カテゴリー「シノドス」の7件の記事

2023年3月 3日 (金)

アジアの大陸別シノドスが開催されました

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教会は2021年から2024年に向かって、シノドスの道を歩んでいるのはご存じの通りです。

全体としては、それぞれの教区での取り組みに始まって、大陸別の取り組み、そしてローマでの会議と続いていきますが、その行事とは別に、教会が交わりの共同体として「ともに歩む」ことを基本的な姿勢として身につけることを、この取り組みは求めています。

御聖体と御言葉の内に現存される主イエスに生かされる神の民は、互いに耳を傾け、支え合いながら、祈りをともにすることで、教会に対する聖霊の導きを識別し、この世界にあって主イエスの与えられた福音宣教の使命を果たしながら、御父に向かって正しい道を歩み続ける事ができる教会共同体であることを目指しています。

したがってシノドスの道は、ローマでの会議へ向けた一連の出来事と、それぞれの教会での取り組みの継続という、二つの道を同時にたどる歩みです。

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そのシノドスの道の、大陸別会議が、現在相次いで開催されており、アジアの会議も、先日2月23日から27日まで、タイのバンコク大司教区司牧センター「Baan Phu Waan」を会場に、80名近い参加者を得て開催されました。

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今回の会議は、各国からの回答書をもとにバチカンのシノドス事務局によって昨年10月末に作成された文書、「あなたの天幕に場所を広く取りなさい」(イザヤ 54・2)に基づいて、アジアではこの1月15日までにFABC(アジア司教協議会連盟)に提出されたアジア各国の回答書をもとに分かち合いを行いました。24日と、25日の小グループでの分かち合いに基づいて「識別と文書作成チーム」によってアジアの回答書が作成され、26日には全体会議でその枠組みを承認。さらに会議が終わり参加者が帰国を始めた27日と28日にかけて、同チームが作業を続け、できあがったアジアの回答書は、本日日本時間の午後にオンラインで開催されるFABCの中央委員会(各国の司教協議会会長がメンバー)で採択されて、バチカンに送付される予定です。

バチカンのシノドス事務局は、これらに基づいて6月頃までに作業文書を作成し、それに基づいて10月の会議がローマで行われます。

様々な段階で作成されている文書の邦訳は、中央協議会のこちらをご覧ください

今回のアジアの大陸別シノドスは、正式名称を「Asian Continental Assembly on Sunodality(シノドス性についてのアジア大陸会議)」と言い、全体では、6名の枢機卿、5名の大司教、18名の司教、28名の司祭、5名の女性奉献生活者、18名の信徒が参加しました。またバチカンからは、事務局長のグレック枢機卿、会議のRelatorであるオロリッシュ枢機卿、事務局秘書のシスター・ナタリーも参加し、さらにバチカンの広報からかなり大がかりなチームが参加して、発信をしていました。


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参加者については、事前にバチカンの事務局から、各国の司教協議会会長に加えて、あと二名と指定があり、しかもそのカテゴリーにも指定があったため、FABC事務局でその指定にあったカテゴリーを各国に振り分けました。日本には、会長の司教の他に、若い教区司祭と女性信徒の指定があり、英語での会議参加などの条件を勘案して、高松教区の高山徹神父とJLMM事務局の辻明美さんに、代表として参加していただきました。

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また文書を作成するための「識別と文書作成チーム」は、中央・南・東南・東アジアからそれぞれ一人ずつ出すことになり、東アジアからは、これも英語で自由に文書作成の作業ができる人と言うことで人選に難儀しましたが、中央協議会で翻訳などのお手伝いもいただいているセルヴィ・エバンジェリー会員の西村桃子さんにお願いしました。このチームにはこれ以外に、司祭の神学者が2名、信徒の神学者が2名(男女一人ずつ)、そして事務局次長が加わりました。現場でチームの応援団として事務局長のわたしと会長のボ枢機卿で作業を見守りましたが、短時間に集中して文書を作成したチームには、感謝しかありません。

