カテゴリー「シノドス」の11件の記事

2024年7月 9日 (火)

シノドス総会第二会期の作業文書が発表されました

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本日、火曜日の日本時間午後7時、ローマの正午に、10月に行われるシノドス第二会期の作業文書が公開されました。

「INSTRUMENTUM LABORIS」というのがこういう文書の正式名ですが、つまり「働くための道具」です。これに基づいて、これから準備をして、10月の総会で「霊における会話」を通じて、最終的な結論へと進みます。

英語をはじめとした主要言語のテキストは、バチカンのシノドス事務局の、こちらのサイトに順次掲載されます。日本語は、本日テキストがメールでシノドス事務局から司教協議会へ送られてきたばかりで、これから翻訳に取りかかりますので、数週間はかかるものと思います。できるだけ早く、中央協議会のシノドスの特集ページに掲載できるように、努力します。

わたし自身も、今朝始めてみて、まだ読み込むことができていませんので、どのような内容かは、まだコメントできません。

資料として、この作業文書がどうやってできあがったかについて、以下のようなイラストが事務局から送られてきました。下です。

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これによれば、今回の質問は、すべての人に対して一つだけで、「宣教においてどうしたらシノドス的な教会になれるのか」が問われています。

この文書を作成するために、109の司教協議会からの報告書と、9の東方カトリック教会からの報告書と、国際総長会からの報告書、さらに小教区司祭のシノドス(今年の4月末開催)の参加者からの報告書、そして200の個人を含む様々な団体からの報告書が、貢献しました。

さらに、今回のシノドスの5つの視点からの事務局の作業部会の報告もあります。その作業部会は、「地方教会の宣教するシノドス的な側面」、「教会グループの宣教するシノドス的な側面」、「普遍教会の宣教するシノドス的な側面」、「シノドス的な方法論」、そして「宣教におけるシノドス的教会の立ち位置」の各作業部会です。(作業部会の名称は、すべて仮訳)

以上に基づいてできあがった作業文書は、6っつの小に別れています。まず、「導入」、「基礎」、「第一部:関係」、「第二部:道のり」、「第三部:場所」、そして「結論」です。「基礎」から始まって、第一部から第三部までが、10月の第二会期で取り扱われます。(以上すべて仮訳)。

幾たびも繰り返していますし、教皇様のご意向でもありますが、今回のシノドスは、最終日に何か新しいことが決まっているようなものではありません。そうではなくて、これから先長いスパンで考えての、教会の体質改善の取り組みの端緒となるものです。日本の教会を含め、すべての教会において、これからじっくりとシノドス的なあり方を探求していく道が始まることになります。

 

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2023年10月28日 (土)

シノドスホールから:その3

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シノドスはまもなく終了します。本日、土曜日の午後に最終の全体会議が行われ、終了となる予定です。長い一ヶ月でした。季節も変わりました。

最終の第四周は、23日月曜日朝のミサで始まりました。今回はアジアの担当で、司式がFABC(アジア司教協議会連盟)会長のチャールズ・ボ枢機卿(ヤンゴン大司教)、その横にFABC前会長のオズワルド・グラシアス枢機卿(ボンベイ大司教)、そしてFABCの事務局長のわたしがつきました。聖歌隊は、ローマ在住のフリィピン出身修道者が務め、侍者はローマ在住のフィリピン人若手司祭を中心に構成されていました。この中には、フィリピン宣教会の司祭で、以前日本におられた若手司祭もおり香部屋で突然日本語で話しかけられてびっくりいたしました。

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そのミサ後、朝の全体会で、シノドスから教会全体への書簡が採択されることになりました。これが多分、事務局の誤算の始まりとなりました。この後、一週間の当初のスケジュールが、毎日のように変更されます。なお書簡をシノドスから発出することは教皇様ご自身の希望で、前の週に、教皇様が出席される中で、圧倒的多数(11の反対票)で書簡を発出することが採択されました。

その書簡の採択に当たって、用意された文書を英語で読み上げて(もちろん同時通訳が会場にはあります)拍手で採択しようとしたのですが、さすがにこれには異論が続出。結局、全員に書簡を配布し(つまり、イタリア語、英語、スペイン語、フランス語に翻訳して)、それから全体会を開催して個別の意見発表をうけつけ、さらにそれを書き直すために起草委員会を開催するので、急遽月曜の午後と火曜終日が休日となりました。わたしはこの間に、国際カリタスの行事と、所用での国務省訪問が入ったので、休日とはいきませんでした。

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その後、25日水曜に再開され、神の民への手紙が採択され、同時に今回のシノドスの位置づけについての事務局長からの説明が行われました。神の民への手紙は、なるべく早く多くの人に読んでいただくためにと、各国の司教協議会に翻訳を急ぐようにと指示があり、日本語訳も、中央協議会の翻訳担当が頑張ってくださり、一日で完成。すでに中央協議会のホームページで公開しています。

この書簡は、まだ第一会期が終わろうとしている段階で、さらに来年また同じメンバーで同じシノドスの第二会期が行われる中、決定したことを伝えているのではなく、また話し合われた内容を伝えているのでもなく、シノドスに参加している多くの思いを伝え、歩みを共にするようにとの呼びかけの文書です。この手紙を読んで、結局シノドスは何も決めていないと失望する声も聞こえてきますが、そういう類いの文書ではありません。この後に、さらに膨大な、討議の内容を伝える文書が出てきます。神の民への手紙は、シノドス参加者の思いを代弁するものですので、是非ご一読ください。

この日の夜、平和を求めて、サンピエトロ大聖堂内で、シノドス参加者が集まり、ロザリオの祈りが捧げられました。

また25日の水曜日の昼前には、今回の全体の内容を伝える文書の原案が示され、それについての小グループでの話し合いが、26日の木曜日丸一日、行われました。35のそれぞれの小グループから、最終的には千を越える修正の動議が提出され、起草委員会の修正作業が始まりました。

