2024年ガーナへの旅:その8
オソンソン村でのダニエル・ナー神父様の初ミサは、定刻9時から少し遅れて始まりました。
オソンソン村の聖堂は、その昔、柱も何も立てずに土のブロックを積み上げ、モルタルを塗ってあるだけの建物で、そのため非常に細長く狭い聖堂です。ですから大きな行事のミサは、以前から、ルルドの前にある屋根がかけられたホールで行われてきました。
初ミサには普段以上の人が集まりますから、そのホールだけでは足りず、聖堂との間の空き地にテントが張られており、すべて満席でした。
ガーナでは、1957年までイギリスの植民地出会った歴史もあり、英語が公用語ですが、普段の生活ではそれぞれの部族の言葉が使われます。そのため、部族配置にあまり影響されずに多くの人が住んでいる首都のアクラなどでは、基本的に英語で典礼が行われますが、オソンソン村のように大多数が一つの部族であるコロボであると、典礼も基本的にはコロボ語で行われます。この日のミサもコロボ語です。
わたしが働いていた頃にも当然そうでしたので、わたしもコロボ語を一年くらい習って現場に入りましたが、やっとミサが立てられるくらいで、説教は公用語の英語で行い、カテキスタが通訳してくれていました。
この日のミサでは、わたしが説教を担当することに。結局、日本から一緒に出かけた目黒教会のマーティン神父様が、英語からコロボ語に通訳してくださいました。この日の説教は原稿なしでしたので、勢いで、司教叙階25周年となる5年後に、もう一度オソンソンを訪れると約束してしまいました。2029年にまた、ガーナ旅行を企てますので、興味のある方はいまから心づもりを。
ミサはもちろん日本のミサと変わらないのですが、5時間かかりました。一番は、歌が長い。ダンスが入る。献金が奉納前と聖体拝領後の二回ある。献金のダンスが長い。など、部分部分で時間がかかります。それ以外では、灌水式があったり、聖書の朗読が始まる前に、聖書を荘厳に迎える式があったり。奉納では、実際に農作物をみんな並んで持ってきたり。
聖体拝領後の二回目の献金は、男女に分けてみたり、生まれた曜日ごとに分けてみたりするので、これはダンスと共に時間がかかります。ガーナの人は、みな生まれた曜日を知っています。というか生まれた曜日に基づいた名前を持っています。それで、曜日ごとに献金をして、額を競ったりするのです。ちなみにわたしは1958年11月1日生まれで、その日は土曜日でしたから、ガーナの名前はクワメ(Kwame)です。
5時間のミサの終わりは、新司祭による祝福で、一番最初のわたしから始まって、司祭や修道者、親族、友人、日本からの訪問団など様々な人がそれぞれ前に呼ばれて祝福を受け、その最後は、会場に来ていた各村のチーフたちでした。ガーナの社会で、チーフの存在は重要です。
また最後に、30数年前に小教区の学費援助を受けていた高校生だった村の子どもたちが、いまや社会で働く大人となっており、今度は自分たちで持ち寄って、村の子どもの学費を援助しようという団体を立ち上げているのですが、そのメンバーから司教叙階20周年のお祝いをいただきました。この子たちには(いまや大人ですが)、感謝の思いしかありません。
ミサ後、司祭館と聖堂の裏手の丘に登りました。ここには中学校があり、わたしが主任だったころに、日本政府の小規模無償援助をいただいて、3クラスの教室棟を建設しました。教会の信徒会長だった技術の先生が、仲間と手作りでコンクリートのブロックを積み上げ、窓や屋根は、コフォリデュア近くの神言会運営の技術学校のブラザーたちに制作をお願いしました。竣工式には、当時に駐ガーナ日本大使にもオソンソンまで来ていただきました。
その教室棟は、ボロボロになりながらもしかりと活用されていて、いまでもオソンソン村の中学校校舎であり、こういった行事の時の宿泊所にもなっていました。丘の上なので、結構風が強く、飛ばされないように屋根をしっかりと作ってもらったことを記憶しています。(上の写真が現在。下は30数年前の校舎の竣工式でテープカットする日本大使)
その日は午後3時くらいにオソンソンを出発し、麓の町であり、コロボ族の全体のチーフが住む部族の中心地であるオドゥマシへ向かいました。その地にある、アゴメニャという地区に教会があり、翌朝、月曜の朝7時に、そのアゴメニャ教会でミサを捧げることを依頼されていたためです。その晩は、上述の学費援助グループの面々が、日本からの訪問団を歓待して、夕食会を開いてくれました。
続く
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