カテゴリー「シノドス」の19件の記事

2025年3月18日 (火)

シノドスの歩みの継続について教皇様の示された道

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2021年から24年まで続けられた第16回シノドスについては、昨年10月末の第二会期終了時に採択された最終文書が、教皇様の意向で公式の教皇文書となり、そこに記されていることを、各地方教会で具体化していくことが求められています。

それに伴って、3月15日、バチカンのシノドス事務局は、教皇様から裁可をいただいた文書を全世界の枢機卿・司教・東方典礼司教に対して送付し、今後、2028年10月まで続く、シノドスでの決定事項の実施過程についての概要を示されました。この文書は、3月11日に入院中の教皇様を見舞ったシノドス事務局長のグレッグ枢機卿様に対して、教皇様から許可が出ているとのことです。

以下、その概要を解説します。(なお、英語の本文書は、こちらのリンクから

この文書は、「ともに歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教」をテーマにしたシノドスの実施段階について、どのように進めるかの概要を解説し、それぞれの教区司教、司教協議会、大陸別の司教協議会連盟などの務めを記しています。

2018年9月に発布された教皇様の使徒憲章「司教の交わり( EPISCOPALIS COMMUNIO)」の第7項には、シノドス後にそこで定められたことを教皇の指示に従って全教会が具体化する実施段階についての定めがあり、同じ使徒憲章の19条から21条に具体的な実施要綱が定められています。なおこの使徒憲章は邦訳されていませんが、英語版をこちらのリンク先で読むことができます。今回の文書は、教皇様がシノドスを受けて使徒的勧告を出されず、最終文書をご自分の文書とされたことから(ペトロの後継者の通常の教導権の一部とされた)、即座に同使徒憲章に基づいて実施段階を定める必要があるために、検討され発表されました。

今回の実施要綱の一番のポイントは、この先どうなるかについてです。すなわち教皇様は、今回のシノドスの最終文書を受けて、そこに定められていることを世界中の教会で具体的に実施に移し、その成果を、2028年10月に「バチカンで開催される教会総会(an ecclesial assembly in the Vatican)」で評価し合うこととして、そのため当面は新たなシノドスを行わないというものです。つまり、今回2021年に世界各地の教区から始まったシノドスの道は、2028年10月の教会総会まで続けられることになったということです。

シノドス事務局長のグレック枢機卿様は、同文書に、「シノドスの実施段階とは、単に上からの指示を 「適用」することではなく、むしろ、地域 の文化や共同体の必要にふさわしく適応させながら、最終文書に示された方向性を「受容」するプロセスとして理解されるべきです。同時に、様々に異なる教会の事情を超えてこの受容を調和させながら、教会全体として共に前進することが不可欠です」と記して、世界中のすべての教区での対応を求めています。

その上でグレック枢機卿様は、「実施段階が、これまで取り組んできた人たちを再び関与させ、教会全体の声に耳を傾けることと、シノドス的集会における司牧者の識別によって得られた実りを提示するものとなるようにすることが基本的に重要です。こうして、傾聴段階ですでに開始された対話が継続されます。このプロセスは、司祭、助祭、男女の奉献生活者、信徒の男女で構成されるシノドスチームの働きを必要とし、彼らの司教がそれに歩みをともにします。これらは、地方教会における通常のシノドス的あり方に伴う基本的なツールです」と指摘されます。

各教区、そして各司教協議会は、シノドス事務局に、それぞれのシノドスチームについての情報を登録するように求められています。わたしは司教協議会でもシノドス参加者として、日本のシノドス特別チームを主宰していますので、東京教区でも同じようにチームを結成して、対応していかなくてはなりません。なお日本のシノドス特別チームでは、具体的な日本の教会全体の取り組みについての提案をすでに検討中で、6月に行われる司教総会に報告と提案をすることが昨年末に決まっています。

以上を踏まえて、シノドス事務局は、2028年10月の教会総会に向けて、おおよそ、次のようなプロセスを示しています。

  • 2025年3月 :同伴と評価の過程の発表
  • 2025年5月 :実施にあたってのガイドラインを含んだ実施過程のための参考文書の発行
  • 2025年6月~2026年12月:地方教会とそのグループにおける実施の過程
  • 2025年10月24日~26日:シノドスチームと参加団体の聖年
  • 2027年前半 :教区における評価の集会
  • 2027年後半 :全国集会と地域の司教協議会連盟や他のグループの評価の集会
  • 2028年前半 :大陸別の評価の集会
  • 2028年6月 :2028年10月の教会総会の作業文書の発行
  • 2028年10月 :バチカンにおける教会総会の開催

すでに皆さんよく聴かれていると思いますが、このシノドスのプロセスには「霊における会話」という手法が重要な位置を占めています。ただ「霊における会話」のやり方にあまりにとらわれると、分かち合いをすることが目的化してしまう恐れがあります。「霊における会話」が上手にできたから、それでシノドス性を身につけられるわけではありません。大切なのは、共同体の交わりを深め、互いに耳を傾けることを優先し、耳にしたことを心で深め、一緒に祈り、一緒になって教会に対する聖霊の導きを識別することです。聖霊に導かれた交わりの共同体を生み出すことが、一番の目的であることを忘れないように致しましょう。

今後、様々な機会を通じて、2028年10月の教会総会へ向けての日本での歩みが提示されていくことになります。シノドスの道を歩むことはオプションではなく、今の教会の最優先事項ですので、どうぞ心に留め手積極的に取り組んでいただければと思います。

 

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2024年11月 2日 (土)

シノドス第二会期:終了と帰国報告

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今回のシノドス第二会期は、10月27日午前中の教皇ミサで終了しました。シノドスのためにお祈りいただいた多くの皆様に心から感謝申し上げます。

また昨日11月1日は、わたしの66歳の誕生日でありました。先日の枢機卿への任命とこの誕生日を合わせて、多くの皆様からメッセージ、メール、お手紙などをいただいております。皆様のお祈りと励ましのお言葉に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。そしてこれからも、私が与えられた役目を十分に果たしていくことができるように、どうかみなさまお一人お一人のお祈りによって支えてくださいますように、心からお願い申し上げます。

シノドスの最終週は、月曜が終わるころには体調が急に悪化し、翌日検査したところ新型コロナ陽性となり、宿舎において隔離状態となりました。そのため、金曜日まで会議に参加できませんでしたが、最終日の土曜日の会議には何とか検査でも陰性となり、参加することができました。