今後、参加してくださった方々からの振り返りも含めて、カトリック新聞などで発信がある予定ですが、それを通じて、さらにシノドスの道程を深めていくことができればと思います。ともに歩む道程には、常に主ご自身が共にいてくださることを心に留めたいと思います。

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2022年11月30日 (水)

分かち合いの声をお聞かせください@シノドスの歩み

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様々な機会に繰り返してきましたが、シノドスの歩みは続いています。教区・国フェーズは終わって現在は大陸フェーズに移りましたが、それぞれの教会単位での取り組みは、終わりがありません。なぜならば、聖霊の導きを識別してともに歩む教会を育てる作業は始まったばかりで、これからも続けられるからです。

ご存じのように東京教区では、そのために、分かち合いの手引きを作成しました。こちらからPDFをダウンロードして、ぜひ活用してください。実際の分かち合いのためのグループ活動は状況によっては難しいかも知れませんが、お一人でも一度、この手引きに目を通されることをお進めします。

もしグループでの分かち合いが可能でしたら、こちらの教区のページから、分かち合いの方法をご参照のうえ、ご活用ください。何か結論を出したり、議論をしたりするのではなく、互いに耳を傾けることの大切さを思い起こしてください。

その上で、分かち合いの成果を教区全体で分かち合っていただければと思います。現在の状況の中で、多くの人に一度に集まっていただくのも難しいですし、オンラインでの集まりにも限界があります。そこで、手引きに従って行うグループの分かち合いの成果を報告していただくためのフォームを用意しました。こちらのリンクです。注意書きにご留意の上、活用ください。教区シノドスチームでまとめて、ホームページなどで公開するようにいたします。(なおこの「分かち合い」の分かち合いは、皆さんのグループでの気づきを書いていただくもので、シノドスへの提言やシノドスと関連のない事柄についての通知や連絡のためではありませんので、そこはご理解ください)

さらに、アジア大陸シノドスへの準備も始まっています。中央協議会のホームページに、そのためのセクションが設けられています。

大陸別シノドスのための文書も公開されていますので、こちらもご一読いただければと思います。

 

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2022年11月24日 (木)

シノドスの歩みはまだまだ続きます

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ご存じのように。教会は全世界でいま、シノドスの歩みをともにしています。すでに様々な場面で利用されていますから、シノドスのロゴはご覧になったことがあろうかと思います。上がそのロゴです。これまでしばしば登場してきたロゴと、何か微妙に変わったのにお気づきですか。

ちなみに下が最初の時から使われてきたロゴです。歩いている人の数が変更になったとか、そういう間違い探し的なことではないのです。数字です。

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そう、シノドスの歩みの期間が変更になりました。当初は2021年から2023年までとされていたのが、先般10月に教皇様は、2021年から2024年までに延長することを発表され、ローマで開催される会議は2023年10月4日から29日の第一会期と、2024年10月のだいにかいきになりました。そこでロゴの数字も変更になっています。

10月27日に、これまでの一年間で世界から集められた報告をまとめた文書が公開されました。コロナ禍の影響を受けた国が多く、多くの人を集める会議や、小教区での特別な催しなどが不可能であった国が多くありました。それでも集まった様々な報告や、個人で提出された報告などを、専門家がすべて読み取り、まとめた文書です。暫定日本語訳が、中央協議会のホームページに掲載されています。リンク先のページの一番下のほうに、ダウンロードするためのリンクがあります。PDFファイルです。ぜひ一度ご覧ください。

この文書は、2月から3月にかけて、世界各地で開催される大陸別シノドスの作業文書です。アジアの大陸シノドスは2023年2月23日から27日まで、タイのバンコクで開催されます。

シノドスの歩みは報告書を作成して終わりではなく、教皇様は、ともに歩む神の民という共同体としての教会を、当たり前の姿にされようとしています。そのためシノドスの歩みは、これで誰か他の人たちが担当するものになったのではなく、教区レベルでも、小教区レベルでも、継続されていきます。

