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2018年7月30日 (月)

7月30日は人身取引反対世界デーです

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2014年以来7月30日は、国連薬物犯罪事務所United Nations Office on Drugs and Crime(UNODC)によって制定された人身取引反対世界デーとされています。(the World Day against Trafficking in Persons)

人身売買や人身取引というと、なにか現代世界とは関係のない、奴隷売買でもあったような時代の昔話のように響きますが、これは日本も無関係ではない21世紀の今の時代の世界的な問題です。

ユニセフのプレスリリースにこう記されています。

「ユニセフ(国連児童基金)と人身取引反対機関間調整グループ(ICAT)は7月30日の「人身取引反対世界デー」を前に、世界で人身取引(人身売買)の被害者として確認できた人の約28%が子どもであることを本日明らかにしました。サハラ以南のアフリカ地域、ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域などでは、人身売買被害者に占める子どもの割合はさらに高く、それぞれ64%と62%です。

特に人身売買に巻き込まれやすいのが、難民・移民・避難民の子どもたちです。戦争や暴力を逃れ、あるいはより良い教育や生活の機会を求める子どもたちが、家族と共に正規ルートで安全に移動できることはほとんどありません。そのために、子どもたちと彼らの家族は非正規の危険なルートを取り、あるいは子どもたちはひとりで移動することになり、人身売買業者による暴力、虐待、そして搾取に遭いやすくなります。」

この日を前に、昨日7月29日のアンジェルスの祈りで教皇様は7月30日が人身取引反対世界デーであることに触れ、次のように述べられました。

「人身取引の目的は、被害者を安価な労働力、売買春、臓器売買、物乞い、あらゆる悪行の対象として搾取することにあります。移住が、人身売買の隠れ蓑となり、移住者の中から新たな被害者が生まれています。これは人道に反する犯罪です」

人身取引は、国際条約によって定義が定められています。一般に「人身取引議定書」といわれる「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、特に女性及び児童の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」には、次のような定義が掲載されています。

「“人身取引”とは、搾取の目的で、暴力その他の形態の強制力による脅迫若しくはその行使、誘拐、詐欺、欺もう、権力の濫用若しくはぜい弱な立場に乗ずること又は他の者を支配下に置く者の同意を得る目的で行われる金銭若しくは利益の授受の手段を用いて、人を獲得し、輸送し、引渡し、蔵匿し、又は収受することをいう。搾取には、少なくとも、他の者を売春させて搾取することその他の形態の性的搾取、強制的な労働若しくは役務の提供、奴隷化若しくはこれに類する行為、隷属又は臓器の摘出を含める。」
(同議定書第3条(a))

日本も例外ではありません。実際に警察によって摘発されている事件も毎年あり、移動の自由などを奪って、ほぼ強制的に労働に従事させるような事例が、人身取引にあたるのではないかという指摘も聞かれることがあります。また被害を受ける人は、海外からの移住者や難民の方々だけではなく、日本人も含まれます。

教皇様と国際カリタスの呼びかけに応えて、カリタスジャパンは難民移住移動者委員会と共同で「排除ゼロキャンペーン(Share the Journey)」を繰り広げています。これは、難民や移住者として来られる方々の体験に耳を傾け、互いを知ることで、排除ゼロの世界を目指し、互いに助け合って生きる世界を目指そうというキャンペーンです。同時に、人身売買の被害者は、教皇様が指摘するように難民や移住者の中に多く見られるのであり、またユニセフが指摘するように、子どもたちの多くが被害に遭っていることを考えるとき、人身取引に反対する意識を共有することも、このキャンペーンにとっては大切であると思います。

わたし自身に自分の人生のストーリーがあるように、すべての人にはそれぞれのストーリーがあり、すべてのストーリーは大切な宝物です。

それはキリスト教では、神が一つ一つの命をよいものとして創造されたと信じているからです。命は、この世界に存在するという事実を持って、すべからく大切な価値を持っています。その命の価値を、何らかの判断基準で勝手に決めることは、人には許されないことだと、信仰者は考えます。

ですから、危険にさらされている命を守るように、たとえ直接の行動が難しかったとしても、そういう現実があるのだと言うことを知り、その認識を通じて、それぞれの国が何らかの行動をとるように促していくことは、共通善に彩られた良い世界の実現に少しでも近づくために、大切なことだと思います。

