」は、現代社会から失われつつあります。あらためて、徹底的に祈りと回心を求められる、ファティマでの聖母のメッセージに、耳を傾けたいと思います。

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写真はファティマの大聖堂を背景にして撮影してもらったものです。わたしの後ろ向かって左手が、上の写真にある、聖母御出現の聖堂です。ここに掲載した写真はすべて、2016年1月に、わたしが研修会でリスボンに行き、その際にファティマへ出かけたときのものです。ちょうど、今年の100周年に間に合わせるために、大聖堂を始め各所は改修工事の真っ最中でした。

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2017年5月 9日 (火)

新潟司祭団の月の集まり@司教館

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新潟教区で働いている司祭団のうち、主に新潟地区と新発田地区、並びに長岡市近隣で働く司祭が定期的に集まる月の集まり「静修」が、昨日の夕方から今日の昼まで、司教館で行われました。

今回は16名ほどが参加。この地域の教区司祭と、一緒に働く神言会の司祭が、一緒に集まり、講師の話に耳を傾け、ミサと祈りと食事を共にし、日頃の働きについて分かち合うひとときとなりました。

今回の講師は、神言会日本管区の副管区長であり宣教事務局長でもあるディンド・サンティアゴ神父。神言会の日本における使徒的活動について、その方針や優先課題などについて、二日間お話しくださいました。なお、ディンド神父はフィリピン出身で、今年の聖週間には、山形県の新庄教会をお手伝いくださいました。

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神言会は、新潟教区において、主に秋田県内の小教区と、新潟地域のいくつかの小教区で働いてくださっています。また教区全体の外国籍信徒の司牧も、神言会員に専任で担当していただいています。現在日本管区では120名を超える会員が働いていますが、以前から、主にアジア出身の会員が神学生時代に来日し、日本語で神学を学んで司祭に叙階されてきましたから、30代の若い会員が比較的多いことで知られています。日本での会員の平均年齢も56歳くらいだとディンド神父から聞きました。これからも宣教修道会として積極的に、新しい福音宣教のわざに挑戦し続けていただきたいと期待しています。

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2017年5月 8日 (月)

昨日は8名の方の堅信式@山形教会

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昨日は復活節第四の主日でした。この主日は、朗読される福音から、「よき牧者の主日」ともいわれ、また第54回目となる「世界召命祈願日」でもあります。この主日に、山形市にある山形教会で、8名の方が堅信の秘跡を受けられました。おめでとうございます。

中国方面から黄砂が押しよせてくるすっきりしない一日でしたが、暖かい日差しに恵まれた、ゴールデンウィーク最終日の日曜日。この日、山形の信徒の方ばかりではなく、お隣の新庄教会からも多くの方が参加してくださり、山形教会の聖堂は一杯になりました。ミサ後には、一緒にお弁当をいただきながら、堅信を受けられた方々のお祝い界も行われました。準備してくださった信徒の皆さん、主任の千原神父様、ありがとうございました。

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よき牧者である主イエスに導かれる羊の群れは、どうやってその群れとして集まるのでしょう。それは牧者である主の声を聞き分けることが出来るからではないでしょうか。わたしたちのキリスト者としてのアイデンティティの重要な要素のひとつは、主の声を聞き分けることが出来るかどうかにかかっているように思います。

例えば昨日の第一朗読にあったペトロの力強い説教。あのストレートな呼びかけを人々は真正面から受け止めることで、神からの真の呼びかけに応えることが出来ました。でもあれが、例えばですけれど、現代社会で起きていたらどうでしょう。極端な言い方かもしれませんが、例えばツイッターのようなもので、「あのペトロという男は、イエスを裏切ったやつだ」などという話があっという間に拡がり、あまりの雑音の多さに、ストレートに呼びかけに向き合うことが出来なくなってしまうように思うのです。

わたしたちが生きている現代社会は、そういったストレートな呼びかけが、聞こえにくい、いわば雑音の多い社会なのではないでしょうか。神の呼びかけからわたしたちを引き離す、様々な種類の雑音があまりにも多く存在する社会なのではないでしょうか。

そんな現実の中で、神からの呼びかけに耳を澄ませそれにストレートに応えること、すなわちよい牧者の群れに加わることは、肉体的な迫害以上の困難さを、わたしたちに与えていると感じます。さらには、わたしたち自身がよい牧者の声を聞き分けることに困難を感じるばかりではなく、その牧者の声を代弁してさらに群れを広げること、すなわち福音宣教においても、大きな困難を感じる時代です。雑音に満ちあふれた現代社会は、牧者の呼びかけを伝えようとするわたしたちの声を、かき消してしまうのです。

そんな中で、教皇様は世界召命祈願日にあたりメッセージを発表され、わたしたち一人ひとりが勇気を持って呼びかけに応えるように促されます。(メッセージ全文はこちらのリンクの中央協のページです

召命は、もちろん第一に司祭や修道者の召命を意味していますが、しかしその前提として、わたしたちすべてにそれぞれの召命があることも忘れてはなりません。教皇様はメッセージでこう言われます。