東京教区ではそのために、最初の十の設問にあわせた分かち合いの手引きを作成しました。『「ともに旅する教会」をめざして』というタイトルの30ページほどの小冊子です。こちらのリンクからダウンロードして読まれるか、またはご自分で印刷されてください。ぜひ目を通されて、活用してください。

分かち合いの方法についても、今後、ヒントを教区ホームページに掲載します。一人ではなく、小さなグループでの分かち合いを試してみてください。議論して結論を出したり、多数決を取ったりする会議ではなくて、祈りのうちに始まり、互いの分かち合いに耳を傾け、一緒になって聖霊の導きを識別するための分かち合いです。それが当たり前に行われて、道を見いだしていく教会であることを、教皇様は目指しておられます。

また東京教区では、そういった分かち合いの成果を、さらに教区全体にむけて分かち合っていただくために、オンラインなどを利用した発表の方法を現在企画中です。これからも、歩みをともにしていただければ幸いです。

以下、司教協議会会長として、今後のシノドスの歩みについて全国の教会に呼びかけた文書です。上で触れた中央協議会のホームページに掲載されています。

日本のカトリック教会の皆様

シノドスの今後の歩みについて

シノドスの歩みにご協力いただき、ともに歩んでくださる皆様に感謝いたします。

教皇様は10月16日の一般謁見で、世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会の今後の日程を発表されました。それによると、ローマにおける総会は、2023年と2024年の二つの会期にわたって開催されることになり、その第一会期は、2023年10月4日から29日まで、第二会期は2024年の10月となりました。教皇様は、この複数年にわたる歩みを、当初から強調されているように、司教たちだけのものとせず、全教会が歩みをともにしながら祈りと分かち合いのうちに識別を深め、聖霊に導かれて教会のあるべき姿を再認識し、具体化するよう呼びかけています。

各教区からの回答の提出はすでに終わり、また各司教協議会からの回答の提出も終わりました。しかしシノドスの歩みはこれで終了したわけではありません。今後も、最初の準備文書に記された十の設問などを手がかりに、様々な共同体の祈りと分かち合いを通じて、教会の歩むべき道の識別を続けていただければと思います。

なお8月に各司教協議会や個々人から聖座のシノドス事務局に提出された回答は、その後専門家の手によってまとめられ、このたび10月27日に大陸別シノドスのための作業文書として発表されました。「あなたの天幕に場所を広く取りなさい(イザヤ54・2)-大陸ステージのための作業文書-」と表題をつけられた文書は、暫定ですが日本語への翻訳が終わりましたので、中央協議会のホームページで公開します。

アジアの大陸別シノドスは、アジア司教協議会連盟(FABC)が主催し、2023年2月23日から27日までタイのバンコクで開催され、アジアの各司教協議会から会長と、ほか司祭・修道者・信徒の中から2名が参加することが決まっています。司教協議会会長以外の日本からの2名の参加者は、現在調整中です。

またFABC中央委員会は、各司教協議会から1月15日までに作業文書への回答を提出することを求めていますので、現在検討を進めています。なお同作業文書には、最後の項目に三つの設問がされています。同文書を読んだあとに、この三つの設問についてそれぞれの場で分かち合いをすることは、道を識別するための大きな手がかりになり得るものですので、どうぞ教会全体でこの作業文書に目を通されて、それぞれの場での状況に応じて、小グループでの分かち合いなどを継続していただければ幸いです。なお、大陸別シノドスのために、同作業文書について、個別の回答の受付は予定されていませんが、それぞれの分かち合いの成果を各教区のシノドス担当者を通じて各教区司教に伝えることは、識別のための助けになろうかと思います。

2025年の聖年に向けて、教会は進むべき道を求め、またあるべき姿を模索しながら、識別の道をともに歩んで参ります。今後も、シノドスの歩みにご注目くださり、全世界の教会と歩みをともにしてくださるようにお願いいたします。

2022年11月15日
日本カトリック司教協議会 会長
東京大司教
菊地 功

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2022年1月18日 (火)

