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2024年10月20日 (日)

シノドス第二会期:第三週が終わりました

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シノドスの第二会期が10月2日に始まって、今日、10月19日土曜日は、初めて何も予定がない休日となりました。これまでも土曜日は昼過ぎまでで、日曜は休みでしたが、すべてそこにも行事が入っていましたし、枢機卿任命が発表されてからは、ありがたいことに各社のインタビュー依頼が相次ぎ、昼の休憩時間や夜の会議後に入れてきたので、ほとんど毎日、朝8時過ぎに宿舎を出て、戻ってくるのは夜10時のような生活が続いていました。ですから今日は大変ありがたい休日です。

と言うわけで、今日の休日は23番のバスに乗って城壁外の聖パウロ大聖堂へ巡礼に。今日は雨模様で肌寒い、ローマの秋らしい日でした。

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聖年に備えて聖パウロ大聖堂周辺も整備工事が続いています。ローマ市内といい、この聖パウロ大聖堂といい、間に合うんでしょうか。あと二ヶ月で聖年が始まります。イタリアなので最後はどうにかなるのかもしれません。聖パウロ聖堂内では偶然にも、同じくシノドスに参加しているフィリピンのマイロ司教様と遭遇しました。(上の写真)

今朝は、女性のシノドス参加者と、信徒のシノドス参加者が、教皇様との謁見があったと伺いました。日本の西村さんやシスター弘田も行かれたことだと思います。

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昨晩、金曜日の夜、イエズス会本部にあるアルペ・ホールをお借りして、シノドスに参加しているアジア関係者の集いを企画し行いました。報道関係の方々も入れれば、アジア関係者は50名を超えています。さすがにこの人数でどこかのレストランというわけにもいきませんから、イエズス会のみなさんの配慮で、アルペ・ホールをお借りすることができました。アジアの教会にとっても、日本で働かれ、広島の原爆の悲劇も体験されているアルペ神父様の名前のついた場所で集まったことは、象徴的な意味があったと思います。

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集まりには、聖職者省長官のラザロ・ユ枢機卿、福音宣教省長官のタグレ枢機卿もおいでくださり、さらに二人の中国本土の司教も参加してくれました。西村さんを中心に何名かが動いてくださり、ローマ市内で飲食店を営むフィリピン人の方々に、素晴らしいプロの夕食を準備していただくこともできました。ありがたいことに、この集いでは、わたしとフィリピンのパブロ・ダビド司教様の二人の枢機卿任命をお祝いしていただきました。またフィリピンの神学者であるリコ神父様が今年で30年間、シノドスの運営の事務局に関わってこられたことにも、皆でお祝いしました。同時に、最初に皆で丸く座り、それぞれがシノドスの霊における会話のように、少しづつ自分のことを紹介する時間も持ち、親交を深めるひとときになったと思います。

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さてシノドスの第三週です。月曜日は午前中に討議要項の第二部の「道筋」に関連した自由発言が続きました。その後、午後のセッションは、前週から続いた自由発言なども念頭に、各テーブルでのレポートのまとめが行われました。すべてのテーブルからのレポートは最終文書に何らかの形で反映されることが期待されています。(上の写真は、シノドス会場入口でティモシー・ラドクリフ神父様と)

15日の火曜日は、朝から討議要項の第三部、「場」についての小グループでの霊における会話が始まりました。シノドス的な教会は様々な関係のうちにあり、それをどのように生かしていくのかについて、これまで分かち合いを続けてきましたが、第三部では具体的にそれを実現する場について分かち合うことになります。そしてその場における、シノドス的な教会の実現を阻む要素は何かについても、具体的に話すことになります。この日のそれぞれのテーブルでの話し合いの結果を代表報告者が持ち寄り、言語別のいくつかのテーブルで代表者による霊における会話を行い、さらにその結果を持ち寄っていくつかのテーマに分類し、翌朝までに参加者に、各言語別にそのいくつかのテーマがメールで送付されてきます。

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16日の水曜日は、そのまとめられたテーマについて優先順位を投票で決め、それに基づいての総会での自由な発言が始まります。この日は午後4時からサンピエトロ大聖堂でスペイン語のミサ。ミサの後は、夕方の6時から7時45分まで、二回目の神学フォーラムが行われました。