27日金曜日は、午前中に小グループで、来年の10月までの間をどのように勧めるのかについての小グループでの話し合いと全体会が行われ、午後は休会して、午後4時から、各国の司教協議会会長を集め(50名ほどが参加しました)、第二会期までの司教協議会の取り組みについての意見交換がありました。一年弱の時間しかないことと、これから帰国して、すぐに待降節から降誕節、年末年始となるので、いずれの国も、全国レベルでの取り組みをするには時間がないことが指摘され、今後、事務局が何らかの方向性を提示することになりました。

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なおこの27日の夜は、教皇様がシノドス全体会の中で呼びかけられた平和のためのロザリオの祈りが、午後6時から、サンピエトロ大聖堂で行われ、シノドス参加者のほか、多くの人が参加されました。バチカン放送のビデオを下に張っておきます。ロザリオの祈りと聖体顕示式が、教皇様の臨席で行われました。以下、バチカンニュース日本語版からの引用です。(なお写真はすべて東京教区オリジナルです)

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『教皇はロザリオの祈りに続き、平和の元后、聖マリアにご自身の祈りを捧げられた。
 この中で教皇は、「紛争に引き裂かれ、武器に蹂躙されたこの時代」、「平和を見失った人類家族に憐みの眼差しを向けてください」と聖母に祈った。
 そして、教皇は、「危険と混乱の中にあるこの世界のためにとりなし、いのちを受け入れ大切にすること、死の種を播き未来をかき消す戦争の狂気を拒むことを教えてください」と聖母により頼んだ。
 「御子がいなければ、わたしたちはひとりでは何もできません」と言う教皇は、「わたしたちの平和であるイエス」に立ち返らせ、「憎しみに囚われた人の魂を揺さぶり、紛争をあおる人を回心させ、子どもたちの涙をぬぐい、孤独な人やお年寄りを助け、負傷者や病者を支え、祖国や愛する人を置き去りにせざるを得なかった人を守り、気落ちした人を慰め、希望をよみがえらせてください」と祈った。
 「救いのあけぼの」である聖母に「争いの闇に曙光を差し込んでください」と教皇は願いつつ、「国々の指導者たちに平和の道を励まし」、「悪にそそのかされ、権力と憎悪に目がくらんだあなたの子らを和解させ」、「神の調和を心に注いでください」と祈り求められた』

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さて、起草委員会は、昨晩金曜日の午後9時から集まって、最終報告書の書き直し作業をしています。本日土曜日の、午前11時頃にできあがる予定です。本日は午後4時から、その報告書についての採決があり、教皇様のお話の後、第二会期まで休会となる予定です。最終報告書は、例えば英語の原案がA4で50ページ近くありますから、修正を入れると60から70ページほどになるかもしれません。またお知らせします。

この一ヶ月間の、皆様のお祈りに感謝いたします。下の写真は、今週、会議の合間を縫って所用で訪問した国務省の三階のテラスから見た、シノドス会場のパウロ6世ホールです。奥の波を打っているのが会場。右手はサンピエトロ大聖堂正面、下がサンピエトロ広場です。

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週刊大司教の号外編が、短い現地報告として10回ほど、東京教区のYoutubeチャンネルで公開されていますので、是非ご覧ください。

 

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2023年10月22日 (日)

シノドスホールから:その2

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シノドスは第三週が終わり、残すところあと一週間です。

ローマは、ここ数日小雨がちらつき、朝晩はちょっと涼しくなってきましたが、それでも日中は蒸し暑い日が続いています。このところ悪化しているガザの状況により、シノドスホールでも様々な声が上がっています。毎日の祈りの中では、特に中東における平和を求める祈りが捧げられ、また中東諸国の代表を通じて、自由討議の枠組みの中で、命の危機に直面する人々の声がシノドスホールに響き渡っています。これらの声を受けて、教皇様は、来たる10月27日を、平和のために特別に祈る日と定められました

また国際カリタスでは、19日の木曜日の夜にガザでミサイル攻撃を受けた教会において、避難していた住民と共に、支援活動に当たっていたカリタス・エルサレムの職員が殺害されたこともあり、今回の事態を非常に憂慮しています。また人道支援も滞っており、攻撃の当事者に、市民の命を第一に保護する姿勢をとるように呼びかけています。

攻撃された教会ではカリタス・エルサレムの職員が5名、避難者支援に当たっていましたが、攻撃を受けた場所で支援活動を行っていた26歳のカリタス・エルサレム女性職員が亡くなり、また彼女の子供と夫も亡くなっています。攻撃を受けた直後の報道では17名が犠牲になったと伝えられています。

国際カリタスは中東地域のカリタス(Caritas MONA)と共同で声明を発表しており、一般市民とその生活のためのインフラに対する攻撃を即座に停止すること、また関係する当事者すべてが即座に攻撃をやめ、市民を保護し、人道支援を即座に安全に妨げることなく行わせ、国際法を遵守することを強く求めています。

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さて今週のシノドスです。16日月曜日は、シノドスの歴史に刻まれる出来事でした。アジアの女性として初めて、日本の西村桃子さんが議長代理として、全体の司会をされました。この日は教皇様も出席され、西村さんは教皇様の隣で、司会進行をされていました。アルゼンチンで宣教者をしていた西村さんは、教皇様とはマテ茶で繋がるお友達です。

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その16日月曜日と17日火曜日は、その前の週の13日金曜日から続いていた討議要項B2の話し合いが続けられ、最終的にそれぞれ35の小グループのレポートが完成し提出されました。

このレポートを書くために、事前の調査で、英語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語などの話者の参加者の中から、秘書が事前に指名されています。秘書は一つの課題に35名が必要で、それが四課題ですから、最低でも140名の秘書が必要です。会場にいるメンバーとほかの参加者をあわせると450名ほどですので、三分の一ほどが秘書を担うことになります。これが大変なのです。幸い私のような者は英語のネイティブでもないですし通常の話者でもないので指名されることはないのですが、秘書になった方は最終提出のレポートを、霊的な会話の中から聞き出して2ページ程度にまとめ、内容を類型分けし、さらにそれを全員に読んでもらい、手直しをし、さらに二回ほどにわたって行われる全体会での意見を参考にもう一度行われる小グループの分かち合いでさらなる手直しをし、最終的にレポートに仕上げます。小グループ参加者には、夜中にメールで原案が回ってきたりするので、夜遅い夕食の後も読まなくてはなりません。秘書役の皆さんが仕上げてくるレポートを読むと、とてもではないですが、英語の通常の話者ではないわたしには、ボキャブラリーの点からも、神学的知見からも、秘書はできないと感じさせられるほど素晴らしいレポートがたくさん仕上がってきています。