最終週の月曜日には、それまで三週間の分かち合いの成果をまとめた最終文書の原案が提示され、よく火曜日と水曜日にそれに対する修正動議を各グループで考え提出し、それに基づいて水曜から金曜の間に起草委員会が最終文書の書き直しをするというスケジュールでした。

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最終日の土曜日には、朝、教皇様も出席の中、祈りの後に最終文書案が配布され、昼までに読み込むことが求められました。最終文書案はイタリア語です。我々の手元に来たのは機械翻訳の英語版ですが、それでも60ページ近くあります。イタリア語の文章は一つ一つが長いのですが、それを英語に機械翻訳しているので、わかりやすいものではありません。ネイティブの方々は昼頃までに読み切ったみたいですが、それ以外の者にとっては、至難の業でした。

午後4時半から、再び教皇様が出席。司教や枢機卿は正装をして集まり、最後の投票を行いました。

投票は段落ごとに、すべての段落で三分の二以上の賛成を必要とします。昨年は、段落ごとに読み上げて投票したので、夜の8時過ぎまでかかりましたが、今年は改善され、それぞれのタブレットに10段落ほどまとめて表示され、それぞれの段落にチェックを入れる方式となり、あっという間に時間通り、二時間ほどで投票は終了し、すべての段落が賛成多数で通過しました。反対が多かった段落などについては、様々に報道されているとおりです。

その後教皇様からの言葉があり、作業に対する感謝の言葉と、この最終文書は教会の神の民の声として贈り物であるという評価とともに、教皇様はこれをご自分の文書として公表することにして、これを基にした使徒的勧告は書かれないと宣言されました。したがって最終文書は、教皇様の文書としての権威を帯びることになりました。すでにイタリア語は公表されていますが、英語の公表は遅れている模様です。

教皇様は、この文書に基づいて、それぞれの地方教会でシノドス性が具体的に実現されるようにと求められています。

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このような形で今回の4年間に及んだシノドスは閉幕しました。最終週には次のシノドスに備えるための委員会メンバーの選挙もあり、アジアからはFABCの次期会長と副会長であるインドのゴアのフィリッポネリ枢機卿、フィリピンのパブロダビド被選枢機卿の二人が選ばれました。

シノドスの会期中にお祈りくださった皆様に心から感謝します。最終文書の翻訳は、中央協議会からできる限り早く公開できるように努めたいと思います。シノドスの道はこれからが本番です。

というわけで、10月末に何とか帰国しましたが、コロナの後遺症で体調がおもわしくありません。今しばらくスローにして、体調回復に努めてまいります。あらためて皆様のお祈りをお願い申し上げます。

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2024年10月20日 (日)

シノドス第二会期:第三週が終わりました

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シノドスの第二会期が10月2日に始まって、今日、10月19日土曜日は、初めて何も予定がない休日となりました。これまでも土曜日は昼過ぎまでで、日曜は休みでしたが、すべてそこにも行事が入っていましたし、枢機卿任命が発表されてからは、ありがたいことに各社のインタビュー依頼が相次ぎ、昼の休憩時間や夜の会議後に入れてきたので、ほとんど毎日、朝8時過ぎに宿舎を出て、戻ってくるのは夜10時のような生活が続いていました。ですから今日は大変ありがたい休日です。

と言うわけで、今日の休日は23番のバスに乗って城壁外の聖パウロ大聖堂へ巡礼に。今日は雨模様で肌寒い、ローマの秋らしい日でした。

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聖年に備えて聖パウロ大聖堂周辺も整備工事が続いています。ローマ市内といい、この聖パウロ大聖堂といい、間に合うんでしょうか。あと二ヶ月で聖年が始まります。イタリアなので最後はどうにかなるのかもしれません。聖パウロ聖堂内では偶然にも、同じくシノドスに参加しているフィリピンのマイロ司教様と遭遇しました。(上の写真)

今朝は、女性のシノドス参加者と、信徒のシノドス参加者が、教皇様との謁見があったと伺いました。日本の西村さんやシスター弘田も行かれたことだと思います。

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昨晩、金曜日の夜、イエズス会本部にあるアルペ・ホールをお借りして、シノドスに参加しているアジア関係者の集いを企画し行いました。報道関係の方々も入れれば、アジア関係者は50名を超えています。さすがにこの人数でどこかのレストランというわけにもいきませんから、イエズス会のみなさんの配慮で、アルペ・ホールをお借りすることができました。アジアの教会にとっても、日本で働かれ、広島の原爆の悲劇も体験されているアルペ神父様の名前のついた場所で集まったことは、象徴的な意味があったと思います。

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集まりには、聖職者省長官のラザロ・ユ枢機卿、福音宣教省長官のタグレ枢機卿もおいでくださり、さらに二人の中国本土の司教も参加してくれました。西村さんを中心に何名かが動いてくださり、ローマ市内で飲食店を営むフィリピン人の方々に、素晴らしいプロの夕食を準備していただくこともできました。ありがたいことに、この集いでは、わたしとフィリピンのパブロ・ダビド司教様の二人の枢機卿任命をお祝いしていただきました。またフィリピンの神学者であるリコ神父様が今年で30年間、シノドスの運営の事務局に関わってこられたことにも、皆でお祝いしました。同時に、最初に皆で丸く座り、それぞれがシノドスの霊における会話のように、少しづつ自分のことを紹介する時間も持ち、親交を深めるひとときになったと思います。

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さてシノドスの第三週です。月曜日は午前中に討議要項の第二部の「道筋」に関連した自由発言が続きました。その後、午後のセッションは、前週から続いた自由発言なども念頭に、各テーブルでのレポートのまとめが行われました。すべてのテーブルからのレポートは最終文書に何らかの形で反映されることが期待されています。(上の写真は、シノドス会場入口でティモシー・ラドクリフ神父様と)

15日の火曜日は、朝から討議要項の第三部、「場」についての小グループでの霊における会話が始まりました。シノドス的な教会は様々な関係のうちにあり、それをどのように生かしていくのかについて、これまで分かち合いを続けてきましたが、第三部では具体的にそれを実現する場について分かち合うことになります。そしてその場における、シノドス的な教会の実現を阻む要素は何かについても、具体的に話すことになります。この日のそれぞれのテーブルでの話し合いの結果を代表報告者が持ち寄り、言語別のいくつかのテーブルで代表者による霊における会話を行い、さらにその結果を持ち寄っていくつかのテーマに分類し、翌朝までに参加者に、各言語別にそのいくつかのテーマがメールで送付されてきます。

