驚きと困惑の日曜日
日本の教会の皆様へ
シノドスの第二会期の第一週目が終わり、土曜の午後と日曜は休みとなりました。そこでこの日曜日、午前10時から、ローマに在住のカトリック日本人会のミサを司式させていただくことに。
朝9時過ぎに、シスター弘田と一緒に、迎えに来てくださった大阪教区の豊田神父様とザベリオ会のロペス神父様とタクシーで、ミサが行われている神言会の本部へ向かいました。西村さんは、今週も議長代理の務めがあり、その準備の打ち合わせがあるため、一緒に来ることがかないませんでした。
今回は、ローマに在住している司祭が増え、写真のように、大勢の司祭と一緒にミサを捧げることができました。ミサ後には茶話会があり、しばらくしてシスター弘田とロペス神父様とタクシーで帰ることに。シスター弘田の宿舎はサンピエトロの目の前ですので、そこに向かい一緒におりました。サンピエトロ広場の回廊の横を歩いていると、「菊地大司教さん、おめでとう」と英語で声をかけられました。いつもシノドスホール前の門のあたりに佇んでいて、司教さんたちの肖像写真を何枚も持っていて、本人を捕まえてはサインを求め、コレクションしているという青年です。「さっき、アンジェルスの時に枢機卿の発表があり、東京の菊地と言っていた」と彼が言うのです。
そんな話は何も聞いていないので、またまたこの人は何を冗談を言っているのだと思い、アンジェルスからの帰途についている大群衆の中を宿舎へと向かいました。宿舎のロビーに入るとボゴタのルエダ枢機卿様に声をかけられました。「枢機卿の任命、おめでとう」。半信半疑でいるとルエダ枢機卿さんがスマホを取り出して、バチカンニュースの映像録画を見せてくれ、一緒に聞いていたら、確かにわたしの名前を教皇様が呼ばれています。ちょうどそこに、FABC(アジア司教協議会連盟)の次期会長であるインドのゴアのフィリッポ・ネリ枢機卿様が現れ、お祝いしてくださいます。どうも本当に枢機卿に任命されたようです。
驚きました。心の底からこれだけ驚いたのは久しぶりなほどに驚きました。そして困惑しました。枢機卿は単なる名誉職ではなく、教皇様の顧問として果たすべき役割が多々あることを考えると、自分の足りなさばかりが浮かんできます。そもそもわたしはイタリア語が初歩の初歩で、やっと日常会話が理解できる程度です。教皇様とのコミュニケーションには、少なくとも英語の通訳が必要です。
金曜日にシノドスの会場に入ると、ちょうど教皇様の周りに誰もいなかったので、挨拶に行きました。教皇様はわたしの名前を記憶しておられて、それにもかかわらず、わたしのIDカードを手に取って、しげしげと眺めておられました。何度もお会いしているのに、何を見ているのだろうといぶかしく思いました。そこにいた西村桃子さんが写真を撮ってくれると、教皇様は彼女を指して、「彼女は日本人なのにマテ茶を飲む変な人だよ」と大笑いされてました。枢機卿の話なんて、かけらもありません。だから、今日の急な発表は、本当に驚きました。
12月8日に親任のための枢機卿会が行われるそうです。それまでどんな準備が必要なのか、見当もつきません。せっかくいまローマにいるのに、正式な通知は何もないですから、すべてニュースで聞いているだけです。
一緒に神言会の会員がもう一人枢機卿に任命されました。セルビアのベオグラードのネメット大司教さんです。以前から存じ上げている兄弟会員です。神言会は来年、創立150年をお祝いします。この150年の歴史の中で、これまで枢機卿は、1967年に帰天された北京の大司教であったトマス田(ティエン)枢機卿様お一人だけでした。今回、二人目と三人目の枢機卿が誕生したことは、神言会にとっての名誉になったかと思います。
また同時に、この任命はわたし個人の名誉ではなくて、日本の教会にとって、また特に東京教区にとって大きな名誉です。加えて、現在その総裁を務めさせていただいている国際カリタスにとっても名誉であると思います。
さらには、今回、次期FABC副会長のフィリピンのパブロ・ダビド司教様も枢機卿任命を受けたことで、FABCにとっても大きな意味を持つ名誉ある任命となったかと思います。
たくさんの皆様からお祝いのメッセージやメールをいただきました。心から感謝申し上げます。繰り返しですが、自分の身に余る役目を仰せつかったと思います。自分の足りなさに身が縮む思いをしています。どうかこれからも皆様のお祈りで支えてくださるように、心からお願い申し上げます。
感謝のうちに。
2024年10月7日
菊地功
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