これらすべてをまとめて文書を作る神学者のチームがあり、さらに参加メンバーからもそこに選出されてさらに読み込む委員会も設置されていますので、最終的にどのようにまとめられるのかが楽しみです。

ただ今回は、膨大な文書を作成することよりも、来年開催される第二会期をにらんで、短い文書が用意される予定で、加えて「神の民への手紙」と題するシノドスからの呼びかけ文が用意されることになりました。これは最終週に話し合われ、採択される予定です。

18日水曜日にまたサンピエトロ大聖堂で朝のミサを共にし、今度は討議要項のB3の課題についての霊的な会話が行われました。それが終了し、各グループの秘書からレポートが提出されたのが、21日土曜日のお昼です。

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その間、19日木曜日の会議終了後19時15分から、サンピエトロ広場の中にある難民のモニュメントの前で、教皇様が司式されて、移住者と難民のための祈りが捧げられ、シノドス参加者全員が祈りを共にしました。このモニュメントの中には、聖家族が描かれていると言われ、多分この下の写真の中央の人物像が、聖家族かと思われます。大工道具を手にした男性と、その後ろで幼子を抱える女性です。

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20日金曜日お昼休みの間、午後2時15分から、定例で行われているシノドスの記者会見に参加するように呼ばれ、記者の皆さんに少し話をするチャンスがありました。わたしを含め4名の参加者がこの日は参加しましたが、記者会見は広報省長官のルフィーニ氏によって毎日行われており、シノドス参加者が数名ずつ、それぞれの体験を語っています。(下に、20日の会見のビデオを張ります)

わたしも、アジアでは、特に日本がそうであるが、沈黙することが好まれ、積極的に声を上げることが苦手なので、霊的会話のような小グループでの分かち合いは、参加者全員が声を上げ、心に抱いていることを表現する機会になるので、重要であること。アジアの大陸別総会でも小グループによる霊的会話は行われ、非常に多くの人に自分の思いを表現する手段として好評であったが、それは今のシノドスの場でも同様であること。また国によって言葉が異なり文化が異なる中で、普遍教会も異なる現実の中で信仰を生きている。その中でアジアは特に混沌としているが、普遍教会全体のシノドスの歩みを考えるとき、一つの型にはめるのではなく、それぞれの地域の文化や歴史を考慮することが大切であること。シノドス性は同一性ではないこと。また国際カリタスの総裁として、カリタスの愛の奉仕の業こそが、シノドス性を生きるものであり、カリタスは今も、またこれからも、教会にとってのシノドス性を生きる重要な道具となること。カリタスは世界で、困難に直面する人の尊厳を守り、促進し、上下ではなく同じ地平に立って、支え合いながらともに歩むことで希望を生み出してきた、まさしくシノドス的存在であること、などを話させていただきました。

記者会見の中で、女性の叙階について何か決まったのかと、数名の記者からの質問が出ました。シノドスの小グループでどういう話が進んでいるかを、シノドス外に話すことを控えようという教皇様の呼びかけがあるので、一体何が話されているのか、興味を持たれているのは間違いありません。具体的なことは控えますが、会場では、具体的課題の詳細については話されていません。それよりも、シノドス性とはそもそも一体何を意味しているのか、その共通理解を、普遍教会全体で持つためにはどうしたらよいのかという、根本的な課題が分かち合いの中心になっています。

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明日、22日の日曜日は、午前中にローマの日本人会のミサに招かれています。また報告します。あと一週間です。残念ながら最初から最後まで体調は完璧ではありませんでしたが、最終日までしっかりと努めることができるようにお祈りください。またシノドス参加者全員のために、特に教皇様のために、お祈りください。加えて、特に中東における平和のため、またウクライナやミャンマーなど、混乱する地の平和のためにもお祈りください。

 

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2023年10月14日 (土)

シノドスホールから

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ご存じのように、シノドスに参加するために、ローマにおります。日本からは司教協議会の代表としてわたし。また教皇様が任命された司祭や信徒修道者の代表として、また議長代理として西村桃子さん。さらに専門家として弘田鎮枝さんと、三名が日本からの参加者ですし、日本語話者とすれば、ルクセンブルグのオロリッシュ枢機卿様も含まれて、4名となります。

正直、プログラムがタイトです。イタリア独特のシエスタタイム(昼寝時間)が午後に3時間ほど入るので、微妙な感じですが、朝は8時45分に始まり、12時半まで。その後、それぞれの宿舎に帰り昼食。午後4時に再び集まって午後7時半まで。それから宿舎に戻って夕食です。各自のIDカードには、写真と名前、そして討議要綱(Insrumentum Laboris)に記されているAの課題とBの三つの課題に対応して、併せて四つの小グループ分けが記され、裏にはQRコードが記されています。このQRコードで出欠が管理されています。

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会場には35の小グループ用テーブルがあり、それぞれに参加者11名ほどと一名の司会役の席が指定されており、それぞれにタブレットが置かれていて、名前がすでにスクリーンに表示されています。朝にはそれでQRコードを読みとり、出席者数を確認、一日の終わりにはログアウト。欠席には文書での申し出が必要で、バチカンの役所の責任者なども、ほぼすべて皆勤です。参加者は代表と専門家などを含め、400人を超えています。

詳しい会場での話し合いの内容は、分かち合いという性格上、皆さんもよくご存じのように、そこで話された内容は外で口外しないのが原則ですから、基本的には、毎日行われているバチカン広報省のルフィーニ長官の記者会見以上のことは外部には伝えられていません。

毎日の様子については、東京教区のシノドス担当者である小西神父様が、短くビデオにまとめて、毎日のように東京教区から公開していますので、そちらを参照ください。実はわたしもそれを毎日見ていて、現場にいては気がつかなかったこともあったりして、驚かされています。

