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2020年10月10日 (土)

年間第28主日@東京カテドラル

Seibocuria

東京は台風が近づいていることもあり、雨風の強い、寒い週末となりました。

先日相次いでいくつかの人事を公示しましたが、その中で、東京教区司祭の伊藤幸史師が、新潟教区へ移籍すると言う人事を発表しました。もともと東京教区と新潟教区は、同じ東京教会管区の仲間と言うこともあり、その中でも新潟教区が信徒数から言って一番小規模であることから、これまでも東京教区から司祭が出向の形で派遣されてきました。私が新潟の司教をしている間にも、東京教区の江部神父様が派遣され、新潟教会の主任司祭を務めてくださっておりました。伊藤幸史神父様は、やはり私がまだ新潟司教であった2013年に新潟教区へ派遣され、これまで糸魚川や新津などの教会で活躍されてきました。ご本人からはすでに数年前に教区移籍の打診がありましたが、このたび新潟に新しい司教が誕生したことから、早速両教区の司教同士で話し合い、移籍となりました。これからは伊藤幸史神父様は新潟教区司祭となります。新しく任命された成井司教様を助けて、新潟教区で活躍されることをお祈りします。

なお司祭は、教区とか属人区とか修道会や宣教会などと言った教会法上の独立した法人組織に所属していない限り、司祭としての職務を果たすことは出来ませんし、恒常的に使徒職を果たすためには、働こうとしている当該教区の司教から、司祭としての権能を文書で委任されていなければなりません。

さて、3月1日以来、コロナ禍で教会活動を制限せざるを得ない状況の中、主日ミサを日曜日または土曜日に、東京カテドラルから大司教司式ミサとしてネット配信してきました。お手伝いいただいている関口教会青年をはじめとするボランティアの皆さん、毎回聖歌隊を努めてくださっているイエスのカリタス会の志願者とシスター方には、本当に感謝しています。徐々に教会活動が再開してきており、諸行事も復活しつつありますし、またネット配信を始めている教会も増えています。そこで、カテドラルからの大司教ミサ配信は10月31日(土)をもって、いったん中断させていただきます。今後は状況を見極めて判断しますが、クリスマスなどの大きな行事や教区行事は配信をいたしますので、その際には、教区ホームページでお知らせいたします。なお、11月以降は、土曜日に大司教メッセージビデオを配信できるように、現在検討中です。

以下、土曜晩の配信ミサ説教の原稿です。

年間第28主日A(公開配信ミサ)
東京カテドラル聖マリア大聖堂
2020年10月11日

「諸民族の心と精神の和解によって最後には真の平和が世界に輝くよう、幸いなるおとめマリアの助けを願うために、十月にロザリオを唱えることを強く勧めます」

教皇パウロ六世が1969年に発表された使徒的勧告「レクレンス・メンシス・オクトーベル」は、そう始まっています。

あらためて言うまでもなく、10月はロザリオの月であります。10月7日にはロザリオの聖母の祝日があり、また教会は伝統的に10月にロザリオを祈ることを勧めてきたこともあり、教皇レオ十三世によって10月が「ロザリオの月」と定められました。

ロザリオの起源には諸説ありますが、十二世紀後半の聖人である聖ドミニコが、当時の異端と闘うときに、聖母からの啓示を受けて始まったと伝えられています。10月7日のロザリオの聖母の記念日も、1571年のレパントの海戦でのオスマン・トルコ軍に対する勝利が、ロザリオの祈りによってもたらされたとされていることに因んで定められています。そういったことだけを耳にすれば、ロザリオは戦いのための武器のようにも聞こえてしまいます。もちろん、ある意味、ロザリオは信仰における戦いのための道具とも言えるのかも知れませんから、歴史的背景が変わった現代社会にあっても、信仰を守り深めるために重要な存在であると思います。

とりわけ今年のように、感染症拡大の事態にあって、目に見える形で教会に集まることが出来なかったり、聖体祭儀に共にあずかることが適わないという非常事態においては、まさしく信仰自体が危機にさらされていると言っても過言ではありません。そういう信仰の危機にあるからこそ、祈りによる連帯と一致は重要ですし、その意味でロザリオは信仰の危機に立ち向かう武器であるとも言えるでしょう。

これまで長いことわたしたちは、日曜に教会に集まることが、教会の一致の表現であると思っていました。だからこそ、さまざまな事情で教会に来られない人たちや、洗礼後に教会を離れていった人たちに、日曜日に教会に戻っておいでなさいと呼びかけてきました。なぜなら、集まっている教会にこそ、共同体の一致があると思っていたからです。