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16日の水曜日は、そのまとめられたテーマについて優先順位を投票で決め、それに基づいての総会での自由な発言が始まります。この日は午後4時からサンピエトロ大聖堂でスペイン語のミサ。ミサの後は、夕方の6時から7時45分まで、二回目の神学フォーラムが行われました。

17日の木曜日は午前中も午後も、自由発言の行われる総会です。わたしその合間、午前と午後のセッションの間の休憩時間である午後1時から午後4時の間、トラステベレまで歩き、国際カリタスの事務局が一週間の会議をしている会場(もと女子修道院)で、新しく聖座から任命された国際カリタスのEcclesiastical Assistant(規約で定められている、聖座などとの関係や霊的な問題について助言する立場の役職)であるイエズス会のジーヴァン神父様を迎え、これまで臨時で務めてくださったマニュエル神父様に感謝するためのミサを司式してきました。交通渋滞の続くローマ市内ですから、バスやタクシーよりも歩いた方が早い。バチカンからトラステベレまでおおよそ30分くらいです。

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そして18日の金曜日は、午前中の小グループでのセッションで、第三部についてのそれぞれのテーブルのレポートをまとめ、事務局に提出。前回同様に最終文書に取り入れられることが期待されます。(写真上が、第二週と第三週を一緒に過ごした小テーブルのワーキンググループ)

第三部の話し合いの中では、司教協議会という組織の存在について、様々な意見が出ました。自由な発言でも多くのポイントが指摘されました。それぞれの司教の権威と司教協議会の関係性とか、司教協議会自体の神学的な裏付けとか、教会法上の立場を強めるべきかどうかとか、様々な意見が出てきましたので、最終文書では何らかの見直しの提案があることと思います。さらにはシノドスの歩みはこの会期で終わりなのではなく、これからが始まりだという点は多くの方が指摘しており、そのために司教協議会の責任は大きいので、今後それぞれの司教協議会にシノドス性の実現に取り組んだり、それぞれの地方教会での取り組みを評価するための常設部門の設置の必要性が、幾たびも指摘されました。これも最終文書に取り入れらることが期待されます。それ以外では、移住者が増加している世界の現実を前にして、これまでの「小教区」の概念は変化するべきだという指摘や、地理的な分割にはもう意味がないという指摘も多くありました。さらにはデジタルメディアをさらに活用するべきだという指摘や、バチカン省庁と地方教会の関係性のさらなる見直しなどの指摘も多くありました。

下の写真は、教皇様から直接、特別製教皇様の紋章入りのマテ茶道具を頂いた西村桃子さんです。

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金曜日の夕方のセッションは、教皇様が設置された10の課題に取り組む研究部会と、アフリカの司教協議会連盟が設置した一夫多妻制に関する研究部会のそれぞれとの対話の集いが行われ、参加者はそれぞれの問題意識に従って分かれて参加となりました。

と言うように、シノドス第三週は終わりました。後は最後の一週間です。最終文書の起草委員会が忙しくなる週です。最後の最後、第四週の土曜日に、最終文書案を段落ごとに採決して、シノドスの第二会期が終わりとなります。あと一週間です。みなさまのお祈りをお願いいたします。

 

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2024年10月14日 (月)

シノドス第二会期、第二週が終わりました


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シノドスが始まって二週間が過ぎました。半分が終わって、残りは二週間です。

今週もいろいろとありました。枢機卿の任命を頂いてからとにかくインタビューが増えました。ありがたいことです。今週も毎日のように、どこかの国の記者の方にインタビューされる予定が入ってきています。

前回も記しましたが、先輩の枢機卿様たちから早く採寸に行けと勧められましたので、バチカンの周囲にいくつかある聖具専門店の中から、以前から司教服(カソックとかスータンとか呼ばれているものなどです)を作っていただいていたお店に出かけてきました。ぱっと見ただけでサイズを見抜く能力を持った仕立屋のご主人は、もう年だから娘さんに店を委ねたと前に言っておられましたが、今回訪ねてその店長の娘さんに「枢機卿の服を」と伝えたら、即座にお父さんを呼んできてくださいました。すでに新しく任命された枢機卿の一覧表が用意されていて、出てこられたマエストロが、必要なサイズをあっという間にはかってくださいました。上の写真が、そのお店でのご主人との写真です。

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9日の水曜日は午前中一杯をかけて、自由討議になりました。テーマは、前日の小グループでの霊における会話から上がってきた内容をまとめたものから採られていますが、事前に自分の言いたいことを準備して、与えられた3分間丸々話される方もおり、何度も議長代理が、テーマに沿って話をするようにと指摘する場面もありました。

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この日はその後午後4時からレバノンのマロン派典礼のミサがあり、その後、近くのアウグスチノ会とイエズス会の本部に分かれて、シノドスに参加している神学者によるフォーラムが開催されました。わたしは「司教の権威」についてのフォーラムに参加しました。これは、昨年の第一会期で、せっかく大勢呼ばれている神学者が、発言などをする機会もなかったことへの反省から、今回の会期中に、二回にわたって、都合四つの神学フォーラムが開催されることになったものです。小グループでの霊における会話に資する勉強会でした。

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木曜日は午前中が、小グループでレポートのまとめの作業となりました。午後は、次のセクションである第二部「道筋」についての話し合いが始まりました。ここでは第一部で話し合ったシノドス性における様々な関係を具体的に生きるために、統合的な養成、教会の識別、意思決定プロセス、説明責任についてどのような歩みが必要かを話し合いました。

特に意思決定については、共同識別に基づいて、どのように誰が最終的な決断をするのか。共同体の平等性の中での識別と権威における決断の関係について、様々な課題が指摘されました。また、説明責任についても、共同体における共同責任の立場から誰がどこまで責任を負わなくてはならないのかについて、様々な意見が表明されました。同時に、シノドスの取り組みは始まったばかりであり(わたしが主張する土台作りであるもそうです)、この会期が終わった後になくなってしまうのではなくさらに発展し浸透していくために、司教と司教協議会の責任は重大だという指摘もしばしば聞かれました。