17日の木曜日は午前中も午後も、自由発言の行われる総会です。わたしその合間、午前と午後のセッションの間の休憩時間である午後1時から午後4時の間、トラステベレまで歩き、国際カリタスの事務局が一週間の会議をしている会場(もと女子修道院)で、新しく聖座から任命された国際カリタスのEcclesiastical Assistant(規約で定められている、聖座などとの関係や霊的な問題について助言する立場の役職)であるイエズス会のジーヴァン神父様を迎え、これまで臨時で務めてくださったマニュエル神父様に感謝するためのミサを司式してきました。交通渋滞の続くローマ市内ですから、バスやタクシーよりも歩いた方が早い。バチカンからトラステベレまでおおよそ30分くらいです。

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そして18日の金曜日は、午前中の小グループでのセッションで、第三部についてのそれぞれのテーブルのレポートをまとめ、事務局に提出。前回同様に最終文書に取り入れられることが期待されます。(写真上が、第二週と第三週を一緒に過ごした小テーブルのワーキンググループ)

第三部の話し合いの中では、司教協議会という組織の存在について、様々な意見が出ました。自由な発言でも多くのポイントが指摘されました。それぞれの司教の権威と司教協議会の関係性とか、司教協議会自体の神学的な裏付けとか、教会法上の立場を強めるべきかどうかとか、様々な意見が出てきましたので、最終文書では何らかの見直しの提案があることと思います。さらにはシノドスの歩みはこの会期で終わりなのではなく、これからが始まりだという点は多くの方が指摘しており、そのために司教協議会の責任は大きいので、今後それぞれの司教協議会にシノドス性の実現に取り組んだり、それぞれの地方教会での取り組みを評価するための常設部門の設置の必要性が、幾たびも指摘されました。これも最終文書に取り入れらることが期待されます。それ以外では、移住者が増加している世界の現実を前にして、これまでの「小教区」の概念は変化するべきだという指摘や、地理的な分割にはもう意味がないという指摘も多くありました。さらにはデジタルメディアをさらに活用するべきだという指摘や、バチカン省庁と地方教会の関係性のさらなる見直しなどの指摘も多くありました。

下の写真は、教皇様から直接、特別製教皇様の紋章入りのマテ茶道具を頂いた西村桃子さんです。

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金曜日の夕方のセッションは、教皇様が設置された10の課題に取り組む研究部会と、アフリカの司教協議会連盟が設置した一夫多妻制に関する研究部会のそれぞれとの対話の集いが行われ、参加者はそれぞれの問題意識に従って分かれて参加となりました。

と言うように、シノドス第三週は終わりました。後は最後の一週間です。最終文書の起草委員会が忙しくなる週です。最後の最後、第四週の土曜日に、最終文書案を段落ごとに採決して、シノドスの第二会期が終わりとなります。あと一週間です。みなさまのお祈りをお願いいたします。

 

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2024年10月14日 (月)

シノドス第二会期、第二週が終わりました


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シノドスが始まって二週間が過ぎました。半分が終わって、残りは二週間です。

今週もいろいろとありました。枢機卿の任命を頂いてからとにかくインタビューが増えました。ありがたいことです。今週も毎日のように、どこかの国の記者の方にインタビューされる予定が入ってきています。

前回も記しましたが、先輩の枢機卿様たちから早く採寸に行けと勧められましたので、バチカンの周囲にいくつかある聖具専門店の中から、以前から司教服(カソックとかスータンとか呼ばれているものなどです)を作っていただいていたお店に出かけてきました。ぱっと見ただけでサイズを見抜く能力を持った仕立屋のご主人は、もう年だから娘さんに店を委ねたと前に言っておられましたが、今回訪ねてその店長の娘さんに「枢機卿の服を」と伝えたら、即座にお父さんを呼んできてくださいました。すでに新しく任命された枢機卿の一覧表が用意されていて、出てこられたマエストロが、必要なサイズをあっという間にはかってくださいました。上の写真が、そのお店でのご主人との写真です。

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9日の水曜日は午前中一杯をかけて、自由討議になりました。テーマは、前日の小グループでの霊における会話から上がってきた内容をまとめたものから採られていますが、事前に自分の言いたいことを準備して、与えられた3分間丸々話される方もおり、何度も議長代理が、テーマに沿って話をするようにと指摘する場面もありました。