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2018年7月22日 (日)

大阪教区補佐司教叙階式

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旧聞になりますが、7月16日の午前11時から、大阪教区のカテドラル玉造教会で、二人の補佐司教の叙階式がありました。またこのミサは、前田枢機卿様の親任報告と感謝のミサでもありました。(写真上は前田枢機卿と教皇大使)

今更言うまでもなく、とても暑い日でした。玉造教会にはエアコンがないので、氷柱と扇風機を各所に配置。たしかにエコフレンドリーといえないこともありませんが、しかしあの気温と湿度では、身の危険を感じるほどです。

司祭のシャツの上にアルバ(白衣)をつけ、さらにカズラ(祭服)。頭にはズケット(赤い丸帽子)とミトラ。ミトラをつけるとこれまた暑く、ミサ中は頭から玉のような汗が流れておりました。冷たいおしぼりと水を大量に用意してくださった関係者に感謝です。(写真下、ミサ後の酒井司教)

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叙階された方々も大変だったと思いますが、何よりも前田枢機卿が、式後に、あの緋色の枢機卿正装で、炎天下のテントを挨拶して回ったのは、体重が減るほど大変であったと思います。

式中にはもちろん、前田枢機卿の俳句披露もありました。配られたカードに記された、ローマでの親任式翌日のミサの時の句です。(写真下は、前田枢機卿の紋章と、俳句の記されたカード)

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「緋色受く 五島椿や ペトロ祭」

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酒井司教様、アベイヤ司教様、おめでとうございます。(写真上は、クラレチアン会の仲間と一緒に、アベイヤ司教。下は、左が酒井司教、右がアベイヤ司教の紋章)

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日本の司教団は17名です。新潟が決まれば18名になります。私より先に司教になったのは5名だけとなりました(高見大司教、大塚司教、梅村司教、松浦司教、宮原司教)。また今回の任命で、修道会と属人区出身の司教が増えました。わたし、バーント司教、アベイヤ司教、酒井司教、山野内被選司教の5名です。司教団の構成が大きく変わろうとしています。どうか日本の司教団のためにお祈りください。

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2018年7月15日 (日)

FABCの会議でマニラへ

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司教総会が終わった翌金曜日夕方の便で、フィリピンのマニラへ飛びました。アジアの司教協議会連盟(FABC)関係の会議に参加するためです。

マニラ空港の混雑でなかなか着陸できず、夜の9時前のはずが到着したら10時過ぎ。外へ出てタクシーを待ってさらに1時間。会場は結構空港からは距離的には近いはずのパコという地区にあるマニラ教区のピオ12世カトリックセンター。司教総会など大きな会議や研修会の開かれる宿泊できる施設です。これがまたマニラ湾沿いの道は大渋滞で、空港から1時間以上。結局宿舎に到着したのは真夜中12時過ぎでした。空港で並んで乗ったイエロータクシーのドライバーは、親切に開いている入り口を探してくれました。

会議はFABCのOHDというセクションの会議。人間開発局と訳されています。わたしはそこの委員であるとともに、協働するはずのカリタスアジアの責任者としても呼ばれました。

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OHDはFABCができる以前に、社会活動に携わっていた司教や司祭や修道者、信徒の話し合いの中で1969年頃にフィリピンで誕生した組織で、1970年以降はFABCの一部門となりました。それでも誕生の経緯から、マニラに実際の事務所を構え、独立した組織として運営されてきました。故浜尾枢機卿様も、OHDの責任者を務めたことがあります。

わたしがカリタスに関わるようになった90年代後半までは、OHDの責任者がカリタスアジアの総裁を兼務していましたので、両者は協力しながら活動を進めてきました。ところがアジアのカリタスに関わるメンバーたちの希望で、1999年に、カリタスアジアはOHDから独立した組織となっています。

その後、紆余曲折があり、人材を見つけることもできない事情もあり、OHDを今後どのように運営していくのか、また事務所をこのまま運営するのかが、この数年の大きな課題でした。

