HIV/AIDSデスクの研修会@東京
先週の土曜日の午後、東京四谷のニコラバレを会場に、日本カトリック司教協議会HIV/AIDSデスク主催の研修会が開催され、40名近い方々が参加してくださいました。
第5回目となる今回の研修会のテーマは、「性教育でどこまで教えるかー人権・エイズ・LGBTー教育現場からのメッセージ」でした。講師を務めてくださったのは、名古屋の南山中学高等学校男子部で長年にわたり保健体育の教員を務めておられる中谷豊美先生。信徒の教員です。
中谷先生は以前から積極的に性の問題を保健体育の授業で取り上げるとともに、ホスピタルクラウンの活動も積極的に行い、さらには学校の奇術部の顧問も務めるという、ユニークな先生です。
カトリックの学校において、性の問題をどうやって、どこまで教えるのかは難しい課題です。しかし、いのちの尊厳を考えるとき、その誕生にかかわる性の問題を避けてしまっては、その後に巷にあふれかえる玉石混淆の情報に翻弄されてしまうことになります。ですから、そこはしっかりと押さえなくてはなりません。司教団メッセージ「いのちへのまなざし<増補新版>」には、性についてこう記してあります。
「聖書の世界は、人間を『男と女に創造された』ものとみて、性を、最初から神の祝福のもとにとらえています。それは、性を生殖から切り離すものでも、また生殖との関連においてのみ評価するものでもありません。性を人間の営み全体にかかわるものとして理解しているのです(23)」
また教会が、だれ一人として排除しない主イエスの生き方に倣うとき、性にかかわることがらでも、同じように誰かを排除するようなことがあってよいはずがありません。HIV/AIDSデスクが設置された当初から、そのことは常にデスク委員の念頭にあり、まずはHIVに感染した人たちと距離を置こうとする態度から教会がどのように決別するのかが大きな課題の一つとなってきました。そして近年は、LGBTという言葉で代表される、性的指向の多様性が社会の中でも注目されるにつれ、教会の態度も見直すべきだという教皇フランシスコの強いリーダーシップがあります。「いのちのまなざし<増補新版>」にはこう記されています。
「性的指向のいかんにかかわらず、すべての人の尊厳が大切にされ、敬意をもって受け入れられるよう望みます。同性愛やバイセクシュアル、トランスジェンダーの人たちに対して、教会はこれまで厳しい目を向けてきました。しかし今では、そうした人たちも、尊敬と思いやりを保って迎え入れられるべきであり、差別や暴力を受けることのないよう細心の注意を払っていくべきだと考えます。例外なくすべての人が人生における神の望みを理解し実現するための必要な助けを得られるよう、教会は敬意をもってその人たちに同伴しなければなりません。結婚についての従来の教えを保持しつつも、性的指向の多様性に配慮する努力を続けていきます。(27)」
神からのたまものであるいのちの尊厳が、例外なくすべて、まずもって優先されることの大切さを、常に心に留めていたいと思います。
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