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この日はその後午後4時からレバノンのマロン派典礼のミサがあり、その後、近くのアウグスチノ会とイエズス会の本部に分かれて、シノドスに参加している神学者によるフォーラムが開催されました。わたしは「司教の権威」についてのフォーラムに参加しました。これは、昨年の第一会期で、せっかく大勢呼ばれている神学者が、発言などをする機会もなかったことへの反省から、今回の会期中に、二回にわたって、都合四つの神学フォーラムが開催されることになったものです。小グループでの霊における会話に資する勉強会でした。

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木曜日は午前中が、小グループでレポートのまとめの作業となりました。午後は、次のセクションである第二部「道筋」についての話し合いが始まりました。ここでは第一部で話し合ったシノドス性における様々な関係を具体的に生きるために、統合的な養成、教会の識別、意思決定プロセス、説明責任についてどのような歩みが必要かを話し合いました。

特に意思決定については、共同識別に基づいて、どのように誰が最終的な決断をするのか。共同体の平等性の中での識別と権威における決断の関係について、様々な課題が指摘されました。また、説明責任についても、共同体における共同責任の立場から誰がどこまで責任を負わなくてはならないのかについて、様々な意見が表明されました。同時に、シノドスの取り組みは始まったばかりであり(わたしが主張する土台作りであるもそうです)、この会期が終わった後になくなってしまうのではなくさらに発展し浸透していくために、司教と司教協議会の責任は重大だという指摘もしばしば聞かれました。

この日は、お昼休みの間、国際カリタスの執行委員会がオンラインで行われたため、朝8時45分から夕方7時過ぎまで、途切れることなく会議の一日でありました。

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金曜日は、小グループの「道筋」に関する意見を集約し、それを持ってそれぞれのテーブルの代表が言語別に集まり、さらに霊における会話をして共通点を見いだし、その上でいくつかのテーマがまとめられました。午後からは総会となって、それぞれのテーマにもとづいた自由発言の時間となりました。いつものように3分です。2分30秒に鐘が鳴ります。

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夜はエキュメニカルの晩の祈りが、聖ペトロ大聖堂の香部屋棟の横の広場で、皆がローソクを手に集まり、テゼの歌に耳を傾けながら、様々な教派の指導者と共に平和のために祈りを捧げました。

そして土曜日。この日は午前中だけです。前日の続きでテーマにも基づいた自由発言の許される総会でした。この日は、午前中の30分の休憩時間に東京とzoomで結び、枢機卿親任式などについての打ち合わせを教区本部のみなさんと行いました。この準備が必要なときに、東京を一ヶ月も留守にしているので大変心苦しいのですが、今年は昨年と違い、アンドレア補佐司教様が東京におられますので、安心です。準備に取りかかってくださっている東京のみなさんに感謝です。

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またこの日の夜には、アジア(FABC)、アフリカ(SECAM)、ラテンアメリカ(CELAM)の代表が集まり、8月末のルクセンブルグの会議の続きで、今後の協力関係についての合意の確認と、来年ブラジルで開催されるCOP30(気候変動に関する締約国会議)にむけて、ラウダート・シの呼びかけをどのように具体化するのかなどについて、話し合いが行われました。わたしもFABCの事務局長ですので、次期副会長であるパブロ・ダビド司教様(一緒に枢機卿に任命されたフィリピンの司教様)と一緒に参加しました。(写真はパブロ・ダビド被選枢機卿と)

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そして今日の日曜日は、来週の世界宣教の日を前にして、神言会本部で行われた行事に参加。ミサの前に二人の会員による、宣教活動についての報告(オーストラリアで働くガーナ人会員とポルトガルで働くフィリピン人会員)。二人とも神言会の特徴である国際性を具現している宣教師です。その後のミサの司式は、同じ神言会員で枢機卿に一緒に任命されたセルビアのベオグラードのネメット大司教。他にもシノドスに参加している司教が一緒になり、5名の司教が参加しました。ミサ後は、世界各地の方が準備してくださった郷土料理で、神言会本部の庭での会食となりました。