キリスト教一致祈祷週間2022年

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今年も1月18日から1月25日まで、キリスト教一致祈祷週間です。(写真は、先日の聖バルナバ教会での祈祷集会録画風景です)

第二バチカン公会議以降、日本の教会でもよく耳にするエキュメニズムという言葉で進められている一致運動です。様々な取り組みがなされており、教義の側面や神学的な対話は行われてきてはいますが、実際的にはやはり長年にわたって異なるやり方で信仰を守っていますから、具体的な組織の合同と言う一致は難しいとも感じられます。同時に、例えば社会のさまざまな問題に取り組む現場(炊き出しや滞日外国人支援、貧困対策などの社会福音化の活動)では、教団・教派の枠を超えて、互いに協力し合いながら活動することが当たり前になっていますので、福音を生きる側面での一致はかなり進んでいるとも言えるかと思います。その現場での一致を、霊的な側面にいかに波及させるのかが課題の一つです。

第二バチカン公会議の「エキュメニズムに関する教令」の冒頭を引用します。

「すべてのキリスト者間の一致を回復するよう促進することは、聖なる第二バチカン公会議の主要課題の一つである。主キリストが設立した教会は単一・唯一のものである。しかし数多くのキリスト教共同体が自分たちこそイエス・キリストの真の継承者であると人々の前で自称している。彼らは皆、自分が主の弟子であると公言するが、同時に、それぞれ考えが異なり、異なった道を歩いている。それはあたかもキリスト自身が分裂しているかのようである。このような分裂は明らかにキリストの意思に反し、また世にとってはつまづきであり、すべての造られたものに福音をのべ伝えるというもっとも聖なる大義にとっては妨げになっている(1)」

かつて教皇ヨハネパウロ二世は回勅「キリスト者の一致」のなかで、「キリスト教一致のための運動は、付録のようなものではありません。・・・エキュメニズムはもともと教会の生活と活動の一部であり、そのすべてに浸透していなければなりません(20)」と記しています。同じ福音に生きる者が、キリストという一本のぶどうの幹に繋がっているのは当然であり、共同体の一致は福音に生きるためには不可欠だからです。出来ることから、歩みを共にしていきたいと思います。

今年の東京における一致祈祷集会は、感染症の状況のため、オンラインで配信されます。本日1月18日午後1時半以降、日本キリスト教協議会(NCC)のYoutubeチャンネルで配信される予定です。詳細は、こちらのリンクから、カトリック東京大司教区のホームページの記事をご覧ください。

今年の一致祈祷週間のテーマは、「わたしたちは東方でそのかたの星を見たので、拝みに来たのです」(マタイ2・2)。特に長年にわたって紛争が続き、平和が確立されない、聖地をはじめ中東地域の教会と人々に思いを馳せて、祈りをささげることが呼びかけられています。

昨日1月17日に、教皇庁のシノドス事務局はプレスリリースを発表し、今回のシノドスの歩みにとって、エキュメニカル的な側面が重要であることを改めて強調しました。英語でのプレスリリースは、こちらのリンクから読むことができます

この中で、シノドス事務局は、昨年2021年10月28日に、教皇庁キリスト者一致評議会議長のコッホ枢機卿とシノドス事務局長のグレック枢機卿が、各国のエキュメニズム担当司教に連名で出した書簡に触れ、それぞれの部分教会においても,エキュメニカルな側面をシノドスの歩みの中に取り入れるようにと,さまざまな提案をされています。両枢機卿は書簡で、「シノドス性とエキュメニズムは、どちらもともに歩むプロセスです」と強調されています。その上で、「東方の博士のように、キリスト者も同じ天からの光に導かれて一緒に旅を続け、一緒にこの世の闇に遭遇します。博士たちと同じくキリスト者も、一緒にイエスを礼拝し、それぞれの宝を捧げるように招かれています。ともに寄り添いながら歩むことの必要性に気づき、キリストにおける兄弟姉妹が持つ豊かな宝に心を留め、わたしたちは一緒にこの二年間の旅をするようにと彼らに呼びかけ,キリストが彼にできる限り近づけるように導いてくださることを、そして互いに近づくことができるように導いてくださるように,心から祈ります」と記しておられます。