この日は、お昼休みの間、国際カリタスの執行委員会がオンラインで行われたため、朝8時45分から夕方7時過ぎまで、途切れることなく会議の一日でありました。

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金曜日は、小グループの「道筋」に関する意見を集約し、それを持ってそれぞれのテーブルの代表が言語別に集まり、さらに霊における会話をして共通点を見いだし、その上でいくつかのテーマがまとめられました。午後からは総会となって、それぞれのテーマにもとづいた自由発言の時間となりました。いつものように3分です。2分30秒に鐘が鳴ります。

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夜はエキュメニカルの晩の祈りが、聖ペトロ大聖堂の香部屋棟の横の広場で、皆がローソクを手に集まり、テゼの歌に耳を傾けながら、様々な教派の指導者と共に平和のために祈りを捧げました。

そして土曜日。この日は午前中だけです。前日の続きでテーマにも基づいた自由発言の許される総会でした。この日は、午前中の30分の休憩時間に東京とzoomで結び、枢機卿親任式などについての打ち合わせを教区本部のみなさんと行いました。この準備が必要なときに、東京を一ヶ月も留守にしているので大変心苦しいのですが、今年は昨年と違い、アンドレア補佐司教様が東京におられますので、安心です。準備に取りかかってくださっている東京のみなさんに感謝です。

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またこの日の夜には、アジア(FABC)、アフリカ(SECAM)、ラテンアメリカ(CELAM)の代表が集まり、8月末のルクセンブルグの会議の続きで、今後の協力関係についての合意の確認と、来年ブラジルで開催されるCOP30(気候変動に関する締約国会議)にむけて、ラウダート・シの呼びかけをどのように具体化するのかなどについて、話し合いが行われました。わたしもFABCの事務局長ですので、次期副会長であるパブロ・ダビド司教様(一緒に枢機卿に任命されたフィリピンの司教様)と一緒に参加しました。(写真はパブロ・ダビド被選枢機卿と)

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そして今日の日曜日は、来週の世界宣教の日を前にして、神言会本部で行われた行事に参加。ミサの前に二人の会員による、宣教活動についての報告(オーストラリアで働くガーナ人会員とポルトガルで働くフィリピン人会員)。二人とも神言会の特徴である国際性を具現している宣教師です。その後のミサの司式は、同じ神言会員で枢機卿に一緒に任命されたセルビアのベオグラードのネメット大司教。他にもシノドスに参加している司教が一緒になり、5名の司教が参加しました。ミサ後は、世界各地の方が準備してくださった郷土料理で、神言会本部の庭での会食となりました。

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さて、今回新しく任命された枢機卿一人一人宛に、教皇様からお手紙が来ました。シノドスに参加している新しく任命された枢機卿のもとには、係の方が直接持ってきてくださいました。中身は報道されてますし公開されていますが、また翻訳を東京教区のホームページに掲載してもらう予定です。教皇様から頂いた手紙の内容については、また記します。

明日からは、第三週目です。

 

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2024年10月 9日 (水)

心から感謝します

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日曜日の教皇様による枢機卿任命のニュースが流れて以来、多くの方から祝福のメッセージをいただいています。心から感謝申し上げます。

時差の関係で(日本が7時間早い)、こちらで朝起きると、PCのメールボックスルに山のようにお祝いの言葉をいただいており、十分に御礼の返信もできずに申し訳ありません。すべて目を通してから会議に出かけております。ほんとうにありがとうございます。(上の写真はアジアの参加者の一部です。向かって一番右端が、一緒に枢機卿に任命されたフィリピンのパブロ・ダビド司教様です)

日曜日にサンピエトロ広場の回廊のそばで、タクシーを降りたわたしに、教皇様による枢機卿任命を最初に教えてくれた青年と、再開しました。フェリックスさんと言います。今日も、司教さんたちの写真を持って、サインをもらうために会議場周辺で待っておられました。

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その日曜日の夜は、国際カリタスの業務で面談がすでに予定されていましたし、その翌日は平和のために断食をする日であり、加えて昼の休憩時間には国際カリタスの事務局長との打ち合わせがすでに組まれていましたし、基本、夜は食事をしないで、散歩ついでに近くのスーパーで買うサンドイッチで済ませることにしているので(いつもは宿舎の昼食の量が多過ぎて夜も食べていた日には持参した服が入らなくなる恐れがあるので)、枢機卿任命のお祝いどころか乾杯の一つもできていません。代わりにみなさんで、どうかとりあえずお祝いしておいてください。

会議中は参加者がどんな生活をしているか、マレーシアの神学者であるクラレンス神父様が自分で作られたビデオがあるので、ご覧ください。わたしもほとんど同じ毎日です。

他の枢機卿さんたちから、新しい枢機卿が20人もいるのだから、できるだけ早く仕立屋に行って、サイズだけでも採ってもらうようにと強く勧められ、今週中に、バチカン近くの聖具屋さんに行ってみることにしました。何やらいろいろと準備をしなくてはならないようです。

今日の午後のセッションの前に、教皇様にお会いできたのですが、通訳が近くにいなかったので、仕方なく「英語で話します」と言って、枢機卿任命に感謝しました。すると教皇様御自身が、黙ってしまわれたのです。どうしたのかなと思ったら、教皇様がじっくりと考え込んだ後に普段はめったに使われない英語で、「わたしも喜んでいるから」と言ってくださいました。任命以来、恐ればかりを感じていたので、ちょっと力づけられました。

今日の午後は12時半に午前のセッションが終わって、13時に広報局に行き、13時半からの記者会見に出席しました。ビデオを貼り付けます。わたしは英語で話しています。一緒に出席したのは、同じく枢機卿に任命された、ブラジルのポルトアレグロのスペングラー大司教様と、アイボリーコーストはアビジャンの大司教であるドボ大司教様です。

今日の一日は、まず午前のセッションの冒頭でガザの小教区からのビデオメッセージが流されました。これは昨日の平和の祈りの日に、教皇様のチャリティーの責任者であるクラジェフスキ枢機卿の呼びかけで、断食する食事の分を寄付するように呼びかけがあり、300万円を超えるお金が集まり、それをガザへ送ったことへのメッセージでした。ガザでは本当に厳しい状況が続いています。教皇様は、毎晩、このガザの教会の主任司祭に電話をかけて励ましておられます。

その後、昨日の小グループでの霊における会話にもとづいてまとめられたいくつかの課題について、まず優先順位を投票し、それについての自由討議が行われました。明日、水曜日の午前中もそれが続きます。