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さて、今回新しく任命された枢機卿一人一人宛に、教皇様からお手紙が来ました。シノドスに参加している新しく任命された枢機卿のもとには、係の方が直接持ってきてくださいました。中身は報道されてますし公開されていますが、また翻訳を東京教区のホームページに掲載してもらう予定です。教皇様から頂いた手紙の内容については、また記します。

明日からは、第三週目です。

 

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2024年10月 9日 (水)

心から感謝します

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日曜日の教皇様による枢機卿任命のニュースが流れて以来、多くの方から祝福のメッセージをいただいています。心から感謝申し上げます。

時差の関係で(日本が7時間早い)、こちらで朝起きると、PCのメールボックスルに山のようにお祝いの言葉をいただいており、十分に御礼の返信もできずに申し訳ありません。すべて目を通してから会議に出かけております。ほんとうにありがとうございます。(上の写真はアジアの参加者の一部です。向かって一番右端が、一緒に枢機卿に任命されたフィリピンのパブロ・ダビド司教様です)

日曜日にサンピエトロ広場の回廊のそばで、タクシーを降りたわたしに、教皇様による枢機卿任命を最初に教えてくれた青年と、再開しました。フェリックスさんと言います。今日も、司教さんたちの写真を持って、サインをもらうために会議場周辺で待っておられました。

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その日曜日の夜は、国際カリタスの業務で面談がすでに予定されていましたし、その翌日は平和のために断食をする日であり、加えて昼の休憩時間には国際カリタスの事務局長との打ち合わせがすでに組まれていましたし、基本、夜は食事をしないで、散歩ついでに近くのスーパーで買うサンドイッチで済ませることにしているので(いつもは宿舎の昼食の量が多過ぎて夜も食べていた日には持参した服が入らなくなる恐れがあるので)、枢機卿任命のお祝いどころか乾杯の一つもできていません。代わりにみなさんで、どうかとりあえずお祝いしておいてください。

会議中は参加者がどんな生活をしているか、マレーシアの神学者であるクラレンス神父様が自分で作られたビデオがあるので、ご覧ください。わたしもほとんど同じ毎日です。

他の枢機卿さんたちから、新しい枢機卿が20人もいるのだから、できるだけ早く仕立屋に行って、サイズだけでも採ってもらうようにと強く勧められ、今週中に、バチカン近くの聖具屋さんに行ってみることにしました。何やらいろいろと準備をしなくてはならないようです。

今日の午後のセッションの前に、教皇様にお会いできたのですが、通訳が近くにいなかったので、仕方なく「英語で話します」と言って、枢機卿任命に感謝しました。すると教皇様御自身が、黙ってしまわれたのです。どうしたのかなと思ったら、教皇様がじっくりと考え込んだ後に普段はめったに使われない英語で、「わたしも喜んでいるから」と言ってくださいました。任命以来、恐ればかりを感じていたので、ちょっと力づけられました。

今日の午後は12時半に午前のセッションが終わって、13時に広報局に行き、13時半からの記者会見に出席しました。ビデオを貼り付けます。わたしは英語で話しています。一緒に出席したのは、同じく枢機卿に任命された、ブラジルのポルトアレグロのスペングラー大司教様と、アイボリーコーストはアビジャンの大司教であるドボ大司教様です。

今日の一日は、まず午前のセッションの冒頭でガザの小教区からのビデオメッセージが流されました。これは昨日の平和の祈りの日に、教皇様のチャリティーの責任者であるクラジェフスキ枢機卿の呼びかけで、断食する食事の分を寄付するように呼びかけがあり、300万円を超えるお金が集まり、それをガザへ送ったことへのメッセージでした。ガザでは本当に厳しい状況が続いています。教皇様は、毎晩、このガザの教会の主任司祭に電話をかけて励ましておられます。

その後、昨日の小グループでの霊における会話にもとづいてまとめられたいくつかの課題について、まず優先順位を投票し、それについての自由討議が行われました。明日、水曜日の午前中もそれが続きます。

なお今日のセッションの中で、中国本土から参加している二人の司教様のうちのお一人が、中国の教会の実情についてお話をされました。

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2024年10月 7日 (月)

驚きと困惑の日曜日

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日本の教会の皆様へ

シノドスの第二会期の第一週目が終わり、土曜の午後と日曜は休みとなりました。そこでこの日曜日、午前10時から、ローマに在住のカトリック日本人会のミサを司式させていただくことに。

