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2025年5月 1日 (木)

この過ぎた一週間について

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教皇フランシスコが復活の月曜日早朝、4月21日に帰天されてから10日が過ぎました。あらためて、教皇フランシスコの果たされた普遍教会の牧者としての務めに感謝すると共に、その永遠の安息をお祈りいたします。

さて、教皇帰天の日の日本時間の夜、首席枢機卿からメールが来ました。首席枢機卿はジョバンニ・バチスタ・レ枢機卿で、御年91歳。お元気です。かつてヨハネパウロ二世の時代には国務次官、その後司教省長官を務めた方です。教皇様の葬儀の司式をされて、ビデオをご覧になった方はご存じでしょうが、とても力強い声で説教をされてました。

メールはすべての枢機卿に宛てられた通知で、翌火曜日の朝9時から枢機卿総会(General Congregation)を行うというものです。会場はバチカンのシノドスホール。もちろん行けるわけがありません。首席枢機卿事務局に問い合わせると、可能な限り早くローマに来てくださいとのこと。チケットの手配をするのですが、この時期、日本に来る方も多ければ逆の人も多い。しかも即座に東京での仕事を中断することもできない。というわけで、やっと手配できたのが、木曜日に関空から出るターキッシュ(トルコ航空)でした。その晩の関空発のターキッシュはほぼ満席。これでよく一席とれたものだと感心しながら機内に入ると、大阪万博に来られたトルコ政府をはじめとした関係者の方々で、機材も普段より大型化していました。おかげで一席取れたものだと思います。

出かける直前までいくつものメディアの方の取材が続き、ギリギリで、NHKの一時間ほどのラジオの収録もできました。お聞き頂いた方もおられることかと思います。「宗教の時間」という番組です。また、事前に約束していたオリエンス宗教研究所の講座向けの一時間のビデオ収録も済ませました。

さて、金曜日の午前中にローマに到着し、その日の夕方4時くらいに、国際カリタスの事務局長他スタッフと一緒に、教皇フランシスコのご遺体が安置されている聖ペトロ大聖堂まで向かい、お祈りをしてくることができました。

翌土曜日朝、バチカン周辺はすさまじい警戒で、道路はすべて封鎖。なんとか聖ペトロ大聖堂までたどり着いて、葬儀ミサに出席しました。枢機卿たちの着替えは大聖堂の三分の一を仕切って行われましたが、いつも以上に高いカーテンで仕切られていたのは、その向こうを各国の首脳が通られるからで、またトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談も、その向こうの遙か彼方の片隅で行われたと後で伺いました。そのときは、全く気がつきませんでしたが。

広場で行われた葬儀ミサですが、祭壇を挟んで向かって右が各国首脳、左が枢機卿団です。わたしはたまたま一番前の列でしたが、祭壇向こうに、各国首脳が間近に見える場所でありました。

ミサ後に外へ出るにもかなりの時間を要しましたが、その間に教皇様の棺は各国訪問でも使われたパパモービルに乗せられ、埋葬場所と指定されたサンタマリアマジョーレ大聖堂に向かい、沿道に集まった多くの方々が、別れを惜しんで拍手で教皇様を送りました。

その日から9日間は喪に服すミサが行われることになっており、その二日目のミサは、本来はカルロ・アクティスの列聖式が予定されていた復活第二主日であり、列聖式は教皇様がいないとできませんから延期されましたが、多くの若者がイタリア中から集まり、パロリン枢機卿が司式して追悼ミサが捧げられました。現代の若者である聖人の誕生が少し先延ばしになりましたが、教皇様を偲んで、多くの若者たちが祈りを捧げました。


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翌月曜日から、わたしはやっと枢機卿総会に参加できることになりました。パウロ六世ホールの上にあるシノドスホールが会場で、イタリアの休日である5月1日と、日曜日の5月4日を除いて、毎日、5月5日まで、朝9時から午後1時まで、会議が行われます。月曜日には枢機卿団でバスに分乗し、サンタマリアマジョーレ大聖堂まで出かけ、教皇フランシスコの墓前で祈りを捧げました。

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遅れて到着した枢機卿たちは、まずラテン語で秘密保持の宣誓を行い、宣誓書に署名します。したがって、メディアに対してもそうですが、枢機卿総会で話されたことを口外することはできないはずなのですが、メディアでの報道を見ると、なぜか少しづつ漏れています。確かに毎日、会場入口付近には各国のメディアが待ち構えており、すさまじいまでの取材合戦になっています。

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また5月5日までは、連日夕方5時から追悼の九日間のミサが捧げられており、それに参加しますから、結局、どこかで昼食をとってこなくてはならず(会場で食事は出ませんので)、またミサには一時間前に集合なので、ほぼ丸一日かけて、様々な行事が進められています。

ご存じのように、わたしが最初に参加できた月曜日の総会で、教皇選挙は5月7日に開始と決まりました。それ以外の内容は、毎日、教皇庁の広報省からプレスリリースが出ています。これについては、中央協議会のホームページで特集が組まれ、記者発表も翻訳が随時掲載されていますので、ご覧ください。また同ページにも掲載されていますが、枢機卿団は二つの声明を採択し、公表していますので、ご覧頂ければと思います。

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火曜日の総会のはじめには、サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ修道院長のドナート・オグリアリ師による講話があり、祈りの雰囲気のうちに会議は進んでいます。火曜日の段階で、投票権を持った枢機卿のうち124名がローマに到着しています。お二人が健康上の問題で参加できないと通知しています。あと数名の枢機卿の到着を待っているところです。

あらためて、どうか、教皇選挙のために、皆様のお祈りをお願いいたします。聖霊の導きによって、よりふさわしい牧者を、わたしたち枢機卿が選ぶことができるように、賢明な判断をする子ができるように、お祈りくださるようにお願いいたします。

 

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