仙台にガクタン司教誕生
3月19日、聖ヨセフの祝日に、仙台教区の新しい牧者であるエドガル・ガクタン司教が誕生しました。
ガクタン司教様、おめでとうございます。仙台教区の皆さん、おめでとうございます。そしてこれまで仙台教区を率いてくださった平賀司教様、ありがとうございます。特に平賀司教様にあっては、2011年3月11日の東日本大震災以降、復興の道程を先頭に立って導いてくださったことを感謝します。わたしも、その期間、カリタスジャパンの責任者として、また司教団の復興支援担当として、平賀司教様をはじめ仙台教区の方々と、ともに歩ませていただいたことを心から感謝いたします。
感染対策もあり、会場となった元寺小路教会には大勢の方が入ることはできませんでした。またガクタン司教様の故郷、フィリピンの方々も来日が適いませんでした。しかし、そういうときだからこそ、しっかりとしたオンライン配信が行われ、それを通じて聖堂に集まるよりもより多くの方が、仙台教区だけでなく世界中で、この司教叙階式に霊的に参加することができたのではないでしょうか。
日本の教会にとって、初めてのフィリピン出身の司教誕生です。現在の日本の教会におけるフィリピン出身の信徒の方々の存在の重要性を反映しているとも言えます。同時にそのことは、またはそれ以上に、この事実は世界に広がる普遍教会の中での交わりを象徴するものでもあると思います。文化や言葉や国境を越えて繋がれているキリストの一つの身体である教会を、見事に象徴しているものだと思います。
またガクタン司教様は、復興支援活動の中で、特に大船渡を中心に活躍され、仙台教区にとっても「知らない外の人」ではありません。それを象徴するように、叙階式後には、大船渡教会の方々の「ガクタン音頭」が披露され、以下にガクタン司教様が地元で愛される存在であるかが浮き彫りになりました。司教様のこれからの活躍に期待しています。(ガクタン音頭の録音風景ビデオへのリンクです)
なお当日集まった全国の司教たちに、教皇大使から口頭で、教皇様のウクライナとロシアの聖母のみこころへの奉献について通知がありました。ウクライナにおける状況を憂慮される教皇様は平和を求めて、3月25日(金)のローマ時間午後5時、無原罪の聖母のみこころに、ロシアとウクライナを奉献されます。3月25日は1984年に教皇ヨハネパウロ2世がロシアを無原罪の聖母のみこころに奉献した日であります。教皇様は司教たちに一致して祈るように呼びかけ、できれば同じ時間(日本では26日の午前2時です)、祈るように呼びかけられています。正式な呼びかけの文書と当日のために準備される祈りは、まだ届いていませんが、届き次第、できる限り速やかに翻訳を行い、ホームページなどでお知らせすることになると思います。教皇様の奉献と同じ時間は日本では深夜ですので、それ以外の時間などでも構いませんので、一緒に教皇様の意向に合わせて祈りをささげていただければと思います。東京教区としては、皆様に呼びかけると同時に、ちょうど26日に宣教司牧評議会が開催される予定ですので、その冒頭に祈りをささげたいと考えています。
以下、ガクタン司教様の司教叙階式ミサの説教原稿です。なお後半部分の、「さて皆さん、・・・」以下は、司教叙階の儀式書に掲載されている内容を、短くまとめ、書き改めたものです。またビデオは、こちらのリンクの仙台教区のアカウントからご覧いただけます。
エドガル・ガクタン司教叙階式説教
仙台カテドラル 元寺小路教会
2022年3月19日「何もしなければ結果はゼロですが、一歩踏み出せば一歩前に進みます。・・・連帯と相互の献身に基づく未来を築くための一歩です。」
2019年11月25日、東京で東北の方々と出会った時の、教皇様の言葉です。
11年前、仙台教区の皆さんをはじめとして日本中の多くの方が、歴史に残るであろう出来事を体験しました。東日本大震災は、東北の沿岸部を中心に甚大な被害をもたらしました。
巨大な自然の力を目の当たりにして、わたしたちは人間の知恵と力のはかなさを痛感させられました。人間には限界があるという当たり前のことを思い知らされました。しかしながら、その後に続いた復興支援の歩みは、理不尽な出来事のただ中にあっても、それでも、わたしたちは神のいつくしみの手の中で包み込まれ生かされているのだという事実を、あらためて認めさせる体験となりました。「連帯と相互の献身」を通じた支え合いこそが、いのちを生きる希望を生み出すのだと言うことを、さまざまな出会いが証明してきました。教会は、この11年間、地域の方々とともに歩み支え合う行動を通じて、その存在自体が福音の愛のあかしとなってきたと、私は思っています。
教皇様は東京の集いで、さらに加えて次のように言われました。
「一人で「復興」できる人はどこにもいません。だれも一人では再出発できません。町の復興を助ける人だけでなく、展望と希望を回復させてくれる友人や兄弟姉妹との出会いが不可欠です」仙台教区の皆さんと、全国の教会の皆さんが一緒になって、「展望と希望を回復させてくれる友人や兄弟姉妹との出会い」を生み出してきたのが、この11年の歩みではなかったでしょうか。