朝9時過ぎに、シスター弘田と一緒に、迎えに来てくださった大阪教区の豊田神父様とザベリオ会のロペス神父様とタクシーで、ミサが行われている神言会の本部へ向かいました。西村さんは、今週も議長代理の務めがあり、その準備の打ち合わせがあるため、一緒に来ることがかないませんでした。

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今回は、ローマに在住している司祭が増え、写真のように、大勢の司祭と一緒にミサを捧げることができました。ミサ後には茶話会があり、しばらくしてシスター弘田とロペス神父様とタクシーで帰ることに。シスター弘田の宿舎はサンピエトロの目の前ですので、そこに向かい一緒におりました。サンピエトロ広場の回廊の横を歩いていると、「菊地大司教さん、おめでとう」と英語で声をかけられました。いつもシノドスホール前の門のあたりに佇んでいて、司教さんたちの肖像写真を何枚も持っていて、本人を捕まえてはサインを求め、コレクションしているという青年です。「さっき、アンジェルスの時に枢機卿の発表があり、東京の菊地と言っていた」と彼が言うのです。

そんな話は何も聞いていないので、またまたこの人は何を冗談を言っているのだと思い、アンジェルスからの帰途についている大群衆の中を宿舎へと向かいました。宿舎のロビーに入るとボゴタのルエダ枢機卿様に声をかけられました。「枢機卿の任命、おめでとう」。半信半疑でいるとルエダ枢機卿さんがスマホを取り出して、バチカンニュースの映像録画を見せてくれ、一緒に聞いていたら、確かにわたしの名前を教皇様が呼ばれています。ちょうどそこに、FABC(アジア司教協議会連盟)の次期会長であるインドのゴアのフィリッポ・ネリ枢機卿様が現れ、お祝いしてくださいます。どうも本当に枢機卿に任命されたようです。

驚きました。心の底からこれだけ驚いたのは久しぶりなほどに驚きました。そして困惑しました。枢機卿は単なる名誉職ではなく、教皇様の顧問として果たすべき役割が多々あることを考えると、自分の足りなさばかりが浮かんできます。そもそもわたしはイタリア語が初歩の初歩で、やっと日常会話が理解できる程度です。教皇様とのコミュニケーションには、少なくとも英語の通訳が必要です。

金曜日にシノドスの会場に入ると、ちょうど教皇様の周りに誰もいなかったので、挨拶に行きました。教皇様はわたしの名前を記憶しておられて、それにもかかわらず、わたしのIDカードを手に取って、しげしげと眺めておられました。何度もお会いしているのに、何を見ているのだろうといぶかしく思いました。そこにいた西村桃子さんが写真を撮ってくれると、教皇様は彼女を指して、「彼女は日本人なのにマテ茶を飲む変な人だよ」と大笑いされてました。枢機卿の話なんて、かけらもありません。だから、今日の急な発表は、本当に驚きました。

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12月8日に親任のための枢機卿会が行われるそうです。それまでどんな準備が必要なのか、見当もつきません。せっかくいまローマにいるのに、正式な通知は何もないですから、すべてニュースで聞いているだけです。

一緒に神言会の会員がもう一人枢機卿に任命されました。セルビアのベオグラードのネメット大司教さんです。以前から存じ上げている兄弟会員です。神言会は来年、創立150年をお祝いします。この150年の歴史の中で、これまで枢機卿は、1967年に帰天された北京の大司教であったトマス田(ティエン)枢機卿様お一人だけでした。今回、二人目と三人目の枢機卿が誕生したことは、神言会にとっての名誉になったかと思います。

また同時に、この任命はわたし個人の名誉ではなくて、日本の教会にとって、また特に東京教区にとって大きな名誉です。加えて、現在その総裁を務めさせていただいている国際カリタスにとっても名誉であると思います。

さらには、今回、次期FABC副会長のフィリピンのパブロ・ダビド司教様も枢機卿任命を受けたことで、FABCにとっても大きな意味を持つ名誉ある任命となったかと思います。

たくさんの皆様からお祝いのメッセージやメールをいただきました。心から感謝申し上げます。繰り返しですが、自分の身に余る役目を仰せつかったと思います。自分の足りなさに身が縮む思いをしています。どうかこれからも皆様のお祈りで支えてくださるように、心からお願い申し上げます。