なお今日のセッションの中で、中国本土から参加している二人の司教様のうちのお一人が、中国の教会の実情についてお話をされました。

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2024年10月 7日 (月)

驚きと困惑の日曜日

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日本の教会の皆様へ

シノドスの第二会期の第一週目が終わり、土曜の午後と日曜は休みとなりました。そこでこの日曜日、午前10時から、ローマに在住のカトリック日本人会のミサを司式させていただくことに。

朝9時過ぎに、シスター弘田と一緒に、迎えに来てくださった大阪教区の豊田神父様とザベリオ会のロペス神父様とタクシーで、ミサが行われている神言会の本部へ向かいました。西村さんは、今週も議長代理の務めがあり、その準備の打ち合わせがあるため、一緒に来ることがかないませんでした。

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今回は、ローマに在住している司祭が増え、写真のように、大勢の司祭と一緒にミサを捧げることができました。ミサ後には茶話会があり、しばらくしてシスター弘田とロペス神父様とタクシーで帰ることに。シスター弘田の宿舎はサンピエトロの目の前ですので、そこに向かい一緒におりました。サンピエトロ広場の回廊の横を歩いていると、「菊地大司教さん、おめでとう」と英語で声をかけられました。いつもシノドスホール前の門のあたりに佇んでいて、司教さんたちの肖像写真を何枚も持っていて、本人を捕まえてはサインを求め、コレクションしているという青年です。「さっき、アンジェルスの時に枢機卿の発表があり、東京の菊地と言っていた」と彼が言うのです。

そんな話は何も聞いていないので、またまたこの人は何を冗談を言っているのだと思い、アンジェルスからの帰途についている大群衆の中を宿舎へと向かいました。宿舎のロビーに入るとボゴタのルエダ枢機卿様に声をかけられました。「枢機卿の任命、おめでとう」。半信半疑でいるとルエダ枢機卿さんがスマホを取り出して、バチカンニュースの映像録画を見せてくれ、一緒に聞いていたら、確かにわたしの名前を教皇様が呼ばれています。ちょうどそこに、FABC(アジア司教協議会連盟)の次期会長であるインドのゴアのフィリッポ・ネリ枢機卿様が現れ、お祝いしてくださいます。どうも本当に枢機卿に任命されたようです。

驚きました。心の底からこれだけ驚いたのは久しぶりなほどに驚きました。そして困惑しました。枢機卿は単なる名誉職ではなく、教皇様の顧問として果たすべき役割が多々あることを考えると、自分の足りなさばかりが浮かんできます。そもそもわたしはイタリア語が初歩の初歩で、やっと日常会話が理解できる程度です。教皇様とのコミュニケーションには、少なくとも英語の通訳が必要です。

金曜日にシノドスの会場に入ると、ちょうど教皇様の周りに誰もいなかったので、挨拶に行きました。教皇様はわたしの名前を記憶しておられて、それにもかかわらず、わたしのIDカードを手に取って、しげしげと眺めておられました。何度もお会いしているのに、何を見ているのだろうといぶかしく思いました。そこにいた西村桃子さんが写真を撮ってくれると、教皇様は彼女を指して、「彼女は日本人なのにマテ茶を飲む変な人だよ」と大笑いされてました。枢機卿の話なんて、かけらもありません。だから、今日の急な発表は、本当に驚きました。

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12月8日に親任のための枢機卿会が行われるそうです。それまでどんな準備が必要なのか、見当もつきません。せっかくいまローマにいるのに、正式な通知は何もないですから、すべてニュースで聞いているだけです。

一緒に神言会の会員がもう一人枢機卿に任命されました。セルビアのベオグラードのネメット大司教さんです。以前から存じ上げている兄弟会員です。神言会は来年、創立150年をお祝いします。この150年の歴史の中で、これまで枢機卿は、1967年に帰天された北京の大司教であったトマス田(ティエン)枢機卿様お一人だけでした。今回、二人目と三人目の枢機卿が誕生したことは、神言会にとっての名誉になったかと思います。

また同時に、この任命はわたし個人の名誉ではなくて、日本の教会にとって、また特に東京教区にとって大きな名誉です。加えて、現在その総裁を務めさせていただいている国際カリタスにとっても名誉であると思います。

さらには、今回、次期FABC副会長のフィリピンのパブロ・ダビド司教様も枢機卿任命を受けたことで、FABCにとっても大きな意味を持つ名誉ある任命となったかと思います。

たくさんの皆様からお祝いのメッセージやメールをいただきました。心から感謝申し上げます。繰り返しですが、自分の身に余る役目を仰せつかったと思います。自分の足りなさに身が縮む思いをしています。どうかこれからも皆様のお祈りで支えてくださるように、心からお願い申し上げます。

感謝のうちに。

2024年10月7日

菊地功

 

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2024年10月 5日 (土)

シノドス第二会期、第一週が終わりました

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現在バチカンで行われているシノドスの第二会期。その最初の週が、本日土曜日のお昼過ぎに終わりました。少なくとも今日の午後はお休みになりました。(上の写真は、シノドス会場に来られた教皇様に挨拶をしているところです)

さて一番下に貼り付けた「週刊大司教」の号外ビデオでも説明していますが、事前の二日間の黙想会が終わり、10月2日の水曜日の開会ミサでシノドスは開幕しました。開会ミサは聖ペトロ広場で教皇様の司式で行われ、入祭の時には、昨年同様、シノドス参加者全員が広場の真ん中を行列して前に進み、聖ペトロ大聖堂前にもうけられた祭壇のすぐ横に座りました。

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雨が心配されていましたが、ちょうど良い具合に曇りとなり、野外ミサのためには暑くもないちょうど良い天候となりました。なお奉納以降は、オロリッシュ枢機卿様が祭壇前に立たれました。

このミサの説教の中で、教皇様は、「世界に目を向けながら、人類に奉仕し、福音の喜びを伝える、キリスト教共同体の務めを強調。特に戦争の風が吹き、暴力の火が人々や国々を愕然とさせている、この歴史の激動の時、その務めはまたとなく必要とされている、と話された。こうした中、教皇は、平和を祈るため、10月6日(日)に、ローマの聖マリア大聖堂でロザリオの祈りをとり行うことを発表。シノドスの関係者にも参加を願われた。教皇は、同時に7日(月)を世界平和のための祈りと断食の日とし、皆に参加を呼びかけら」られました。引用はバチカン放送の日本語ホームページからです。

