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2021年1月22日 (金)

広島と長崎の司教様方による共同声明

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2019年11月に日本を訪れた教皇フランシスコは、長崎と広島を訪問されました。訪日が計画されていた当初から、特に長崎を訪問して核兵器に対するメッセージを発表することは教皇様の強い意向でしたし、そのあと日程をやりくりして、同じ日に広島も訪問できることになりました。(写真は長崎でのメッセージについて語る教皇様。2018年12月)

教皇様は広島で次のように言われました。

「確信をもって、あらためて申し上げます。戦争のために原子力を使用することは、現代においては、これまで以上に犯罪とされます。人類とその尊厳に反するだけでなく、わたしたちの共通の家の未来におけるあらゆる可能性に反する犯罪です。原子力の戦争目的の使用は、倫理に反します。核兵器の保有は、それ自体が倫理に反しています」

その上で、こう指摘されました。

「紛争の正当な解決策として、核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながら、どうして平和を提案できるでしょうか。この苦しみの深淵が、決して越えてはならない一線に気づかせてくれますように。真の平和とは、非武装の平和以外にありえません。それに、「平和は単に戦争がないことではなく、……たえず建設されるべきもの」(第二バチカン公会議『現代世界憲章』78)です。それは正義の結果であり、発展の結果、連帯の結果であり、わたしたちの共通の家の世話の結果、共通善を促進した結果生まれるものなのです。わたしたちは歴史から学ばなければなりません」

また長崎では、次のように述べておられます。

「カトリック教会としては、民族間、また国家間の平和の実現に向けて不退転の決意を固めています。それは、神に対する、そしてこの地上のあらゆる人に対する責務なのです。核兵器禁止条約を含め、核軍縮と核不拡散に関する主要な国際条約に則り、たゆむことなく、迅速に行動し、訴えていきます」

その核兵器禁止条約が、1月22日に発効しました。残念ながら核兵器を保有する国は参加していませんし、日本政府も、目指すゴールを共有していながらも、この条約ではなく他の方法をとることを強調しながら、署名批准を見送っています。

条約発効に伴って、被爆地である長崎と広島の司教様方が、以下の共同声明を発表されています。

被爆地広島と長崎のカトリック司教による共同声明
核兵器禁止条約の発効にあたって

2017年7月7日に国連本部で開かれた交渉会議において採択された「核兵器禁止条約」は、2020年10月24日、その批准国・地域が50に達し、規定により90日後の2021年1月22日に発効することになりました。

本日がその発効の日です。被爆者はもちろん、核兵器のない平和な世界を切望する数知れない多くの人が待ちに待った日、最終段階が始まる日、大変意義深い日であり、この喜びをともにしたいと思います。

本条約は核兵器廃絶のためにこれ以上ない有効なものでありますが、条約が述べるように、核兵器廃絶のためには核兵器の開発・実験・生産・取得・貯蔵・配置・移譲・使用あるいは使用するとの威嚇などの禁止のみならず、被害者への援助や環境の修復、国際的な協力が必要です。そのためにすべての国の参加が求められます。なお、発効後1年以内に、締約国が核兵器廃棄の期限や検証方法などを決めることになっています。

しかしすべての国の条約参加を実現するためには乗り越えなければならない最後の大きな壁があります。それは、核保有国と、日本を含む、いわゆる核の傘の下にある国々の根強い抑止論です。これらの国は、核兵器禁止条約の有効性を認めず、署名も批准もしていません。日本政府は、「日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力を維持することが必要」であると主張していますが、唯一の戦争被爆国として、この条約の発効が実質的な結果をもたらすよう、日本が率先して署名・批准し、核兵器保有国と非保有国の対話と核軍縮とを推進する役割を担うべきです。

わたしたちは、被爆地のカトリック司教および日本国民として、教皇フランシスコとともに、「すべてのいのちを守るため」、核兵器のない世界が可能であり必要であるという確信をもって、核兵器保有国も非保有国も含めてすべての人が一致して核兵器のない世界の実現のために参加する必要がある、と訴えます。そして、核兵器禁止条約の批准国が世界の大勢を占め、核保有国も批准をし、同条約が完全に実施されるよう神に祈り、そのために働きかける決意を新たにします。

2021年1月22日

カトリック広島司教区 司教 白浜満

カトリック長崎大司教区 大司教 髙見三明

 

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