新年明けましておめでとうございます
新しい年、2018年が始まりました。
新年、明けましておめでとうございます。
先日東京カテドラルで行われた着座式では、本当に多くの方に参加していただき、励ましのお祈りとお祝いの言葉をいただきました。また、当日は様々なところで、多くの方のお祈りもいただきました。お一人お一人に御礼を申し上げたいのですが、なかなか適いませんので、このブログでもって、皆様に心から感謝申し上げます。
本来ですと御礼の言葉や、また新年のメッセージなどを用意すべきところです。申し訳ありません。何もできていません。年賀状すら用意することができませんでした。
というのも、実はまだ新潟からの引っ越しが完全には終わっておらず、また新潟教区での残務整理に加えて、新しい司教が決まるまでの新潟教区管理者の仕事もあるため、東京に落ち着いておりません。一段落するまで、今しばらく時間をいただきたく思います。
さて、年末最後の日には、都内でも雪がちらつきました。大晦日に初雪を観測したのは、130年ぶりだと、どこかで読みました。寒い一日でした。
厳しい寒さで始まるこの2018年は、私にとっては大きな挑戦の一年です。「教区共同体とともにどこへ向かうのか、そのためには何をしたらよいのか」。まずこの二つを、全く新しい環境の中で見極めていかなくてはなりません。そのためには、現在の教区共同体の現実と可能性を識別しなくてはなりません。
とはいいながら、教区共同体は生きています。教区共同体には、まさしく「多様性」そのものともいうべき、多様な教会の現実があり、その多様性は具体的な人として日々の信仰生活を生きておられます。ですから、完全に立ち止まり、いわばフリーズしてアイディアを練ることだけに集中することはできません。今まさしく動いている共同体を、動かし続けなくてはなりません。
これまで続けられてきたことは、ひとまずそのまま継続していただきたいですし、その動きの中で、課題や可能性を一緒に学ぶことができればと思います。私にとっては新しく知ることですし、また教区共同体を形成しているお一人お一人にとっては、これまでの過去を振り返り新たな道を見いだす機会ともなり得るかと思います。
そのような中にあっても、私にとっては明確なことを、二つだけ記しておきます。
まず第1に、教会共同体は、積極的に参加される人も、そうではない人も含め、すべての信徒・修道者・司祭はその一部です。それはご自分が好むと好まざるとに関わらず、洗礼を受けてキリスト者となっている限りにおいて、すでに教区共同体の一部として招かれているからです。ですから、皆さんすべての存在が、教区共同体には不可欠です。
そして第2に、教皇ベネディクト16世が、回勅「神は愛」に記された教会の本質的三つの務めを、教区共同体として具体化することが私の願いです。すなわち25番に次のように書かれています。
「教会の本質は三つの務めによって表されます。すなわち、神のことばを告げ知らせること(宣教ケーリュグマ)とあかし(マルチュリア)、秘跡を祝うこと(典礼レイトゥールギア)、そして愛の奉仕を行うこと(奉仕ディアコニア)です。これら三つの務めは、それぞれが互いの前提となり、また互いに切り離すことができないものです。」
福音宣教に励み、典礼を真摯に行い、愛の奉仕の務めに励む教会共同体。もちろん一人ですべてをすることができるはずがありません。だからこその多様性です。そしてそれら三つは、対立するものでも勝手なものでもなく、互いが互いの前提となり、切り離すことができないのです。だから、多様性における一致です。
教区共同体の中で、この三つの務めがバランスよく、そして互いを支え合いながら具体化されるとき、教会は社会の中で、福音を具体的に生きる「しるし」となるのではないでしょうか。
現代社会はめまぐるしく変化を続け、日本の社会構造もこれから大きな変化に直面しようとしています。社会が変わる中で、教会は変わらない福音を堅持しながらも、それを具体的に「あかし」する道は、常に時代の要請に応えて刷新し続けなければなりません。時代の流れに迎合するのではありません。そうではなく、神がこのすべての人に福音を伝えたいと願っている、その神の思いを、今の時代にどのように具体化するのかを、神の民は歴史の中で常に見極めてきたのです。それを私たちは、今も続けなくてはなりません。
新しい年が、すべての信仰者にとって、教区共同体において自らが果たすべき役割を見いだし、異なる考え、異なる生き方、異なる信仰の表現にあっても、同じキリストから離れることなく、互いに受け入れ合い、支え合っていく一年となりますように。
2018年1月1日
カトリック東京教区 大司教
カトリック新潟教区 教区管理者
タルチシオ 菊地功
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