教皇様の呼びかけに応えて、5月中に祈りを続けるロザリオの祈りの第四週目です。
聖母マリアにはさまざまな称号が与えられていますが、その中でも、「教会の母」という称号は、「神の母」と並んで重要な意味があります。2018年2月に典礼秘跡省の教令を持って、「教会の母聖マリア」の記念日は義務の記念日となり、聖霊降臨の主日直後の月曜日に祝われることになっています。従って、今年は本日、5月24日が、「教会の母聖マリア」の記念日です。
同教令には、次のように記されています
「母は十字架のもとに立ち(ヨハネ 19・25 参照)、わが子の愛のあかしを受け入れ、永遠のいのちへと再生する子としてすべての人を最愛の弟子の名のもとに迎えた。こうして母は、キリストが十字架上で霊をゆだねることによって生まれた教会の優しい母となった」
「生まれたばかりの教会の優しい導き手として、マリアは聖霊の到来を待ち望む使徒たちとともに祈り、階上の部屋で自らの使命を果たし始めていた(使徒言行録 1・14 参照)」
「福者教皇パウロ 6 世は、第 2 バチカン公会議第 3 会期の閉会に際し、1964 年 11 月 21日に、聖なるおとめマリアを『教会の母』と宣言した。『それはマリアが、信徒であれ司牧者であれマリアを最愛の母と呼ぶすべてのキリスト者の母であるということである』。そして、『すべてのキリスト者が、最も甘美なこの称号をもって、今後いっそう神の母に敬意を払い、取り次ぎを願うよう』定めた」
本日は、ラウダート・シ特別年の締めくくりの日であり、なおかつ「教会の母聖マリア」の記念日です。神から管理を託されたこの共通の家に思いを馳せながら、教会の母である聖母に祈りましょう。常にわたしたちとともに歩んでくださる教会の母である聖母に信頼し、祈り続けましょう。
以下、本日お昼に配信の、ロザリオの祈り第四連目の、メッセージと祈りの意向の原稿です。
2021年5月の第四週
信仰は、まず第一義的に、個人的な、神とわたしとの関係の問題であります。
同時にわたしたちの信仰は、きわめて共同体的な信仰でもあります。主イエスご自身が、弟子たちを集めて共同体を形作り、その共同体から、福音宣教者を派遣されました。
使徒言行録に記されているとおり、初代教会は、共同体としての一致のうちにあり、互いに助け合い、分かち合い、学び合い、祈りと賛美を共にしていたことから、仲間が日々増えていったと記されています。教会はその始まりから共同体であり、共同体として成長を続けてきました。
教皇フランシスコは、使徒的勧告「福音の喜び」の締めくくりに、こう記しています。
「マリアは、・・・わたしたちの生活に葡萄酒が足りなくなることのないよう、常に気を配る友です。心を剣で刺し貫かれた方、あらゆる苦しみを理解される方です。すべての者の母として、正義を生み出すまで産みの苦しみを味わうすべての民の希望のしるしです。マリアは、わたしたちの人生に同伴するために身近な存在となってくださる宣教者であり、母の愛をもって、わたしたちの心を信仰へと開きます」
教皇が指摘するように、聖母マリアは、教会の母として、常に教会共同体と歩みをともにされ、心を配り、また自ら福音宣教のために行動される模範を示されています。
ところで教皇フランシスコは、回勅「ラウダート・シ」で、現代を生きるわたしたちの、将来の共同体への責任という視点の重要性を指摘されています。
回勅において、すべての被造物は密接につながっているからこその総合的エコロジーの視点を強調される教皇フランシスコは、「後続する世代の人々に、今成長しつつある子どもたちに、どのような世界を残そうとするのでしょうか」と問いかけます。
その上で、「どのような世界を後世に残したいかと自問するとき、わたしたちはまず、その世界がどちらへ向かい、どのような意味を帯び、どんな価値があるものなのかを考え」なくてはならないことを強調します。(160)。
わたしたちには、この共通の家の中で今を生きる責任と、将来の世代へどのような共通の家を残していくのかという、二つの責任があります。わたしたちと歩みをともにされる聖母マリアは、今を生きる者への配慮を忘れないように、将来の世代への配慮も忘れない方であります。
聖母の取り次ぎを求めながら、この5月の間、みなで共に祈りましょう。
一日も早く、人類が直面しているこの困難な事態が終息するように、また病床にある人たちにいやしが与えられるように、医療関係者の健康が守られるように、経済の悪化でいのちの危機に直面する人たちに助けがあるように、さまざまな事情によりいのちを守るために助けを必要としている人たち、特に海外から来られた兄弟姉妹に必要な助けが与えられるように、さらに政治のリーダーたちがいのちを守るための正しい判断をすることができるように。
そして、すべての人の上に復活の主イエスの守りと導きが豊かにあるように、わたしたち自身が御子イエスに倣って行動する勇気を持つことが出来るように、神の母である聖母の取り次ぎを祈りましょう。
栄えの神秘(日曜日・水曜日)
第四の黙想
マリア、天の栄光に上げられる
神は御子の母マリアをからだも魂も天の栄光に上げられました。
教会の母として、常にわたしたちを見守ってくださる聖母の心配りは、これまでも、また今も、またこれからも、教会共同体とともにあります。聖徒の交わりを信じるわたしたちは、過去と現在と将来の共同体と結ばれながら、ともに天の国の実現のために働かなくてはなりません
この一連をささげて、わたしたちも天の国を求め、永遠の喜びに入ることができるよう聖母の取り次ぎによって願いましょう。
終わりの祈り(教皇フランシスコ)
聖マリア、
あなたは救いと希望のしるしとして、
いつもわたしたちの歩みを照らしておられます。
病人の希望であるあなたに信頼して祈ります。
あなたは十字架の下で、揺るぎない信仰をもって、
イエスと苦しみをともにされました。
「ローマ市民の救い」*であるマリア、
あなたはわたしたちに必要なものをご存じです。
わたしたちはあなたがそれを与えてくださると信じています。
ガリラヤのカナでなさったように、
この試練の後に喜び祝う時が再び訪れますように。
愛である神の母マリア、わたしたちを助けてください。
わたしたちが御父のみ心にこたえ、
イエスのことばに従って生きることができますように。
イエスはわたしたちの苦しみをその身に負い、
わたしたちの悲しみを引き受け、
十字架を通して、
わたしたちを復活の喜びに導いてくださいます。
アーメン。
神の母聖マリア、
あなたのご保護により頼みます。
苦難のうちにあるわたしたちの願いを聞き入れてください。
栄光に輝く幸いなおとめよ、
あらゆる危険から、いつもわたしたちをお救いください。