キリスト教一致評議会とシノドス事務局は,この一致祈祷週間のための祈りを作成し,公開しています。原文は下の写真です(英語)。仮の私訳を記しておきます。

天の父よ

星に導かれてベトレヘムへと旅した東方の博士たちのように

天からの光によって

このシノドスの時期に、カトリック教会がすべてのキリスト者とともに歩むよう導いてください。

博士たちがキリストの礼拝において一致したように

わたしたちをあなたの子に近づけ、また互いを近づけてください。

あなたが教会とすべての被造物に望まれているように、わたしたちが一致のしるしとなりますように。

わたしたちの主キリストによって。

アーメン

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2021年10月20日 (水)

シノドスの歩み:東京教区のビデオ公開始まりました

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先日お知らせしたように、2023年秋の世界代表司教会議(シノドス)第16回総会への歩みが、全教会で始まりました。

最初の時期、今年の10月から来年3月頃までは、それぞれの地方教会での分かち合いと識別のときです。各教区には担当者が任命されていますが、東京教区の担当者である小西神父様が、共通理解のためのビデオを作成してくださってます。順次公開されていきますが、その一回目と二回目が公開されました。

以下に、その一回目と二回目をリンクします。元になる小西神父様が用意された原稿は、教区ホームページに掲載されていますので参照ください。

シノドスに向けてバチカンから示された問いかけに、即座に答えを募集したら良いのではないかとお考えになるかもしれません。しかし今回は、回答を積み重ねることよりも、一緒になって理解し、一緒になって識別し、一緒になって歩むことを、教会全体が当たり前のこととして身につけること自体が重要視されています。

つまり今回のプロセスは、2023年秋の会議で結論が出て終わるものではなくて、これからの教会のあり方そのものを決定づける「出来事」です。今回、これまでを振り返りつつ話し合うことは、これからも話し合い続ける内容ですし、2023年の会議が終わっても話し合い続ける内容です。また東京教区にとっては宣教司牧方針を具体化する上での大切な教会のあり方でもあります。教皇様は、教会共同体そのものを、聖霊の導きに素直に従う共同体へと変えようとされています。

ご自分のスマホやパソコンで、用意されたビデオを見ることができる方は、それができない方にも分かち合ってください。感染対策で大勢が集まることはできませんが、数名で一緒に見たり、二人で見たり、このビデオの分かち合いからすべてを始めましょう。

Youtubeでご覧になれますから、近頃はご家庭のテレビがインターネットにつながっていたりするので、そういった手段でもご覧ください。ご覧になっていろいろ思うことがあると思います。後で役に立つと思いますから、メモして置かれることお勧めします。

 

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2021年10月17日 (日)

シノドス開始ミサ@東京カテドラル

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本日10月17日、教皇様は世界中のすべての教区で、2023年秋のシノドスに向けた歩みを始めるようにと指示をされました。東京教区では、カテドラルである関口教会の午前10時のミサを、大司教司式ミサとして、シノドス開始のミサとしました。

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神の民としてともに歩みこの道程は、教会のあり方を見つめ直し、新たなあり方を模索する道ですから、教会にとっての回心の道でもあります。関口教会のミサでは、本来は聖堂の外でシノドスの祈りを唱え、回心を象徴して灌水した後に、皆で入堂する予定でしたが、あいにくの雨模様となり、皆さんには席に着いたままで、侍者と司祭団が大扉から入道しながら灌水して始めることといたしました。

シノドス事務局が準備した文書(リンクは日本語訳です)には、今回のシノドスの目的がこう記されています。

「次の基本となる質問がわたしたちを促し、導いてくれます。今日、さまざまなレベル(地方レベルから全世界レベルまで)で行われているこの「ともに旅をする」ことは、教会がゆだねられた使命に従って福音を宣べ伝えることを可能にするでしょうか。また、シノドス的な教会として成長するために、聖霊はどのような段階を踏むようにわたしたちを招いているでしょうか」

