国際カリタス理事会@メキシコ
ローマでの一連の行事が終わり、メキシコへ行って参りました。国際カリタスの理事会にあたる代表委員会のためです。
国際カリタスは世界を七つの地域に分けています。1:アフリカ、2:アジア、3:ヨーロッパ、4:ラテンアメリアとカリビアン、5:中東と北アフリカ、6:北アメリカ、7:オセアニア、となっていますが、その各地域から責任者(地域カリタス総裁)と地域代表が参加する年に二回開催される会議です。
通常は5月と11月にローマで三日間の会議を開催していますが、今年は聖年のためにローマでの会場確保が難しく、ラテンアメリカの地域の皆さんのお招きを受けて、メキシコシティでの開催となりました。
国際カリタスは4年に一度開催される総会において、一定期間を定めた活動方針の枠組みや財務方針の枠組みを決定します。総会が最高決定機関です。その方針に基づいて、実際に運営するのが年に二回開催される代表委員会であり、さらに具体的な業務執行のために、総裁(わたし)と副総裁、総会計、聖座任命の二名の代表、代表委員会から選出された一名に、法務委員会委員長と事務局長を加えて、執行委員会を構成し、これが年に四回(そのうちに二回は代表会議に合わせ、二回はオンライン)。さらに総裁、副総裁、総会計、事務局長の四名で、毎月の打ち合わせをオンラインで行っています。このいわゆる役員の中でフルタイムで雇用されているのは、ローマに駐在する事務局長だけで(下の写真、右側がアリステル・ダットン事務局長)、後の役員はわたしも含め無報酬のボランティアです。現在の役員は、わたしも含めて2023年5月にローマで開催された総会で選出されており、現在4年の任期の半分まで来たところです。
国際カリタスは、赤十字国際委員会(ICRC)に続く世界で二番目の規模を持つ民間災害救援NGOだと言われていますが、実際には世界で160を超える独立した地域カリタスの連盟組織体です。独立したというのは、連盟のメンバーになるためには、その地域を管轄する司教協議会などの認可が必要だからであり、それぞれの団体はその地域の司教たちの権威の下におかれています。国際カリタスの役割は、災害や緊急人道支援に当たってメンバーの活動や資金援助をコーディネートすることであったり、全体を代表して国連や諸国際会館の場で政策提言活動をしたり、世界的な規模でキャンペーン活動を行うことにあり、国際カリタス自体が巨額の資金を持ってプロジェクトを行っているわけではありません。
国際カリタスの憲章の冒頭にも、「国際カリタスに特に委ねられている務めは、ローマ教皇や司教たちの愛の司牧活動(慈善司牧活動)を支えることである」と記されていますが、特に教皇様の望まれる方針に従って、それを具体化する活動に全体として取り組むように調整をしています。
各地で活動するカリタス組織は、それぞれに歴史があり固有の名称があったりしますが、基本的にはそれぞれの国や地域のカリタスとしてのアイデンティティを明示し、国際カリタスの活動の一翼を担って活動を行っています。今現在も多くのメンバーが、ウクライナやガザで支援活動に取り組んでおり、またアフリカ各地でも様々な活動を行っています。さらには今年はの聖年に合わせて、「負債を希望に変えよう」というキャンペーンを行ったり、COP30に向けた啓発活動などを続けています。日本における活動は、カリタスジャパンが行っています。
メキシコといえば、グアダルーペの聖母です。東京教区でもグアダルーペ宣教会の司祭が働いておられるので、その名前を耳にされたことはあろうかと思います。
メキシコシティには、そのグアダルーペの聖母の大聖堂があり、今回の代表委員会参加者全員でミサに与ることができました。ミサはメキシコシティの大司教カルロス・アグイアル・レテス枢機卿様が司式してくださり、カリタスからもわたしとオセアニアの責任者でトンガのマフィ枢機卿、中東北アフリカの責任者でジブチの引退司教であるベルティン司教、ラテンアメリカの責任者であるユカタン教区のロドリゲス大司教が共同司式しました。
1531年12月9日にフアン・ディエゴに奇跡的に現れた聖母は、この地に聖母に捧げられた大聖堂を建設することを望まれ、地元の司教にそれを証明するために、フアン・ディエゴのまとっていたマントにその姿を映し出すという奇跡を行われました。そのマントは今でも大聖堂の祭壇の壁に掲げられており、祭壇裏手では間近に見ることもできます。ミサは平日の夕方に捧げられましたが、このときも大聖堂は大勢の巡礼者で一杯でした。
ミサが終わり香部屋から退出すると、廊下で学生バンド((下)が待ち構えており、二曲を演奏し歌を披露してくださいました。聞くところでは、来年、演奏のために来日する予定があるとのことで、素晴らしい演奏でした。
会議の会場は、メキシコシティの神学校の向かいにある、現地で創立された聖霊会という男子修道会の運営する黙想の家で行われました。広い庭のある会場でしたので、会議場での話し合いだけでなく、庭に出てのグループでの話し合いなども行われました。
また黙想の家でのミサには、地元のシスターが中心になって結成しているグループが手伝いに来てくださり、ギターと様々な打楽器を駆使しながら、音楽を持って典礼を豊かにしてくださいました。特に、中央下あたりに写る男性が、様々な笛を駆使して、自然界の風の音などを再現しておられたのが強く印象に残っています。
というわけで、ローマでの一連の行事が終わり、チケットの関係で一旦日本に戻り、東京のカテドラルで教皇レオ14世のためのミサを捧げ、そのままアエロメヒコの直行便で成田からメキシコへ飛びました。ローマの7時間の時差、メキシコの15時間の時差ですから、いま体の時間を元に戻すのに、一苦労しております。
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