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実はミサの最中には同時通訳があるわけでもなく、事前に原稿も配布はされず、加えてミサの後にも、シノドス関係の原稿はすべてシノドス参加者専用のクラウドにアップされるのですが、教皇様のお話の原稿はすべてバチカンの公式サイトでしか公開されないため、現場にいるわたしも、少しは理解できるようになってきたイタリア語ですが、完全にはよくわからず、教皇様が何か行事を発表された模様だなあとはわかりましたが、後刻、バチカン放送の日本語サイトを見るまで、具体的には知りませんでした。日本にいる方の方が、現場にいるわたしよりも早く、SNSなどでこの情報を分かち合っておられました。

前回もつくづく感じましたが、基本的にすべてはイタリア語ですので、シノドス参加者の大多数は英語話者ですが、なにが起こっているのか推測するしかない場面がしばしばあります。参加者は368名と発表されています。霊における会話のための10名から11名ほどの参加者が座るテーブルは36ある模様です。そのうち英語のテーブルが16、フランス語が6、スペイン語が5、イタリア語が8、ポルトガル語が1となり、会場内での全体に向けての発言には同時通訳がつきます。しかしスクリーンで全体に示される資料は、基本、イタリア語です。コミュニケーションが簡単ではないと感じさせられます。

開会前夜に聖ペトロ大聖堂で行われれた回心の典礼も、イタリア語が中心ですので、スマホを持参してイヤホーンでバチカン放送アプリを聴くようにと言われましたが、なんと聖ペトロ大聖堂内の電波状況があまりに弱く、わたしのスマホでは通訳を聞くことはできませんでした。この日の模様は、バチカン放送のこちらで報じられています。わたしも終わってからこの記事を読んで、中身を理解しました。(下の写真は、回心の典礼の始まる前です。聖ペトロ大聖堂内は聖年のために改装工事中で、正面にある主祭壇も工事中です)

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(下の写真は最初に参加した霊における会話のワーキンググループ)

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さて、朝の開会ミサに引き続いて行われた最初のセッションには、教皇様もおいでになり、挨拶をされました。この要約はバチカン放送のホームページにあります。その中で教皇様は、シノドスの歩みはすべての人が与えられたカリスマを生かしながら共同責任のうちに友に識別をすることだと強調されながらも、「それは「今度はわれわれの番だ」と叫びながら、各々が他の立場に取って代わろうとすることを意味するものではない、と指摘。皆が異なる役務やカリスマを活かしながら、シンフォニックな一体性をもって、神のいつくしみのために共に奉仕することが求められている」と強調されました。

何度も繰り返していることですが、このシノドスの一番の目的は、組織改革や新しい教えや制度を制定することではありません。実際に様々な課題が第一会期で取り上げられ、それは検討しなくてはならない課題だと教皇様が判断されて、この2月に10の検討部会を設置されました。その部会の検討は続いており、来年の6月までに結論が出ることになっています。今回の最初のセッションで、それらの部会の中間報告がありました。(下の写真は、最初に参加した霊における会話のワーキングループのメンバーと)

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それではそういった具体的な課題を話し合わないで、何をしているのかというと、シノドス的な教会が宣教する教会であるためには何が必要なのかを識別しようとしています。それがどうして必要なのかというと、究極的には教会の体質改革、すなわち教会がシノドス的な教会であり続けることを目的としているのですが、そのための土台を築き上げる道を探っています。しっかりとしたシノドス性の土台がないままで改革をしようとしても、それはこの世的な、または人間的な組織改革に終わってしまい、聖霊の導きによるものではなくなってしまうが故に、まず土台をしっかりと作り上げる必要があるというのが、参加メンバーの多数の共通理解です。多数のと書くのは、土台ができる前に、その上にある構築物に手を出して先んじている教会が存在するからで、そうなると必ずしも今目指している聖霊に導かれた神の民としてのシノドス的教会とは離れた存在になることが危惧されているからです。先んじている教会を褒めそやす向きもあるようですが、それは現在行われているシノドスの共通理解とは少し離れていると思われます。

話し合いの基礎となる討議要項には、基本的に教会が宣教するシノドス的教会であるために何が不可欠で何が足りないのかが記されています。

そこで今回の会期では、その討議要項の各項目、すなわち「基礎的理解」、「関係」、「道筋」、「場」のそれぞれのついて、以下のような方法でグループに分かれて識別を進め、最後にもう一つ全体を振り返って最終文書をまとめるためのグループでの作業が行われます。つまり5回のグループワークです。(下の写真は、教皇様とアジアからの参加者)

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このグループワークは、先ほどの36の言語別のテーブルで、訓練された司会者の元で進められます。前回と違い今回は、取り扱っている討議要項のセクションに関し重要であり賛成する点を分かち合い、次に議論を深める必要がある点を分かち合います。この二つのラウンドを第一ラウンドとします。その上第二ラウンドで互いの分かち合いから感じ取ったことを分かち合い、それを書記担当者がレポートにまとめます。

その上で、各テーブルの報告者が一堂に会し、いくつかのテーブルに分かれて、それぞれのテーブルで分かち合われたことについて、霊における会話をします。その結果をさらにその報告者のテーブルの代表が集まり、事務局長などと話し合って、全体のポイントをいくつかの課題としてまとめます。(下の写真は、アジアからの参加者の一部と一緒に)

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今回は、その課題が7つになりました。翌朝配布されたそのまとめの課題について、今度は全体会で投票を行い、優先順位を決めていきます。この優先順位に従って全体会が行われ、一つの課題について20名ほどまでですが、自由な発言が行われます。今回の第一回目の全体会は、西村桃子さんが司会者でした。

さてその上で、最終日に全体会でのみなの発言を心に留めながら、それぞれのテーブルで、2ページの報告書をまとめます。その報告書に基づいて、神学者専門家チームがまとめを作り上げます。

現場にいる私たちも理解するのに手こずった複雑なプロセスですが、このプロセスで都合二日半を費やしました。来週以降も同じことを、「関係」、「道筋」、「場」について、それぞれ行っていきます。(下の写真は、シノドス事務局の次官補シスター・ナタリーと)

