週刊大司教第179回:年間第20主日B
八月も後半となりました。お盆休みに日本を襲った台風の被害を受けられた方々に、お見舞い申し上げます。
8月10日にガーナの首都アクラで行われた神言修道会の司祭叙階式を司式してきました。5名の新司祭が誕生しました。そのうちの一人が、わたしがかつて、1986年から1994年まで主任司祭などを務めた教会の出身でしたので、招かれて参りました。同じく同教会出身で、いまは東京教区内で働く神言会のマーティン・デュマス神父と、その他7名の方が同行してくださいました。
叙階式も翌日のオソンソン村での初ミサも、どちらも4時間を越える長丁場でした。聖歌隊の素晴らしい歌と、皆さんの躍動する踊り。久しぶりに、アフリカの喜びに満ちあふれた典礼に与りました。その後14日深夜に無事帰国しております。ガーナについては、稿をあらためて記します。(下の写真、叙階式の最後に、新司祭からの祝福を受けるわたしと、アクラ教区のアサリ補佐司教様)
以下本日午後6時配信、週刊大司教第179回、年間第20主日のメッセージ原稿です
年間第20主日B
週刊大司教第179回
2024年8月18日イエスは今日の福音で、ご自分こそが永遠の命の源であることを宣言されています。イエスが福音で、「永遠に生きる」と言われるとき、それがいわゆるわたしたちのこの世における人生がいつまでも続くことを意味していないのは、次のイエスの言葉から理解されます。
イエスは、ご自分の肉を食べ血を飲まなければ、「あなたたちのうちに命はない」と言われます。しかしよく考えてみれば、そう言われているユダヤ人たちは、目の前で生きている人間です。生きている人間、すなわちいま命を生きている人間に対してイエスは、「あなたたちのうちに命はない」と言われるのですから、イエスの言う命、すなわち永遠の命とは、いまのこの人生をいつまでも続けることとは全く異なることを意味していることが理解されます。
わたしたちのいのちは神からの賜物です。神は自らが創造されたいのちを愛し抜かれ、ご自分が望まれるようにそのいのちが十全に生きられる世界を実現されようとしています。そのいのちが生きる世界は、この地上にとどまるのではなく、御父の元での永遠の中にあるいのちです。
だからといって、この世界は仮の住まいだからどうでも良い、御父の元での永遠のいのちのことさえ考えれば良いと、この世界の現実から目を背けようとする人たちもいます。果たしてそれはどうでしょう。
イエスは福音で、「わたしが与えるパンとは、世を生かすためのわたしの肉」だと言われます。「世を生かす」糧であります。すなわち、神の望まれる世界は、死後の永遠の世界のことだけではなく、いまわたしたちが生きているこの世界のことでもあり、それがためにわたしたちには、永遠のいのちの一部分を構成するこの世界の現実を、神が望まれる世界へと変えていく務めがあります。それこそがわたしたちの福音宣教です。
福音は、死んだ後に永遠の救いに与るためだけではなく、この地上において神の秩序が実現し、神が望まれる世界を生み出すことによって、賜物であるいのちが十全に生き、尊厳を守られるような世界を実現するためにも、一人でも多くの人に伝えられなくては成らない宝物です。
主イエスは、最後の晩餐において聖体の秘跡を制定されました。それは、今も日々のミサにおいて繰り返され、わたしたちはミサに与り、聖体を拝領するごとに、あの晩、愛する弟子たちを交わりの宴へと招かれた主イエスの御心に、思いを馳せます。主はご聖体のうちに現存されます。
聖体のいけにえは「キリスト教的生活全体の源泉であり頂点」だと、教会憲章は指摘します。その上で、感謝の祭儀にあずかることで、キリスト者は「いけにえを神にささげ、そのいけにえとともに自分自身もささげる」と指摘します(11)。
すなわち、御聖体をいただくことは、神からお恵みをいただくという受動的な側面だけではなく、わたしたち自身が自分をいけにえとしてささげるという、能動的側面も伴っています。。
御聖体をいただくわたしたちには、主の死と復活を、世々に至るまで告げしらせる務めがあります。その上で、わたしたちには、その福音に生き、言葉と行いで、現存される主イエスそのものである神の愛をあかしする務めがあります。さらにわたしたちには、御聖体によってキリストの体と一致することで、一つの体としての教会共同体の一致を推し進める務めがあります。
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