「すべてのキリスト者は福音宣教者とされています。キリストの弟子は実際、個人的な慰めとして神の愛のたまものを受けるのでも、自分だけを高めるよう招かれているのでも、経済的な利害に気を配るよう求められているのでもありません。ただひたすら神に愛されていることを喜び、その喜びによって変えられ、その体験を自分だけのもとに留めておけないのです」

しかし現実はそう簡単ではありません。福音宣教と意気込むものの、雑音に満たされた社会の現実は、神の呼びかけにストレートに耳を傾けることを難しくしています。そんなときにわたしたちは無力感を感じます。それに対して、教皇様はメッセージでこう言われます。

「人々の心にわき上がる疑問や、現実から生じる課題を前にして、わたしたちは当惑し、自分には能力も希望もないと感じてしまいます。キリスト教の宣教は単なる非現実的な幻想であると考えたり、少なくとも自分の力の及ばないものであると思ったりするおそれがあります。しかし、エマオの弟子たちの傍らを歩く復活したイエス(ルカ24・13-15参照)のことを考えるとき、わたしたちは自信を取り戻します。・・・キリスト者とは、たとえ疲れ果て、人々の理解が得られなくても、『イエスがともに歩み、ともに語らい、ともに呼吸し、ともに働いてくださることを知る者です。』」

その上で、司祭や修道者を目指して歩みをはじめる若者たちが輩出するようにと、わたしたちにたゆむことなく呼びかけを続けるようにと、こう述べられています。

「とりわけ若者に対してキリストに従うよう説き、提案する情熱を、わたしたちは今も取り戻すことができます。信仰を退屈なもの、単なる「果たすべき義務」ととらえる世論の中で、わたしたちキリスト者の若者は、イエスの姿に絶えず魅了され、イエスのことばと行いによって問いかけられ、駆り立てられることを望んでいます。そして彼らは愛のうちに喜んで自らをささげ、主によって人間的に充実した生活を送るという夢を抱いています」

この雑音に満ちあふれた現代社会にあって、よい牧者の声を聞き分けることが出来るように、さらにいっそう、心の耳を澄ませたいと思います。心を奪う様々な雑音を、雑音として認識できるように、心を鍛えたいと思います。そしてひとりでも多くの若者が、司祭や修道者を目指して歩みを始めてくださるよう、祈りのうちに働きかけを続けていきたいと思います。

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2017年5月 5日 (金)

五月の主な予定

遅くなりましたが、聖母の月である五月の主な予定です。

  • 5月7日 山形教会訪問ミサ (山形)
  • 5月8日9日 司祭団静修 (新潟)
  • 5月10日11日 司教協議会関連諸会議 (東京潮見)
  • 5月13日 新発田聖母こども園竣工式 (新発田)
  • 5月15日~21日 国際カリタス会議 (ローマ)
  • 5月23日 聖母学園理事会・園長会 (新潟)
  • 5月24日 新潟清心理事会 (新潟)
  • 5月25日 司教協議会関連会議 (東京潮見)
  • 5月26日 仙台教区サポート会議 (仙台)
  • 5月28日 長岡地区信徒大会 (妙高)
  • 5月29日 月曜会ミサ (新潟教会午前11時)
  • 5月30日 新潟カリタス会理事会 (新潟)
  • 5月31日 ゲマインダハウス理事会 (名古屋)

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2017年5月 4日 (木)

教皇様の呼びかけ

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教皇様は、海外を司牧訪問される際、ローマに戻る機内で記者団と会見をしておられます。普段はこういう、記者が直接質問をする記者会見を教皇様がなさることはないので、教皇様の考えをうかがい知る機会ともなっています。(写真は、今年4月、バチカンでの会議での教皇様とタクソン枢機卿)

先日のエジプト訪問は、安全に対する不安もあったものの、教皇フランシスコの平和に対する毅然とした態度を象徴的に明示する機会となったと思います。それは平和を語るときに何者をも恐れない強い態度と、エジプトにおける少数派キリスト者の苦しみに寄り添おうとする『いつくしみ』の具体化です。

さてそのような歴史的な訪問の帰途、教皇様はいつものように記者団の質問に答えられました。その中に、珍しく、日本にも関係する応答があったので、一般紙でも内容が配信されていました。それはこの数日、必要以上に緊張感が高まっている、北朝鮮の核の問題です。

以下に詳述しますが、教皇様のポイントは「外交的交渉が重要だ」という点にあるのですけれど、ネット上ではその発言に対して批判的な意見も散見されました。それは例えば、「非現実的だ」とか、「現実を知らない」とか、「核による抑止力が必要だ」とか、結構の数の意見が見られました。

そもそも、教皇様は個人的な思いつきで発言されているわけではありません。この会見の中でも、他の質問に関連して「その問題について、国務長官からは何もまだ聞いてはいない」という発言があったことから明らかなように、教皇様の外交問題に関する発言は、基本的に国務省との綿密なやり取りの中で方向性が定まっているものです。

