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2024年5月 8日 (水)

アドリミナを振り返って:その2

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先般行われた日本の司教団によるアドリミナ訪問の振り返りの続きです。(上の写真は、最高裁判所玄関)

省庁訪問するときの使用言語の問題があります。通常、アジアの司教団は、どの国から来ても共通語グループは英語に分類されています。したがって、迎える省庁側も、訪問する日本の司教団も、事前に準備するレポートなどはすべて英語で準備します。

とはいえ、日本の司教全員が英語を得意とするわけでもありません。書かれた英語の文章を読むのが得意でも、それと、聞いたり話したりする能力は別です。

日本の司教協議会は、これまでローマに駐在する窓口として、カルメル会の和田神父様にお願いしてきました。和田神父様は、バチカン放送局などに長年勤められた方で、日本政府や皇室などの方々が教皇様を訪問するときにも、教皇庁側の通訳として立ち会うことがあるので、公式の写真などで教皇様の後ろに立っている和田神父様を見かけた方もおられることと思います。(下の写真。真ん中が通訳する和田神父様)

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和田神父様はすでに定年を過ぎて延長しておられるので、司教団の窓口としての職務は、今回のアドリミナが最後の仕事になるのではないかと思います。和田神父様の通訳は日本語・イタリア語です。バチカンの省庁の業務上の共通語もイタリア語です。

同時に、日本の司教団17名のうち、イタリア語が分かる方も少なくありませんが、英語と比較すると、英語の方が理解される度合いが高くなります。そこで、基本的に日本の司教団は日本語で話し、省庁側にはイタリア語で話していただいて、すべて和田神父様の通訳を間に挟むことを事前に申し合わせました。

ちなみに教皇様は、英語は、こちらの言うことをほとんど理解しておられますが、話すことがあまり得意ではありません。国際カリタスの業務でお会いするときも、国際カリタス職員のスペイン語話者を通訳として同行させています。

今回は、スケジュールの関係で和田神父様に同行いただけなかった未成年者保護委員会のときだけ、英語でやり取りをすることにして、私が臨時で通訳をしましたが、他は、ほぼイタリア語でのやり取りになりました。

さて、すでに記しましたが、以前のアドリミナでの省庁訪問は、教えられる場でありました。訪問しているこちら側の発言は、ほとんど省庁側からの質問への答えくらいで、あとはひたすら長官などの枢機卿たちの「講話」に耳を傾けたり、省庁の担当者の「教え」を拝聴することで時間が過ぎていました。具体的なことを書くのは憚られますが、省庁訪問の場で、突然に日本の教会のために決められたことを告げられることさえありました。もちろん事前の相談はありません。既述の通り、それも少しずつ変わりつつあります。

シノドス的な教会のあり方を目指した改革に加えてもう一つ大きな変化は、以前は省庁の担当者といえば、長官の枢機卿と次官の大司教、そしてその他の役職者もすべて司祭やモンセニョールで、裁判所のような雰囲気のところが大多数でしたが、今回は、様々な省庁で、信徒や特に女性の役職者が明らかに増え、それとともに、穏やかな雰囲気が強まっていたことです。

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例えば、総合人間開発省の次官は、シスターAlessandra Smerilli。(上の写真。総合人間開発省で。向かって左から二番目がシスターアレッサンドラ。三番目が長官のチェルニー枢機卿)

奉献使徒的生活省の次官は、シスターSimona Brambilla、いのち・信徒・家庭省の次官補(Under Secretary)は、Linda GhisoniさんとGabriella Gambinoさん。(下の写真はいのち・信徒・家庭省。向かって右端がギソーニさん。左から二番目がガンビーノさん。一人おいて長官のファレル枢機卿)

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シノドス事務局の次官補が、シスターNathalie Becquart。いまシノドスを進めるために重要な役割を果たしているシスターナタリーです。(下の写真。シノドス事務局で。向かって一番右がシスターナタリー。その隣が長官のグレッグ枢機卿)まだまだ少ないものの主な女性の役職者です。

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さらに広報省は長官が信徒の男性でPaolo Ruffiniさん。訪問で出かけたときに対応してくださるメンバーで、女性と信徒の割合が一番高かったのが広報省と未成年者保護委員会でした。(下の写真は広報省で。向かって右から三人目がRuffini長官)

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その他にも、今回は訪問の対象ではありませんでしたが、バチカン市国政庁の次官にシスターRaffaella Petriniもよく知られています。長いこと、福音宣教省でも働いておられたシスターです。

(この項、続きます。「アドリミナを振り返って:その3」へ

 

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