四旬節第二金曜日は「性虐待被害者のための祈りと償いの日」です。
本日、四旬節第二金曜日は、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」です。また次の日曜日、教皇様の意向にあわせて、関口教会で10時の主日ミサを、わたしが司式します。
以下、二つの呼びかけ文を掲載します。すでに東京教区、ならびに中央協議会のホームページで、それぞれ公表されています。まず、今年の祈りと償いの日のためのに、2023年03月06日に発表した、東京教区の皆様へのわたしからの呼びかけ文です。
カトリック東京大司教区の皆様
2023年「性虐待被害者のための祈りと償いの日」にあたって
四旬節第二金曜日は、教皇様の意向に従って、日本の教会における「性虐待被害者のための祈りと償いの日」と定められています。今年は今週の金曜日、3月10日がこの日にあたります。東京教区では例年通り、この日に、または直後の四旬節第三主日に、教皇様の意向に合わせて祈りを捧げます。
コロナ禍の闇からやっと抜け出そうとしている今、世界はこの3年間で実質的にも精神的にも荒廃してしまったと感じます。神から与えられた賜物であるいのちを徹底的に守り、その尊厳を守り高める務めがわたしたちにはあります。世界各地でいのちに対する暴力はやむことなく、特にウクライナのような紛争地帯や長く内戦が続く地域では、今も多くのいのちが危機に直面しています。いのちの福音をのべ伝える教会は、社会の中で率先していのちの大切さを説き、目に見える形でいのちの尊厳を高めていかなくてはなりません。
それにもかかわらず、教会がその使命を果たすことなく、あまつさえ先頭に立つべき聖職者や霊的指導者が、その使命を放棄したかのように、いのちに対する暴力を働き、人間の尊厳をないがしろにした事例が、過去にさかのぼって、世界各地で多数報告されています。
教会はいのちを守るために発言し行動してきました。人間の尊厳を守り高めるために発言し行動してきました。その尊い行動の意味を失わせるような選択をした聖職者や霊的指導者の存在を、残念に思います。いのちの尊厳を説くのであれば、わたしたちは人間の尊厳を真っ先に大切にして守り高めるものでなくてはなりません。
性虐待という人間の尊厳を辱め蹂躙し、被害者の方々に長期にわたる深い苦しみを生み出した聖職者や霊的指導者の行為を、心から謝罪いたします。
東京教区でも日本の司教団が定めているガイドラインを遵守し、こうした行為の報告があった時にはそれぞれの直接の上長が責任を持って対応するように努めまた指導し、さらに聖職者をはじめ教区全体で啓発活動にも努めていきたいと思います。
あらためて、無関心や隠蔽も含め、わたしたち教会の罪を心から謝罪いたします。神のいつくしみの手による癒やしによって被害を受けられた方々が包まれますように、心から祈ります。同時に、わたしたち聖職者のためにもお祈りくださるようにお願いいたします。
カトリック東京大司教区
大司教 菊地功
つぎに、2023年2月17日に発表した、司教協議会会長としての、日本のカトリック信者の皆様にあてた、わたしの呼びかけ文です。
日本のカトリック信者の皆様
2023年「性虐待被害者のための祈りと償いの日」にあたって
いのちに対する暴力が荒れ狂う世界にあって、神がいのちを、わたしたちに賜物として与えてくださったと信じるキリスト者には、いのちを守り、人間の尊厳を守る務めがあります。教会にとって「イエスをのべ伝えるとは、いのちをのべ伝えることにほか」ならないからです(ヨハネ・パウロ2世「いのちの福音」80)。
その教会にあって、率先していのちを守り、人間の尊厳を守るはずの聖職者や霊的な指導者が、いのちに対する暴力を働き、人間の尊厳をないがしろにする行為を働いた事例が、近年相次いで報告されています。性虐待という人間の尊厳を辱め蹂躙する聖職者や霊的指導者の行為によって深く傷つけられた方々が、長い時間の苦しみと葛藤を経て、ようやくその心の思いを吐露された結果であると思います。そのように長期にわたる深い苦しみを生み出した聖職者や霊的指導者の行為を、心から謝罪いたします。
なかでも保護を必要とする未成年者に対する性虐待という、きわめて卑劣な行為を行った聖職者の存在や、司教をはじめとした教会の責任者が、聖職者の加害行為を隠蔽した事例が、過去にさかのぼって世界各地で報告されています。
教皇フランシスコは、この問題に教会全体が真摯に取り組み、その罪を認め、ゆるしを請い、また被害にあった方々の尊厳の回復のために尽くすよう求め、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設けるようにと指示されました。日本の教会では、四旬節・第二金曜日を、この祈りと償いの日と定めました。2023年にあっては、来る3月10日(金)がこの日にあたります。
日本の司教団は、2002年以来、ガイドラインの制定や、「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」の設置など、対応にあたってきました。2021年2月の司教総会で、「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」を決議し、教会に求められているいのちを守るための行動に積極的に取り組む体制を整えてきました。昨年には、「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」が啓発活動にさらに取り組むよう、司教協議会会長直属の部門としてガイドライン運用促進部門を別途設置し、責任をもって対応する態勢を整えつつあります。もちろんいのちを守り、人間の尊厳を守るための務めに終わりはありません。聖職者をはじめ教会全体の意識改革などすべきことは多々あり、教会の取り組みもまだ十分ではありません。ふさわしい制度とするため、見直しと整備の努力を続けてまいります。
あらためて、無関心や隠蔽も含め、教会の罪を心から謝罪いたします。神のいつくしみの手による癒やしによって被害を受けられた方々が包まれますように、心から祈ります。同時に、わたしたち聖職者がふさわしく務めを果たすことができるように、お祈りくださいますようお願いいたします。
どうぞ、四旬節第二金曜日に、またはその近くの主日に、教皇様の意向に合わせ、司教団とともに、祈りをささげてくださいますようにお願いいたします。
2023年2月17日
日本カトリック司教協議会 会長
菊地 功
なお呼びかけ文でも触れている、日本の教会の「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」は、こちらにあります。
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