この準備文書に記されている10の「探求すべきテーマ」については、今後順に説明してまいりますし、教区のホームページの特設コーナーでは、今週以降、順次、共通理解のためのビデオを公開します。一緒に歩みましょう。

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以下、本日のミサの説教の原稿です。

年間第29主日B
東京カテドラル聖マリア大聖堂
2021年10月17日

教皇様は、2023年秋に世界代表司教会議(シノドス)を開催することを決定され、そのテーマを、「ともに歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教-」と定められました。

その上で教皇様は、教会全体にとって、シノドスがまさしくその意味するところである「ともに歩む」プロセスの具現化となることを望まれて、これまでとは異なるシノドスのあり方を定められました。それは、シノドスがローマで行われる2023年の司教たちによる会議だけに終わらず、世界中すべての教区のすべての人と歩みをともにするプロセスとなることであります。

これまでは、テーマに基づいた準備文書がバチカンの事務局で作成され、それに対して各国の司教団が回答を送り、さらにその回答に基づいて具体的な討議資料が作成されて本番の会議に臨むというプロセスでした。これでは確かに、司教たちの考えは集約されますが、教会全体の識別を反映しているとは言い難い。そこで今回は、2021年10月からシノドスの歩みを始めることになり、まず最初の半年ほどで各教区での振り返りと識別が行われ、そこからアジアやアフリカなどの地域別に繋がり、あらゆる声に耳を傾けた上でのローマでの会議という、2年間にわたるプロセスが開始されることになりました。

すでに先週、教皇様は、今回のシノドスのプロセスの開始を、ローマから告知されていますが、世界中の教区は10月17日の主日を持って、それぞれの教区におけるシノドスの歩みを始めるようにと指示をされています。東京教区では本日のこのミサを持って、また各小教区で同様の意向で捧げられているミサを持って、シノドスの歩みを開始いたします。

9月の初めにローマ教区の信徒代表たちとお会いになった教皇様は、その席で、「教会がリーダーたちとその配下の者たちとか、教える者と教わる者とから成り立っているという凝り固まった分断のイメージから離れることには、なかなか手強い抵抗があるが、そういうとき、神は立場を全くひっくり返すのを好まれることを忘れている」と指摘されています。これまでのやり方に固執することなく、勇気を持って新しいあり方を模索することは、教皇フランシスコが教会にしばしば求められる道です。

2015年にシノドス創設50周年の式典が行われたとき、教皇様はこう述べておられます。

「まさに『シノドス性』の歩みとは、神が第三千年期の教会に期待しておられる歩みなのです。ある意味、主がわたしたちに求めておられることは、すべて『シノドス』(ともに歩む)ということばの中にすでに含まれています。信徒と司牧者とローマの司教がともに歩むこと、それをことばでいうのは簡単ですが、実行に移すことは、それほど容易ではありません。」

第二バチカン公会議の教会憲章は、教会が個人の信心の積み重ねと言うよりも、全体として一つの神の民であることを強調しました。教会憲章には、「しかし神は、人々を個別的に、まったく相互の関わりなしに聖化し救うのではなく、彼らを、真理に基づいて神を認め忠実に神に仕える一つの民として確立することを望んだ」(教会憲章9)と記されています。

さらに教会憲章は、洗礼によって一つの民に結びあわされたわたしたちは、「ある人々はキリストのみ心によって他の人々のための教師、神秘の分配者、牧者として立てられているが、キリストのからだの建設に関する、すべての信者に共通の尊厳と働きについては、真実に平等」(教会憲章32)であると記しています。

ともに旅を続ける神の民にあって、わたしたち一人ひとりには固有の役割が与えられています。共同体の交わりの中で、一人ひとりがその役割を十全に果たすとき、神の民全体はこの世にあって、福音をあかしする存在となり得ます。

わたしたちの信仰は、神の民という共同体の信仰です。一つのキリストの体に結ばれた、共同体の信仰です。わたしたちの信仰は、その共同体における「交わり」のうちにある信仰です。