感謝のうちに。

2024年10月7日

菊地功

 

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2024年10月 5日 (土)

シノドス第二会期、第一週が終わりました

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現在バチカンで行われているシノドスの第二会期。その最初の週が、本日土曜日のお昼過ぎに終わりました。少なくとも今日の午後はお休みになりました。(上の写真は、シノドス会場に来られた教皇様に挨拶をしているところです)

さて一番下に貼り付けた「週刊大司教」の号外ビデオでも説明していますが、事前の二日間の黙想会が終わり、10月2日の水曜日の開会ミサでシノドスは開幕しました。開会ミサは聖ペトロ広場で教皇様の司式で行われ、入祭の時には、昨年同様、シノドス参加者全員が広場の真ん中を行列して前に進み、聖ペトロ大聖堂前にもうけられた祭壇のすぐ横に座りました。

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雨が心配されていましたが、ちょうど良い具合に曇りとなり、野外ミサのためには暑くもないちょうど良い天候となりました。なお奉納以降は、オロリッシュ枢機卿様が祭壇前に立たれました。

このミサの説教の中で、教皇様は、「世界に目を向けながら、人類に奉仕し、福音の喜びを伝える、キリスト教共同体の務めを強調。特に戦争の風が吹き、暴力の火が人々や国々を愕然とさせている、この歴史の激動の時、その務めはまたとなく必要とされている、と話された。こうした中、教皇は、平和を祈るため、10月6日(日)に、ローマの聖マリア大聖堂でロザリオの祈りをとり行うことを発表。シノドスの関係者にも参加を願われた。教皇は、同時に7日(月)を世界平和のための祈りと断食の日とし、皆に参加を呼びかけら」られました。引用はバチカン放送の日本語ホームページからです。

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実はミサの最中には同時通訳があるわけでもなく、事前に原稿も配布はされず、加えてミサの後にも、シノドス関係の原稿はすべてシノドス参加者専用のクラウドにアップされるのですが、教皇様のお話の原稿はすべてバチカンの公式サイトでしか公開されないため、現場にいるわたしも、少しは理解できるようになってきたイタリア語ですが、完全にはよくわからず、教皇様が何か行事を発表された模様だなあとはわかりましたが、後刻、バチカン放送の日本語サイトを見るまで、具体的には知りませんでした。日本にいる方の方が、現場にいるわたしよりも早く、SNSなどでこの情報を分かち合っておられました。

前回もつくづく感じましたが、基本的にすべてはイタリア語ですので、シノドス参加者の大多数は英語話者ですが、なにが起こっているのか推測するしかない場面がしばしばあります。参加者は368名と発表されています。霊における会話のための10名から11名ほどの参加者が座るテーブルは36ある模様です。そのうち英語のテーブルが16、フランス語が6、スペイン語が5、イタリア語が8、ポルトガル語が1となり、会場内での全体に向けての発言には同時通訳がつきます。しかしスクリーンで全体に示される資料は、基本、イタリア語です。コミュニケーションが簡単ではないと感じさせられます。

開会前夜に聖ペトロ大聖堂で行われれた回心の典礼も、イタリア語が中心ですので、スマホを持参してイヤホーンでバチカン放送アプリを聴くようにと言われましたが、なんと聖ペトロ大聖堂内の電波状況があまりに弱く、わたしのスマホでは通訳を聞くことはできませんでした。この日の模様は、バチカン放送のこちらで報じられています。わたしも終わってからこの記事を読んで、中身を理解しました。(下の写真は、回心の典礼の始まる前です。聖ペトロ大聖堂内は聖年のために改装工事中で、正面にある主祭壇も工事中です)

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(下の写真は最初に参加した霊における会話のワーキンググループ)

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さて、朝の開会ミサに引き続いて行われた最初のセッションには、教皇様もおいでになり、挨拶をされました。この要約はバチカン放送のホームページにあります。その中で教皇様は、シノドスの歩みはすべての人が与えられたカリスマを生かしながら共同責任のうちに友に識別をすることだと強調されながらも、「それは「今度はわれわれの番だ」と叫びながら、各々が他の立場に取って代わろうとすることを意味するものではない、と指摘。皆が異なる役務やカリスマを活かしながら、シンフォニックな一体性をもって、神のいつくしみのために共に奉仕することが求められている」と強調されました。