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どのような結果が出てくるのか、先ほど昼食の時に同じテーブルになった専門家チームの女性の神学者と話しましたが、神学者たちも、各テーブルから出てくる36の報告書を見るまでは、一体どんな最終文書になるか想像もつかないと言われてました。そうでしょう。

ということで、一週間が終わりました。明日の日曜日は、午前中にローマにいる日本人のカトリックの方々のミサを司式する予定です。

 

 

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2024年9月30日 (月)

シノドス第二会期が始まります

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教会のシノドス性について分かち合っているシノドスの第二会期が、10月2日からバチカンで始まります。その開会前、本日9月30日の朝から、バチカン構内のシノドスホールを会場に、事前の二日間の黙想会が始まりました。

前回はローマ郊外の黙想の家で行われましたが、移動時間などを考慮して(渋滞がすごいことになっていますので)、今回は黙想会もバチカンで行うことになりました。昨年は直前に新しい枢機卿の任命があり、開会日と枢機卿親任式が重なったため、直前になって急にバチカン周辺の宿舎が使えなくなり、結構遠くから皆通うことになりました。わたしもパンテオンのすぐ隣の宿舎でしたので、歩いて30分から40分近くかかるところです。これが大変でした。というのも宿舎は食事の提供も兼ねており、朝は8時半の開会に間に合うように出かけ、12時半に午前が終わると宿舎に歩いて戻り昼食。そしてまた4時に午後の部が再開なので歩いてバチカンへ。終わるのは夜の7時半頃で、それから宿舎に戻って夕食ですので、良い運動にはなりましたが。

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今年はできる限りバチカン周辺の宿舎にまとめて宿が取られ、わたしは、4月にアドリミナで宿泊したサンピエトロの前にある宿舎に泊めてもらうことになりました。宿から会議場まで歩いて10分もかかりません。今年は昨年より若干涼しいローマです。

今現在、黙想会一日目の昼休み中です。イタリアですから、3時間半の昼休みも仕方がありません。

黙想会は昨年同様、ドミニコ会の前の総長であったティモシー・ラドクリフ師とベネディクト会のシスターアンジェリーニのお二人の講話で進み、午後は小グループでの霊における会話、そしてサンピエトロでのミサが予定されています。

参加者は、一部交代した司教協議会(司教協議会の参加者は選挙で選ばれ、そのときに代理も選ばれます)もあったり、教皇様の新たな指名で新たに参加した人もあったりですが、ほぼ昨年と同じメンバーが再び集まりました。

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事前によく準備したつもりだったのですが、わたしは司教正装に伴う肝心なものを二つ忘れ、幸いどちらもローマで十分に販売しているものですので、先ほど近くの専門店に買いに走りました。あの司教正装は一式そろえると、ローマで買っても結構な値段ですが、それでも日本でオーダーメイドするよりも遙かに安い、とはいえ、忘れるとは軽率でした。

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今回は、まもなく始まる聖年のために準備されたバッグなどが配布され、昨年のものを持ってくるようにとのことで昨年配布された水筒を持てきたら新しい聖年のものが配布されていたりと、いかにもバチカンらしいです。

出発前に公開した呼びかけビデを下にリンクします。

一ヶ月間の長丁場です。お祈りのうちに覚えておいていただけたら幸いです。

なお前回も同様ですが、事前に配布された今回のシノドスのための規則には、参加者の自由な発言を保証するために、小グループや全体会での発言については外部に公表することが禁じられ、参加者にはその秘密保持義務がシノドス後にも残ります。当然発表などを録音したり録画することも禁止です。総会の内容については、随時行われる記者会見がすべてであり、また一部の会議の模様はビデオで放送され、さらにシノドスの終わりに採択される最終文書で公開されます。

なお今朝の黙想会の部分はバチカン放送で公開されていますので、もう一つ下に添付します。

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2024年7月 9日 (火)

シノドス総会第二会期の作業文書が発表されました

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本日、火曜日の日本時間午後7時、ローマの正午に、10月に行われるシノドス第二会期の作業文書が公開されました。

「INSTRUMENTUM LABORIS」というのがこういう文書の正式名ですが、つまり「働くための道具」です。これに基づいて、これから準備をして、10月の総会で「霊における会話」を通じて、最終的な結論へと進みます。

英語をはじめとした主要言語のテキストは、バチカンのシノドス事務局の、こちらのサイトに順次掲載されます。日本語は、本日テキストがメールでシノドス事務局から司教協議会へ送られてきたばかりで、これから翻訳に取りかかりますので、数週間はかかるものと思います。できるだけ早く、中央協議会のシノドスの特集ページに掲載できるように、努力します。

わたし自身も、今朝始めてみて、まだ読み込むことができていませんので、どのような内容かは、まだコメントできません。

資料として、この作業文書がどうやってできあがったかについて、以下のようなイラストが事務局から送られてきました。下です。

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これによれば、今回の質問は、すべての人に対して一つだけで、「宣教においてどうしたらシノドス的な教会になれるのか」が問われています。

この文書を作成するために、109の司教協議会からの報告書と、9の東方カトリック教会からの報告書と、国際総長会からの報告書、さらに小教区司祭のシノドス(今年の4月末開催)の参加者からの報告書、そして200の個人を含む様々な団体からの報告書が、貢献しました。

さらに、今回のシノドスの5つの視点からの事務局の作業部会の報告もあります。その作業部会は、「地方教会の宣教するシノドス的な側面」、「教会グループの宣教するシノドス的な側面」、「普遍教会の宣教するシノドス的な側面」、「シノドス的な方法論」、そして「宣教におけるシノドス的教会の立ち位置」の各作業部会です。(作業部会の名称は、すべて仮訳)

以上に基づいてできあがった作業文書は、6っつの小に別れています。まず、「導入」、「基礎」、「第一部:関係」、「第二部:道のり」、「第三部:場所」、そして「結論」です。「基礎」から始まって、第一部から第三部までが、10月の第二会期で取り扱われます。(以上すべて仮訳)。

幾たびも繰り返していますし、教皇様のご意向でもありますが、今回のシノドスは、最終日に何か新しいことが決まっているようなものではありません。そうではなくて、これから先長いスパンで考えての、教会の体質改善の取り組みの端緒となるものです。日本の教会を含め、すべての教会において、これからじっくりとシノドス的なあり方を探求していく道が始まることになります。

 

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2023年10月28日 (土)

シノドスホールから:その3

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シノドスはまもなく終了します。本日、土曜日の午後に最終の全体会議が行われ、終了となる予定です。長い一ヶ月でした。季節も変わりました。