会議は基本的に、討議要綱にあるワークシートの設問通りに進んでいます。是非、討議要綱をご覧ください。そしてそこにある設問に、それぞれの共同体で分かち合いをしていただければと思います。こちらのリンクに邦訳があります。また今回はこれが強調されていますが、霊における対話(霊的な会話)方法が、分かち合いの方法として強調されており、この方法を、教会全体に取り入れたいという思いが感じられます。聖霊の導きを共同体として識別するための道です。討議要綱の日本語版は、中央協議会のこちらからダウンロードできます。また霊における対話(霊的な会話)については、その日本語訳の討議要綱の15ページ以下に説明されいますし、18ページにはイラスト化したものの翻訳されていますので、是非ご覧ください。

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会議は、それぞれの課題ごとに、まずミサで始まり、次に総会議場で霊的な講話、全体的な解説と具体系な体験の分かち合いがあり、その後に、各テーブルに分かれた小グループごとの霊的会話に入ります。そして全体会議で小グループの発表と自由討議。そしてもう一度グループでの最終レポート作成となります。このパターンで、これまで10月4日から7日、9日から12日とすすみ、現時点では13日から始まった討議要綱のB2の諸設問についての分かち合いが進んでいます。教皇様は、全体討議には参加されます。車椅子での移動ですが、誰よりも早く会場に現れ、参加者に挨拶する時間を設けてくださっています。

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全体会の自由討議のところでは発言が許されますが、わたしもB1の設問のところで、教会のカリタスの業について発言させていただきました。

すでに記したように内容をお話はできませんが、ただ巷にいわれているような、教皇様が秘密を守るように命じたということではありません。対立する課題でもそれぞれが恐れずに自由に話をするために、分かち合いの原則を守り情報の断食をしようと教皇様が呼びかけられました。また小グループでの霊的な会話は和やかに進んでおり、全体として緊張した雰囲気は全くありません。また事前にいわれていたような特定の課題について、議論が巻き起こっているということもありません。全体として祈りの雰囲気に包まれて、ともに歩もうとする姿勢が感じられます。

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体調的にきつかったのは、出発の前夜、深夜になって予定していたルフトハンザ航空からメールが入り、羽田からミュンヘンは運航がANAなのでよいものの、ミュンヘンからローマがその日ほぼすべて欠航になりました。ローマに行けません。しばらく待ちながら深夜に様々やりとりしてわかったのは、振り替え便が早くても2/3日先になること。これではシノドス開始に間に合いません。そこでほかの航空会社のサイトに軒並み当たり、ルフトハンザの払い戻しより(ちょっと高かったものの、払い戻しができるチケットにしていて幸いでした)ちょっと安くなるターキッシュ(トルコ航空)のチケットを見つけ即座に、イスタンブール経由のターキッシュを予約し、ルフトハンザをキャンセルして払い戻し手続きをしたら、もう出発日の朝でした。

そのままローマに入り、ローマ郊外のサクロファノでの三日間の黙想会の後、開会のミサが野外ミサで、これがまた暑くて長い。その日の夜から、首筋あたりに湿疹が出て、そろそろ落ち着いてきましたが、かゆみに悩まされ続けています。加えて、泊めていただいている宿舎が、先日引退されたボッカルディ大使の手配で、教皇庁の外交官養成所なのですが、それがパンテオンのすぐ近くのため、バチカンまで微妙な距離です。歩けば25分程度ですが、朝晩は涼しくなってきたものの、日中は30度近い暑さのローマです。これで、朝出かけ、昼休みに戻り、また夕方出て夜遅くに戻るのは、結構大変でして、そのためこの数日は、司教の日記に報告を書く時間も気力もないまま過ぎてきました。

やっと半分終わりました。第二週目の土曜日です。あと二週間。乗り切ることができるように、皆様のお祈りを、どうかお願いいたします。またシノドス参加者が聖霊の導きを識別し、教会の進む方向を見極めることができるように、どうぞお祈りください。

 

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2023年3月 3日 (金)

アジアの大陸別シノドスが開催されました

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教会は2021年から2024年に向かって、シノドスの道を歩んでいるのはご存じの通りです。

全体としては、それぞれの教区での取り組みに始まって、大陸別の取り組み、そしてローマでの会議と続いていきますが、その行事とは別に、教会が交わりの共同体として「ともに歩む」ことを基本的な姿勢として身につけることを、この取り組みは求めています。

御聖体と御言葉の内に現存される主イエスに生かされる神の民は、互いに耳を傾け、支え合いながら、祈りをともにすることで、教会に対する聖霊の導きを識別し、この世界にあって主イエスの与えられた福音宣教の使命を果たしながら、御父に向かって正しい道を歩み続ける事ができる教会共同体であることを目指しています。

したがってシノドスの道は、ローマでの会議へ向けた一連の出来事と、それぞれの教会での取り組みの継続という、二つの道を同時にたどる歩みです。

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そのシノドスの道の、大陸別会議が、現在相次いで開催されており、アジアの会議も、先日2月23日から27日まで、タイのバンコク大司教区司牧センター「Baan Phu Waan」を会場に、80名近い参加者を得て開催されました。

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今回の会議は、各国からの回答書をもとにバチカンのシノドス事務局によって昨年10月末に作成された文書、「あなたの天幕に場所を広く取りなさい」(イザヤ 54・2)に基づいて、アジアではこの1月15日までにFABC(アジア司教協議会連盟)に提出されたアジア各国の回答書をもとに分かち合いを行いました。24日と、25日の小グループでの分かち合いに基づいて「識別と文書作成チーム」によってアジアの回答書が作成され、26日には全体会議でその枠組みを承認。さらに会議が終わり参加者が帰国を始めた27日と28日にかけて、同チームが作業を続け、できあがったアジアの回答書は、本日日本時間の午後にオンラインで開催されるFABCの中央委員会(各国の司教協議会会長がメンバー)で採択されて、バチカンに送付される予定です。