何度も繰り返していることですが、このシノドスの一番の目的は、組織改革や新しい教えや制度を制定することではありません。実際に様々な課題が第一会期で取り上げられ、それは検討しなくてはならない課題だと教皇様が判断されて、この2月に10の検討部会を設置されました。その部会の検討は続いており、来年の6月までに結論が出ることになっています。今回の最初のセッションで、それらの部会の中間報告がありました。(下の写真は、最初に参加した霊における会話のワーキングループのメンバーと)

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それではそういった具体的な課題を話し合わないで、何をしているのかというと、シノドス的な教会が宣教する教会であるためには何が必要なのかを識別しようとしています。それがどうして必要なのかというと、究極的には教会の体質改革、すなわち教会がシノドス的な教会であり続けることを目的としているのですが、そのための土台を築き上げる道を探っています。しっかりとしたシノドス性の土台がないままで改革をしようとしても、それはこの世的な、または人間的な組織改革に終わってしまい、聖霊の導きによるものではなくなってしまうが故に、まず土台をしっかりと作り上げる必要があるというのが、参加メンバーの多数の共通理解です。多数のと書くのは、土台ができる前に、その上にある構築物に手を出して先んじている教会が存在するからで、そうなると必ずしも今目指している聖霊に導かれた神の民としてのシノドス的教会とは離れた存在になることが危惧されているからです。先んじている教会を褒めそやす向きもあるようですが、それは現在行われているシノドスの共通理解とは少し離れていると思われます。

話し合いの基礎となる討議要項には、基本的に教会が宣教するシノドス的教会であるために何が不可欠で何が足りないのかが記されています。

そこで今回の会期では、その討議要項の各項目、すなわち「基礎的理解」、「関係」、「道筋」、「場」のそれぞれのついて、以下のような方法でグループに分かれて識別を進め、最後にもう一つ全体を振り返って最終文書をまとめるためのグループでの作業が行われます。つまり5回のグループワークです。(下の写真は、教皇様とアジアからの参加者)

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このグループワークは、先ほどの36の言語別のテーブルで、訓練された司会者の元で進められます。前回と違い今回は、取り扱っている討議要項のセクションに関し重要であり賛成する点を分かち合い、次に議論を深める必要がある点を分かち合います。この二つのラウンドを第一ラウンドとします。その上第二ラウンドで互いの分かち合いから感じ取ったことを分かち合い、それを書記担当者がレポートにまとめます。

その上で、各テーブルの報告者が一堂に会し、いくつかのテーブルに分かれて、それぞれのテーブルで分かち合われたことについて、霊における会話をします。その結果をさらにその報告者のテーブルの代表が集まり、事務局長などと話し合って、全体のポイントをいくつかの課題としてまとめます。(下の写真は、アジアからの参加者の一部と一緒に)

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今回は、その課題が7つになりました。翌朝配布されたそのまとめの課題について、今度は全体会で投票を行い、優先順位を決めていきます。この優先順位に従って全体会が行われ、一つの課題について20名ほどまでですが、自由な発言が行われます。今回の第一回目の全体会は、西村桃子さんが司会者でした。

さてその上で、最終日に全体会でのみなの発言を心に留めながら、それぞれのテーブルで、2ページの報告書をまとめます。その報告書に基づいて、神学者専門家チームがまとめを作り上げます。

現場にいる私たちも理解するのに手こずった複雑なプロセスですが、このプロセスで都合二日半を費やしました。来週以降も同じことを、「関係」、「道筋」、「場」について、それぞれ行っていきます。(下の写真は、シノドス事務局の次官補シスター・ナタリーと)

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どのような結果が出てくるのか、先ほど昼食の時に同じテーブルになった専門家チームの女性の神学者と話しましたが、神学者たちも、各テーブルから出てくる36の報告書を見るまでは、一体どんな最終文書になるか想像もつかないと言われてました。そうでしょう。

ということで、一週間が終わりました。明日の日曜日は、午前中にローマにいる日本人のカトリックの方々のミサを司式する予定です。

 

 

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