しかし今回の緊急事態は、その集まることを不可能にすることで、それでは教会共同体の一致とはどこにあるのだと、わたしたちに問いを投げかけてきました。まさしく、教会の一致はどこにあるのでしょう。共同体はどこにあるのでしょう。

わたしたちの信仰は、もちろん個々人の信仰、すなわち一人ひとりに固有のイエスとの出会いの体験による信仰が基礎となっていますが、だからといって教会の信仰とは個々人の信仰の単なる寄せ集めではありません。わたしたちはそれぞれが信仰を深めつつ、共同体において一致することで、共に神の民を形成し、共に信仰の旅路を歩んでまいります。わたしたちは、神の民です。

ですから、普遍教会の一員であり、教区共同体の一員であり、小教区共同体の一員であるという意識は、わたしたちの信仰にとって欠かせない共通認識です。

共同体における一致の意識は、もちろん物理的に一緒になることも含まれていますが、それだけにとどまるものではありません。そこには霊的な意味での一致が不可欠です。不可欠と言うよりも、霊的な意味での一致がなければ、神の民は存在できません。相対的な価値判断が蔓延する現代社会にあって、あれもこれもどれでもよいという単なる数だけの集まりでは、霊的な一致は成り立ちません。身勝手な自己主張は、分裂しか生み出しません。わたしたちは、唯一の神に結ばれることで、霊的に一致して神の民となり、そしてはじめて教会共同体は成立します。

霊的一致をもたらしてくれるのは、わたしたちの祈りにおけるきずなであります。その意味で、聖母マリアを通じて祈るロザリオの祈りには、重要な意味があります。

教皇パウロ六世は、使徒的勧告「マリアーリス・クルトゥス」で、「(マリアが)信仰と愛徳との両面において、さらにまた、キリストとの完全な一致を保ったという点において、教会の卓越した模範であると仰がれている」(16)と指摘します。

その上で教皇は、「アヴェ・マリアの祈りを繰り返して唱え続けてゆくことによって、ロザリオはわたしたちに今一度福音における基本的に神秘であるみことばの受肉を提示してくれる・・・福音の祈りである」(44)と述べておられます。

ロザリオの祈りを唱えることで、わたしたちを結び合わせているキリストの体における神秘的一致へと導かれ、どこにいても、いつであっても、ひとりでも、複数でも、ロザリオを唱えることで、わたしたちは聖母マリアがそうであったように、キリストの体において一致することが出来ます。

教皇ヨハネパウロ二世は「教会にいのちを与える聖体」において、「信者は洗礼によってキリストのからだと一つにされますが、この一致は、聖体のいけにえにあずかることによって常に更新され、強められます」と記します。(22)

その上で教皇は、聖体の秘跡における一致によってキリスト者は、「すべてのひとのあがないのために、キリストによってもたらされた救いのしるしと道具、世の光、地の塩となる」と指摘します。

したがってわたしたちは、御聖体の秘跡にあずかることによってキリストのからだと一致した共同体となります。その共同体の一致は、祈りによってつなぎ合わされる霊的な一致によって、さらに強められ、わたしたちはどこにいてもキリストの体の一部として互いに支え合っていることを自覚しながら、世の光、地の塩として福音をあかししながら生きてまいります。

パウロは、よいときにあっても困難なときにあっても、「いついかなる場合にも対処する秘訣を授かっている」と記していました。どのような状況にあっても動じないパウロを支えていたのは、霊的にキリストの体に一致しているとの確信であり、それを支えている信仰共同体における兄弟姉妹との霊的一致の確信であったと思います。パウロの「秘訣」は、共同体の祈りの力であります。

マタイ福音に記されている婚宴を催して人々を招待する王のように、主は霊的な力に豊かに満ちた祈りを用意してわたしたちを招いてくださいます。残念ながら、往々にしてわたしたちは、婚宴の宴のように素晴らしく用意されている教会の祈りの伝統に目を向けず、畑に出かけたり商売に出かけた招待客のように、自分の現実社会での都合を優先させて、そこから逃れようとしています。わたしたちが祈りを通じて霊的に一致するように、またその一致を通じて共同体として社会のなかにあって、世の光、地の塩となるように、力ある豊かな祈りは、わたしたちのために用意されています。豊かな祈りの宝を、見失わないようにしましょう。

聖母マリアを通じて人となられた神のみ言葉である主イエスへと導かれ、キリストの体に一致し、互いに支え合い、福音をあかししていくことが出来るように、招いてくださる主に背を向けないようにいたしましょう。

 

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