今回の会議は、これにめどをつけて、次の3年の計画を明確にすることにありました。

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集まったのは、FABCの会長を務めるボンベイのオジワルド・グラシアス枢機卿。その補佐司教で、OHDの秘書を務めるアーヴィン司教。タイで難民救援組織に長年関わるピブル司教。そしてカリタスアジアを代表して私。加えてバチカンに新しくできたタクソン枢機卿の人間開発の部署から難民と移民セクションのアジアコーディネーター、ムラヤマさん。気候変動の専門家であるノエリン博士。そして香港のFABC事務局から司祭が一人。

少しは将来の方向性を定めることができたと思いますし、今後のカリタスアジアとの長期的な協力体制にも目処をつけることができたのではないかと思います。

私は明日の大坂での補佐司教お二人の叙階式に行かなくてはならないので、日曜日午後の便で早めに失礼することに。

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羽田行きの全日空便は午後2時40分の出発ですが、この土日は、マニラ市内で、キリスト教系の新興団体イグレシア・ニ・クリストが大規模集会を開催し、主な道路が閉鎖されることになっているのだとか。日曜とはいえ、大渋滞が懸念されていました。

渋滞が全くないのであれば30分ほどで到達できる距離ですが、安全のため何もないときでも1時間は余裕を見ます。しかしこの道路封鎖でどうなるかわからないので、12時過ぎには空港に到着するために10時に出るようにとの皆さんの言葉。会議場の車で送って頂くことに。

10時に玄関にやってきた車の運転席には、私が見た感じでは80歳ほどの超ベテランです。一瞬、心を不安がよぎりました。ところが、このベテランこそが大正解。街の裏の路地のようなところを右に左にと走り抜け、かなり大回りをしたのだと思いますが、最後はスカイウェイなる高速道路にたどり着いて、結局、40分で空港に到着。こんなに早く着いたことがないくらい早かったです。さすが、道を知り尽くしているベテランでした。感謝でした。

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2018年7月14日 (土)

司教総会が開催されました

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7月9日から12日まで、日本のカトリック司教団の司教総会が、東京のカトリック中央協議会で開催されました。議事が思いの外早く進み。13日昼までの予定が、12日夕方で終わりとなりました。

今回は、この数週間の間に教皇様から新しく任命された4名の被選司教たちと、開催直前に引退が受理された郡山司教、そして後任が任命されたさいたま教区管理者の岡田大司教も加わり、19名の参加となりました。

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総会の議事については、カトリック中央協議会のホームページに公式の報告がありますので、このリンクからご覧ください。

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11日の水曜日夕方には、場所をイグナチオ教会に移して、司教団主催で、ペトロ岐部と187福者殉教者の列福10周年と列聖祈願ミサを捧げました。司式はこのたび枢機卿の親任された大阪の前田枢機卿。教皇大使のチェノットゥ大司教も参加されました。

また、このたびの西日本豪雨災害で亡くなられた方々の安息と、被災された方々のために、ミサの中で祈りを捧げました。

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聖歌隊で奉仕してくださったイエスのカリタス会のシスター方、イグナチオ教会の皆様、ありがとうございました。

災害の発生中に司教総会があったこともあり、急遽でしたがわたしが起案して、豪雨災害で被災された方々へのメッセージを司教団として発表することができました。司教団の名前でだすメッセージは、司教全員の賛成が必要であるため、よく見ていただくとわかりますが、多くのメッセージはそれ以外の名称、つまり会長個人や、常任司教委員会や各委員会の名前で発信されています。今回は即座に賛成が得られたので、頂いた意見を基に加筆して発表メッセージとなりました。

カリタスジャパンは、被災された教区の担当者と連絡を取りながら、教会としてできることへ取り組むために動いているところです。

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2018年7月 8日 (日)

お知らせ

教皇様は、昨日、7月7日のローマ時間正午(日本時間夜7時)、鹿児島教区の郡山司教様の定年に伴う引退願いを受理されました。定年は75歳と決められており、75歳になるとすべての司教は教皇様に引退願いを出さなければなりません。