「交わり」とは、「共有する」ことだったり、「分かち合う」ことだったり、「あずかる」ことを意味しています。パウロのコリントの教会への手紙に、「わたしたちが神を賛美する賛美の杯は、キリストの血にあずかることではないか。わたしたちが裂くパンは、キリストの体にあずかることではないか」と記されていました。その「あずかる」が、すなわち「交わり」のことです。わたしたちの信仰は、キリストの体である共同体を通じて、キリストの体にあずかり、いのちを分かち合い、愛を共有する交わりのなかで、生きている信仰です。

信仰の共同体の中に生じる「交わり」は、父と子と聖霊の交わりの神の姿を反映しています。「交わり」は、わたしたちの共同体で行われる典礼や祈りによって生み出され豊かにされていきます。

交わりによって深められたわたしたちの信仰は、わたしたち一人ひとりを共同体のうちにあってふさわしい役割を果たすようにと招きます。交わりは参加を生み出します。一人ひとりが共同体の交わりにあって、与えられた賜物にふさわしい働きを十全に果たしていくとき、神の民は福音をあかしする宣教する共同体となっていきます。ここにシノドスのテーマである「ともに歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教-」の意味があります。

今回のシノドスの歩みを通じてわたしたちは、共同体における信仰の感覚をとおして、神の民であるという自覚を深めるように招かれています。社会の現実、特に今般のパンデミックによる痛みへの共感を持つように招かれています。社会にあって今を一生懸命に生きている人たち、すなわち貧しい人々との対話や連帯へと招かれています。いのちを生きる道や文化の多様性を尊重するように招かれています。信仰において、互いに裁くものではなく許し合うようにと招かれています。

シノドスの準備文書の冒頭にこう記されています。
「ともに旅をし、これまでの旅をともに振り返ることで、教会はその経験を通して、どのようなプロセスが、交わりを生き、参加を実現し、宣教に自らを開くのに役立つかを学ぶことができるのです」

東京教区では、折しも宣教司牧方針を、今回と同様に多くの方の意見に耳を傾けながら定めたところです。残念ながら、発表した直後から感染症の状況に翻弄されており、宣教司牧方針を公表したものの、深めることが一切出来ずにおりました。

今回のシノドスの歩みは、そういった状況にある東京教区にとっては、ふさわしい呼びかけとなりました。シノドスの歩みをともにすることで、わたしたちは今の東京教区の現実の中で、神の民であるとはどういう意味があるのかを理解し深めようとしています。そのプロセスの中で、交わりを深め、ともに参加し、福音を告げる共同体へと豊かになる道を模索していきます。そのことはちょうど、東京教区の宣教司牧方針の三つの柱、すなわち、「宣教する共同体」、「交わりの共同体」、「すべてのいのちを大切にする共同体」の実現と直接につながっています。

本日からシノドスの道をともに歩み、ともに振り返り、ともに理解を深め、ともに祈りながら、わたしたちが交わり、参加し、宣教する神の民となるように、教区の宣教司牧方針を深めながら、旅路へと招かれる主の声に耳を傾けてまいりましょう。

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2021年10月14日 (木)

シノドスの歩み、開始です

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2023年秋に開催される第16回通常シノドス(世界代表司教会議)は、これまでとは異なるシノドスです。

これまでは、バチカンの事務局から世界中の司教団に課題が示され、それに対する各国司教団の回答をもとに作業文書が作成されて、本番の会議には集まった代表の司教による討議なされ、教皇様に対して提言が出て、最終的には教皇様が使徒的勧告で答えらるというプロセスでした。

今回は、シノドスの準備と言うよりも、シノドス自体が、もう始まりました。

10月10日のローマでのミサを持って、教皇様は23年秋まで続くシノドスを始められました。もっともそのシノドスは、教会全体を巻き込んだともに歩むプロセスであると教皇様は言われます。神の民全体で歩みをともにしながら識別をするのだというのです。そのために、まずは各教区で、理解を深め、ともに歩みながら識別をすることが求められ、世界中の教区では、来る10月17日にその開幕を告げることになっています。