皆さんご存じのように、ガクタン司教様は、その歩みのただ中におられました。大船渡を中心に、さまざまな出会いを、連帯を、支え合いを生み出す中心に、ガクタン司教様はおられました。「連帯と相互の献身に基づく未来を築くため」、確実に一歩を踏み出す事ができるようにと、その活動の中に、ガクタン司教様はおられました。
あの大震災という出来事から9年が経過した2020年、わたしたちはあらためて人間の限界を思い知らされる出来事に遭遇しました。新型コロナ感染症の世界的な拡大です。
感染症への対策は、わたしたちが慣れ親しんできた教会の姿を大きく変えてしまいました。同時にわたしたちは、実際に日曜日に集まることが出来ない中で、それでは教会とはいったい何であるのかと自問する機会を与えられています。
教皇様は、2020年9月2日の一般謁見で、こう話されています。
「このパンデミックは、わたしたちが頼り合っていることを浮き彫りにしました。わたしたちは皆、良くも悪くも、互いに結びついています。この危機から、以前よりよい状態で脱するためには、ともに協力しなければなりません。・・・調和のうちに結ばれた多様性と連帯、これこそが、たどるべき道です。」残念なことに今わたしたちは、「調和のうちに結ばれた多様性と連帯」と真っ向から対立する、戦争の危機のまっただ中におります。しかし同時に、この危機的な状況の中にあっても、多くの人が世界中で、平和のために声を上げ連帯して行動していることは、暗闇の中の小さいけれど力強い光として、わたしたちの希望となっています。連帯は希望を生み出します。希望は未来への展望を生み出します。
東京ドームミサでの教皇様のことばが、教会の今この時のあるべき姿を見出します。
「いのちの福音を告げるということは、共同体としてわたしたちを駆り立て、わたしたちに強く求めます。それは、傷のいやしと、和解とゆるしの道を、つねに差し出す準備のある、野戦病院となることです」この危機のなかにあって、「傷のいやしと、和解とゆるしの道」を差し出す共同体であるためには、先頭に立つ牧者が不可欠です。教会共同体のあるべき姿を示す牧者が必要です。多様性を自ら生きる牧者が必要です。連帯と支え合いを自ら示す牧者が必要です。この時に、新しい牧者として、ガクタン司教様を任命してくださった教皇様の配慮にも、共に感謝したいと思います。
さて皆さん、人類をあがなうために御父から遣わされたわたしたちの主イエス・キリストは、ご自分も十二人の使徒たちを世にお遣わしになりました。それは、彼らが聖霊の力に満たされて福音を宣べ伝え、そしてすべての民を牧者のもとに一つに集めて、これを聖なる者とし、治めるためでした。使徒たちはこの務めが世の終わりまで続けられるように、自分たちの助け手を選び、キリストから受けた聖霊のたまものを按手によって彼らに与えました。この按手を通して、叙階の秘跡が余すことなく授けられます。こうして一つの時代から次の時代へと、司教職が絶え間なく受け継がれることによって、この中心となる伝承が保たれ、救い主のわざがわたしたちの時代にまで続き、また発展しているのです。
イエス・キリストご自身が司教の奉仕職のうちにおられ、自ら福音を宣べ伝え、信じる人々を信仰の秘跡をとおして聖化し続けておられます。ですから皆さん、わたしたち司教が按手によって司教団に加えるこの兄弟を感謝と喜びのうちに迎え入れてください。福音の真理をあかしする務めと、霊と義を与える奉仕職をゆだねられる新しい牧者を、キリストの役務者、神の秘義を人々にもたらす者、使徒の後継者として尊敬をもって受け入れてください。
ところでエドガル・ガクタン被選司教様、あなたは主から選ばれ、ペトロの後継者によって仙台教区の牧者として任命されました。司教職とは名誉ではなく、奉仕です。折りが良くても悪くても神の言葉をのべ伝え、忍耐を持って励まし、教えてください。そして自分にゆだねられた民のための祈りといけにえをささげるにあたっては、聖性に満ちあふれたキリストに倣い、その恵みを豊かにいただくように務めてください。
あなたにゆだねられた教会においては、忠実にキリストの秘義をもたらし、管理し、そして守る者となってください。御父から神の家族を治めるように選ばれた者として、いつもよい牧者キリストを忘れないでください。
神があなたにゆだねるすべての人を、父として兄弟として愛してください。とりわけキリストの奉仕職における協力者である司祭と助祭には愛を持って交わり、さらに、貧しい人、弱い人、旅路にある人、故郷を離れて生きる人々、忘れ去られた人、孤独のうちにある人、社会から排除された人に、特に愛を注いでください。キリスト者があなたと共に、福音を告げる使徒となるように励ましを与え、また、信徒の声によく耳を傾けてください。まだ福音に触れていない多くの方々も、主においてあなたにゆだねられている人々として大切に心にとめていてください。
ガクタン被選司教様、あなたは神の教会を治めるために聖霊によって遣わされるのですから、群れ全体を注意深く世話してください。あなたが教会の中でその姿を示す御父のいつくしみ深いみ名によって、そしてキリストの教会を生かし、わたしたちの弱さをその力によって強めてくださる聖霊のみ名によって、あなたにゆだねられた群れ全体を愛し、養い、育て、守り、導いてください。
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