教皇様は同時に、後任の鹿児島司教として、日本カトリック神学院の院長を務める鹿児島教区司祭の中野裕明師を、鹿児島教区司教に任命されました。

中野被選司教様のためにどうぞお祈りください。叙階式の日程は後日発表されます。

日本カトリック神学院は、白浜司教に続いて中野被選司教と、二人も院長を司教として送り出すことになりました。喜ばしいことではありますが、同時に、神学院の院長職は容易な仕事ではないので、後任選びがこれまた大変であります。

ところで、明日月曜日から金曜日までの予定で、司教総会が開催されます。司教総会中、7月11日水曜日の午後6時から、イグナチオ教会を会場に、日本カトリック司教協議会主催で、司教団全員が参加してミサが捧げられます。このミサには現在4名となった被選司教たちも参加の予定です。

ミサの意向は、福者ペトロ岐部司祭と187殉教者の列聖祈願であり、前田枢機卿様が司式される予定です。どうぞご参加くださり、殉教者の列聖のためにお祈りください。

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カリタスウガンダ責任者ンダミラ師、一連の講演とミサ

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カリタスジャパンと長年のパートナー関係にあるアフリカのカリタスウガンダ。私が司教になる以前、2003年頃に初めて訪問したのは、当時、あまりにもたくさんの援助申請書がウガンダから届くようになり、添付の推薦状が同じ人物のはずなのに、どれもこれも署名の字体が異なるという事態に直面したからでした。その署名の人物の名前はモンセニョール・ンダミラ師。これは本人に会って確かめなくてはと、ウガンダまで出かけました。

カンパラ郊外のエンテベ空港まで迎えに来てくれたンダミラ師は、笑顔の優しい神父さんでした。早速彼の事務所で持参した推薦状のコピーを見せながら話をすると、どれもこれも偽物。まるで本物のような司教協議会のレターヘッドの偽物までありました。

そのときに合意したのが、ンダミラ師の事務所で直接やりとりをして、現地で進められるプログラムをカリタスジャパンで支援すること。いわゆる持続可能な農業の様々なプログラムを中心に、それ以降今に至るまで、カリタスジャパンはンダミラ師の率いるカリタスウガンダを支援してきました。カリタスジャパンからも、毎年現地視察に出かけ、日本からの支援が生かされている現状を確認してきました。

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その後司教になった後に一度、ンダミラ師と一緒に、ウガンダ北部のグルへ出かけ、当時激化していた内戦とそれに伴う国内避難民の様子を、特に子どもたちの状況を中心に視察に出かけたことがあります。

グルのオダマ大司教は、国内避難民の子どもたちの保護に奔走し、反政府勢力と政府の和平の仲介になったりと、国際的に知られた人物です。そこで、農業支援に取り組む時とは異なる、平和構築に真摯に取り組むンダミラ師とカリタスウガンダの姿を見ることになりました。現時点では、ウガンダ北西部で、南スーダンからの難民への対応に当たられています。

カリタスジャパンは、国際カリタスが昨年から推進する難民や移住者への理解を深め、排除することのない世界を築こうという「Share the Journey・排除ゼロ」キャンペーンに積極的に関わっています。司教協議会の難民移住移動者委員会とも連携し、様々な企画を行っています。ちょうど6月の末が、国際カリタスの勧める世界的行動の週であったことから、日本での企画を考えました。

そしてカリタスジャパンとの長年のパートナーとして信頼関係にあるンダミラ師を招いて、アフリカの難民や移住者の現実についてお話をしていただくことになりました。

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講演会を一つだけではもったいないので呼びかけたところ、聖心女子大学のグローバル共生研究所の協力が得られ、同研究所との共催で、7月6日夜に、ンダミラ師の講演と、学生さんとのクロストークのイベントが開催され、100名を超える方々に参加していただきました。会場はかつて青年協力体の研修所だった広尾の聖心女子大学の建物です。中心になって動いてくださる大橋正明先生は、シャプラニールをはじめ海外で活躍する多くのNGOに関わって来られた方です。

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学生の皆さんからも、様々に興味深い質問をいただき、ンダミラ師のお話を皆で深く聞く機会となりました。

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翌日、7月7日は、難民移住移動者委員会と共催で東京教会管区アクションデーを関口で行いました。これには遠くは札幌教区からも参加者があり、300人近い方が集まりました。東京教区の国際センターCTIC所長の高木健次神父がスタッフも動員して準備に奔走してくださいました。感謝です。