バチカンのシノドス事務局は、これらに基づいて6月頃までに作業文書を作成し、それに基づいて10月の会議がローマで行われます。

様々な段階で作成されている文書の邦訳は、中央協議会のこちらをご覧ください

今回のアジアの大陸別シノドスは、正式名称を「Asian Continental Assembly on Sunodality(シノドス性についてのアジア大陸会議)」と言い、全体では、6名の枢機卿、5名の大司教、18名の司教、28名の司祭、5名の女性奉献生活者、18名の信徒が参加しました。またバチカンからは、事務局長のグレック枢機卿、会議のRelatorであるオロリッシュ枢機卿、事務局秘書のシスター・ナタリーも参加し、さらにバチカンの広報からかなり大がかりなチームが参加して、発信をしていました。


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参加者については、事前にバチカンの事務局から、各国の司教協議会会長に加えて、あと二名と指定があり、しかもそのカテゴリーにも指定があったため、FABC事務局でその指定にあったカテゴリーを各国に振り分けました。日本には、会長の司教の他に、若い教区司祭と女性信徒の指定があり、英語での会議参加などの条件を勘案して、高松教区の高山徹神父とJLMM事務局の辻明美さんに、代表として参加していただきました。

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また文書を作成するための「識別と文書作成チーム」は、中央・南・東南・東アジアからそれぞれ一人ずつ出すことになり、東アジアからは、これも英語で自由に文書作成の作業ができる人と言うことで人選に難儀しましたが、中央協議会で翻訳などのお手伝いもいただいているセルヴィ・エバンジェリー会員の西村桃子さんにお願いしました。このチームにはこれ以外に、司祭の神学者が2名、信徒の神学者が2名(男女一人ずつ)、そして事務局次長が加わりました。現場でチームの応援団として事務局長のわたしと会長のボ枢機卿で作業を見守りましたが、短時間に集中して文書を作成したチームには、感謝しかありません。

今後、参加してくださった方々からの振り返りも含めて、カトリック新聞などで発信がある予定ですが、それを通じて、さらにシノドスの道程を深めていくことができればと思います。ともに歩む道程には、常に主ご自身が共にいてくださることを心に留めたいと思います。

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2022年11月30日 (水)

分かち合いの声をお聞かせください@シノドスの歩み

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様々な機会に繰り返してきましたが、シノドスの歩みは続いています。教区・国フェーズは終わって現在は大陸フェーズに移りましたが、それぞれの教会単位での取り組みは、終わりがありません。なぜならば、聖霊の導きを識別してともに歩む教会を育てる作業は始まったばかりで、これからも続けられるからです。

ご存じのように東京教区では、そのために、分かち合いの手引きを作成しました。こちらからPDFをダウンロードして、ぜひ活用してください。実際の分かち合いのためのグループ活動は状況によっては難しいかも知れませんが、お一人でも一度、この手引きに目を通されることをお進めします。

もしグループでの分かち合いが可能でしたら、こちらの教区のページから、分かち合いの方法をご参照のうえ、ご活用ください。何か結論を出したり、議論をしたりするのではなく、互いに耳を傾けることの大切さを思い起こしてください。

その上で、分かち合いの成果を教区全体で分かち合っていただければと思います。現在の状況の中で、多くの人に一度に集まっていただくのも難しいですし、オンラインでの集まりにも限界があります。そこで、手引きに従って行うグループの分かち合いの成果を報告していただくためのフォームを用意しました。こちらのリンクです。注意書きにご留意の上、活用ください。教区シノドスチームでまとめて、ホームページなどで公開するようにいたします。(なおこの「分かち合い」の分かち合いは、皆さんのグループでの気づきを書いていただくもので、シノドスへの提言やシノドスと関連のない事柄についての通知や連絡のためではありませんので、そこはご理解ください)

さらに、アジア大陸シノドスへの準備も始まっています。中央協議会のホームページに、そのためのセクションが設けられています。

大陸別シノドスのための文書も公開されていますので、こちらもご一読いただければと思います。

 

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2022年11月24日 (木)

シノドスの歩みはまだまだ続きます

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ご存じのように。教会は全世界でいま、シノドスの歩みをともにしています。すでに様々な場面で利用されていますから、シノドスのロゴはご覧になったことがあろうかと思います。上がそのロゴです。これまでしばしば登場してきたロゴと、何か微妙に変わったのにお気づきですか。

ちなみに下が最初の時から使われてきたロゴです。歩いている人の数が変更になったとか、そういう間違い探し的なことではないのです。数字です。

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そう、シノドスの歩みの期間が変更になりました。当初は2021年から2023年までとされていたのが、先般10月に教皇様は、2021年から2024年までに延長することを発表され、ローマで開催される会議は2023年10月4日から29日の第一会期と、2024年10月のだいにかいきになりました。そこでロゴの数字も変更になっています。

10月27日に、これまでの一年間で世界から集められた報告をまとめた文書が公開されました。コロナ禍の影響を受けた国が多く、多くの人を集める会議や、小教区での特別な催しなどが不可能であった国が多くありました。それでも集まった様々な報告や、個人で提出された報告などを、専門家がすべて読み取り、まとめた文書です。暫定日本語訳が、中央協議会のホームページに掲載されています。リンク先のページの一番下のほうに、ダウンロードするためのリンクがあります。PDFファイルです。ぜひ一度ご覧ください。

この文書は、2月から3月にかけて、世界各地で開催される大陸別シノドスの作業文書です。アジアの大陸シノドスは2023年2月23日から27日まで、タイのバンコクで開催されます。

シノドスの歩みは報告書を作成して終わりではなく、教皇様は、ともに歩む神の民という共同体としての教会を、当たり前の姿にされようとしています。そのためシノドスの歩みは、これで誰か他の人たちが担当するものになったのではなく、教区レベルでも、小教区レベルでも、継続されていきます。

東京教区ではそのために、最初の十の設問にあわせた分かち合いの手引きを作成しました。『「ともに旅する教会」をめざして』というタイトルの30ページほどの小冊子です。こちらのリンクからダウンロードして読まれるか、またはご自分で印刷されてください。ぜひ目を通されて、活用してください。

分かち合いの方法についても、今後、ヒントを教区ホームページに掲載します。一人ではなく、小さなグループでの分かち合いを試してみてください。議論して結論を出したり、多数決を取ったりする会議ではなくて、祈りのうちに始まり、互いの分かち合いに耳を傾け、一緒になって聖霊の導きを識別するための分かち合いです。それが当たり前に行われて、道を見いだしていく教会であることを、教皇様は目指しておられます。