ちょうどこの数日後、5月2日からウィーンで開催されている「2020年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会」で、参加した聖座代表は次のように述べて、聖座(バチカン)の立場を明らかにしています。

『この準備委員会への聖座の参加は、「核兵器から解放された世界をめざし、核不拡散条約の文字通りでその精神をくみ取った完全な履行によって、これらの兵器の完全な禁止という目標に向かって働く」その努力に、倫理的権威から協力しようとするものです』(私訳)

その上で、核抑止力についてこう述べています。

『核兵器は、間違った安全保障の感覚をもたらします。また、力のバランスによって、後ろ向きな平和(a negative peace)をもたらそうとします。国家は、自らの安全保障を保持する権利と義務がありますが、それは集団安全保障や、共通善や、平和と強く関係しています。この観点から、平和の前向きな理念が必要です。平和は、正義と、総合的人間開発と、基本的人権の尊重と、被造物の保護と、公共へのすべての人の参加と、人々の間の信頼と、平和構築に献身する諸機関の支援と、対話と連帯に基づいて構築されなければなりません』(私訳)

そして結論を述べる前に、少しですが、朝鮮半島の状況についてこう触れています。

『聖座は朝鮮半島における状況を懸念のうちに見ています。聖座は、非核化と平和のための交渉を再開しようとする国際社会の継続した努力を支持します』(私訳)

この会議には日本から岸田外務大臣が参加され、5月2日の夕刻に演説をされました。岸田外相の演説は、核のない世界を目指す日本政府の立場を明確にした、非常にバランスのとれた内容でした。その中で、日本政府は以下のように積極的な呼びかけをしています。

『現在,核兵器のない世界に向け,核兵器国の間,核兵器国と非核兵器国の間,更に非核兵器国の間 においても立場の対立が顕著なものとなっています。

私は,こうした現状に対し,核兵器国と非核兵器国 をつなげ,信頼関係を再構築していく方途として,特に以下の3点を訴えます。

第一に,透明性の向上を通じた信頼構築です。包括的核実験禁止条約(CTBT)の下での国際監視制 度(IMS)の能力向上を通じた核実験の確実な検知,核兵器国の核戦力の報告,核兵器につながり得る核分裂性物質の保有の公表等は,核兵器国と非核兵器国の信頼構築につながるものです。この会議に おいて,日本はCTBT,透明性に関するサイドイベントを開催しますが,それはそうした考えに基づくもの です。多くの皆様の参加を歓迎します。

第二に,安全保障環境を向上し,核兵器の保有の動機の削減につなげることです。北朝鮮問題に関し ても,朝鮮半島の非核化を実現するための外交努力を,日本は率先して続けていきます。

第三に,被爆の実相や拡散のリスクへの認識の向上です。核兵器国,非核兵器国を問わず,また,政 治指導者や若者を含む多くの人々が,被爆の実相に触れ,多様化する核リスクを正確に把握することが, 核兵器のない世界の共通の基盤を作ることにつながると私は確信しています』(外務省HPから)

日本政府が、国際社会に対して呼びかけたこの方針を、これからも堅持して、対話と連帯のうちに「安全保障環境を向上し」、世界における核廃絶のトップリーダーとして『平和国家』であり続けることを願っています。第二次大戦敗戦以降の国際社会の現実と力関係の中で、日本がリーダーシップを発揮する余地があるのは、この核廃絶を、武力によってではなく外交によって達成するという道であると思います。

なおエジプトからの帰りの機内での記者会見で、教皇様がロイター記者の質問に答えた部分は以下です。(私訳です)

「これまでの他の地域の首脳たちにそうしたように、外交を通じて解決を見いだすようにと、(その地域のリーダーたちに)呼びかけ続けます。世界にはたくさんの調整役がいます。手伝おうとする仲介者も。そういった国もあります。例えばノルウェー。誰もノルウェーを独裁国家と非難は出来ないでしょう。ノルウェーは常に助ける準備があります。これは一つの例ですが、他にもたくさんいると確信します。しかし、選ぶべき道は交渉です。外交的解決です。

わたしが二年ほど前に言うようになった「分散して戦われる世界大戦」は、『分散して』いるのですが、その一つ一つが大きくなりつつあり、もっと集中しつつあります。これらは、すでに『危険地帯』である地域に集中しており、この朝鮮半島におけるミサイル問題はもう一年も継続しているが、状況はさらに加熱しているようです。

すべての状況においてわたしは、問題を外交によって、交渉によって解決すると呼びかけます。なぜなら、人類の将来がかかっているのです。今日において、長期間の戦争は、破壊します。人類の半分までとはいいませんが、人類と文化の多くの部分を破壊します。すべて、すべて、です。とんでもないことです。人類はこれを続けることは出来ないと思います。

内戦で苦しんでいる国を見てみなさい。戦争の炎を見いだす地域です。例えば中東。それだけでなく、アフリカや、イエメン。わたしたちは止めなくてはなりません。見いだしましょう。外交的解決を見いだしましょう。この点に関して、国連は彼らのリーダーシップを取り戻す義務があります。なぜなら、それはある程度まで、骨抜きにされているからです」

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