アドリミナを振り返って:その4
アドリミナ訪問第一日目、国務省の訪問が予想外に長くなったので、宿舎に戻って遅い昼食をとり、そのまま今度は午後3時半に諸宗教対話省へ出かけました。(サンピエトロ広場前で、次への移動に備える司教たち)
諸宗教対話省は、バチカンのサンピエトロ広場につながる大通りに面しているバチカンの省庁などが入るビルの一角にあり、ミゲル・アユソ・ギクソット枢機卿様が長官です。諸宗教対話の活動は、日本の教会も長年関わっており、京都の司教は中でも深い関わりがあるため、大塚司教様も長年にわたってこの省(以前は評議会)の委員を務めておられます。
このたびは、所用のため枢機卿様は不在で、次官も海外に出張中ということで、NO.3のUnder Secretaryであるバタイルワ・クブヤ師が対応してくださいました。クブヤ師はコンゴ出身で、アジアで働いて経験をお持ちです。
ここでは担当の大塚司教様から、毎年新年の神道へのメッセージやお花祭りでの仏教へのメッセージ、さらには、毎年の比叡山宗教サミットへのメッセージなど同省の関わりについて謝辞を述べ、その後、日本の司教協議会の諸宗教部門の行う啓発活動や諸宗教との関わりなどについて報告しました。さらに旧統一教会について注目される中で、いわゆる「宗教2世」の問題がクローズアップされていることなど、日本の現状を報告しました。同省でも、ミリンゴ大司教の件などがあったこともあり、この課題を注視しているので、引き続き現状を報告してほしい旨のお話がありました。
また日本の司教たちからは、それぞれの教区での諸宗教との関わりについての現状が報告され、同省からは対話の重要性と、諸宗教者が、例えばアシジや比叡山のように、ともに集まって祈りを捧げることは素晴らしい証しになると、励ましがありました。また諸宗教の対話は、折衷主義を求めているのではなく、前の長官であった故トーラン枢機卿の言葉によれば、諸宗教対話は良い市民を生み出す源になる、なぜなら信教の自由という権利を促進するからだという趣旨の言葉もありました。また来年2025年は、第二バチカン公会議で「キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言(Nostra aetate)が1965年10月28日に発布されて60年の記念の年となるので、そこから学び直してさらに諸宗教対話を深めていってほしい、そのために同省は地域教会の司教たちに奉仕する用意があるとの言葉がありました。
この日はこのあと、午後5時から、キリスト教一致推進省も入り、そこには前田枢機卿様、アベイヤ司教様、アンドレア司教様がでかけられ、長官であるクルト・コッホ枢機卿様から、40分ほど、バチカンのエキュメニズムの活動についてお話をいただきました。
これで一日目は終わりました。前回のアドリミナ(2015年)はスケジュールに余裕があったので、バチカン内の聖堂などをお借りして昼頃に日本語でミサを捧げることもできたのですが、今回はタイトなため、宿舎で捧げられている朝7時の定時ミサに参加することにして、ミサはバチカンで働くためにここに住んでいる共同体のミサですから、イタリア語で捧げられました。日本の司教団でもイタリア語でミサを捧げることのできる司教がいますので、その数名が滞在中のミサ司式を引き受けました。(上の写真は、省庁のあるビル内の象徴。長い階段。バチカンの建物は概ねどれも壮大で天井がかなり高いビルが多く、またその割に小さなエレベーターしかないため、省庁訪問は長い階段の上り降りが象徴です)
まずは、アドリミナ訪問の第一日目に何があったのかの概要です。(この項、続きます。「アドリミナを振り返って:その5」へ)
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