また東京教区では、そういった分かち合いの成果を、さらに教区全体にむけて分かち合っていただくために、オンラインなどを利用した発表の方法を現在企画中です。これからも、歩みをともにしていただければ幸いです。

以下、司教協議会会長として、今後のシノドスの歩みについて全国の教会に呼びかけた文書です。上で触れた中央協議会のホームページに掲載されています。

日本のカトリック教会の皆様

シノドスの今後の歩みについて

シノドスの歩みにご協力いただき、ともに歩んでくださる皆様に感謝いたします。

教皇様は10月16日の一般謁見で、世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会の今後の日程を発表されました。それによると、ローマにおける総会は、2023年と2024年の二つの会期にわたって開催されることになり、その第一会期は、2023年10月4日から29日まで、第二会期は2024年の10月となりました。教皇様は、この複数年にわたる歩みを、当初から強調されているように、司教たちだけのものとせず、全教会が歩みをともにしながら祈りと分かち合いのうちに識別を深め、聖霊に導かれて教会のあるべき姿を再認識し、具体化するよう呼びかけています。

各教区からの回答の提出はすでに終わり、また各司教協議会からの回答の提出も終わりました。しかしシノドスの歩みはこれで終了したわけではありません。今後も、最初の準備文書に記された十の設問などを手がかりに、様々な共同体の祈りと分かち合いを通じて、教会の歩むべき道の識別を続けていただければと思います。

なお8月に各司教協議会や個々人から聖座のシノドス事務局に提出された回答は、その後専門家の手によってまとめられ、このたび10月27日に大陸別シノドスのための作業文書として発表されました。「あなたの天幕に場所を広く取りなさい(イザヤ54・2)-大陸ステージのための作業文書-」と表題をつけられた文書は、暫定ですが日本語への翻訳が終わりましたので、中央協議会のホームページで公開します。

アジアの大陸別シノドスは、アジア司教協議会連盟(FABC)が主催し、2023年2月23日から27日までタイのバンコクで開催され、アジアの各司教協議会から会長と、ほか司祭・修道者・信徒の中から2名が参加することが決まっています。司教協議会会長以外の日本からの2名の参加者は、現在調整中です。

またFABC中央委員会は、各司教協議会から1月15日までに作業文書への回答を提出することを求めていますので、現在検討を進めています。なお同作業文書には、最後の項目に三つの設問がされています。同文書を読んだあとに、この三つの設問についてそれぞれの場で分かち合いをすることは、道を識別するための大きな手がかりになり得るものですので、どうぞ教会全体でこの作業文書に目を通されて、それぞれの場での状況に応じて、小グループでの分かち合いなどを継続していただければ幸いです。なお、大陸別シノドスのために、同作業文書について、個別の回答の受付は予定されていませんが、それぞれの分かち合いの成果を各教区のシノドス担当者を通じて各教区司教に伝えることは、識別のための助けになろうかと思います。

2025年の聖年に向けて、教会は進むべき道を求め、またあるべき姿を模索しながら、識別の道をともに歩んで参ります。今後も、シノドスの歩みにご注目くださり、全世界の教会と歩みをともにしてくださるようにお願いいたします。

2022年11月15日
日本カトリック司教協議会 会長
東京大司教
菊地 功

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2022年1月18日 (火)

キリスト教一致祈祷週間2022年

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今年も1月18日から1月25日まで、キリスト教一致祈祷週間です。(写真は、先日の聖バルナバ教会での祈祷集会録画風景です)

第二バチカン公会議以降、日本の教会でもよく耳にするエキュメニズムという言葉で進められている一致運動です。様々な取り組みがなされており、教義の側面や神学的な対話は行われてきてはいますが、実際的にはやはり長年にわたって異なるやり方で信仰を守っていますから、具体的な組織の合同と言う一致は難しいとも感じられます。同時に、例えば社会のさまざまな問題に取り組む現場(炊き出しや滞日外国人支援、貧困対策などの社会福音化の活動)では、教団・教派の枠を超えて、互いに協力し合いながら活動することが当たり前になっていますので、福音を生きる側面での一致はかなり進んでいるとも言えるかと思います。その現場での一致を、霊的な側面にいかに波及させるのかが課題の一つです。

第二バチカン公会議の「エキュメニズムに関する教令」の冒頭を引用します。

「すべてのキリスト者間の一致を回復するよう促進することは、聖なる第二バチカン公会議の主要課題の一つである。主キリストが設立した教会は単一・唯一のものである。しかし数多くのキリスト教共同体が自分たちこそイエス・キリストの真の継承者であると人々の前で自称している。彼らは皆、自分が主の弟子であると公言するが、同時に、それぞれ考えが異なり、異なった道を歩いている。それはあたかもキリスト自身が分裂しているかのようである。このような分裂は明らかにキリストの意思に反し、また世にとってはつまづきであり、すべての造られたものに福音をのべ伝えるというもっとも聖なる大義にとっては妨げになっている(1)」

かつて教皇ヨハネパウロ二世は回勅「キリスト者の一致」のなかで、「キリスト教一致のための運動は、付録のようなものではありません。・・・エキュメニズムはもともと教会の生活と活動の一部であり、そのすべてに浸透していなければなりません(20)」と記しています。同じ福音に生きる者が、キリストという一本のぶどうの幹に繋がっているのは当然であり、共同体の一致は福音に生きるためには不可欠だからです。出来ることから、歩みを共にしていきたいと思います。

今年の東京における一致祈祷集会は、感染症の状況のため、オンラインで配信されます。本日1月18日午後1時半以降、日本キリスト教協議会(NCC)のYoutubeチャンネルで配信される予定です。詳細は、こちらのリンクから、カトリック東京大司教区のホームページの記事をご覧ください。

今年の一致祈祷週間のテーマは、「わたしたちは東方でそのかたの星を見たので、拝みに来たのです」(マタイ2・2)。特に長年にわたって紛争が続き、平和が確立されない、聖地をはじめ中東地域の教会と人々に思いを馳せて、祈りをささげることが呼びかけられています。

