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2022年1月16日 (日)

聖アーノルド・ヤンセンと神言修道会

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神言修道会の創立者である聖アーノルド・ヤンセンの記念日は、昨日の1月15日でした。

数年前、2007年、まだ新潟にいた頃に書いた「司教の日記」に、聖人について触れた記事がありますが、以下に再掲します。

1月15日は、聖アーノルド・ヤンセンの記念日です。聖アーノルド・ヤンセンといっても、日本の典礼の暦には乗っておらずなじみのない聖人ですが、先日、カトリック新聞では紹介されておりました。神言会、聖霊会、そして日本にはありませんが永久礼拝の聖霊会と、三つの修道会を創立したドイツ人司祭です。もともと教区司祭として高校教師であったヤンセン師は、海外宣教への熱意止みがたく、ドイツ発の宣教の会を創立しようと努力をしました。当時は相談した司教達からは、まずとにかく修道会ではなく宣教会(修道誓願を宣立しない会)を創ったらどうかと勧められたようですが、本人は修道会にこだわりつづけ、とうとう変人扱いされたこともあるようです。しかしそこはさすがに頑固なドイツ人だけのことはあり、とうとう1875年に、隣国オランダのシュタイルで宣教神学院の創立にこぎつけたのでした。ドイツ国内では当時、政治的理由からそのような活動が不可能であったため、最初の神学院はオランダに創設されたのです。その後1879年には最初の二人を中国に派遣し、日本に宣教師が送られたのは1907年、その後1909年1月15日にヤンセン師は亡くなりました。創立当初は大多数の会員がドイツ出身者でしたが、各宣教地での会員育成に努めた結果、現在全世界に六千人ほどいる会員のうち、半数はアジア出身者であり、さらにその半分がインドネシア出身の会員です。

日本に送られた宣教師は、秋田の地で宣教を始め、1912年には神言会員のライネルス師が新潟知牧区長に任命されて、現在の新潟教区へと歴史は繋がっています。日本では名古屋の南山学園が一番大きな事業となっているため、教育修道会としてのイメージが持たれていますが、修道会全体としては小教区で働く会員の割合が高く、あくまでも初期宣教に取り組む宣教修道会の性格を今でも保っています(はずです)。

当初から海外宣教を目的として創立された修道会ですから、その意味では修道生活をまず第一義として出来上がった会とは性格が異なっているのかもしれません。ヤンセン師は、単に頑固であっただけでなく(とても頑固であったのは事実のようですが)、聖霊の導きに完全な信頼を置いていたようです。神の御旨であると確信することは必ず聖霊の助力によって達成されるという堅い信仰があったようです。ヤンセン師は「みこころ」への信心でも有名でしたが、それ以上に聖霊への信心も強く、とうとう会服であるスータン(もともと教区司祭が集まって出来た修道会でしたので、当時の教区司祭のスータンと同じスタイルだったようです)を聖霊の色である赤にしようとしたという話が残っています。さすがにそれは許されなかったようですが、そのかわり、スータンの帯の裏を真っ赤にしてしまいました。

現代社会に生きている私たちは、聖霊の働きへの信頼が薄れているのではないかと思います。今生きている現実の中で、聖霊の働きなどというものは、なにやらオカルト的な現象と同一視されてしまう危険もあります。しかし教会は、聖霊降臨のその日から聖霊によって導かれているのであり、私たち信仰者の生活の様々なところに聖霊は働いているのは間違いありません。日常の常識で出来事に対する価値判断を下すだけでなく、信仰の目をもって聖霊の働きを識別する努力もしたいと思います。そして人間の理解をはるかに超えた神の意思の表れである聖霊の働きを、信じたいと思います。(写真は列聖式に使われた公式の肖像がより)

わたし自身は、司教になったとはいえ、神言修道会の会員であることに変わりはなく、ただ司教職を遂行するために、様々な修道誓願の制約からは解放されていますし、修道会における選挙権などは失っています。神言会はその国際的な性格から、世界各地に会員の養成共同体を設置しており、現在は全会員の中で、インドネシア国籍の会員が一番の多数を占めています。現在の総会長ブディ・クレデン師(Budi Kleden)も、インドネシア出身です。自画自賛になってしまうのかもしれませんが、神言修道会は会員数が増加し続けている修道会です。第二バチカン公会議後の1970年には5,500人ほどだった会員数は、このところ6,000人程度で推移していて、公式統計では昨年2020年が6,016人となっています。そのうちの4,150人が司祭会員で、1970年頃の司祭会員は3,200人ほどでした。減少しているのは、修道士の会員ですが、宣教修道会における修道士の役割は、そのときの状況に応じて変化してきていますから、今後も様々な展開があることでしょう。現在日本管区にも120人を超える会員が在籍し、名古屋の南山学園、長崎の長崎南山学園をはじめ、新潟教区、東京教区、名古屋教区、福岡教区、長崎教区で、小教区司牧にも関わり、名古屋では神言神学院を置いて司祭養成にあたっています。(下の写真は、2017年に日本を訪れたクレデン総会長と。山形県鶴岡市で)

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中国での宣教は神言会にとって一番最初の宣教地ですし、現在の中国共産党支配になる前、最後の北京大司教は神言会員のトマス田(ティエン)枢機卿様であったこともあり、現在でも中国本土での福音宣教には大きな関心を寄せていますし、出身の会員も多数いることから、今後の教会と中国共産党政府との関係は常に注目するところであり、かつ重要な祈りの対象でもあります。 

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