東京教区でも、10月17日午前10時の関口教会主日ミサをわたしが司式し、教区におけるシノドスを始めることを宣言します。

ただしこの教区でのシノドスは、特別な会議を行うことではありません。まずは一緒になって理解を深めるところから始めたいと思います。東京教区のシノドス担当者である小西神父様がまとめてくださった招きの文書にはこう記されています。(招きの文書はこちらのリンク

「ここでは、三つの動詞が大切となります。「参加する」、「聴く」、「識別する」。教会は人々に「参加する」ようにとうながさなければなりません。そのうながしに応えて人は、信者であれ未信者であれ、積極的に「歩み」に「参加」するのです。教会は人々の声に耳を傾けて「聴く」ようにと神から招かれています。また人は隣人の声なき声に真摯に耳を傾けなければならないのです。耳を傾けあうところに「交わり」が生まれるからです。そして教会は、自らがどこに向かっているかを反省的に「識別する」必要があります。混迷する現代社会にあって、教会の果たす役割と務めを知らなければなりません。そして、数々の情報に翻弄され真実を得ることが難しくなっている現代社会を生きる人々もまた生きる方向をしっかりと見極めて行かなければならないのです」

バチカンの事務局からは、10の設問が送付されていますが、同時に今回は、その設問に直接「回答」することではなくて、それを道しるべとして、教会のあり方を振り返り、同じ共同体で信仰を生きているお互いの理解を深める事が求められています。(なお10の設問は、中央協議会のこちらの特設ページにリンクがあります)

シノドスという言葉の意味も、小西神父様の招きの文書にわかりやすく記されていますので、ご参照ください。なおこの招きの文書の内容は、別途ビデオとして作成され公開される予定です。また今後順次、今回のシノドスが求めている方向性を理解するために、解説のビデオが、順次作成されて、公開されます。教区のホームページの、シノドス特設サイトをご覧ください

以下、本日公示した、教区におけるシノドスの道程の開始に関する文書です。

2023年世界代表司教会議(シノドス)に向けた歩みの開始について

教皇フランシスコは2023年秋に世界代表司教会議(シノドス)の第十六回通常総会を開催することを決定され、そのテーマを、「ともに歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教-」と定められました。

教皇は、今回のシノドスが、その意味するところである「ともに歩む」プロセスを教会が具体的に生きる存在となることを望まれ、新たなシノドスのあり方を定められました。教皇は、今回のシノドスが、ローマで開催される2023年10月の代表司教たちによる会議だけに終わるのでなく、世界中のすべての教区が、ともに識別の時を過ごし、神の民を構成するすべての人が、その歩みに加わるようにと呼びかけられています。

今回のシノドスのプロセスの開始は、すでに10月10日の教皇ミサを持って告知されていますが、同時に教皇は、世界中の教区が10月17日の主日を持って、それぞれのシノドスの歩みを始めるようにと指示をされています。

東京教区では、10月17日に関口教会の主日10時ミサを大司教司式ミサとし、それを持って教区のプロセスを開始しますが、同時にこの主日の小教区主日ミサでも、シノドスの歩みに聖霊の導きがあるようにともにお祈りください。

なお今回のシノドスの歩みに取り組むために、東京教区の担当者として小西広志神父様を任命して準備を進めております。今回の歩みは、イベントや多数決で何かを議決する会議を開催することが主眼ではなく、神の民のすべての部分が、共通の信仰の理解を持ち、交わりを深め、福音を宣教する共同体へと変わる回心の歩みであります。それは東京教区の宣教司牧方針の具体化とともにある歩みでもあります。来年の2月までの期間、教区の皆様と歩みをともにし、ともに識別することが出来るように、さまざまな材料を今後提供してまいります。その後も、2023年のローマでの会議が終了するまで、関連する情報を、教区ホームページや教区ニュースで随時提供してまいります。

どうか一緒になって、交わりと参加の歩みをともにしてくださいますようにお願いいたします。

 

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