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午前中は私の導入の後、私が質問してンダミラしに応えていただく形でお話を伺い、さらに難民や移住者としての当事者の方々3名のお話を伺い、キャンペーンの趣旨に則って一緒に昼食を分かち合い、午後はワークショップ。そして3時からカテドラルで国際ミサとなりました。ミサは基本は日本語でしたが、歌は、特にインドネシアの方々を中心とした素晴らしい聖歌隊が歌ってくださり、共同祈願も各国語で。多くの人が様々な役割を担うミサとなりました。

参加してくださった皆さん、準備してくださった皆さん、本当にありがとうございました。

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移民や難民として流入してくる人たちが、世界各国で増加するにつれ、どこの国でも排斥する傾向が強くなっています。それに対して教皇フランシスコは、手を広げて迎え入れようと呼びかけます。様々な理由で人は旅に出るのですけれど、自分自身の毎日と照らし合わせて考えてみれば、今の生活を捨てて旅に出ることは、簡単な決意でできることではありません。多くの人が重大な決断のもとに旅に出ます。その人たちを、迎え入れようというのが教皇フランシスコの呼びかけです。

同時に、そういった人たちを受け入れることを難しくしているのは、相手を知らないからだとも、教皇は指摘されています。知らないから不安になり、排斥に進むのだと。だから理解するためにも互いに知り合おう。互いの旅路を物語を分かち合おう。食事を分かち合おう.そこから相互の理解が生まれるのだと、教皇フランシスコは呼びかけています。

このキャンペーンも、まず互いに知り合って理解を深めようとするキャンペーンです。

ンダミラ師はあと数日は日本に滞在され、今週初めには、名古屋の南山大学でも話をされることになっています。

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2018年7月 4日 (水)

講演会などへのお招き

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カリタスジャパンでは現在、国際カリタスからの呼びかけに応えて、特に難民や移住者を排除しない世界を目指すキャンペーン、「排除ゼロキャンペーン」を展開しています。このキャンペーンは、日本ではカトリック難民移住移動者委員会との共催です。

排除ゼロキャンペーンの英語のタイトルは、「Share the Journey」といいます。つまり、それぞれの旅路の物語を分かち合おうという意味です。

なぜなら、私たちが互いに恐れ合い、不信感のうちに異質な相手を排除してしまう一番の原因は、相手を知らないことにあります。

自分が安住している社会の安寧を乱す危険な存在として異質な存在を排除しようとする心を落ち着かせる一番の方法は、その異質な存在を異質ではなくすこと。つまり相手を知ることにあります。

このキャンペーンの一番の目標は、優しくすることではなくて、相手を知ることです。ですから、異なる社会で生きる人の体験の分かち合いに耳を傾けることは、このキャンペーンの重要な部分です。その人生の旅路の物語に耳を傾けることで、不信の闇を打ち払うこともできるのではないでしょうか。

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そういうわけでカリタスジャパンでは今回、東アフリカはウガンダから友人を招きました。長年の支援活動で親交のある、カリタスウガンダの責任者、フランシス・ンダミラ師を招きました。彼の体験談に、是非とも耳を傾けていただきたい。(上の写真、中央がンダミラ師。2005年にわたしがウガンダ北部のグルを訪問したときの写真です)

7月6日の夕方には聖心女子大学で、そして7月7日には午前中から関口教会で、ンダミラ師のお話を聞く機会があります。わたしも導入のお話をいたします。また7月7日は、午後3時からわたしが司式して国際ミサが予定されています。東京カテドラルです。是非ご参加ください。

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2018年7月 3日 (火)

