75周年@赤羽@豊島
今年は、教会の創立の周年行事が多くある年になっています。築地教会と神田教会は150年を迎えました。下井草、吉祥寺や赤羽、そして豊島は75周年をお祝いしています。150年前は、ちょうどキリシタン禁制の高札が撤去された頃ですし、75年前は戦後の混乱から復興へと移っていった時代です。
どの教会も、設立にあたって様々な困難の中で不安な旅立ちであったことでしょう。宣教師の方々や、協力した信徒の方々の働きには、大きなものがあったと思います。そういった不安を乗り越えて、福音を一人でも多くの人に告げ知らせようと努力をされたパイオニアである宣教師の皆さんの働きに、心から感謝したいと思います。
困難な中にも、150年を迎えた教会と75年を迎えた教会に、その当時共通していたのは、将来に対する希望であったのだと思います。これからこの日本の地で、東京の地で、福音を多くの人に伝えていきたいという宣教への熱意に支えられた将来へのいのちを生きる希望です。
果たしてそれから150年がたち、また75年が経過した教会共同体に、「希望」はあるでしょうか。それとも「不安」が支配しているのでしょうか。それよりもなによりも、「絶望」が支配しているなどということがないことを願っています。150年や75年という節目の年を迎えるにあたり、その創設期の宣教師や信徒の皆さんが心に抱いていた「希望」を、自分たちのものとしたいと思います。
希望はどこからか誰かが持ってきて与えてくれるものではありません。自らが自らの心において生み出すものです。でもそのためにはそれを働きかけてくれる何かが必要です。教皇様は、それは助けてくれる誰かとの出会いだと言われます。
教皇様が今回のシノドス性について語り合うシノドスを開催され、その直後に「希望の巡礼者」をテーマとした聖年を開催されることは、決して偶然ではありません。コロナ禍の混乱と、同時に起こったウクライナやガザでの戦争、そして例えばミャンマーの不安定な状況など、心の不安を駆り立てる状況の中でわたしたちはいのちを生きています。この不安を駆り立てる状況、とりわけ神からの賜物であるいのちを暴力的に奪うような状況が続く中で、多くの人が希望を失いました。絶望に打ちひしがれている人も少なくありません。自らを守るために、利己的な価値観をあらわにする人もいます。社会の風潮も、利己的な主張がしばしば見られるようになりました。
そのような現状を見て、教皇様はシノドスを呼びかけられました。教会がともに歩む教会であるために、どのような道を歩むべきなのかを共に識別しようと呼びかけられました。それは教会が共同体としてともに歩むことこそが、福音に基づいた希望を生み出す力となるからです。わたしたちの希望は、福音が告げ知らせるイエスがキリストであると信じる信仰によって生み出されます。そのためにもその福音は多くの人に告げられなくてはなりません。
シノドスの道は、ともに歩み、共に耳を傾けたい、共に祈り、共に聖霊の導きを識別することによって、神が望まれる進む方向性を見いだす道です。それは祈りの道として、巡礼の道でもあります。そしてそれこそが、ひとり一人の心に希望を生み出します。ですから教皇様がこの現代社会の現実を見つめながら、聖年のテーマを希望の巡礼者とされたのは、ある意味、必然であったと思います。教会は混迷する社会の中をともに歩む巡礼者として、その存在を通じて、希望を生み出す種となりたいと思います。
先日の日曜日、11月10日は、赤羽教会の75周年でした。設立からいまに至るまで、福音宣教に取り組み共同体を導かれるコンベンツアル聖フランシスコ修道会のみなさまに心から感謝申し上げます。赤羽教会では記念に、朗読台などで使われる典礼色のタペストリーを作成され、最後の文字はプロの手を借りたものの、ご自分たちできれいに刺繍をしてくださいました。ミサの終わりに祝福させていただきました。
そして今日、11月16日の土曜日は、豊島教会の75周年でした。
75年前、戦後の混乱期の様々な課題を乗り越えて、この地に教会を設立してくださったのはコロンバン会の皆さんでした。今日のミサにもコロンバン会の方々を始め、歴代の主任司祭や助任司祭も集まり、神に感謝を捧げました。
またミサの中では9名の方の堅信式も行われました。豊島教会の共同体は国際色豊かな共同体です。様々な国や地域出身の方が集まるインターナショナルな教会です。今日のミサで堅信を受けられて方々のルーツも、世界中の様々な地域でした。
皆さん、おめでとうございます。そしてこれからも希望を掲げる教会共同体であり続けましょう。シノドスの道を歩み続けながら、社会の現実の中で希望の種をまくものでありましょう。
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