昨日1月17日に、教皇庁のシノドス事務局はプレスリリースを発表し、今回のシノドスの歩みにとって、エキュメニカル的な側面が重要であることを改めて強調しました。英語でのプレスリリースは、こちらのリンクから読むことができます

この中で、シノドス事務局は、昨年2021年10月28日に、教皇庁キリスト者一致評議会議長のコッホ枢機卿とシノドス事務局長のグレック枢機卿が、各国のエキュメニズム担当司教に連名で出した書簡に触れ、それぞれの部分教会においても,エキュメニカルな側面をシノドスの歩みの中に取り入れるようにと,さまざまな提案をされています。両枢機卿は書簡で、「シノドス性とエキュメニズムは、どちらもともに歩むプロセスです」と強調されています。その上で、「東方の博士のように、キリスト者も同じ天からの光に導かれて一緒に旅を続け、一緒にこの世の闇に遭遇します。博士たちと同じくキリスト者も、一緒にイエスを礼拝し、それぞれの宝を捧げるように招かれています。ともに寄り添いながら歩むことの必要性に気づき、キリストにおける兄弟姉妹が持つ豊かな宝に心を留め、わたしたちは一緒にこの二年間の旅をするようにと彼らに呼びかけ,キリストが彼にできる限り近づけるように導いてくださることを、そして互いに近づくことができるように導いてくださるように,心から祈ります」と記しておられます。

キリスト教一致評議会とシノドス事務局は,この一致祈祷週間のための祈りを作成し,公開しています。原文は下の写真です(英語)。仮の私訳を記しておきます。

天の父よ

星に導かれてベトレヘムへと旅した東方の博士たちのように

天からの光によって

このシノドスの時期に、カトリック教会がすべてのキリスト者とともに歩むよう導いてください。

博士たちがキリストの礼拝において一致したように

わたしたちをあなたの子に近づけ、また互いを近づけてください。

あなたが教会とすべての被造物に望まれているように、わたしたちが一致のしるしとなりますように。

わたしたちの主キリストによって。

アーメン

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2021年10月20日 (水)

シノドスの歩み:東京教区のビデオ公開始まりました

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先日お知らせしたように、2023年秋の世界代表司教会議(シノドス)第16回総会への歩みが、全教会で始まりました。

最初の時期、今年の10月から来年3月頃までは、それぞれの地方教会での分かち合いと識別のときです。各教区には担当者が任命されていますが、東京教区の担当者である小西神父様が、共通理解のためのビデオを作成してくださってます。順次公開されていきますが、その一回目と二回目が公開されました。

以下に、その一回目と二回目をリンクします。元になる小西神父様が用意された原稿は、教区ホームページに掲載されていますので参照ください。

シノドスに向けてバチカンから示された問いかけに、即座に答えを募集したら良いのではないかとお考えになるかもしれません。しかし今回は、回答を積み重ねることよりも、一緒になって理解し、一緒になって識別し、一緒になって歩むことを、教会全体が当たり前のこととして身につけること自体が重要視されています。

つまり今回のプロセスは、2023年秋の会議で結論が出て終わるものではなくて、これからの教会のあり方そのものを決定づける「出来事」です。今回、これまでを振り返りつつ話し合うことは、これからも話し合い続ける内容ですし、2023年の会議が終わっても話し合い続ける内容です。また東京教区にとっては宣教司牧方針を具体化する上での大切な教会のあり方でもあります。教皇様は、教会共同体そのものを、聖霊の導きに素直に従う共同体へと変えようとされています。

ご自分のスマホやパソコンで、用意されたビデオを見ることができる方は、それができない方にも分かち合ってください。感染対策で大勢が集まることはできませんが、数名で一緒に見たり、二人で見たり、このビデオの分かち合いからすべてを始めましょう。

Youtubeでご覧になれますから、近頃はご家庭のテレビがインターネットにつながっていたりするので、そういった手段でもご覧ください。ご覧になっていろいろ思うことがあると思います。後で役に立つと思いますから、メモして置かれることお勧めします。

 

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2021年10月17日 (日)

シノドス開始ミサ@東京カテドラル

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本日10月17日、教皇様は世界中のすべての教区で、2023年秋のシノドスに向けた歩みを始めるようにと指示をされました。東京教区では、カテドラルである関口教会の午前10時のミサを、大司教司式ミサとして、シノドス開始のミサとしました。

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神の民としてともに歩みこの道程は、教会のあり方を見つめ直し、新たなあり方を模索する道ですから、教会にとっての回心の道でもあります。関口教会のミサでは、本来は聖堂の外でシノドスの祈りを唱え、回心を象徴して灌水した後に、皆で入堂する予定でしたが、あいにくの雨模様となり、皆さんには席に着いたままで、侍者と司祭団が大扉から入道しながら灌水して始めることといたしました。

シノドス事務局が準備した文書(リンクは日本語訳です)には、今回のシノドスの目的がこう記されています。

「次の基本となる質問がわたしたちを促し、導いてくれます。今日、さまざまなレベル(地方レベルから全世界レベルまで)で行われているこの「ともに旅をする」ことは、教会がゆだねられた使命に従って福音を宣べ伝えることを可能にするでしょうか。また、シノドス的な教会として成長するために、聖霊はどのような段階を踏むようにわたしたちを招いているでしょうか」

この準備文書に記されている10の「探求すべきテーマ」については、今後順に説明してまいりますし、教区のホームページの特設コーナーでは、今週以降、順次、共通理解のためのビデオを公開します。一緒に歩みましょう。

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以下、本日のミサの説教の原稿です。

年間第29主日B
東京カテドラル聖マリア大聖堂
2021年10月17日

教皇様は、2023年秋に世界代表司教会議(シノドス)を開催することを決定され、そのテーマを、「ともに歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教-」と定められました。

その上で教皇様は、教会全体にとって、シノドスがまさしくその意味するところである「ともに歩む」プロセスの具現化となることを望まれて、これまでとは異なるシノドスのあり方を定められました。それは、シノドスがローマで行われる2023年の司教たちによる会議だけに終わらず、世界中すべての教区のすべての人と歩みをともにするプロセスとなることであります。

