シノドスホールから:その3
シノドスはまもなく終了します。本日、土曜日の午後に最終の全体会議が行われ、終了となる予定です。長い一ヶ月でした。季節も変わりました。
最終の第四周は、23日月曜日朝のミサで始まりました。今回はアジアの担当で、司式がFABC(アジア司教協議会連盟)会長のチャールズ・ボ枢機卿(ヤンゴン大司教)、その横にFABC前会長のオズワルド・グラシアス枢機卿(ボンベイ大司教)、そしてFABCの事務局長のわたしがつきました。聖歌隊は、ローマ在住のフリィピン出身修道者が務め、侍者はローマ在住のフィリピン人若手司祭を中心に構成されていました。この中には、フィリピン宣教会の司祭で、以前日本におられた若手司祭もおり香部屋で突然日本語で話しかけられてびっくりいたしました。
そのミサ後、朝の全体会で、シノドスから教会全体への書簡が採択されることになりました。これが多分、事務局の誤算の始まりとなりました。この後、一週間の当初のスケジュールが、毎日のように変更されます。なお書簡をシノドスから発出することは教皇様ご自身の希望で、前の週に、教皇様が出席される中で、圧倒的多数(11の反対票)で書簡を発出することが採択されました。
その書簡の採択に当たって、用意された文書を英語で読み上げて(もちろん同時通訳が会場にはあります)拍手で採択しようとしたのですが、さすがにこれには異論が続出。結局、全員に書簡を配布し(つまり、イタリア語、英語、スペイン語、フランス語に翻訳して)、それから全体会を開催して個別の意見発表をうけつけ、さらにそれを書き直すために起草委員会を開催するので、急遽月曜の午後と火曜終日が休日となりました。わたしはこの間に、国際カリタスの行事と、所用での国務省訪問が入ったので、休日とはいきませんでした。
その後、25日水曜に再開され、神の民への手紙が採択され、同時に今回のシノドスの位置づけについての事務局長からの説明が行われました。神の民への手紙は、なるべく早く多くの人に読んでいただくためにと、各国の司教協議会に翻訳を急ぐようにと指示があり、日本語訳も、中央協議会の翻訳担当が頑張ってくださり、一日で完成。すでに中央協議会のホームページで公開しています。
この書簡は、まだ第一会期が終わろうとしている段階で、さらに来年また同じメンバーで同じシノドスの第二会期が行われる中、決定したことを伝えているのではなく、また話し合われた内容を伝えているのでもなく、シノドスに参加している多くの思いを伝え、歩みを共にするようにとの呼びかけの文書です。この手紙を読んで、結局シノドスは何も決めていないと失望する声も聞こえてきますが、そういう類いの文書ではありません。この後に、さらに膨大な、討議の内容を伝える文書が出てきます。神の民への手紙は、シノドス参加者の思いを代弁するものですので、是非ご一読ください。
この日の夜、平和を求めて、サンピエトロ大聖堂内で、シノドス参加者が集まり、ロザリオの祈りが捧げられました。
また25日の水曜日の昼前には、今回の全体の内容を伝える文書の原案が示され、それについての小グループでの話し合いが、26日の木曜日丸一日、行われました。35のそれぞれの小グループから、最終的には千を越える修正の動議が提出され、起草委員会の修正作業が始まりました。
27日金曜日は、午前中に小グループで、来年の10月までの間をどのように勧めるのかについての小グループでの話し合いと全体会が行われ、午後は休会して、午後4時から、各国の司教協議会会長を集め(50名ほどが参加しました)、第二会期までの司教協議会の取り組みについての意見交換がありました。一年弱の時間しかないことと、これから帰国して、すぐに待降節から降誕節、年末年始となるので、いずれの国も、全国レベルでの取り組みをするには時間がないことが指摘され、今後、事務局が何らかの方向性を提示することになりました。
なおこの27日の夜は、教皇様がシノドス全体会の中で呼びかけられた平和のためのロザリオの祈りが、午後6時から、サンピエトロ大聖堂で行われ、シノドス参加者のほか、多くの人が参加されました。バチカン放送のビデオを下に張っておきます。ロザリオの祈りと聖体顕示式が、教皇様の臨席で行われました。以下、バチカンニュース日本語版からの引用です。(なお写真はすべて東京教区オリジナルです)
『教皇はロザリオの祈りに続き、平和の元后、聖マリアにご自身の祈りを捧げられた。
この中で教皇は、「紛争に引き裂かれ、武器に蹂躙されたこの時代」、「平和を見失った人類家族に憐みの眼差しを向けてください」と聖母に祈った。
そして、教皇は、「危険と混乱の中にあるこの世界のためにとりなし、いのちを受け入れ大切にすること、死の種を播き未来をかき消す戦争の狂気を拒むことを教えてください」と聖母により頼んだ。
「御子がいなければ、わたしたちはひとりでは何もできません」と言う教皇は、「わたしたちの平和であるイエス」に立ち返らせ、「憎しみに囚われた人の魂を揺さぶり、紛争をあおる人を回心させ、子どもたちの涙をぬぐい、孤独な人やお年寄りを助け、負傷者や病者を支え、祖国や愛する人を置き去りにせざるを得なかった人を守り、気落ちした人を慰め、希望をよみがえらせてください」と祈った。
「救いのあけぼの」である聖母に「争いの闇に曙光を差し込んでください」と教皇は願いつつ、「国々の指導者たちに平和の道を励まし」、「悪にそそのかされ、権力と憎悪に目がくらんだあなたの子らを和解させ」、「神の調和を心に注いでください」と祈り求められた』
さて、起草委員会は、昨晩金曜日の午後9時から集まって、最終報告書の書き直し作業をしています。本日土曜日の、午前11時頃にできあがる予定です。本日は午後4時から、その報告書についての採決があり、教皇様のお話の後、第二会期まで休会となる予定です。最終報告書は、例えば英語の原案がA4で50ページ近くありますから、修正を入れると60から70ページほどになるかもしれません。またお知らせします。
この一ヶ月間の、皆様のお祈りに感謝いたします。下の写真は、今週、会議の合間を縫って所用で訪問した国務省の三階のテラスから見た、シノドス会場のパウロ6世ホールです。奥の波を打っているのが会場。右手はサンピエトロ大聖堂正面、下がサンピエトロ広場です。
週刊大司教の号外編が、短い現地報告として10回ほど、東京教区のYoutubeチャンネルで公開されていますので、是非ご覧ください。
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