最終の第四周は、23日月曜日朝のミサで始まりました。今回はアジアの担当で、司式がFABC(アジア司教協議会連盟)会長のチャールズ・ボ枢機卿(ヤンゴン大司教)、その横にFABC前会長のオズワルド・グラシアス枢機卿(ボンベイ大司教)、そしてFABCの事務局長のわたしがつきました。聖歌隊は、ローマ在住のフリィピン出身修道者が務め、侍者はローマ在住のフィリピン人若手司祭を中心に構成されていました。この中には、フィリピン宣教会の司祭で、以前日本におられた若手司祭もおり香部屋で突然日本語で話しかけられてびっくりいたしました。

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そのミサ後、朝の全体会で、シノドスから教会全体への書簡が採択されることになりました。これが多分、事務局の誤算の始まりとなりました。この後、一週間の当初のスケジュールが、毎日のように変更されます。なお書簡をシノドスから発出することは教皇様ご自身の希望で、前の週に、教皇様が出席される中で、圧倒的多数(11の反対票)で書簡を発出することが採択されました。

その書簡の採択に当たって、用意された文書を英語で読み上げて(もちろん同時通訳が会場にはあります)拍手で採択しようとしたのですが、さすがにこれには異論が続出。結局、全員に書簡を配布し(つまり、イタリア語、英語、スペイン語、フランス語に翻訳して)、それから全体会を開催して個別の意見発表をうけつけ、さらにそれを書き直すために起草委員会を開催するので、急遽月曜の午後と火曜終日が休日となりました。わたしはこの間に、国際カリタスの行事と、所用での国務省訪問が入ったので、休日とはいきませんでした。

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その後、25日水曜に再開され、神の民への手紙が採択され、同時に今回のシノドスの位置づけについての事務局長からの説明が行われました。神の民への手紙は、なるべく早く多くの人に読んでいただくためにと、各国の司教協議会に翻訳を急ぐようにと指示があり、日本語訳も、中央協議会の翻訳担当が頑張ってくださり、一日で完成。すでに中央協議会のホームページで公開しています。

この書簡は、まだ第一会期が終わろうとしている段階で、さらに来年また同じメンバーで同じシノドスの第二会期が行われる中、決定したことを伝えているのではなく、また話し合われた内容を伝えているのでもなく、シノドスに参加している多くの思いを伝え、歩みを共にするようにとの呼びかけの文書です。この手紙を読んで、結局シノドスは何も決めていないと失望する声も聞こえてきますが、そういう類いの文書ではありません。この後に、さらに膨大な、討議の内容を伝える文書が出てきます。神の民への手紙は、シノドス参加者の思いを代弁するものですので、是非ご一読ください。

この日の夜、平和を求めて、サンピエトロ大聖堂内で、シノドス参加者が集まり、ロザリオの祈りが捧げられました。

また25日の水曜日の昼前には、今回の全体の内容を伝える文書の原案が示され、それについての小グループでの話し合いが、26日の木曜日丸一日、行われました。35のそれぞれの小グループから、最終的には千を越える修正の動議が提出され、起草委員会の修正作業が始まりました。

27日金曜日は、午前中に小グループで、来年の10月までの間をどのように勧めるのかについての小グループでの話し合いと全体会が行われ、午後は休会して、午後4時から、各国の司教協議会会長を集め(50名ほどが参加しました)、第二会期までの司教協議会の取り組みについての意見交換がありました。一年弱の時間しかないことと、これから帰国して、すぐに待降節から降誕節、年末年始となるので、いずれの国も、全国レベルでの取り組みをするには時間がないことが指摘され、今後、事務局が何らかの方向性を提示することになりました。

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なおこの27日の夜は、教皇様がシノドス全体会の中で呼びかけられた平和のためのロザリオの祈りが、午後6時から、サンピエトロ大聖堂で行われ、シノドス参加者のほか、多くの人が参加されました。バチカン放送のビデオを下に張っておきます。ロザリオの祈りと聖体顕示式が、教皇様の臨席で行われました。以下、バチカンニュース日本語版からの引用です。(なお写真はすべて東京教区オリジナルです)

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『教皇はロザリオの祈りに続き、平和の元后、聖マリアにご自身の祈りを捧げられた。
 この中で教皇は、「紛争に引き裂かれ、武器に蹂躙されたこの時代」、「平和を見失った人類家族に憐みの眼差しを向けてください」と聖母に祈った。
 そして、教皇は、「危険と混乱の中にあるこの世界のためにとりなし、いのちを受け入れ大切にすること、死の種を播き未来をかき消す戦争の狂気を拒むことを教えてください」と聖母により頼んだ。
 「御子がいなければ、わたしたちはひとりでは何もできません」と言う教皇は、「わたしたちの平和であるイエス」に立ち返らせ、「憎しみに囚われた人の魂を揺さぶり、紛争をあおる人を回心させ、子どもたちの涙をぬぐい、孤独な人やお年寄りを助け、負傷者や病者を支え、祖国や愛する人を置き去りにせざるを得なかった人を守り、気落ちした人を慰め、希望をよみがえらせてください」と祈った。
 「救いのあけぼの」である聖母に「争いの闇に曙光を差し込んでください」と教皇は願いつつ、「国々の指導者たちに平和の道を励まし」、「悪にそそのかされ、権力と憎悪に目がくらんだあなたの子らを和解させ」、「神の調和を心に注いでください」と祈り求められた』

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さて、起草委員会は、昨晩金曜日の午後9時から集まって、最終報告書の書き直し作業をしています。本日土曜日の、午前11時頃にできあがる予定です。本日は午後4時から、その報告書についての採決があり、教皇様のお話の後、第二会期まで休会となる予定です。最終報告書は、例えば英語の原案がA4で50ページ近くありますから、修正を入れると60から70ページほどになるかもしれません。またお知らせします。

この一ヶ月間の、皆様のお祈りに感謝いたします。下の写真は、今週、会議の合間を縫って所用で訪問した国務省の三階のテラスから見た、シノドス会場のパウロ6世ホールです。奥の波を打っているのが会場。右手はサンピエトロ大聖堂正面、下がサンピエトロ広場です。

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週刊大司教の号外編が、短い現地報告として10回ほど、東京教区のYoutubeチャンネルで公開されていますので、是非ご覧ください。

 

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