7月8月の主な予定

あっという間に関東の梅雨は明け、真夏のような7月が始まっています。7月と8月の主な予定を記しておきます。

  • 7月4日 ペトロの家司祭ミーティング (朝)
  • 7月5日 常任司教委員会 (10時、潮見)
  • 7月5日と6日 神学院常任司教委員会 (東京キャンパス)
  • 7月6日 カリタスウガンダ講演会 (聖心女子大学)
  • 7月7日 排除ゼロキャンペーン・アクションデー (午前中、関口教会)
  • 7月7日 国際ミサ (キャンペーン行事) (15時、東京カテドラル)
  • 7月8日 下井草教会堅信式 (9時半、ミサ)
  • 7月9日~13日 司教総会 (潮見)
  • 7月14日 FABC/OHD (アジア司教協議会連盟人間開発局)会議 (全日、マニラ)
  • 7月16日 大阪教区司教叙階式 (11時、玉造教会)
  • 7月17日 新潟教区顧問会など (全日、新潟)
  • 7月18日・19日 東京教会管区会議 (札幌教区)
  • 7月21日 宣教司牧評議会 (14時半)、永代働く人の家 (夕方)
  • 7月23日 HIV/AIDSデスク会議 (13時、潮見)
  • 7月24日 ペトロの家運営会議 (14時)
  • 7月25日 マリアの宣教者フランシスコ会瀬田修道院 (午後)
  • 7月26日・27日 聖体奉仕会 (秋田)
  • 7月29日 豊四季教会英語ミサ (14時)
  • 8月3日 日本カトリック医療施設協会全国大会 (都内)
  • 8月11日 平和旬間行事、平和祈願ミサ (14時、イグナチオ、18時、東京カテドラル)
  • 8月12日 平和旬間行事、ミサ・講演 (10時、上野教会、18時半、立川教会ミサのみ)
  • 8月15日 聖母被昇天祭
  • 8月17日 新潟教区保育者研修会 (新潟)
  • 8月19日 宮古教会ミサ (岩手県宮古)
  • 8月21日 EWTNインタビュー収録 (午前中)
  • 8月22日 生涯養成委員会 (夕方)
  • 8月24日 仙台教区サポート会議 (10時、仙台)
  • 8月25日 神言会宣教事務局講演会 (13時半、吉祥寺教会、16時ミサ)
  • 8月27日 カリタスジャパン事務局会議 (9時半、潮見)
  • 8月28日 カリタスジャパン会議 (午前午後、潮見)
  • 8月29~31日 教区神学生合宿

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ローマにて

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先週は、月曜日の司祭金銀祝のお祝いの翌日火曜日、朝からカリタスジャパンの委員会といつもの血圧の医者通いを済ませてから成田へ移動して、ローマへ飛びました。

6月28日の午後4時から、聖ペトロ大聖堂において、大阪教区の前田大司教様をはじめ14名の枢機卿親任のための枢機卿会が開催されたことと、その翌日29日の午前9時半から、大聖堂前の聖ペトロ広場で聖ペトロとパウロの祝日のミサが教皇様司式で行われ、それに共同司式で参加するためでありました。

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共同司式に参加したのは、このミサの中で、この一年間に新たに任命された管区大司教(メトロポリタン大司教)に授与されるパリウムが祝福され、手渡されることになっていたからです。(上の写真、教皇様から受け取っているのが私です。私の後ろ、ひとりおいた次がパリの大司教)

私を含めて30名の大司教が、今年のミサの中で祝福されるパリウムを授けられることになっており、そのうちの28名がミサに参加しました。ミサの模様は、中央協議会のこのリンクのページにビデオがあります.パリウムの授与は一番最後の方です。

ちなみにパリウムは、肩掛けのような形状で、司牧の権威と使命の象徴として、教皇と管区大司教が着用します。白い羊毛で編まれた丸い帯状の布で、黒い十字架の刺しゅうがついています。「よい牧者は、失った羊を見つけると、これを肩に乗せる」ということを象徴的に示しています。

2015年に前田大司教様が授与されたときの式次第の記載によれば、「このパリウムは4世紀ごろから司教の祭服として用いられており、ミトラ(司教のかぶる帽子)やバクルス(司教の持つ杖)よりも古い起源を持つものです。管区大司教は、教会法に基づく任命を受けてから3ヶ月以内に、ローマ教皇に対してパリウムを授与して下さるよう申請することが決められています。パリウムをローマ教皇から受けることによって、管区大司教は、ローマとの交わりの中で、自らの管区における法的な権限を与えられていることを示します」とのことです。