これまでは、テーマに基づいた準備文書がバチカンの事務局で作成され、それに対して各国の司教団が回答を送り、さらにその回答に基づいて具体的な討議資料が作成されて本番の会議に臨むというプロセスでした。これでは確かに、司教たちの考えは集約されますが、教会全体の識別を反映しているとは言い難い。そこで今回は、2021年10月からシノドスの歩みを始めることになり、まず最初の半年ほどで各教区での振り返りと識別が行われ、そこからアジアやアフリカなどの地域別に繋がり、あらゆる声に耳を傾けた上でのローマでの会議という、2年間にわたるプロセスが開始されることになりました。

すでに先週、教皇様は、今回のシノドスのプロセスの開始を、ローマから告知されていますが、世界中の教区は10月17日の主日を持って、それぞれの教区におけるシノドスの歩みを始めるようにと指示をされています。東京教区では本日のこのミサを持って、また各小教区で同様の意向で捧げられているミサを持って、シノドスの歩みを開始いたします。

9月の初めにローマ教区の信徒代表たちとお会いになった教皇様は、その席で、「教会がリーダーたちとその配下の者たちとか、教える者と教わる者とから成り立っているという凝り固まった分断のイメージから離れることには、なかなか手強い抵抗があるが、そういうとき、神は立場を全くひっくり返すのを好まれることを忘れている」と指摘されています。これまでのやり方に固執することなく、勇気を持って新しいあり方を模索することは、教皇フランシスコが教会にしばしば求められる道です。

2015年にシノドス創設50周年の式典が行われたとき、教皇様はこう述べておられます。

「まさに『シノドス性』の歩みとは、神が第三千年期の教会に期待しておられる歩みなのです。ある意味、主がわたしたちに求めておられることは、すべて『シノドス』(ともに歩む)ということばの中にすでに含まれています。信徒と司牧者とローマの司教がともに歩むこと、それをことばでいうのは簡単ですが、実行に移すことは、それほど容易ではありません。」

第二バチカン公会議の教会憲章は、教会が個人の信心の積み重ねと言うよりも、全体として一つの神の民であることを強調しました。教会憲章には、「しかし神は、人々を個別的に、まったく相互の関わりなしに聖化し救うのではなく、彼らを、真理に基づいて神を認め忠実に神に仕える一つの民として確立することを望んだ」(教会憲章9)と記されています。

さらに教会憲章は、洗礼によって一つの民に結びあわされたわたしたちは、「ある人々はキリストのみ心によって他の人々のための教師、神秘の分配者、牧者として立てられているが、キリストのからだの建設に関する、すべての信者に共通の尊厳と働きについては、真実に平等」(教会憲章32)であると記しています。

ともに旅を続ける神の民にあって、わたしたち一人ひとりには固有の役割が与えられています。共同体の交わりの中で、一人ひとりがその役割を十全に果たすとき、神の民全体はこの世にあって、福音をあかしする存在となり得ます。

わたしたちの信仰は、神の民という共同体の信仰です。一つのキリストの体に結ばれた、共同体の信仰です。わたしたちの信仰は、その共同体における「交わり」のうちにある信仰です。

「交わり」とは、「共有する」ことだったり、「分かち合う」ことだったり、「あずかる」ことを意味しています。パウロのコリントの教会への手紙に、「わたしたちが神を賛美する賛美の杯は、キリストの血にあずかることではないか。わたしたちが裂くパンは、キリストの体にあずかることではないか」と記されていました。その「あずかる」が、すなわち「交わり」のことです。わたしたちの信仰は、キリストの体である共同体を通じて、キリストの体にあずかり、いのちを分かち合い、愛を共有する交わりのなかで、生きている信仰です。

信仰の共同体の中に生じる「交わり」は、父と子と聖霊の交わりの神の姿を反映しています。「交わり」は、わたしたちの共同体で行われる典礼や祈りによって生み出され豊かにされていきます。

交わりによって深められたわたしたちの信仰は、わたしたち一人ひとりを共同体のうちにあってふさわしい役割を果たすようにと招きます。交わりは参加を生み出します。一人ひとりが共同体の交わりにあって、与えられた賜物にふさわしい働きを十全に果たしていくとき、神の民は福音をあかしする宣教する共同体となっていきます。ここにシノドスのテーマである「ともに歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教-」の意味があります。

今回のシノドスの歩みを通じてわたしたちは、共同体における信仰の感覚をとおして、神の民であるという自覚を深めるように招かれています。社会の現実、特に今般のパンデミックによる痛みへの共感を持つように招かれています。社会にあって今を一生懸命に生きている人たち、すなわち貧しい人々との対話や連帯へと招かれています。いのちを生きる道や文化の多様性を尊重するように招かれています。信仰において、互いに裁くものではなく許し合うようにと招かれています。

シノドスの準備文書の冒頭にこう記されています。
「ともに旅をし、これまでの旅をともに振り返ることで、教会はその経験を通して、どのようなプロセスが、交わりを生き、参加を実現し、宣教に自らを開くのに役立つかを学ぶことができるのです」

東京教区では、折しも宣教司牧方針を、今回と同様に多くの方の意見に耳を傾けながら定めたところです。残念ながら、発表した直後から感染症の状況に翻弄されており、宣教司牧方針を公表したものの、深めることが一切出来ずにおりました。

今回のシノドスの歩みは、そういった状況にある東京教区にとっては、ふさわしい呼びかけとなりました。シノドスの歩みをともにすることで、わたしたちは今の東京教区の現実の中で、神の民であるとはどういう意味があるのかを理解し深めようとしています。そのプロセスの中で、交わりを深め、ともに参加し、福音を告げる共同体へと豊かになる道を模索していきます。そのことはちょうど、東京教区の宣教司牧方針の三つの柱、すなわち、「宣教する共同体」、「交わりの共同体」、「すべてのいのちを大切にする共同体」の実現と直接につながっています。

本日からシノドスの道をともに歩み、ともに振り返り、ともに理解を深め、ともに祈りながら、わたしたちが交わり、参加し、宣教する神の民となるように、教区の宣教司牧方針を深めながら、旅路へと招かれる主の声に耳を傾けてまいりましょう。

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