以前は聖ペトロとパウロの祝日に、教皇様から直接授与されていましたが、数年前から、このミサの中では祝福のみが行われ、教皇様からは箱に入れたパリウムを受け取り、後日それぞれの教区において、教皇大使から授与される形式に変更となりました。ですから今回も箱に入ったパリウムをいただき、後日、今の予定では9月初めに、カテドラルで授与のミサを行う予定です。詳細は後日またお知らせします。

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今回パリウムを受け取った28名の中には、先日私の着座式に来られたガーナのバックル大司教(アクラ大司教区からケープコースト大司教区に転任、上の写真。聖ペトロ大聖堂内で)、ラテンアメリカカリタスの総裁で、ベネズエラのホセ・ルイス・アズアヘ大司教など、以前から知り合いもおられました。

29日のミサは、入祭直後、最初にパリウムを受ける大司教が教皇様の前に整列して、誓約の言葉を読み、ミサの最後に一人ひとりが教皇様の前に進み出て、箱に入ったパリウムをいただきました。前日午後に枢機卿に親任され他14名をはじめ、枢機卿団も共同司式。祭壇を挟んで向かって右の私たちプラス外交団と、向かって左の枢機卿団にはテントがあり、厳しい日差しを避けることができましたが、それ以外の共同司式の大司教や司教さんたちは、直射日光の中、厚めの赤い祭服を着て大変だったと思います。

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また祭壇後ろ右手には、聖体拝領を担当した司祭団が控え、こちらも直射日光の中、信仰宣言を唱えるあたりからそれぞれがチボリウムを持ち、祭壇の左右に整列して、これまた暑さで大変だったと思います。この聖体拝領の係の司祭団には、神言会の副総会長キサラ神父、総本部の成井神父、日本管区長のジェブーラ神父も参加。(上の写真で、私が手にしているのが、パリウムの入った箱.一番右端は、神言会の本部総会計。)

中央協議会のホームページには、「バチカン放送によりますと、説教で、ペトロの信仰告白の場面について語る教皇は、「ペトロのように、教会もまた、宣教のつまずきとなる悪のささやきに、常にさらされている」と述べ、「キリスト者でありながらも、主の傷と適度な距離を保とうとする誘惑」に注意を促し、「人間の苦しみに触れるイエスは、わたしたちにご自身とともに隣人の苦しみに触れるようにと招いておられる」と呼びかけました」。

説教後、信仰宣言が歌われ、その後の共同祈願では、一番最後に日本語の祈りが聖ペトロ広場に響き渡りました。日本人のシスターが祈りを唱えられました。

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前日午後の枢機卿会は、大勢の枢機卿さんたちが勢揃いして、あの深紅のスータンですから、壮観でした。参加する司教や大司教、そして枢機卿にも服装の指示が事前にあり、私はアビトコラーレと呼ばれる、いわゆる赤というか紫のスータンで、また新しい枢機卿たちは、大聖堂に来るとき指輪はつけず、スケットもつけないでと。もちろん教皇様から指輪とビレッタ(深紅の帽子)をいただくからです。

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枢機卿会終了後、新しい枢機卿様たちは教皇様に連れられて聖ペトロ大聖堂裏手に住まわれているベネディクト16世名誉教皇を訪問されたそうです。その後、パウロ6世謁見ホールに場所を移し、それぞれの新しい枢機卿がスタンドを設け、そこで一般の方々からの祝福の挨拶を受けられました。また前駐日バチカン大使であったボッターリ大司教もお祝いに駆けつけてくださいました。(写真上:パウロ6世謁見ホールでの前田枢機卿と、アベイヤ被選司教。中央後ろ姿は私で、話しているのはバングラデシュのパトリック・デロザリオ枢機卿様)

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なお日本からも参加された方々がおられましたし、ローマ在住の日本人の信徒や修道者の方々も大勢参加されました。真夏のような暑さのローマで、皆さんご苦労様でした。29日の午後には、駐バチカン日本大使のご厚意で、大使公邸を会場に大阪教区主催の感謝レセプションも開かれ、各国の外交官やバチカン関係者など、多くの方が参加し、前田枢機卿様のこれからの活躍の上に、神様の祝福を皆で祈りました。(上の写真は、ミサに出かける前に、神言会総本部で、キサラ副総会長と)

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